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離婚後も日本に居続けられるのか?定住者ビザについて解説

2023-03-18

離婚・死別定住について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

「日本人の配偶者」でなくなっても在留を続けられるのか

日本人の配偶者、永住者・特別永住者の配偶者の在留資格で日本に在留している場合、配偶者としての活動をすることが在留資格の要件となっています、離婚、死別等で配偶者としての活動ができなくなった場合は、これまでの在留資格が認められないことになり、他の在留資格に変更しなければ本国に帰国することになります。

しかしながらこれまで配偶者としての活動を長年継続してきた方の中には、生活基盤が既に本国ではなく日本にあり、簡単には帰国を選択できない方が少なからずいるでしょう。

又、経営・管理、技術・人文・国際業務等の就労系の在留資格変更申請には、学歴、業務経験、資産等の面で複雑で高度な要件が求められ、変更要件を満たす人は限られてきます。

こうした場合に、これまでの生活基盤を大きく変更することなく、引き続き日本で生活することを希望する方の救済措置的な在留資格として、離婚定住・死別定住と呼ばれる在留資格があります。

「告示外定住」という定住者ビザの一種であり,要件が事前に定められていない在留資格です。離婚・死別定住の対象となる者は、日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚又は死別後引き続き日本に在留を希望する者で、同じ身分系の在留資格でも定住者の配偶者等と離婚又は死別後引き続き在留を希望する者は含まれません。

離婚・死別定住の許可要件はおよそ以下の4つです。

① おおむね3年以上の「正常な婚姻関係・家庭生活」を営んでいる

② 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③ 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと

④ 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること

審査のポイント

①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。

したがって、別居していた期間であっても夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればこれに該当します。

②「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、独立して生計を営むだけの収入のことです。

正社員、派遣社員、アルバイト等、就労形態による区別はありませんが、およそ月収18万以上が目安となります。

③「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、言語能力などの点で,日本での生活に支障がないことです。

例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問われません。

④「納税義務」は文字通り,きちんと払っているかどうかが問題となります。税金の滞納や交通違反等の法律違反があれば審査において不利になります。

定住者の在留資格に変更が出来れば、就労に制限はなく、これまでの生活基盤を大きく崩すことなく引き続き日本での生活が可能となります。

日本人、永住者・特別永住者の方と離婚・死別され、在留資格についてご心配事・困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。

在留特別許可を争った裁判事例 東京地裁判決その8

2021-05-05

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,平成29年6月16日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

先日解説した裁判例と同じ日に,判決が出された事件(内容は全く別々)ですが,こちらは在留特別許可を認める方向での判断となりました。

この事例は,

「定住者」の在留資格で来日した外国籍の男性Xさんが,日本で傷害事件を起こしてしまい懲役2年6月執行猶予5年の有罪判決を受けたため,在留期間の更新申請が不許可となってしまい,オーバーステイになって,退去強制(強制送還)令書が発布されたので,その取り消しと在留特別許可を求めて裁判を起こしたというものです。

外国人の方が有罪判決を受けた後に在留特別許可を求めて裁判を起こしたという事例については,前回も紹介したものがありますので,併せてご覧下さい。

在留特別許可が認められなかった例1

在留特別許可が認められなかった例2

在留特別許可が認められなかった例3

在留特別許可が認められなかった例4

(さらに…)

離婚後に定住者への在留資格の変更が認められた裁判例

2021-04-14

日本人と離婚した外国人の方が,「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格の変更を求めて裁判を起こした結果,裁判所が,在留資格の変更を認める方向の判決を出した事案について紹介します。

「在留資格の変更を認める方向」という,少し遠回しな言い方になっているのは,裁判所が直接「在留資格の変更と認めた」というわけではないからです。

この事案では,外国人の方が一度,在留資格の変更の申請(「日本人の配偶者等」→「定住者」)をしたところ,当時の入管が不許可の処分をしました。外国人の方は,この不許可処分の取り消しを求めて裁判を起こしたのです。

裁判例は,平成14年4月26日東京地方裁判所で判決が言い渡された事件です。それでは詳しく解説します。

(さらに…)

日本人と離婚したら国外退去?

2021-04-02

日本人と結婚していたのに,在留資格が取り消されたという裁判例について解説をしました。

参考 在留資格の取り消しを争った裁判例

この裁判例の前提として,日本人と結婚していた外国人の方が,離婚した場合にはどうなるのかについて解説したいと思います。離婚したらすぐに国外退去となってしまうのでしょうか。

なお,日本人と結婚していたけれども「日本人の配偶者等」の在留資格に変更していないという方は,全く問題がありません。離婚したとしても,在留資格に関わる活動を継続している限りは,在留資格が取り消されるということはありません。

離婚したときの在留資格

在留資格とは,日本国内での活動に応じて付与されるものです。「日本人の配偶者等」という在留資格は,日本人の配偶者,日本人の子として日本で生活する場合に認められる在留資格です。

この「配偶者」とは,日本の法律に従って結婚している場合を指し事実婚や内縁関係の場合には「配偶者」には該当しないことになります。また,離婚届が受理されると,「日本人の配偶者」ではないことになります。

では,離婚するとすぐに在留資格が取り消されるのでしょうか。

実は,法律上はそうなっていないのです。

入管法上は,

『その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く)』場合に限って,在留資格を取り消すことがある,としています。

これは,夫婦関係については喧嘩などの理由からしばらく別居したり距離を取ったりすることもあるため,6か月程度は別れるつもりなのかどうか時間をおいてみるべきであることや,日本人と離婚したとしても,その後別の在留資格を取得する可能性があることや,離婚後の手続きなどの関係上,直ちに日本から出国するのが難しい場合があることから,すぐに在留資格を取り消すのは外国人の立場を不安定にしてしまうため,一定の期間を設けていると理解できます。

そして,離婚した時から「配偶者としての活動をしなくなった」となります。

そのため,離婚してから6か月がたつと,「配偶者としての活動を6か月以上行っていない」として,在留資格が取り消される可能性が出て来るのです。

日本人の配偶者としての活動を継続して6か月以上行わず,他の在留資格へ変更しないで在留資格が取り消された場合には,「30日間」の出国準備期間が設けられ,その間に日本から出国しなければなりません。この時の出国は「強制送還(退去強制)」ではありませんので,再入国禁止の期間は特にないことになります。

離婚後に出国準備期間が付与され,一度日本から出国したとしても,すぐに他の在留資格で再度入国するということは可能です。

但し,この出国準備期間の内に日本から出国しなかった場合には,強制送還(退去強制)の対象となってしまいます。強制送還されてしまうと,原則として5年間,日本に入国することが出来なくなってしまいます。離婚後も日本への入国を考えているという方は,出国準備期間を過ぎてしまわないように十分に気を付けましょう。

※親権や養育費をめぐって離婚の調停や裁判が続いている間は?

離婚に関する調停や裁判が続いている間についても,在留期間を6か月として「日本人の配偶者等」の在留資格が認められる場合が多いです。

離婚の調停や裁判が続いている間であっても,その後,夫婦関係が回復する可能性もあるから在留資格がすぐに取り消されるものではありません。

※夫からのDVで逃げている場合

配偶者からの暴力から逃れて一時的に別居しているという場合には,在留資格が取り消されない可能性があります。

但し,DVが原因となり,離婚届けは出していないものの,事実上結婚生活が破壊されているという場合には,そもそも「日本人の配偶者」ではなくなったとして,在留期間の更新が認められない場合があります。そのような場合には,次の「定住者」へ在留資格を変更することを考えましょう。

離婚後の在留資格はどんなものがあるか

離婚したとしても,すぐに在留資格が取り消されて強制送還されるわけではないことが分かりました。

次に,離婚後も引き続き日本での滞在を希望する方の在留資格について解説します。

就労系の在留資格

離婚後,外国人の方のお仕事が就労系の在留資格に該当する仕事であれば,就労の在留資格へ変更することが可能です。例えば,通訳業をしていた方であれば「技術,人文知識・国際業務」,学校の先生であれば「教育」や「技術,人文知識,国際業務」等があり得ます。

もちろん,離婚した後でも転職活動をすることはできますし,離婚後に在留資格が認められるような仕事を探すのでも全く構いません。

技術,人文知識,国際業務の在留資格についてはこちらでも解説しています。

技術・人文知識・国際業務の在留資格取得手続

定住者の在留資格

「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた方のうち,一定の条件を満たす場合には,離婚後にも「定住者」へ在留資格することが出来ます。

定住者への変更が認められる場合としては,

1 日本で概ね3年以上正常な婚姻関係,家庭生活が継続していた方(離婚定住)

2 日本人との間に生まれた子どもを監護,養育している方(日本人実子扶養定住)

が該当します。

また,離婚はしていないものの,配偶者からのDVによって事実上婚姻関係が破綻しているという場合には「1」の離婚定住と同様に,定住者への在留資格の変更が認められる場合があります。

定住者の場合には就労の制限がないので違法なものでない限り,日本国内で様々な仕事をすることが出来ます。

離婚後に「日本人の配偶者等」から「定住者」へ変更するという場合には,離婚後も日本で生活を営むだけの資産や技能があることが条件とされています。

まとめ

今回は,離婚後の在留資格がどうなるのかという点について,解説しました。

離婚すると,すぐに在留資格を取り消されるというわけではありませんが,きちんと入国管理局への届け出をしなければなりません。

また,離婚から6か月が過ぎると,「日本人の配偶者等」の在留資格については取り消される可能性が出て来るので,その後も日本での在留を希望する場合には,別の在留資格への変更をしなければなりません。

「定住者」がどのような在留資格なのかについては,また改めて詳しく解説をしたいと思います。

不倫と在留資格

2020-11-11

このページでは,日本で不倫をした外国人の方や,配偶者の外国人の方が不倫したという方に向けて,不倫が在留資格に影響するのかどうか?と解説します。

なお,このページにおいて「不倫」とは,法律上結婚している人が配偶者以外の人と交際したり情交を結ぶ(性交等をする)ことを指すとします。

 

配偶者の在留資格について

日本人の方と結婚した外国人の方は,「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することが出来ます。

「日本人の配偶者等」の在留資格は,在留中の活動に制限がなく(違法行為でない限り日本でどんな仕事もできます),結婚が継続している限りは在留期間の更新も認められやすく,とても安定した在留資格です。日本人と結婚した方で,ある程度の期間日本に在留することを希望する場合には,「日本人の配偶者等」へ在留資格を変更することが良いでしょう。

この在留資格は,「日本人と結婚していること」を前提として認める在留資格です。そのため,離婚した場合等,すでに結婚生活を行っていない場合には在留資格を認める前提がなくなってしまいます。結婚生活が行われていない状態が6か月以上継続し,在留資格を変更していないままでいると,在留資格が取り消されてしまうことになります。在留資格が取り消されると,30日間の出国準備期間が設けられ,その間に本邦から出国しなければならなくなります。

 

配偶者の在留資格と不倫 ~外国人の方が不倫してしまった場合~

※この項は外国人の方の方向けの解説です。

不倫をしてしまった場合,在留資格を取り消されてしまうのでしょうか。結論から言うと,すぐに取り消されるわけではありません。

在留資格が取り消されるかどうかは,日本人の方との結婚生活が続いているかどうかによって決まります。

不倫関係が数年に及んでいる場合や,夫婦で別居して家計が別々になっているような場合お互いに離婚に向けた話し合いや調停が進んでいるような場合であれば,結婚生活は既に破綻して修復する可能性もないとして,在留資格が取り消されたり,更新が不許可となる可能性もあります。また,不倫相手との関係を日本で続けるために離婚しないだけ,というような場合も,日本人との蹴痕生活が続いていないと判断される可能性があります。

一方,そうではない場合,例えば,夫婦として同居を続けている場合不倫があったとしても結婚関係を修復していく姿勢である場合には,引き続き在留資格を認められる可能性もあります。

不倫自体は在留資格を取り消す理由にはなりませんが,結婚生活の実態次第では在留資格が取り消される可能性があるということになります。

宗教間や文化によって「結婚」に対する考え方が異なるのは当然ですが,日本で不倫をするということは,それだけのリスクがある行為ということになります。

 

配偶者の在留資格と不倫 ~配偶者である外国人の方が不倫してしまった場合~

※この項は,不倫をしてしまった外国人の方の配偶者の方向けの解説です。

男女問わず,外国人である配偶者の方が不倫してしまった場合,当該外国人の方の在留資格がどうなるのかというのは上記のとおりです。

そして,不倫をされた日本人の方としては,このまま結婚生活を続けるのか,離婚を考えていくのか,が大きな問題になります。これは日本人同士の結婚でも同じかもしれませんが,外国人の方と結婚している場合には,

①相手の在留資格

②慰謝料の請求方法

③子供がいる場合には子供の親権や国籍

の問題があります。

結婚を続ける方向であれば,相手の在留資格の保持や更新申請の許可に向けた準備が必要になります。上記のとおり,不倫があったことのみで在留資格が取り消されたり強制退去になることはありませんが,資格の更新が不許可となったり,更新の期間が短くなったりする可能性があります。

一方,離婚する方向なのであれば,相手が日本から大挙してしまう可能性があるので,②,③についても考えなければなりません。

このページでは①に限って解説をしていますが,②,③についても簡単に触れると,いずれも相手が日本にとどまっているうちに請求や手続をしておく方が良いでしょう。相手が帰国してしまった場合,日本の裁判所で手続きができなくなってしまったり,適法される法律が変わってしまうことがあるためです。

 

まとめ

今回は,不倫の在留資格に対する影響について解説してきました。

既にふれた通り,「結婚」や「不倫」に対する考え方については,個々人の思想や信条によって異なることは確かです。しかし,日本の法律の仕組みというのも,ここでお話しした通りです。

昔日本には,「不倫は文化」という言葉もあったようですが,外国人の方の在留資格の関係で言うと,「不倫はリスク」です。

「日本人の配偶者等」の在留資格はとても安定しており,日本での在留を希望されるのであれば保持しておきたいものです。「日本人の配偶者等」の在留資格についてご不安のある外国人の方,日本人の方は一度ご相談下さい。

日本に滞在する外国人の戸籍や住民票はどうなる?

2020-09-24

このページでは,日本に在留する外国人の方の戸籍や住民票の扱いについて解説して,日本国内で必要となる,戸籍や住民票に関連する手続についてご説明します。

日本でいう「戸籍」や「住民票」のように国民や市民を把握,管理するシステムは,国や文化によって異なります。

今回は,日本における外国人の方の扱いについて,解説したいと思います。

(さらに…)

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