在留期間を延長する手続き

1 在留資格を延長する手続きについて

ほとんどの在留資格には期間が定められています。例えば定住者であれば1年,技術・人文知識・国際業務であれば1年や3年(最長で5年)である,などの期間があります。この期間が切れ日本に在留し続けてしまうと,不法滞在となります。

そのため,在留資格の有効期間(在留期間ともいいます)が近づいてきたら,在留期間の更新という手続きをしなければなりません。これは,在留期間を延長するための手続きです。

在留期間の更新の手続きは,

  • 日本にいる外国人の方(未成年であれば両親)
  • 入管から承認を受けている勤め先の職員
  • 行政書士・弁護士

がすることができます。

在留期間の更新について入管から承認を受けている企業は多くないので,多くの場合はご自分で手続きするか,専門家に依頼することになります。

在留期間の更新の申請は,住んでいる地域の地方出入国管理局の窓口で行うことが原則ですが,2020年3月から,一部の方はオンラインで手続きが可能になりました。手続きはこちらのホームページからも行えます。

http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyukanri/onlineshinsei.html

申請の時には申請書と新しい在留カードに貼るための写真を提出することとされていますが,そのほかに,在留資格の種類に応じて様々な資料の提出が必要になります。例えば,就労系の在留資格であれば,納税証明書や勤め先に関する文書を提出します。

更新の時に必要な書類については,どんな在留資格なのか,就労系の在留資格であればどんなところに勤めているのかで変わってきます。提出書類については,法務省がホームページでも公表していますので自分で手続きするときには,必要な書類が何か確認しておきましょう。

http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_KOSHIN/shin_zairyu_koshin10_01.html

在留資格の更新がうまくいかないと,不法滞在として強制送還(退去強制)の対象になってしまいます。在留資格の更新は日本に居続けるための最も大切な手続きです。手続きに不安がある方は専門家に相談して手続きを取り次いでもらいましょう。更新が許可されるのか難しい場合には専門家が理由書を提出することで事情を説明しやすくなることもあります。

在留資格の更新が許可された時には,その結果が郵送されて新しく在留期間が定められることになります。許可された場合には手数料として入管で4,000円を納付します。

手続にご不安なことがある方は,弁護士や行政書士に取次を依頼することもできます。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

お問い合わせ

2 申請の時に気を付けること

在留資格の更新の時には,いつ申請をしておくか,という点に気を付けなければなりません。

更新の手続きは,だいたい在留期限の3か月前から受け付けられています。そして更新の申請をしてから許可されるまで,法務省が公表している数値によると平均して30日ほどかかります。

☆在留期限が2020年9月30日の外国人の方の例で考えてみましょう。

2020年6月30日ころから更新の手続きができることになります。

この方が2020年7月1日に更新の申請をした場合,その結果はだいたい2020年8月1日ころに分かります。一方,2020年9月15日に更新の申請をしたとすると,その結果が出るのはだいたい2020年10月15日頃です。この場合,更新の申請の許可を待っている間に在留期間を過ぎてしまいます。

この例の方の場合,在留資格にもよりますが,遅くとも2020年8月中には手続きをしておくのが安全であることが分かります。

Q もしも更新の申請の結果を待っている間に在留期間が過ぎてしまうとどうなるのか?

仮にそのような場合でも,すぐに不法滞在,いわゆるオーバーステイになってしまうことはありません。在留期間の内に更新の申請をしていれば,申請の結果待ちであっても在留期間から2か月間だけ特例として在留が認められます。

上の例だと,2020年9月30日までに更新の申請をしていれば,2020年11月30日までは申請の結果を待って日本に在留することができます。

Q 更新の申請の結果待ちで在留期間を過ぎて,しかも更新が不許可になったらどうなるのか?

上の例で更新が不許可となった場合,入管から出頭要請が来ます。出頭すると,在留資格の更新が不許可になったことを告げられて,日本に在留する意思があるかどうかを確認されます。

そこで日本から出国する意思があると伝えると,出国準備のための「特定活動」という在留資格へ変更する手続きがなされ,1か月間の出国準備のための在留が認められます。この場合には自費出国という扱いになり,不法滞在とはなりません。

一方,日本に残り続ける意思があることを伝えると,在留期間を更新しない正式な決定がなされ,他の在留資格に変更できない限り不法滞在として扱われ,強制送還(退去強制)の対象となります。

この処分に不服がある場合には,在留特別許可を得るか,弁護士に依頼して訴訟を提起する必要があります。

手続にご不安なことがある方は,弁護士や行政書士に取次を依頼することもできます。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

お問い合わせ

3 審査の基準について

在留資格の更新の際には,

  1. 在留資格が認められること
  2. 在留中の活動に問題がないこと

という点が審査されます。

①在留資格が認められること

在留資格が認められることとは,更新の申請の時点で在留資格が認められることを言います。例えば,「留学」の在留資格が入国した方が在留資格を更新しようとする時,更新の申請の時に大学や専門学校に在籍していなければなりません。退学や除籍となっていた場合,更新の時点での在留資格が認められないため更新は不許可となります。

②在留中の活動に問題がないこと(素行が不良ではないこと)

在留中の活動に問題がないことについて,入管がガイドラインを定めています。

http://www.moj.go.jp/content/001313775.pdf

このガイドラインによると,素行不良でないことや納税義務を果たしていること,入管への届け出や手続きを誠実にしていること等があげられています。

日本に在留中に刑事事件を起こしたとして前科が科された場合や起訴猶予処分となった場合には,素行不良であるとして更新が不許可となることがあります。日本で刑事事件を起こしてしまった外国人の方は,在留資格のことも弁護士とよく相談しておく必要があります。

4 在留資格の更新が不許可となったときの対応

在留資格の更新が不許可となった場合には,日本から出国するか,日本に残ることを希望するかでとるべき手段が変わります。

【日本から出国する場合】

在留期限内であれば,日本から自費で出国することができます。

日本から出国するための準備期間が必要である場合や,在留期限が過ぎてから更新が不許可となった場合には,在留資格を変更して「特定活動」の在留資格へ変更する手続きをします。「特定活動」の在留資格は,多くの場合1か月が付与されます。この在留資格は日本からの出国の準備のために荷物を整理したり仕事の引継ぎをしたりするための期間ですので,別の在留資格へ変更することは原則として認められません。

【日本に残ることを希望する場合】

日本に残ることを希望する場合には,適法な在留資格を獲得しなければなりません。

更新が不許可となった場合でもまだ在留期間内であれば,別の在留資格への変更手続きをします。例えば,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留し働いていた外国人の方が日本人と結婚していた場合,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が更新できなかったとしても,「日本人の配偶者等」へ変更することを検討します。

在留期限を過ぎてしまうと他の在留資格へ変更することができませんので,在留特別許可を得なければなりません。その場合には,訴訟を含めた法的な手段を取らなければなりませんので,手続きの早い段階から専門家に相談しておきましょう。更新の不許可の通知がされる時点で,専門家と一緒に手続きを進めていくのが望ましいです。

Q いったん出国して再入国するか,日本に残って訴訟をして戦うか,どちらを選択するべきか?

更新が不許可となった場合に,日本から出国するか,訴訟を見込んで争うか,難しい判断に迫られます。

一度出国した場合には不法滞在という履歴にはなりませんが,再度入国するための在留資格が必要になります。

日本に残って訴訟をした場合に請求が認められれば一番良いですが,仮に訴訟で負けてしまった場合には不法滞在として強制送還(退去強制)となってしまい,その後5年間日本に再入国できなくなってしまいます。

どちらの方針であっても,メリットとデメリットがあります。弁護士などの専門家と事前によく相談しておきましょう。

手続にご不安なことがある方は,弁護士や行政書士に取次を依頼することもできます。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

お問い合わせ

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

03-5989-0843電話番号リンク 問い合わせバナー