行政書士と弁護士の違い

外国人の方の日本での在留手続きについて,弁護士以外に行政書士に依頼するケースも多く見られます。

それでは弁護士と行政書士との違いは何なのでしょうか。

 

1 弁護士が行う業務について

弁護士が行う業務について弁護士が行う業務については,弁護士法3条1項に定めがあり,

当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする

とされています。

難しい言葉で書かれていますが,一言でまとめてしまうと,「法律を適用する場面」であれば弁護士の業務と言えます。

例えば,契約書を作成する場面,他人に怪我をさせられたり事故に遭ったりした際の損害賠償請求をする場合や,離婚調停の申し立て,遺産分割の調停を申し立てる場合等,誰かの権利をきちんと決めたり,行使したりする(もしくは行使しない)時や身分関係に変更が生じる場合には,法律を適用する場面,つまり弁護士が介入できる場面であると考えられます。

また,多くの方がイメージされるように,裁判所の法廷で代理人として法廷活動をしたり,法廷の外での交渉をしたりするのも,例外的な場合を除いては弁護士のみです。民事事件であれば代理人弁護士,刑事事件であれば弁護人として,個々の当事者のための弁護活動を行うことができます。

 

2 行政書士の業務について

一方,行政書士の業務については行政書士法1条の2以下に規定があり

他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする

とされています。これもやや難しい文言ですが,簡単にまとめてしまうと,行政書士が行えるのは,官公庁に提出する書類を「作成」するところまで,ということになります。

行政書士ができるのは,「既に確定している出来事や状態について書面化する」ということのみです。

 

3 弁護士と行政書士の違いって何?

改めて,在留手続きについて弁護士と行政書士のできることの違いを解説しますが,一言でまとめてしまうと,

  • 行政書士が行えるのは申請書類の作成
  • 弁護士は法律に反しない限り活動に制限はない

ということです。

行政書士の業務は,「確定している事柄に関する書面の作成」です。そのため,在留資格認定証明書の申請や,在留期間の延長申請の書類を作ることができます。また,出入国管理法によって,退去強制手続きの口頭審理の場で行政書士も立会人として立ち会うことで認められています。

しかし,それ以外の場面では活動できないことがあります。その代表的なものが,在留中の刑事事件の弁護や,在留特別許可を求めて訴訟を起こす場合の代理人活動です。

一方,弁護士が行う活動については法律によって禁止されていることや弁護士倫理によって禁止されている行為(守秘義務の違反等)でない限り,制限はありません。もちろん,在留期間の延長の申請や永住権の申請は,弁護士も行えます。むしろ,「申請してもすぐには認められないかもしれない」という場合や,「不許可(または却下)だったとしても訴訟で争っていきたい」という場合には,行政書士ではなく最初から弁護士が活動していた方が,より一貫した主張をできるという点でよい場合があります。

また,在留中の刑事事件や入管法の違反(オーバーステイや資格外就労)の弁護活動は弁護士しかできません。このような法律違反は刑罰だけではなく,在留資格の取消しや退去強制手続き,永住許可の手続きにも影響します。後々の手続のことを考えた弁護活動が必要です。刑事弁護は弁護士に,その後の在留の手続きは行政書士に,と分断してしまうと,うまくいかない恐れもあります。

このように,在留に関する手続きでいうと,「弁護士の業務範囲」に「行政書士の業務範囲」が,すっぽりふくまれているようなイメージです。

 

☆結局,どっちに依頼した方がいいの?

『弁護士に依頼すると費用が高いかもしれない』『ちょっとした申請だから身近な行政書士に依頼して終わりにしたい』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに,最近では行政書士さんの数も増え,低額な手数料で依頼を受けている方もいらっしゃいます。

しかし,「弁護士だから高い,行政書士だから安い」,というものではありません。士業に対する報酬は,「どんなことをするのか(してくれるのか)」によって変わってきます。上記のとおり,弁護士ができることの範囲はほぼ無制限にあります。弁護士があらゆる手段(こと)ができる分だけ,費用は割高に感じられることもあります。

そして,行政書士に依頼・相談するか,弁護士に依頼・相談するか悩んでいる方は,「どんなことをしてほしいのか」を考えて,だれに依頼するのかを決めてみてもよいかもしれません。在留に関する手続きは,一人の人が日本で生活できるのかどうか,どんな生活をできるのかという,「生活」の根源に関わる重要な手続きです。本当に「ちょっとした」ことなのであれば,行政書士さんに書面だけ作ってもらって申請手続きをして終わりにしてもよいでしょう。しかし,申請に不安が残る場合というのは,その後日本で生活できるかどうかに不安が残る,ということと同じです。その不安を払しょくし,場合によっては訴訟まで争うことを考えるのであれば,弁護士に相談しておくことをお勧めします。

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