外国人を雇っている間に気を付けること

1 雇い入れ期間中にも注意すべきこと

外国人を雇い入れる時,雇用主側も注意すべき点がありましたが,雇い入れ期間中も労務管理上,気を付けておくべき点があります。

原則的には日本人と同様に労務管理を行いますが,外国人である点(日本語が母国語ではない,文化的な違いがある等)や,出入国管理上の手続の点で,雇用主側の注意点,知っておいた方が良いことがあります。

 

2 就業規則などの周知について

労働基準法では,就業規則は各作業場に掲示して労働者に対して周知しなければならないとされています。一般的に,就業規則は日本語で作成されますが,外国人には読みにくい,分かりにくい部分もあるでしょう。

法律上,英語などの外国語で就業規則を作る義務まではありませんが,後の労使間トラブルにおいて「就業規則が日本語で書かれているので読めなかった,知らなかった」と言われたり,そもそも「就業規則があるなんて知らなかった」と言われたりすることもあります。

外国人労働者を受け入れ始めた場合には,就労規則の重要な部分(労働時間や給与の定め等)だけでも外国語訳を作る等して,可能な限りの周知を行いましょう。

 

3 雇用労務責任者を置く

外国人を常時10人以上雇い入れている事業所の場合には,外国人労働者について「雇用労務責任者」を選任することとされています。労働基準法上は努力義務とされているもので,選任しなかったからといって罰則などはありません。

ただ,外国人が常時10人もいる事業所であれば,外国人の労務について責任者を定めておくことが,円滑な労使関係の形成に資することがあります。厚生労働省の指針でも雇用労務責任者を置くこととされていますし,指針に沿った労務管理が求められています。

 

4 在留資格の確認,入管への届け出について

在留資格,在留期間に関する手続きは,原則的に外国人本人が行えます。そのため,在留資格の変更や在留期間の更新がなされた時,雇用主としても変更があった内容について外国人本人から確認をしなければなりません。労働者都合で在留資格を変更した場合には,変更後の在留資格で働き続けられるかどうかも問題になります。外国人を雇い入れた後も,在留資格の適合性のチェックは続けなければなりません。

適宜のタイミング,例えば在留期間の満了が近づいた時や,雇用契約の更新・内容の変更の時などに,各外国人の在留資格や在留期間について確認を取っておくと良いでしょう。

これらの外国人の在留に関する事項の他に,外国人の氏名や住所等が変わった場合には,雇用主も,ハローワークや入国管理局に対して届け出なければなりません。一定の期間以内に届け出なかった場合には罰金が科されることもあります。

 

5 外国人留学生の注意点

特に外国人留学生をアルバイトやパート勤務で雇う場合には,「資格外活動許可」の確認が重要です。

外国人留学生が日本で働くためには,

  1. 資格外活動許可を受けていること
  2. 資格外活動許可の範囲内の就労であること

が条件とされています。そして,外国人留学生は多くの場合,一週間の就労時間を28時間までとされています。

たとえば1日4時間労働の週6日勤務であれば1週間の就労時間が24時間のため問題ありませんが,1日8時間労働の週4日勤務だと1週間の就労時間が32時間となり,不法就労になってしまいます。ここでの労働時間は契約上の労働時間ではなく,残業した場合には残業時間も含めた1週間の労働時間の合計が28時間を超えてはいけません。

外国人が資格外活動許可の範囲を超えて働いてしまうと,雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。外国人の労務管理も雇用主の責任になりますので,「そんなに働いているとは知らなかった」等といった言い分も,基本的には認められません。

外国人留学生からも,生活費を稼ぎたいから等の理由により,週28時間以上働かせてほしいと言われるかもしれません。雇用主側としても,そのような労働を認めるべきではありませんし,週28時間以上の勤務とならないように管理する必要があります。

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