在留資格の取消しについて

1 在留資格の取消しとは何か

在留資格の取り消しとは,一度認められた在留資格がその後の何らかの事情によって取り消されてしまうことを言い,出入国管理法によって,取り消される場合が定められています。

これと混同しやすいものとして,強制送還(退去強制)と,出国命令というものがあります。

在留資格の取り消しとは,「日本にいる資格そのものを失う」というものです。

一方,強制送還(退去強制)とは,「日本の在留資格に関わらず,法律上の事情があったときには強制的に日本から出国させる」という制度です。

出国命令とは,本来であれば強制送還の対象になるはずですが,一定の事情(入管法の違反が悪質でないとか,自費で出国することが可能である等)がある場合には強制送還するのではなく,30日の出国猶予期間を付して,その間に出国するように命じることを言います。

これらは一部共通する事情もありますが,それぞれ異なる場合もあります。在留資格が取り消されたからと言って強制送還されるというものではありませんし,在留資格が取り消されていなくても強制送還されるということもあります。

出入国管理法の規定は特に複雑にできていますので,ご自分の在留資格の取り消し,強制送還,出国命令などの手続きで不安がある方は早めに専門家へ相談しておきましょう。

 

2 在留資格が取り消される場合

在留資格が取り消される場合には大きく分けて三通りあります。

  1. 偽造したパスポートや書類を提出する等,入国の際に虚偽の申告をした時
  2. 日本に在留中に在留資格に関する活動を一定期間行っていない場合又は別の活動を行っている場合
  3. 中長期滞在(在留カードを持っている外国人)が必要な手続きをしなかった場合

に,在留資格が取り消されることになります。

それぞれの具体例は以下のとおりです。

 

①の例

  • 日本に入国するときの上陸審査で偽造パスポートを提示したことが発覚した場合
  • 日本の大学に合格していないのに,日本の大学に合格したと嘘をついて留学の在留資格で日本に入国した場合

 

②の例

  • 留学の在留資格で日本に滞在していたのに学校を卒業した後もアルバイトをして生計を立てていた
  • 日本人の配偶者等の在留資格で日本に在留していたのに,離婚した後通訳として日本で働き続けていた
  • 日本人の配偶者等の在留資格で日本に在留しているのに,正当な理由なく配偶者と別々に生活している(※)。

 

③の具体例

  • 技術・人文知識・国際業務の在留資格(在留期間1年)で日本に在留しているのに,引っ越して住所が変わった後90日以内に新しい住所の届け出をしなかった(※)

※在留資格の活動ができなかった場合や,入管への届け出ができなかったことについて正当な理由がある場合には,在留資格は取り消されません。

例えば,正当な理由があるとは,配偶者が単身赴任をするために期間付きで別居していた場合や,配偶者や同居人からDVを受けていたため一時的に別居したり身を隠したりする必要があった場合等があります。

その他,在留資格が取り消される事情は出入国管理法22条の4に列挙されており,入管のホームページにも一部記載されています。

http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyuu/torikeshi.html

在留資格の取消しについて不安なことがある方は専門家などに相談しましょう。

また,よくある勘違いとして,「逮捕されたら在留資格を取り消される」とか,「裁判で有罪になると在留資格を取り消される」というものがあります。確かに,一部の犯罪が成立するとき,同時に在留資格の取り消し事由にもあたることがありますが,常に「犯罪=在留資格の取り消し」というわけではありません。逮捕されたり起訴されたりして自分の在留資格がどうなるかわからない,不安だという方は,刑事事件にも入管手続きにも強いあいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

3 在留資格が取り消される場合にはどうしたらよいか

入管が日本に在留する外国人の方に対して,在留資格を取り消す事情があるもかもしれないと疑うと,詳しい調査を行います。その調査の結果,在留資格を取り消す事情があると入管が判断した場合には,外国人の方を呼び出して,意見聴取を行います。意見聴取を行う場合には,入管へ出頭するよう事前に通知がなされます。意見聴取を踏まえて,最終的には,入国審査官が在留資格を取り消すかどうかの決定を行うことになります。

在留資格が取り消された場合,30日の出国のための猶予期間が設けられ,その間に日本から出国しなければなりません。この時,入管の求めに応じて出頭しなかった場合や,期限内に出国しなかった場合には入管法違反として罰則が科されることがあるほか,再度日本に入国しようとする時に5年間入国を拒否されることがあります。

この場合,在留資格の取り消しだけではなく,強制送還(退去強制)になる事情もあった場合には,入管に収容されて強制送還されてしまいます。

在留資格を取り消されるような事情がない,もしくは在留が認められるべき正当な理由があるという場合には,弁護士などの専門家を代理人として,入管の事情聴取に同行してもらったり,資料や証拠を提出したりする必要があります。

また,在留資格が取り消されてしまったとしても,在留特別許可をえて日本に残り続けるという方針もあります。この在留特別許可が認められるためのハードルはとても高く,認められなかった場合には強制送還と一定期間の日本への入国拒否というリスクもあります。在留資格の取り消しに対してどこまで争っていくのかという点について,事前に確たる方針を決めておいた方がよいでしょう。

既に在留資格が取り消されてから弁護士や行政書士に相談するという方もいらっしゃいますが,既に手遅れになっている場合もあります。入管からの意見聴取の出頭要請が来た時点で,早めに専門家と相談しておくことをお勧めします。

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