偽装結婚の相手になってしまったらどうなるのか

※このページは,主に日本人の方向けの解説になります。

 

1 偽装結婚をしてしまったら

外国人の方と日本人の方との関係で多い犯罪として,偽装結婚というものがあります。偽装結婚そのものについて知りたい方は,「偽装結婚とは何か」の項もご参照ください。

 では,外国人の方と偽装結婚をしてしまった場合,その後どうなるのでしょうか。

 

2 偽装結婚のその後

偽装結婚が発覚し,警察の取調べや裁判,入管での調査が終わると,外国人の方は在留資格が取り消されるか,退去強制(強制送還)の手続きに付されることになります。退去強制が執行されると,外国人の方は原則としては国籍国へ送還されます。

一方,日本人の方に対しては,事実関係を争わない限りは有罪の判決が言い渡され,前科のない方であれば執行猶予付きの判決がなされることが多いでしょう。

つまり,多くの場合,偽装結婚が発覚した「夫婦」は,その後別々の国で生活することになるのです。

 

3 配偶者は強制送還された,婚姻関係は・・・?

外国人の方が送還されてしまった後,日本人の方はこんな不安があるのではないでしょうか。

  • 「戸籍はどうなるのか?」
  • 「この後別の人と結婚できるのか?」
  • 「相手に離婚届を書いてもらわなかったけれども,一生離婚できないか・・・?」

という不安です。

このような質問に一言でお答えすると,

  • 「離婚届を書いてもらわなくても問題ありません。戸籍を元に戻して他の方と結婚することが出来ます。」という回答になります。

そもそも,「離婚」は有効な結婚を前提としてそれを解消しましょう,という手続きです。偽装結婚の場合,結婚自体が無効なものですから,無効な結婚を解消するという離婚自体にも,意味がありません。平たく言うと,「結婚していない人とは離婚することができない」ということです。

むしろ,その離婚自体が無効ですので,離婚届を提出してしまうと,新たな公正証書原本不実記録罪となってしまう可能性があります。

このような偽装結婚について刑事裁判が行われ,有罪の判決が確定すると,刑事訴訟法や戸籍法の規定に基づいて,検察官が各地方自治体に,「この人たちの結婚は虚偽のものでした」という通知を行います。

これに基づいて,地方自治体は該当する人たちに対して,戸籍訂正の申請をするように促します。そして当人たちが各自治体に対して「偽装結婚でしたので戸籍を訂正してください」と申請すると,各自治体が戸籍を訂正します。また,このような申請がなかった場合には,各自治体が法務局の許可を得て,戸籍を訂正します。

ですので,基本的には偽装結婚に関する裁判が終わって戸籍の訂正がなされた後であれば,離婚届を出す必要はないですし,他の人と結婚しても重婚にはならないので有効な結婚をすることが出来ます。

裁判の結果,検察官の通知によって戸籍が訂正されたかどうか,気になる方は刑事事件を担当した弁護士に確認して,住民票のある地方自治体に対して戸籍を訂正するように申請すると良いでしょう。

偽装結婚,どうやって解消する?

4 その他の方法

以上は偽装結婚が入管や捜査機関に「発覚した場合」のお話でしたが,偽装結婚が発覚しなかった場合はどうでしょうか。

例えば,外国人と偽装結婚したものの,その外国人の方が婚姻したまま日本から出国してしまい,以後連絡が取れなくなってしまったような場合です。そのような場合には,戸籍を訂正する審判を家庭裁判所に対して求めるか,審判でまとまらなければ婚姻が無効であることの確認を求めて訴訟を起こすことが考えられます。この場合,相手がどこに住んでいるのか,どこの国籍に属しているのかによって,適用する法律や判断を下す裁判所が変わることがあり,必ずしも日本の裁判所で手続きを進められないことがあります。

偽装結婚はそれ自体が犯罪となることがありますし,解消するにも手間がかかることがあります。偽装結婚であると分かって報酬目当てで結婚することは絶対にいけませんし,仮に本当に外国人の方と結婚するつもりであったとしても偽装結婚であると疑われないようにすることが大切です。そのためにも,ある程度の交際期間を確保するということや家族や友人に対しても真剣な交際であることをきちんと話しておく,交際の状況が分かるように写真や手紙などを取っておく等の手段を講じておくとよいでしょう。

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