Archive for the ‘入管手続き’ Category
「企業内転勤」の在留資格,「転勤」する時ならいつでも認められるのか?
在留資格「企業内転勤」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「企業内転勤」が認められるためには
「企業内転勤」とは、日本に本店や支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤し、当該事業所において行う入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動を行う在留資格です。
この「企業内転勤」の在留資格の該当例としては、外国の事業所からの転勤者です。
この「企業内転勤」在留期間としては、5年・3年・1年又は3月です。
ここで、技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動とは、
日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)
をいいます。
この「企業内転勤」が認められるためには、申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国にその事業所のある公私の機関の日本にある事業所において業務に従事していた期問がある場合には、その期間を合算した期間)が継続して1年以上であることが必要です。
「企業内転勤」が認められるためには、当該外国人の報酬が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要になります。
「企業内転勤」と似ている在留資格
「企業内転勤」と似て非なる在留資格として、「技能実習(企業単独型)」という在留資格があります。
この「技能実習(企業単独型)」は、日本の企業等(実習実施者)が当該日本の企業等の海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員技能実習生として受け入れる方法のことをいいます。
日本に存する企業等が、海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくという点においては、「企業内転勤」と似ています。
しかし、「企業内転勤」においては「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している外国人職員が対象となっているのに対して、「技能実習(企業単独型)」においては外国人技能実習機構が認める職種における作業を行う外国人職員が対象となっており、仕事内容に決定的な差異があります。
ごく簡単に例えるのであれば、「企業内転勤」=「ホワイトカラー」、「技能実習(企業単独型)」=「ブルーカラー」という感じです。
「日本支店」に就職する時は?
「日本の大学を卒業する予定で日本以外に本店のある企業に就職をするが,すぐ日本支店に配属される場合にどうなるのか」という質問がありました。
この場合,上記の「継続して1年以上」の勤務経験を満たさないことになるので,「企業内転勤」としての在留資格は認められないことになります。
そのため,就職する前に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が認められるかどうかを確認しておく必要があります。在留資格については,在留資格認定証明書の請求を行うことで,事前の審査を受けることができます。
海外にある法人の日本支店の方が,日本にいる外国人を雇い入れようと思う場合には,事前の手続きについて専門家とよく相談しておきましょう。
海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくにも選択肢がありますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
社長ビザはどんな事業でも認められるのか?「経営・管理」の在留資格を解説
在留資格「経営・管理」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
この「経営・管理」に該当する活動としては、日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)のことをいい、具体的には会社の社長・取締役・監査役・部長・工場長・支店長などです。
「経営・管理」での在留期間は、5年・3年・1年・6月・4月又は3月があります。
一般的に、以下の要件を満たしている必要があります。
1.事業を営むための事業所が日本に存在すること。
ただし、その事業が開始されていない場合にあっては、その事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。
2.申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員(法別表 第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。
3.申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
この中で、上記2.ハの上記2.ロに準ずる規模は、申請をしようとする外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合で、500万円以上を投資して事業を営まれているような事業の規模などがこれに該当するといわれています。
この500万円の投資とは、その事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、次の①から③の目的で行われるものがこれに当たります。
- ①その事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費
- ②役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
- ③事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費
また、引き続き行われている事業の場合は500万円以上の投資が継続的に行われていることが必要であり、この継続性が確認される場合には事業規模を満たしているものとされます。
上記以外にも、各要件において様々な判断要素がありますので、在留資格「経営・管理」の取得を考えられている外国人の方は、ぜひご相談ください。
上陸拒否されても日本に入国することができるか?上陸拒否の特例について解説
一度強制送還をされてしまうと,多くの場合には再入国を拒否されてしまいます。
再度日本へ入国することを希望する場合,どのような手続きがあるのでしょうか。
「上陸拒否の特例」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
(架空の事例です)
Aさんは、小学校1年生の時に、南米にある日系移民が多く暮らす町から家族全員で日本に移住してきました。Aさんはおじいさんが日本人の日系3世です。Aさんは父母、弟、妹の5人家族で、Aさんが10歳の時にお父さん、お母さん、弟、妹とAさんの5人全員がA県に移住してきました。AさんはA県の公立高等学校を卒業して、A県にある自動車部品製造会社で、3交代で働いていました。
ある時知人から「この草をたばこのように紙に巻いて吸うと疲れが取れるよ。試してみないか」とすすめられ、興味本位で知人から大麻草0.5グラムを譲り受けました。
Aさんはこの草をインターネットで検索し大麻草であることを知りましたが、最近仕事でストレスがたまっていたこともあり、気分転換のつもりで吸ってもどうせばれないだろうと考え、夜勤明けに会社近くにある公園の駐車場で、紙たばこのようにして大麻草を吸っていたところ、公園を巡回していた警察官に見つかり現行犯逮捕されました。
その後Aさんは起訴され裁判所で懲役8月執行猶予3年の有罪判決を受けました。
この事件が原因で入管からこれまでの素行善良要件に問題があると判断され、Aさんは次の在留更新が不交付となって本国に帰ることになりました。本国に帰ったAさんには親しい知り合いが誰もおらず、小さいころから日本で生活しているため母国語もよくわからないため給料の高い仕事につけず毎日の生活が本当に大変です。なんとか日本に戻って安定した仕事を得て、日本にいる家族と一緒に生活したいAさんですが、入管からは無期限上陸拒否の処分がでているため、観光ビザでの入国すらも拒否されてしまいます。Aさんの大麻取締法違反の刑の執行猶予期間はとっくに経過しており、刑の言い渡しは効力を失っているにもかかわらず(刑法27条)、ほんの出来心でわずかな量の大麻を吸引して日本で罰を受けたAさんは、このままでは永久に日本に戻れません。
一体どうすればAさんは日本に戻ることができるのでしょうか?
Aさんが日本に入国するためには?入管法の規定はどうなっているのか?
入管法では上陸拒否について以下のように規定されています。
<関連条文>
入管法第5条1項
「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入国することができない。」
入管法第5条1項では、上陸拒否に該当する事由を列挙しています。
入管法第5条第1項4号
「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りではない。」
一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた場合は、無期限上陸拒否となります。ここで注意しなければならないのは、この条文にある「相当する刑に処せられた」です。本来「執行猶予」期間が経過すると刑が失効するにも関わらず、「一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑」に「執行猶予」も含めて運用されているため、日本では起訴=有罪がほぼ100%であることから、裁判所から有罪判決を受けたという事実だけで、ほぼ無期限の上陸拒否事由に該当してしまうことになります。
結果として該当者やその家族にとって極めて厳しい選択を強いられる結果となり、事件をおこした外国人だけでなく、その家族にとっても過酷な運用となっています。
例えば入管法第5条1項4号に該当する方の日本人配偶者の場合、家族が一緒に暮らすことを選択した場合は、日本人でありながら日本国内で家族一緒に暮らすことがかなわず、家族全員海外での暮らしを余儀なくされます。子供を日本の学校に通わせたい場合は海外と日本で家族が離れ離れとなり、普通の日本人家庭であればごく当たり前のことが当事者にとってはきわめて困難な選択となる恐れが生じます。
入管法五条一項は上陸拒否の該当事由を列挙していますが、この条文と対になる条文が入管法第五条の二(上陸特別拒否の特例)です。
「法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第二六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないとすることができる。」
仮に上陸拒否に該当する事由があったとしても、上陸を認める相当の理由があるときは、入管法五条に該当する事由のみをもって上陸を拒否しない、すなわち「相当の理由」があれば上陸を認める場合もあるということです。
では「相当の理由」とはどのような意味でしょうか?
法務大臣の裁決の特例としての上陸特別許可
入管法第一二条第一、二、三項に該当する場合、入管法第七条一項四号で定める上陸の基準には適合しない場合でも上陸を特別に許可する場合があります。
実務上多い類型として、入管法第十二条第三項の「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとみとめるとき。」が挙げられます。
ここでの「特別に上陸を許可すべき事情」とは、家族の結合など、上陸を認めることが人道上の観点から配慮すべき場合です。
仮に無期限上陸拒否に該当する場合であっても、人道上特別な事情が認められれば、上陸(入国)が認められる余地はあるということです。
在留申請に人道上特別な事情があることを、在留資格認定証明書を通して入管に訴えていきます。
日本に滞在中に有罪判決を受けて日本への入国が拒否されている場合でも、特別に入国が認められることはあります。
上陸拒否を受けて日本への入国を拒否されている方や家族等、日本に入国できずに困っている方は、お一人で悩まずに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(033-5989-0843)までご相談ください。
技能実習,特定技能から永住権は取れるのか?
「技能実習・特定技能から永住権の取得」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
・「技能実習」から「永住権」の取得について
永住権の取得条件の中で、例外はあるものの、基本的には10年以上継続して就労資格を取得していることが必要とされています。
ただし、この10年という期間の中には「技能実習」と「特定技能1号」で就労した期間は含まれないことになっています。
つまり、「技能実習1号、2号、3号」で5年間就労、その後「特定技能1号」で5年間就労し、日本で合計10年間就労した場合だけでは、「永住権」の取得条件である就労資格5年間には該当しないことになります。
以上より、「技能実習」と「特定技能」の就労資格では、仮に10年間就労したとしても「永住権」の取得はできないことになります。
しかし、「技能実習」、「特定技能1号」を経た後に、更に「特定技能2号」で5年以上就労した場合には、「永住権」の取得が可能になります。
現在「特定技能2号」へ移行することができる産業分野は、「建設業」と「造船・船用工業」の2業種のみとなっています。
外国人が「特定技能2号」になるためには、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事することが必要となり、「永住権」を取得するためには、この熟練した技術を持つ専門的スキルと経験を持つことが必要となります。
したがって、「技能実習」から「永住権」への移行のプロセスでは、特定技能2号を得ることによって可能となります。
・「永住権」の取得の条件について
外国人が「永住権」を取得する際には、以下の3つの審査基準を満たす必要があります。
① 素行が善良であること
出入国管理及び難民認定法違反や道路交通法違反などの法令違反があった場合は 対象外となります。
② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
外国人が日本国内で安定した生活を継続的にできるかどうか、職業や年収、配偶者の有無や家族の資産などについて審査されます。
概ねの目安ですが、年収基準は約300万円以上が許可されやすい基準となります。
③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
・日本に在留している期間が10年間で、そのうち5年以上は就労資格または居住資格を取得していること
・納税義務などの公的義務をきちんと履行していること
・現在の在留資格の最長の在留期間を有していること
・公衆衛生上の観点から良好であると認められること
・一定の条件を満たしている場合は在留期間が10年間に満たなくても例外的に認められることもあります
・日本人または永住者および特別永住者と結婚し、実質的に婚姻生活が3年以上継続し、日本に1年以上在留していること
・「定住者」の在留資格を5年以上継続し日本に在留していること
・難民の認定を受けてから5年以上継続して日本に在留していること
・日本への貢献が認められて5年以上継続して日本に在留していること
・高度人材外国人として日本に3年以上継続して日本に在留していること
外国人技能実習生、特定技能外国人として日本に在留されていて、永住権の取得を考えられている方はご参照ください。
介護の仕事でビザが取れる?新しい就労ビザ「介護」について解説
「介護職の外国人の在留資格」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
日本で外国人が「介護職」として働くためには、4つのパターンがあります。
1.外国人技能実習生として
外国人技能実習制度の職種として「介護職」で実習することが認められています。
外国人技能実習制度とは、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るという制度です。 この技能等の修得は、技能実習計画というものに基づいて行われます。
外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習1号」で1年間、「技能実習2号」で2年間、「技能実習3号」で2年間の最長5年間の実習が認められています。
なお、外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習2号」から「技能実習3号」に変更するまでの間又は「技能実習3号」に変更してから1年以内に、法律上1ヵ月以上母国に一時帰国する必要があります。
2.特定技能外国人として
特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、在留資格「特定技能1号」で最長5年間、日本で介護職として働くことが認められています。
特定技能制度とは、日本国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性、技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
なお、特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、「技能実習」とは異なり、法律上母国に一時帰国をする必要はありません。
3.EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として
EPA介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら、国家試験である介護福祉士の資格取得をめざす外国人のことをいいます。
介護業界におけるEPA(経済連携協定)とは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国と結ぶ経済連携協定をいいます。介護福祉士の資格取得を目指してEPA制度で来日した外国人は、日本の介護施設で研修を行いながら国家試験の合格を目指すことになります。
このEPA介護福祉士候補者になるためには、以下のように各国の条件があります。
インドネシアでは、高等教育機関(3年以上)卒業をした上で、インドネシア政府による介護士認定を受けるまたはインドネシアの看護学校(3年以上)卒業する必要があります。
フィリピンでは、4年制大学を卒業した上で、フィリピン政府による介護士認定を受けるまたはフィリピンの看護学校(学士・4年)卒業する必要があります。
ベトナムでは、3年制または4年制の看護過程を修了する必要があります。
このように、EPA介護福祉士候補者は希望すればすぐになれるわけではなく、母国でも相当の学習が必要になっています。国別の差異はありますが、少なくとも介護や看護の学校へ3~4年間通うことが必須となっています。
4.在留資格「介護」として
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行う者として働くことができます。
該当例としては、介護福祉士として働くことになります。
なお、令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」が認められることとなっています。
この「介護」の在留資格の在留期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかが認められることとなります。
以上のように、日本において「介護職」として働くためには、上記の4つのパターンがあり、外国人の方は自身の状況に応じたパターンを選択することができます。
特定技能1号の受け入れ支援とは?支援機関として必要なことは?
在留資格「1号特定技能外国人支援」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
1.特定技能所属機関または登録支援機関は主体となり、1号特定技能外国人に対して支援計画に基づき、支援を行うものとされています。
1号特定技能外国人支援の内容については、次のようなものがあります。
① 外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供
② 入出国時の空港等への送迎
③ 保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
④ 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施
⑤ 生活のための日本語習得の支援
⑥ 特定技能外国人からの相談・苦情への対応
⑦ 特定技能外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
⑧ 特定技能外国人と日本人との交流の促進に係る支援
⑨ 特定技能外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援
2.1号特定技能外国人がハローワークを利用して転職する場合には、ハローワークにおいて当該1号特定技能外国人が希望する条件、技能水準、日本語レベル等を十分に把握して、適切に職業相談・職業紹介を行うこととする。
3.特定技能所属機関または登録支援機関は、1号特定技能外国人の受入れに際して、適正な在留活動を確保するために、当該1号特定技能外国人が自身の活動内容等を的確に理解するための情報等を提供するなど、日本に在留中のみならず入国前においても必要な支援を行うこととする。
4.特定技能所属機関による1号特定技能外国人に対する支援の実施状況等(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。)については、基本的に特定技能所属機関から出入国在留管理庁長官に届出をしなければならない。また、登録支援機関が特定技能所属機関から所要の基準に適合する1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託された場合は、登録支援機関から届出を行うこととする。この場合、特定技能所属機関は、出入国在留管理庁長官に対し、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託した旨の届出をすることとする。
5.特定技能所属機関または登録支援機関は、問題が発生した場合や適切な支援の実施に際して必要がある場合には、直接、法務省以外の関係行政機関への連絡、報告や情報提供を行うことができる。
このように、1号特定技能外国人の受入れを行う企業等または当該企業等から1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の委託を受けた登録支援機関は1号特定技能外国人の支援のために数多くのサポートを実施しなければなりません。
そして、上記実施に際しては、1号特定技能外国人の理解することのできる言語での実施が求められるサポートも多いことから、登録支援機関の選定を慎重に行う必要があります。
ここで留意していただきたいのは、「団体監理型技能実習」の場合に技能実習生のサポートについて第一次的な支援義務を負っているのは「監理団体」ですが、1号特定技能外国人の支援について第一次的な支援義務を負っているのは、あくまで受入れをする企業等にあるということです。
1号特定技能外国人の受入れを行う企業等としては、登録支援機関に1号特定技能外国人の支援を委託したことにより企業等の支援義務が免責されませんので、ご注意ください。
難民認定とは何か,どのような手続きを取ればよいか
難民認定のための手続はどのようなものか
概要
日本は1981年に難民条約に加入しました。それに伴い国内で実施するため、1982年に難民認定制度が整備されました。
この制度により難民である外国人は難民申請を行い法務大臣から難民であるという認定を受けることができ、また難民条約に規定する難民としての保護を受けることができるようになりました。
ここでの「難民」とは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。
難民認定手続きとは、外国人がこの難民の地位に該当するかどうかを審査し決定する手続です。
申請者、申請場所、申請の方法
難民認定申請は、申請者の住所又は現在地を管轄する地方入国管理局、支局及び出張所で行うことが出来ます。原則として申請者本人が申請します。
ただし、申請者が16歳未満である場合や病気その他の理由のより自ら出頭できない場合は、父母、配偶者、子、又は親族がその者に代わって申請を行うことが出来ます。
難民の認定は、申請者から提出された資料に基づいて行われ、申請者は難民であることを自ら集めた証拠又は関係者の証言をもとに立証する必要があります。
難民認定申請をしてから難民認定申請の結果(一次審査)がでるまで、「特定活動」の在留資格が認められます。申請から一次審査の結果がでるまで令和3年度は約32.2か月かかりました。令和3年度の難民認定処理数は6,150件、そのうち難民認定した者は65件、不認定は4,196件、申請取下げが1,889件でした。
一次審査の結果、難民認定申請が不認定となった又は難民の認定が取り消された外国人は、法務大臣に対して不服申立てをすることが出来ます。
不服申立てができる期間は、難民の認定をしない旨の通知又は難民の認定を取り消した旨の通知を受けた日から7日以内となっています。ただし、天災その他やむを得ない理由があるときは、7日経過後であっても不服申立てをすることができます。
不服申立ては、難民認定申請の場合と同様、不服申立て人の住所又は現在地を管轄する地方入国管理局、支局及び出張所で行うことができます。
令和3年度、不服申立て処理件数は7,411件、その内申立てに理由ありが9件、理由なしが6,732件、申立て取下げが670件となっています。
令和3年度、難民認定申請と不服申立てを合わせた処理件数は13,561件、そのうち難民認定されたのは74件、1年間の処理数から認定者数で割りだした難民認定率は0.5%でした。
難民申請後の在留変更について
現在の日本では、難民申請の認定率がここ10年1%以下で推移しています。
アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ドイツ等と比べて極端に低くなっています。
日本では、200人~300人に1人の例外を除いた難民申請者のほぼ全員が、いずれは本国への帰国を迫られることになります。
しかしながら日本で難民申請する方の多くは、簡単に本国に帰れない事情があり、日本に在留しなくてはならない事情があります。
現在の日本では、難民認定申請手続で在留資格を取得するのはほぼ不可能となっています。
こうした状況の中で日本に残る選択肢として、難民申請中の方でどうしても日本に残らなければならない事情のある方は、難民申請中の「特定活動」から他の在留資格変更申請を考えてみるのはどうでしょうか?手続上、難民申請の「特定活動」の在留期間内であれば、
他の在留資格の変更手続が可能です。この場合、通常の在留資格変更手続よりは厳しい審査になることは予測されますが、それでも日本に在留できる可能性は、難民認定申請の結果よりも高くなるのは間違いありません。
(参考文献:入管HP)
難民認定申請「特定活動」の在留資格についてご心配やお困りごとのあるという方は、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。
強制送還された後も再入国できる?上陸特別許可の解説
上陸特別許可・上陸拒否の特例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
日本で暮らしていた外国人が、オーバーステイや何かの犯罪をしてしまい有罪判決を受けて本国に帰国したときは、日本から出国したあと再び日本に入国できるでしょうか?
再入国できないのはどんな場合?
入管法5条1項では、外国人の日本への上陸拒否(入国を認めない)にあたる事項を列挙しています。
上陸拒否に当たるもので代表的なものとして
- 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがない場合の上陸拒否期間は,退去強制された日から5年
- 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがある場合(「複数回退去強制」)の上陸拒否期間は,退去強制された日から10年
- 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は,出国した日から1年
- 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合
「懲役刑等(1年以上)」は無期限上陸拒否、「等」には執行猶予も含む。
- 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の法令に違反して刑に処せられた者は無期限上陸拒否
- となっています。
該当者が執行猶予を含む1年以上の有罪判決を受けて判決が確定した場合、一旦日本から出国すると、法律上は永久に日本に入国することが出来ないという極めて厳しい規定となっています。
また薬物事犯の場合は、1年以下の有罪でも無期限上陸拒否となります。
①はオーバーステイにより退去強制を受けた場合、それが初回であり、かつ過去に出国命令を受けたことのない場合の上陸特別拒否期間について規定しており、退去強制の日から5年間は再び日本に入国することが出来ませんというものです。
最近一部マスコミ等でオーバーステイにあたる者に対して「非正規滞在者」という表現を使用していることと関係しているのか、時々ご相談の方から「オーバーステイは犯罪じゃないですよ」というお話しをされることがあります。
しかし,出入国管理及び難民認定法ではオーバーステイは「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」と規定されていることから、あくまで法律上オーバーステイは罰則のある犯罪です。
オーバーステイは「非正規滞在」だから「非正規労働者」みたいなもので、特に法律上問題はないだろう,と思われることが,上記のようなお話をされる理由かもしれませんが,法律上は誤りです。オーバーステイで逮捕されるということは全く珍しくありませんし,仮に刑事事件で扱われなくても行政処分として出国後5年間は日本に上陸が出来ません。
それゆえオーバーステイを安易に考えることは出来ません。
なお出入国在留管理局を含む法務省、総務省等の官公庁は、オーバーステイに対する表現を「不法滞在」で統一しています。
再入国できる場合とは?
入管法7条1項各号では、外国人が日本に上陸するための条件が規定されています。
この条件に適合しない場合、本来なら日本に上陸することができませんが、法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると判断した場合に、法務大臣の裁量により上陸が認められる場合があります。この法務大臣による許可を「上陸特別許可」といいます。
H21年に入管法が改正され上陸拒否の特例(法5の2)が設けられました。
入管法5条1項で規定する上陸拒否事由に該当する場合であっても、法務大臣が法務省令に該当する場合であって相当と認める時には、入国審査官,特別審理官,法務大臣と三段階の手続を経る上陸特別許可(法12条1項)を行わずに、入国審査官が上陸許可の証印をできるようにする規定です。(『入管法と外国人労務管理・監査の業務』857P)
申請の方法として、あらかじめ在留資格認定証明書交付申請を行い、審査の結果、同証明書が交付されると申請人は在外公館で査証発給を得て、我が国の空港などで上陸申請を行い日本に入国します。
上陸特別許可、上陸拒否の特例に関してご心配や困りごとのあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
永住権が取りにくくなった?永住許可申請の基準変更を解説
永住許可申請について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
永住者とは「法務大臣が永住を認める者」をいい、永住許可後日本に本拠を置いて生活する者が想定されていますが、近年では高度人材等、政策的に我が国への入国・在留を促進すべき外国人へのインセンティブとして、永住許可をすることも行われています。(審査要領)
永住者の在留資格は在留活動・在留期間に制限がないことから日本に在留する外国人にとって最も価値のある在留資格となります。
近年、永住許可申請は急速に取得難易度が上昇してきました。その要因として2018年12月18日に入管法が改正され、「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されたことと関連性があることが指摘されています。政府は特定技能による労働者の受入を5年間で34万人と予測しました。
特定技能2号は永住申請に必要な就労期間としてカウントされ、特定技能1号5年と特定技能5年の計10年間で居住歴に係る永住資格取得申請の申請要件を満たすことから、「特定技能」から永住許可申請者が増加するのを懸念して永住申請の要件を厳しくしたという見方が指摘されています。
これを踏まえて,永住許可に関するガイドラインは2019年5月31日に改訂されました。
改訂部分についてですが、
改訂前①「納税義務等公的義務を履行していること」の部分が
⇒改訂後②「公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等)の義務を適正に履行していること」
に変更されました。
具体的な変更点として以下の点が変更されています。
・住民税の課税証明書・納税証明書の提出年数期間
変更前:3年 ⇒ 変更後:5年
・国民年金・国民健康保険の加入状況
審査対象として追加
・年金・健康保険の記録
変更前:不要 ⇒ 変更後:直近2年分が必要
・国税の納税証明書
変更前:不要 ⇒ 変更後:5つの税目について必要
上記の変更点から判断すると、公的義務の履行と独立生計要因が重要視されています。
収入についても独立生計要件として重要な審査要件となります。
それでは実際の許可率を改正前、改正後で比較検討してみます。
2014年度全体の既決総数は50788件、永住申請許可率は東京入管68,6%、名古屋入管68,5%、大阪入管74,3%、全体で72%となっています。
2018年度の既決総数は61,027件、永住許可率は東京入管が51,6%、
名古屋入管が39,8%、大阪入管が63,2%、全体で53,6%となっています。
2021年度の既決総数は62142件、永住許可率は東京入管が60,6%、名古屋入管が49,4%
大阪入管が70,2%、全体で59%となっています。
2014年度は東京、名古屋、大阪入管とも永住申請許可率は70%前後と高い許可率となっていましたが、2018年度は全体で53,6%と4年前と比較すると全体で18ポイントほど低下しました。2021年度の永住許可率は2018年度と比較して多少改善はされていますが、2014年度と比べると依然低い水準となっています。
特に名古屋入管管轄の永住許可率は50%を割っています。
このように現在の永住許可申請は申請書類の内容自体が高度になってきており、10年前と比べて入管の審査も厳しくなってきています。
永住許可申請についてお悩み事、困りごとのある方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
技能実習生の受け入れ方2パターン 弁護士事務所が解説
在留資格「技能実習生の受入れ方法」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
外国人技能実習生受入れ方法としては「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。
このうち企業単独型とは、原則として日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。
一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。
この団体監理型で技能実習生を受け入れる場合には、技能実習生が入国してから実習を終えて帰国するまでの間、毎月「監理団体」に技能実習生をフォローしてもらうための費用(以下、「監理費」といいます)を支払います。
この「監理費」は、監理団体によって金額が異なりますが、おおよその相場としては月額1人当たり3万円程度となっています。
この点、企業単独型は、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業がある場合にのみ受け入れられるため、企業単独型での技能実習生の受入れ人数としては圧倒的に少ないのが現状です。
しかし、日本の企業等(実習実施者)が自身で技能実習生のフォローができる体制が整備されている場合には、企業単独型で技能実習生を受け入れると監理団体に支払う「監理費」を支払うことが不要となり、コスト削減ができます。
そこで、日本の企業等(実習実施者)が子会社以外の他の会社等(民事再生法の規定による再生手続開始の決定を受けた会社等、会社更生法の規定による更生手続開始の決定を受けた株式会社、破産法の規定による破産手続開始の決定を受けた会社等その他これらに準ずる会社等であって、かつ、当該会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社等を除く。)の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合は、自身の海外の現地法人、合弁企業がない場合であっても、当該会社等から企業単独型で技能実習生を受け入れることができます。
ですので、日本の企業等(実習実施者)で自身の海外の現地法人、合弁企業がない場合であっても、子会社以外の他の会社等の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合には、当該会社等から企業単独型で技能実習生を受け入れることができます。
現在団体監理型で技能実習生を受け入れており、コスト面でお悩みの方は企業単独型での技能実習生の受入れを検討してみてはいかがでしょうか。
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