Archive for the ‘未分類’ Category
定住者が傷害事件を起こしてしまったら?!ビザはどうなる?
Aさんは、20年前、B国から日本に来ました。
Aさんの祖父が日本国籍を持っていたため、Aさんは日本で仕事をしようと考えました。
Aさんは、日系三世に当たるため、「定住者」の在留資格で入国し、仕事をしていました。
ある日、Aさんは仕事上のトラブルから、同僚を殴り、けがをさせ、逮捕されてしまいました。
このとき
①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるか
②①の刑事罰により退去強制処分となるか
以上の点について解説していきたいと思います。
⑴傷害罪の刑事罰
Aさんは、暴行を加え、人に対してけがをさせてしまいました。
このような場合には刑法第204条の傷害罪が成立します。なお、暴行を加えたものの、被害者がけがをしなかったような場合が暴行罪となります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
ただ、「けが」といってもその程度は様々です。
暴行を加え、結果として人を死亡させてしまったような場合には傷害致死罪というより重い罪が成立しますが、死亡するに至らない場合は傷害罪となります。
そのため、意識が戻らず、植物人間のような状態であったとしても傷害の罪に問われます。
反対にかすり傷くらいの極めて軽微なけがであったとしても、怪我は怪我ですので、傷害罪となります。
そのため、傷害事件を起こしてどのような刑事罰を受けるかは、被害者に生じたけがの重さが大きな考慮要素となります。
おおよその目安ですが、被害者が骨折以上のけがをしたような場合には、正式な裁判となり、懲役刑となる可能性が出てきます。
診断書上1ヶ月以内のけがであれば、罰金刑で済むということも十分考えられます。
今回のAさんの場合は、全治3週間のけがということですので、Aさんが初犯であれば罰金刑となるものと思われます。
⑵退去強制となるのか
日系三世のAさんは、定住者の在留資格を持っています。
定住者は、入管法で「別表第二」に定められた在留資格となっています。
定住者の資格は、入管法の別表第2に記載されている資格です。そのため、入管法24条4号の2の適用はありませんから、執行猶予により退去強制となるわけではありません。
しかし、別表第2に記載された資格であっても、入管法24条4号リの適用はありますから、無期又は1年以上の懲役(実刑判決)に処せられた場合には退去強制となります。
今回の場合には、余程重いけがをさせない限り、退去強制となる可能性は高くないと言えます。
⑶在留資格の更新
ただ、在留資格の更新時には、素行が善良であるかどうかを問われます。傷害の前科がある場合には、在留資格の更新が認められず、帰国することになる可能性があります。
⑷弁護活動
さて、先述の通り、傷害罪で刑事罰を受けてしまうと、退去強制とならなくても、在留資格の更新ができず、日本国内に留まれない可能性があることを指摘しました。
このような場合、何とか日本国内に留まりたいというようなときは、被害者との示談が重要です。
検察庁は、全ての刑事事件について起訴をし、刑事処分を求めるのではなく、被害者の意向等の事情を踏まえ、一定の事件を起訴猶予(不起訴)としています。
最終的な処分を決定する際、被害者の方がどの程度処罰意向を持っておられるか、被害回復がなされたかどうかは大きな考慮要素となります。
出来る限り刑事処分を軽減するためにも、被害者の方との示談交渉は不可欠です。
傷害罪で逮捕された,取調べを受けているという外国人の方は,早急に弁護士までご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。
「外交」在留資格の全て:活動範囲から注意点まで
在留資格「外交」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「外交」の在留資格とは
この「外交」の在留資格で本邦において行うことができる活動としては、日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動などです。
上記の「接受」とは受け入れるという意味ですが、外交使節団の長の場合は事前の同意が与えらます。
外交使節団の長とは大使、公使及び代理公使を意味し、外交使節団の構成員とは外交使節団の長及び外交使節団の職員を意味します。
上記の「外交使節団の構成員」とは、外交使節団の長及び外交官の身分を有する者、外交職員、その他事務及び技術職員並びに役務職員を意味します。
また、「領事機関の構成員」とは、領事機関の長及び職員、領事官、その他事務及び技術職員並びに役務職員を意味します。
この「外交」の在留資格の該当例は、外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族などです。
「外交」の在留期間は、外交活動の期間です。
「外交」ビザのポイント
「外交」の在留資格のポイントを以下にてご紹介します。
①「外交」の在留資格を保有する外国人は、その外国人の家族も「外交」の在留資格を保有することになります。
そのため、外国人の家族が仕事をしたいという場合は、別途、「資格外活動許可」の申請をする必要があります。
この資格外活動許可の申請をしないで就労してしまうと、「外交」の在留資格が取り消される可能性もありますのでご注意ください。
②外交としての活動が終了した後に、引き続き日本に在住したいという場合、他の在留資格へ変更しなければ、そのまま滞在することはできませんのでご注意ください。
③仮に、「外交」の在留資格を保有する外国人が扶養者である場合、当該扶養者が日本国外に転勤となり、家族は引き続き日本に在住したいという場合、「外交」の在留資格のままでは日本での滞在は認められません。
この場合、扶養者と帯同するか、日本で他の在留資格への変更申請が必要となります。
④「外交」の在留資格の対象となる子どもについては、実子ではなくても長期間共に生活していた内縁の子や甥や姪であっても認められることがあります。
ただし、子どもの年齢は22歳以下が対象となり、それ以上の年齢の子は原則として許可されませんのでご注意ください。
⑤この「外交」の在留資格は他の在留資格のように申請者が入国管理局で手続きを行うのではなく、法務省を通じて入国管理局へ申請することになりますのでご注意ください。
「外交」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
「日本人の配偶者」の在留資格はどんな場合に認められる?結婚すれば必ずもらえるのか?
「日本人の配偶者等」の在留資格について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
いわゆる「配偶者ビザ」は,日本に住んでいる外国人の方にとって,最も手堅く安全な在留資格と言えます。
ビザによる就労の制限はなく,在留期間についても更新が容易であり,何よりも永住者の在留資格を取得しやすいという点が魅力的です。
在留資格「日本人の配偶者」としてどのような要件が必要かについて、まず第一に「日本人の配偶者としての身分を有する者」であることが必要です。
「日本人の配偶者」における「配偶者」とは、現に婚姻中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した者又は離婚した者は含まれないとされています(審査要領)。
では、ここでの「婚姻」は、法律上の結婚で足りるのか?あるいは他に何らかの要件が必要なのでしょうか?
この「日本人の配偶者等」における「婚姻」の判断について、最高裁まで争われた事件がありました。
争いとなった事件の概要は、およそ以下のようなものでした。
出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)別表第一の三の表所定の「短期滞在」の在留資格で本邦(日本)に在留していたタイ王国の国籍を有する被上告人が、上告人(国・出入国在留管理局)に対し、法別表第二所定の「日本人の配偶者等」の在留資格への変更申請(以下「本件申請」という。)をしたところ、上告人がこれを不許可とする旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたため、被上告人が本件処分の取消しを求めたもので、日本人と婚姻関係にある外国人(タイ王国の国籍者)が、日本上陸後約1年3か月の同居生活の後、約4年8か月間別居生活を続け、その間、婚姻関係修復に向けた実質的、実効的な交渉等はなく、独立して生計を営んでいたなどの事情の下において、当該外国人の日本における活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当するといえるか、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性が争点となりました。
最高裁(平成14年10月17日)は、「日本人の配偶者等」の「配偶者」としての在留資格該当性について、およそ以下のような判断を下しました。
1.「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦に在留するためには、単にその日本人配偶者との間に法律上有効な婚姻関係があるだけでは足りない。
2.日本人配偶者との間に、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって共同生活を営むことを本質とする婚姻という
特別な身分関係を有する者として日本活動しようとすることに基づくものと解される。
3.婚姻関係が法律上存続している場合であっても、夫婦の一方又は双方が既に婚姻継続の意思を確定的に喪失しているとともに、夫婦としての共同生活
の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至ったときは、当該婚姻はもはや社会生活上の実質的基礎を失っている者というべきである。
本判決は、「配偶者としての活動を行う者」とする者の在留資格が付与されるべき者について、日本人との婚姻が法律上有効なものであれば足りるものとする(平成6年5月26日東京地方裁判所判決)の考えを否定して、在留資格「日本人の配偶者等」での「婚姻」といえるためには「単なる法律上の婚姻だけでは足りない。」とする国側(出入国在留管理局)の主張を採用しました。
今となっては当たり前のように見える判断ですが、下級審で判決のあった平成8年当時は、決して当たり前の判断基準ではなかったということです。
この最高裁判決が、在留資格「日本人の配偶者等」の在留資格該当性における現在の判断基準となっています。
参考:最高裁判所判例,出入国在留管理局審査要領
偽装結婚,解消するための法的手段2つ!
偽装結婚をしてしまったら,どうやって解消したらよいのでしょうか。
また,家族や婚約者が過去に偽装結婚していることが分かった時,どう対応していったらよいのでしょうか。
多くの方は,「離婚をしたらいいのでは」と思うかもしれませんが,実はそうでもないのです。
偽装結婚状態の解消方法について,解説します。 (さらに…)
結婚相手に強制送還歴があるとどうなる?
日本人と外国人との国際結婚は年々増加しています。
日本人と外国人の国際結婚の手続きについてはこちらでも解説しています。
ただ,結婚しようと思っている外国人の方が,過去に日本から強制送還(退去強制)されたことがある人だった,ということも珍しくはありません。
このページでは,過去に日本から強制送還されたことのある人と結婚して,日本で結婚生活を営むことが出来るのかどうかについて解説します。
この問題を考える時に,大きなポイントになるのは,「現に結婚相手が日本にいるのかどうか」です。
外国人のベビーシッター・お手伝いさんを雇う時の注意点
日本では1990年以降,共働き世帯が増加していき,専業主婦世帯の数を大きく上回っています。
家事代行サービスの広がりもあり,単発,短時間であっても,家事代行のお手伝いさんやベビーシッターを利用したことがある,という方も多いのではないでしょうか。
中には,幼少期からの外国語教育のために,外国人のベビーシッターや家事代行サービスを利用する人もいるかもしれません。
外国人の在留資格の審査などをきちんと行っている企業を通じて,家事代行サービスを利用している分には不安は少ないのですが,個人的に外国人の方をお手伝いさんとして雇う場合には,気を付けなければならないポイントがあります。
東京五輪・パラ,外国人観客の受け入れを断念?
2021年3月21日,東京オリンピックの大会委員会や東京都は,来年開催予定の東京オリンピックの観戦について,外国人の受け入れをしない方向であると報じられました。
⇒NHKの報道 東京五輪・パラ 海外観客を断念 コロナ禍で自由な入国保証困難
オリンピックの観戦のためのビザについては当サイトでも一度ご紹介していましたが,その件の続報となります。
3021年3月21日の報道によって,どのような事態が考えられるのでしょうか。弁護士の視点から今後起きうる対応を予想してみます。
オリンピック観戦のための入国のみ禁止?
報道を見て一番シンプルに思える対応は,「オリンピック観戦のための入国を禁止する」という方法です。
ですが,結論から言って,入国の段階で「オリンピック観戦の入国のみを禁止する」というのは非常に困難であると思われます。そもそも,オリンピックの観戦のための専用のビザというものはなく,多くの人は「短期滞在」というビザ(在留資格)で日本に入国し,各々が好きな競技を観戦することになります。
この短期滞在のビザ(在留資格)は,最大90日の滞在しか認められませんが,滞在期間中の目的には拘束されません。つまり,「なんとなく日本に来たかったので,来ました」という方でも短期滞在の在留資格は認められ得るのです。
そのため,空港や港の上陸審査で短期滞在の外国人の方に対して「オリンピックの観戦ですか?」と訊ねた上で「はい」と答えた人の入国のみを拒絶するというのではあまり意味がありません。「はい」と答えた人の入国だけ禁止する法律上の根拠が乏しいことと,仮に「いいえ違います」と言われた場合にそれ以上の審査のしようがないからです。「オリンピックの観戦ですか」と聞かれても,「いいえ,東京の観光に来ました」と言われれば,その他に上陸を拒否する事情がない限り,在留資格を認めなければならないのです。
短期滞在の在留資格についてはこちらにも解説があります。
一律の入国禁止?
次に,オリンピック開催期間中,日本の出入国を制限するという方法もあります。
法律に従って,一定期間中の出入国を禁止することは可能ですから,先ほどの方法に比べると,実施のハードルは低いようにも思われます。
しかし,実行性という意味では少し疑問が残ります。
まず,いつからいつまでの出入国を禁止するのかという点です。短期滞在は最大90日まで認められますから,仮に4月末に長めの短期滞在ビザで入国が出来れば,外国人の方であっても,オリンピックの開会式ぐらいは観戦できることになります。
また,短期滞在の外国人の方のうちには,オリンピック観戦のみならず,全く関係のない日本の旅行に訪れる人もいます。一律に入国を制限した場合には,旅行業や宿泊業への打撃は避けられないでしょう。
更に,出入国の制限に,本当に意味があるのかどうかについても疑問は残ります。短期滞在ではなく,就労ビザや家族ビザの方の入国までは禁止しないとなると,オリンピックの観戦も兼ねた入国は制限できないことになります。
オリンピック観戦のための外国人の流入を止めるのであれば,時期を見誤らず早期に一律の入国制限をかける必要があるのではないかと思われます。
実際にはどうするのか?
現時点において,大会組織員会は,海外在住者の方が購入した観戦チケットに対して払い戻しをするという方針の様です。そのため,「外国人の日本への流入を止めよう」というよりは,「オリンピック会場に海外在住者が来るのを止めよう」という対策をとっているようです。
このような対応であるため,出入国管理庁としては,オリンピック期間であるからと言って日本への新規入国,上陸を制限しようとしているわけではないように思われます。
もちろん,その時々の国際状況に応じた入国制限,渡航制限などは十分にありうるでしょうから,今年の7月前後に日本からの出国,日本への入国を考えている方は,常に最新の情報に気を配っている方が良いでしょう。
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元カレ,元カノを日本から追い出せる?
日本に住む外国人の方も増えており,在留資格を持って日本に滞在する外国人の数は,統計上,約300万人弱ほどになります。これは日本の人口の,約2%に該当します。単純計算で考えても,50人に1人は外国人,小中学校の2クラスのうち1人は外国籍であってもおかしくないと言えます。
したがって,比率だけで考えても結婚する25組に1人は国際結婚ということになります。もちろん,人口比や地域差などは考慮しない,あくまで数字の上での話です。
結婚があれば結婚前の恋愛関係(デーティング期間も含む)や,離婚もあるわけです。交際していたものの,結婚せずにお別れしてしまったり,浮気や不倫だってありうるでしょう。
参考までに外国人の不倫の問題点について解説した記事もあります。
中には,別れ際の恨み辛みから「あの外国人を日本から追い出してやりたい!」とまで思う人がいるかもしれません。しかし,そのようなことは可能なのでしょうか?
今回は,素朴な,カジュアル(?)な話題に解説してみたいと思います。
それ,資格外活動申請が必要?
日本で滞在している間に,「これってやっていいんだろうか?」と思うことはありませんか?
既にこのサイトでも解説しているように,永住者,日本人または永住者の配偶者等,定住者以外の方の場合には,在留資格と日本での活動の内容によっては,資格外活動となってしまう場合があります。
☆資格外活動に関する解説記事☆
資格外活動をしてしまった場合に待っているのは強制送還 刑事罰についてもあります
今回は,そもそも,資格外活動申請が必要になるのはどんなときなのか?という根本的な部分を解説します。資格外活動で摘発されたくない,日本から追い出されたくない,という方は,是非よく読んでおいてください!
団体向けの在留資格認定書証明書
団体用の在留資格認定証明書があることをご存知でしょうか。
「在留資格認定証明書」とは,短期滞在(ツーリストtourist)以外の在留資格で日本に上陸しようとする方が,事前に「日本で在留資格(ビザ)が認められるかどうか」の審査を受け,その審査を通過していることを証明するものです。
本来の手続きだと,日本の空港や港の入国審査場で上陸審査を受け,査証(パスポートが本物であることの証明)の審査と,在留資格が認められるかどうかの審査を受けます。
特に在留資格が認められるかどうかについては,提出書類がたくさん必要になったり審査に時間がかかったりと,その場で審査を受けるのはとても大変です。
そのため,通常は,日本に向けて出国する前に,在留資格が認められるのかどうか審査を受けておくのです。それが,在留資格認定証明書というものです。
在留資格は,一人一人の外国人の方の活動内容に応じて認められているものです。ですが,団体として日本に入国するという場合,一人一人が別々に審査を受けていては,手続きに時間がかかってしまう場合があります。
その際には,「団体用の在留資格認定証明書」が発行されることがあります。
今回は団体用の在留資格認定証明書をご紹介します。
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