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技術・人文知識・国際業務のビザについて解説,どのような場合に認められるか

2023-06-24

在留資格「技術・人文知識・国際業務」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)です。

「技術・人文知識・国際業務」の該当例としては、機械工学等の技術者・通訳・デザイナー・私企業の語学教師・マーケティング業務従事者等です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、5年・3年・1年又は3月です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には、更新回数に制限がありません。
ですので、外国人が持つ専門性を活かせる会社と雇用契約を結んでいる限りは日本で働き続けることができます。
ちなみに、もしも勤務している会社を退社した場合でも、「特定活動」の在留資格を取得して,一定期間は就職活動をすることが認められています。

また、10年以上日本に在留し、かつ今後も日本で生活していくのに十分な経済的基盤がある場合は、「永住権」を取得することができ、永住権を取得すれば、就労制限もなくなります。

さらに、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人の家族は、「家族滞在」という在留資格で日本に住むことができます。

技術・人文知識・国際業務のビザが認められるケース

「技術・人文知識」の業務に従事する場合は、下記1のいずれかと2の要件を満たす必要があります。
1.① 従事しようとする業務について、当該技術または知識に関連する科目を専攻して大学を卒業、もしくはこれと同等以上の教育を受けていること

② 従事しようとする業務について、当該技術または知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了していること(ただし、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与された者に限る)

③ 10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専修学校の専門課程において当該技術または知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有していること

2.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

「国際業務」に従事する場合は、下記1と2の要件を満たす必要があります。
1.従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること(ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は除く)

2.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

大学を卒業した人であれば、大学で専攻した分野に関わらず国際業務に従事することができます。

最後に、「技術・人文知識・国際業務」で雇用しようとする外国人が上記の要件を満たしているかどうか確認する際は、以下のポイントに注意が必要です。
・学歴に基づいて申請する場合、「学習内容と従事する業務の関連性」

・実務経験に基づいて申請する場合、「実務経験と従事する業務の関連性」

上記のように、形式的には「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の取得要件がある場合でも、「学習内容と従事する業務の関連性」や「実務経験と従事する業務の関連性」が認められない場合は、許可されないこともありますので、「技術・人文知識・国際業務」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「技能」ビザを得られる職種を解説

2023-06-06

在留資格「技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「技能」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動です。

「技能」の該当例としては、外国料理の調理師やスポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等です。
「技能」の在留期間は、5年・3年・1年又は3月です。

基準省令による「技能」の上陸許可基準は以下の通りです。

まず、申請外国人が次のいずれかに該当し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要となります。

1.料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次の①又は②のいずれかに該当するもの(第九号に掲げる者を除く。)

① 当該技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者

② 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者

2.外国に特有の建築又は土木に係る技能について十年(当該技能を要する業務に十年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっ ては、五年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する もの

3.外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

4.宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

5.動物の調教に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

6.石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要す る業務に従事するもの

7.航空機の操縦に係る技能について千時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第十八項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

8.スポーツの指導に係る技能について三年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポー ツに従事していた期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国 際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの

9.ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びに ぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能について五年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を 含む。)を有する次①ないし③のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

① ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者

② 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者

③ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

以上のように、「技能」の在留資格については日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを前提に、様々な種類の仕事があり、それぞれの仕事につき実務経験などの条件がありますので、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「研修」ビザの注意点,実は働かせてはいけなかった?

2023-05-30

在留資格「研修」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「研修」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(技能実習1号、留学における活動を除く。)が該当します。
この「研修」の在留資格の該当例としては、研修生です。
この「研修」の在留資格の在留期間は、1年・6月又は3月です。

この「研修」には、①実務研修を伴わない非実務研修と②実務を伴う研修の2種類があります。
基本的には、一般企業においては実務研修を伴わない非実務研修のみが対象となり、公的機関が行う研修については実務を伴う研修が可能ということになっています。

つまり,「研修」の在留資格の場合には,基本的には労働をしてはいけない(対価が生じるような活動をしてはならない)ことになるのです。

また、この「研修」の在留資格で来日する外国人は、基本的に労働者として取り扱われませんので、日本の労働関連法令(労働基準法や労働契約法など)は基本的に非適用となる点がポイントといえます。
そのため、研修を実施する企業と、研修で来日する外国人との間において、雇用契約を締結する必要はなく、研修を実施する企業としては賃金を支払う必要もないということになります。逆に,賃金を支払うような活動は不法就労不法就労助長罪になってしまう可能性があります。
ただし、研修を実施する企業は、外国人に対して生活費として研修手当などを支給することがなります。賃金ではなく,あくまで滞在のための費用の援助です。

この「研修」の在留資格は、最長1年の在留期限があり、かつ日本で研修をした後に帰国することを前提としている在留資格ですので、在留資格「家族滞在」の対象となっておらず、家族を帯同することはできません。

「研修」のうち、①実務研修を伴わない非実務研修の場合の要件は、以下の6点です。

  1. 申請人が修得しようとする技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと
  2. 申請人が18歳以上であり、かつ国籍又は住所を有する国に帰国後、日本において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること
  3. 申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること
  4. 申請人が受けようとする研修が研修生を受け入れる日本の公私の機関(以下、受入れ機関)の常勤の職員で、修得しようとする技能等について5年以上の経験を有するものの指導の下に行われること
  5. 研修実施機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置を講じていること
  6. 研修実施機関が研修の実施状況に係る文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修の終了の日から1年以上保存することとされていること

この在留資格「研修」が不許可となる典型的なケースとしては、一般企業が受け入れる際に実務研修を伴う内容としてしまう場合が挙げられます。

前述の通り、原則として一般企業においては非実務研修のみに限定されているため、実務研修を伴う活動は認められていません。

一般企業において実務研修を伴う場合は、技能実習などの在留資格を取得する必要となるため、留意が必要です。

以上のように、外国人に「研修」をさせたいという目的で外国人を受け入れる場合で、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「企業内転勤」の在留資格,「転勤」する時ならいつでも認められるのか?

2023-05-15

在留資格「企業内転勤」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「企業内転勤」が認められるためには

「企業内転勤」とは、日本に本店や支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤し、当該事業所において行う入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動を行う在留資格です。

この「企業内転勤」の在留資格の該当例としては、外国の事業所からの転勤者です。
この「企業内転勤」在留期間としては、5年・3年・1年又は3月です。

ここで、技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動とは、

日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)

をいいます。

この「企業内転勤」が認められるためには、申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国にその事業所のある公私の機関の日本にある事業所において業務に従事していた期問がある場合には、その期間を合算した期間)が継続して1年以上であることが必要です。

「企業内転勤」が認められるためには、当該外国人の報酬が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要になります。

「企業内転勤」と似ている在留資格

「企業内転勤」と似て非なる在留資格として、「技能実習(企業単独型)」という在留資格があります。

この「技能実習(企業単独型)」は、日本の企業等(実習実施者)が当該日本の企業等の海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員技能実習生として受け入れる方法のことをいいます。

日本に存する企業等が、海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくという点においては、「企業内転勤」と似ています。

しかし、「企業内転勤」においては「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している外国人職員が対象となっているのに対して、「技能実習(企業単独型)」においては外国人技能実習機構が認める職種における作業を行う外国人職員が対象となっており、仕事内容に決定的な差異があります。

ごく簡単に例えるのであれば、「企業内転勤」=「ホワイトカラー」、「技能実習(企業単独型)」=「ブルーカラー」という感じです。

「日本支店」に就職する時は?

「日本の大学を卒業する予定で日本以外に本店のある企業に就職をするが,すぐ日本支店に配属される場合にどうなるのか」という質問がありました。

この場合,上記の「継続して1年以上」の勤務経験を満たさないことになるので,「企業内転勤」としての在留資格は認められないことになります。

そのため,就職する前に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が認められるかどうかを確認しておく必要があります。在留資格については,在留資格認定証明書の請求を行うことで,事前の審査を受けることができます。

海外にある法人の日本支店の方が,日本にいる外国人を雇い入れようと思う場合には,事前の手続きについて専門家とよく相談しておきましょう。

海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくにも選択肢がありますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

 

社長ビザはどんな事業でも認められるのか?「経営・管理」の在留資格を解説

2023-05-08

在留資格「経営・管理」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「経営・管理」に該当する活動としては、日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)のことをいい、具体的には会社の社長・取締役・監査役・部長・工場長・支店長などです。

「経営・管理」での在留期間は、5年・3年・1年・6月・4月又は3月があります。

一般的に、以下の要件を満たしている必要があります。
1.事業を営むための事業所が日本に存在すること。
ただし、その事業が開始されていない場合にあっては、その事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。

2.申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員(法別表 第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。

3.申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

この中で、上記2.ハの上記2.ロに準ずる規模は、申請をしようとする外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合で、500万円以上を投資して事業を営まれているような事業の規模などがこれに該当するといわれています。
この500万円の投資とは、その事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、次の①から③の目的で行われるものがこれに当たります。

  • ①その事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費
  • ②役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
  • ③事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費

また、引き続き行われている事業の場合は500万円以上の投資が継続的に行われていることが必要であり、この継続性が確認される場合には事業規模を満たしているものとされます。

上記以外にも、各要件において様々な判断要素がありますので、在留資格「経営・管理」の取得を考えられている外国人の方は、ぜひご相談ください。

介護の仕事でビザが取れる?新しい就労ビザ「介護」について解説

2023-04-13

「介護職の外国人の在留資格」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

日本で外国人が「介護職」として働くためには、4つのパターンがあります。

1.外国人技能実習生として
外国人技能実習制度の職種として「介護職」で実習することが認められています。
外国人技能実習制度とは、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るという制度です。 この技能等の修得は、技能実習計画というものに基づいて行われます。
外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習1号」で1年間、「技能実習2号」で2年間、「技能実習3号」で2年間の最長5年間の実習が認められています。
なお、外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習2号」から「技能実習3号」に変更するまでの間又は「技能実習3号」に変更してから1年以内に、法律上1ヵ月以上母国に一時帰国する必要があります。

2.特定技能外国人として
特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、在留資格「特定技能1号」で最長5年間、日本で介護職として働くことが認められています。
特定技能制度とは、日本国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性、技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
なお、特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、「技能実習」とは異なり、法律上母国に一時帰国をする必要はありません。

3.EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として
EPA介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら、国家試験である介護福祉士の資格取得をめざす外国人のことをいいます。
介護業界におけるEPA(経済連携協定)とは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国と結ぶ経済連携協定をいいます。介護福祉士の資格取得を目指してEPA制度で来日した外国人は、日本の介護施設で研修を行いながら国家試験の合格を目指すことになります。

このEPA介護福祉士候補者になるためには、以下のように各国の条件があります。
インドネシアでは、高等教育機関(3年以上)卒業をした上で、インドネシア政府による介護士認定を受けるまたはインドネシアの看護学校(3年以上)卒業する必要があります。
フィリピンでは、4年制大学を卒業した上で、フィリピン政府による介護士認定を受けるまたはフィリピンの看護学校(学士・4年)卒業する必要があります。
ベトナムでは、3年制または4年制の看護過程を修了する必要があります。

このように、EPA介護福祉士候補者は希望すればすぐになれるわけではなく、母国でも相当の学習が必要になっています。国別の差異はありますが、少なくとも介護や看護の学校へ3~4年間通うことが必須となっています。

4.在留資格「介護」として
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行う者として働くことができます。
該当例としては、介護福祉士として働くことになります。
なお、令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」が認められることとなっています。
この「介護」の在留資格の在留期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかが認められることとなります。

以上のように、日本において「介護職」として働くためには、上記の4つのパターンがあり、外国人の方は自身の状況に応じたパターンを選択することができます。

万引きで検挙されたら,ビザが変更できなくなる?

2023-04-08

(解説のための事例はフィクションです)

C国籍のAさんは,「技能」の在留資格で日本に在留する外国人でした。

Aさんは,日本国内で転職活動を行い,貿易業を営んでいる日本の企業での就職が決まりました。Aさんはそれまで「技能」の在留資格でしたが,転職と同時に,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更する,変更申請手続きをしており,現在は申請の結果待ちです。

ある日,Aさんは日本のスーパーで買い物をしていた時,出来心からお菓子を万引きしてしまい,店内を巡回していた私服の警備員に発覚してしまいました。その場に駆け付けた警察官は,さんを逮捕しないで取調べをしましたが,「これから何度か警察署に来てもらう」と言われました。

Aさんは,取調べを受けている間に自分のビザが変更されるのか,強制送還されてしまうのではないか等の不安が生じたため,専門家に相談することにしました。

強制送還される可能性について

事例のAさんのような万引きは,日本の窃盗罪にあたります。

窃盗罪に対しては,10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。

万引きの事件の場合,1件あたりの被害額はそこまで高くならないでしょうから,Aさんに前科がなければ不起訴,もしくは罰金で終わることが多いでしょう。

一方,強制送還されるのかどうかについてですが,窃盗罪で有罪となった場合,強制送還されてしまう可能性があります。

Aさんのような「技能」や「技術・人文知識・国際業務」のような在留資格は,いわゆる就労ビザと呼ばれるものです。この在留資格で日本に在留している人の場合,有罪判決を受けて

  • 1年を超える実刑判決
  • 一定の犯罪について懲役刑,禁錮刑の判決(執行猶予だった場合も含まれてしまう)

となると,強制送還されてしまいます。

Aさんも,窃盗罪で懲役刑の判決(執行猶予がついた場合も含む)を受けてしまうと,強制送還されてしまう可能性があります。

一方,不起訴で終わった場合や,罰金刑だけで終わったという場合には,すぐに強制送還されてしまうということはありません。

外国人の方の刑事事件の場合,起訴された/不起訴になった,というだけで,強制送還されるかどうかが大きく変わってしまうケースもあります。在留資格(ビザ)の問題に発展してしまう前に,刑事事件に強い弁護士事務所にご相談ください。

変更・更新の手続きでの不利益

ビザの更新・変更の手続きをしている時に刑事事件を起こしてしまったという場合,すぐに強制送還されなかったとしても手続に影響が出ることはあるのでしょうか。

Aさんの事例の場合,ビザの変更申請に影響が出る可能性は低いでしょう。あくまでまだ,検挙されたという場合,そこから不起訴/罰金/執行猶予,のいずれの処分となるかが未確定な段階になります。刑事事件としての処分が未確定であれば,すぐにはビザの申請には影響しません。通常,在留資格の変更の手続きの場合,どの資格に変更するかによっても変わりますが,就労系の在留資格だと,変更の手続きに係る日数は約30日程度です。この30日の間に強制送還となるような出来事が起きれば別ですが,通常そのようなことはありません。

Aさんも,万引きの事件で取調べを受けることになるでしょうが,在留資格の変更についてはそのまま審査が進められることでしょう。

ただし,その後の更新手続きでは不利益があるかもしれません。日本で万引きをしてしまったことや,それが理由となって罰金刑を受けたことがあるという事情は,日本での素行不良となります。次回の在留期間の更新では,期間が短くなってしまうことがあるでしょう。また,永住申請を考えている方の場合,罰金刑を受けたことは素行不良とみられますから,しばらくの間は永住申請が認められない可能性が高いとも言えます。

罰金刑を受けたなど日本での有罪判決について心配な方や不安なことがある方は,行政書士や弁護士などの専門家にご相談ください。

下記のフォームからもお問い合わせいただけます。

「技能実習」の在留資格は何か,「技能実習」はどんな制度?

2023-03-20

在留資格「技能実習」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

①外国人技能実習制度の概要

外国人技能実習制度は、1960年代から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が元となっており、この研修制度が評価されたためこれを原型として1993年に制度として整備されたものです。

技能実習制度の目的・趣旨は、日本で培われた技能、技術又は知識(以下、「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際貢献の制度です。
技能実習制度の目的・趣旨は1993年に制度が創設されてからずっと一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(技能実習法第3条第2項)とされています。

技能実習制度の内容は、外国人技能実習生が、日本において企業等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。
実習期間は最長5年とされ、技能等の修得は、外国人技能実習機構に認可された技能実習計画に基づいて行われることになります。

②技能実習生受入れ方法

受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。

このうち企業単独型での受入れをしている会社はほぼ無く、約99%の企業が団体監理型での受入れとなっています。

企業単独型とは、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。

一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。

上記2つの方法の最大の差異は、受け入れた技能実習生を企業等が直接、業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をするか否かという点にあります。

企業単独型で受け入れた場合は、企業等が直接、技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになります。

一方、団体監理型で受け入れた場合は、前述の「監理団体」が技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになり、企業等としては監理団体にフォローをしてもらうことができます。

技能実習生は入国後に、入国後日本語講習や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等(実習実施者)との雇用関係の下で、実践的な技能等の修得をしていきます。

この中で、法的保護に必要な知識等についての講習(8時間)については、企業単独型であっても団体監理型であっても、必ず実習開始前に受講する必要があります。

なお、企業単独型の場合であれば入国後日本語講習の実施は入国直後でなくても構いません。

在留資格「経営・管理」とはなにか,審査のポイントは

2023-01-16

在留資格「経営・管理」について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「経営・管理」は、いわゆる「就労ビザ」の一種であり、事業の経営・管理業務に外国人が従事できるように設けられました。

1.ビザの該当範囲

入管法別表第1の2の表の「経営・管理」の項の下欄では、本邦において行うことができる活動を以下のように規定しています。

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律を行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

「貿易」は例示であり、我が国において適法に行われる業務であれば、その活動に制限はありません。ただし事業の安定性・継続性が認められる必要性があります。

経営・管理の在留資格の決定において、個人事業と法人事業の区別はありません。

2.経営・管理の在留資格が認められる活動のパターン

ア 本邦において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

イ 本邦においてすでに営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

ウ 本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」とは、①本邦において活動の基盤となる事務所を開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと、②本邦において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること③本邦において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは本邦におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うことをいいます。(審査要領)

3.「経営・管理」 審査基準

「経営・管理」の在留資格を取得するための審査の基準は,次の2つです。

第1号 事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。

この審査基準は、事業所に関する基準です。

具体的には,事業所が本邦(日本)に存在すること、使用する施設が継続的に使用可能なものであることが必要です。

 

第2号 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること

イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものである

こと。

ロ 資本金の額又は出資の総額が500万以上であること。

ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること

 

この審査基準は,事業の規模に関する基準です。

第2号イは、経営又は管理に従事する外国人以外に本邦に居住する常勤の職員が2人以上勤務する事業であることが要件となります。つまり、一定の従業員がいる場合に、事業の規模が基準を満たしているとしています。

ただし、法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する常勤の職員は除かれます。つまり、就労系の在留資格がある他の外国人労働者は除いた従業員数で審査をするということです。外国人の常勤の職員として認められる在留資格は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者です。もちろん、日本人の労働者の場合には問題がありません。

第2号ロは、事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が500万以上の事業であることを要件とします。会社の資金力から、会社の規模を判断するというものです。

第2号ハは、イ及びロのいずれにも該当しない場合に、イ又はロに準ずる規模であることを要件とするものです。例えば、外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万以上を投資して営まれているような場合がこれに当たります。(審査要領)

在留資格 「興行」 とは,どのような在留資格か

2023-01-13

在留資格「興行」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.在留資格「興行」の活動

演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(入管法別表第一の二の表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行はいずれも例示です。

2.「興行」として在留資格が認められる基準

興行にはいくつかの種類があり,入管実務において在留資格が認められるものとしては,第1号から第4号まであります。

第1号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

客席において飲食物を提供する施設、客の接待をする施設でのライブハウスのコンサートホール、キャバレー、バー等。

基準(一部抜粋)

①外国の教育機関において当該活動に係る科目を二年以上の期間専攻したこと

②二年以上の外国における経験を有すること。

「外国の教育機関」とは、その外国における学校教育制度において正規の教育機関として設置されている機関を意味します。

「二年以上の外国における経験を有すること」とはプロの芸能人として海外での活動が必要であり、日本国内で興行の在留資格で行った興行に関する活動歴は含まれません。                      

(入管関係法大全第2巻141頁)

第2号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

第2号も第1号と同様、演劇等の興行に係る活動に従事する場合に関する規定ですが、活動を行う施設として、以下①~③の要件が必要となります。

① 客席において飲食物を有償で提供しない施設であること。

② 客の接待をしない施設であること。

③ 営利を目的としない本邦の公私の期間が運営する施設又は客席の定員が100名以上

  の施設であること。

「営利を目的としない本邦の公私の機関が運営する」とは、演劇などの興業が、非営利団体がもつ劇場、ホールなどの施設、公民館、体育館学校等で行われる場合を想定しています。

第3号

演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動

例)プロスポーツの競技、ゲームの大会、ダンスの選手権、各種のコンテスト、ファッションショー等

第4号

興行に係る該当資格には該当しない芸能活動。

 

商品又は事業の宣伝のために行われる催し(見本市やファッションショー)

放送番組又は映画の製作に係る活動

商業用写真の撮影に係る活動

商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

3.「興行」が認められにくくなった・・・?

在留資格「興行」は、普段あまり聞きなれない在留資格です。しかながら20年位前までは比較的メジャーな就労資格の一つでした。

令和4年現在、興行での滞在者数は2,068人となっています。

2003年当時、興行での新規入国者は133,103人でした。

このうちの大部分はフィリピン国籍者で、その数は80,048人に上りました。

その多くが国内にある「フィリピンパブ」で「タレント」として働きました。

なぜ在留資格「興行」は、ピーク時の13万人から2千人まで在留資格者が激減したのでしょうか?

それは政府の人身取引対策により、在留資格の要件を厳格化が図られた結果によるものでした。

平成12年11月に国連で人身取引議定書が採択され、政府は、人身取引の防止・撲滅と被害者の保護に向け、関係省庁間の緊密な連携を図り、国際社会と協調し、これを早急かつ着実に推進するため、平成16年4月、法務省を含む関係省庁において「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置しました。(出入国在留管理局HP)

在留資格「興行」により入国・在留する外国人については、風俗営業店においてホステス等として不法就労している者が少なくなく、中には人身取引の被害に遭っている者も存在するとの指摘がなされていたことから、「興行」の上陸許可基準に関する法務省令の改正が求められ、外国人芸能人の資格要件の適正化を目的として、在留資格「興行」の上陸基準に関する法務省令が改正されました。(平成17年3月施行)在留資格「興(出入国管理及

改正内容は、演劇、演芸、歌謡、舞踏、又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人が、その従事しようとする活動について、「外国の国若しくは地方公共団体又はこれらに準じる公私の機関が認定した資格を有すること」としている規定を削除するものです。

この改正により、演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として我が国」に「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人は、その興行を行うことにより得られる報酬の額が1日につき500万円以上である場合、国・地方公共団体が招へいする場合、レコードの録音等の芸能活動を行う場合などを除き、その従事しようとする活動について「外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと」又は「2年以上の外国における経験を有すること」が必要となりました。

この改正により多くの「タレント」希望者が「興行」の在留資格の基準を満たすことが出来なくなり、結果として、それまで比較的容易に認められた「興行」の在留資格で働く「タレント」は激減しました。

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