在留資格 「興行」 とは,どのような在留資格か

在留資格「興行」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.在留資格「興行」の活動

演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(入管法別表第一の二の表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行はいずれも例示です。

2.「興行」として在留資格が認められる基準

興行にはいくつかの種類があり,入管実務において在留資格が認められるものとしては,第1号から第4号まであります。

第1号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

客席において飲食物を提供する施設、客の接待をする施設でのライブハウスのコンサートホール、キャバレー、バー等。

基準(一部抜粋)

①外国の教育機関において当該活動に係る科目を二年以上の期間専攻したこと

②二年以上の外国における経験を有すること。

「外国の教育機関」とは、その外国における学校教育制度において正規の教育機関として設置されている機関を意味します。

「二年以上の外国における経験を有すること」とはプロの芸能人として海外での活動が必要であり、日本国内で興行の在留資格で行った興行に関する活動歴は含まれません。                      

(入管関係法大全第2巻141頁)

第2号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

第2号も第1号と同様、演劇等の興行に係る活動に従事する場合に関する規定ですが、活動を行う施設として、以下①~③の要件が必要となります。

① 客席において飲食物を有償で提供しない施設であること。

② 客の接待をしない施設であること。

③ 営利を目的としない本邦の公私の期間が運営する施設又は客席の定員が100名以上

  の施設であること。

「営利を目的としない本邦の公私の機関が運営する」とは、演劇などの興業が、非営利団体がもつ劇場、ホールなどの施設、公民館、体育館学校等で行われる場合を想定しています。

第3号

演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動

例)プロスポーツの競技、ゲームの大会、ダンスの選手権、各種のコンテスト、ファッションショー等

第4号

興行に係る該当資格には該当しない芸能活動。

 

商品又は事業の宣伝のために行われる催し(見本市やファッションショー)

放送番組又は映画の製作に係る活動

商業用写真の撮影に係る活動

商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

3.「興行」が認められにくくなった・・・?

在留資格「興行」は、普段あまり聞きなれない在留資格です。しかながら20年位前までは比較的メジャーな就労資格の一つでした。

令和4年現在、興行での滞在者数は2,068人となっています。

2003年当時、興行での新規入国者は133,103人でした。

このうちの大部分はフィリピン国籍者で、その数は80,048人に上りました。

その多くが国内にある「フィリピンパブ」で「タレント」として働きました。

なぜ在留資格「興行」は、ピーク時の13万人から2千人まで在留資格者が激減したのでしょうか?

それは政府の人身取引対策により、在留資格の要件を厳格化が図られた結果によるものでした。

平成12年11月に国連で人身取引議定書が採択され、政府は、人身取引の防止・撲滅と被害者の保護に向け、関係省庁間の緊密な連携を図り、国際社会と協調し、これを早急かつ着実に推進するため、平成16年4月、法務省を含む関係省庁において「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置しました。(出入国在留管理局HP)

在留資格「興行」により入国・在留する外国人については、風俗営業店においてホステス等として不法就労している者が少なくなく、中には人身取引の被害に遭っている者も存在するとの指摘がなされていたことから、「興行」の上陸許可基準に関する法務省令の改正が求められ、外国人芸能人の資格要件の適正化を目的として、在留資格「興行」の上陸基準に関する法務省令が改正されました。(平成17年3月施行)在留資格「興(出入国管理及

改正内容は、演劇、演芸、歌謡、舞踏、又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人が、その従事しようとする活動について、「外国の国若しくは地方公共団体又はこれらに準じる公私の機関が認定した資格を有すること」としている規定を削除するものです。

この改正により、演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として我が国」に「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人は、その興行を行うことにより得られる報酬の額が1日につき500万円以上である場合、国・地方公共団体が招へいする場合、レコードの録音等の芸能活動を行う場合などを除き、その従事しようとする活動について「外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと」又は「2年以上の外国における経験を有すること」が必要となりました。

この改正により多くの「タレント」希望者が「興行」の在留資格の基準を満たすことが出来なくなり、結果として、それまで比較的容易に認められた「興行」の在留資格で働く「タレント」は激減しました。

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