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ビザが失効する時の最終手段,在留特別許可とは何か解説
「在留特別許可」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「在留特別許可」については、法務省から在留特別許可に係るガイドラインが公表されています。
その中で、「在留特別許可の許否の判断に当たっては、個々の事案ごとに在留を希望する理由や家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して行うことと」とされています。また、その際の考慮する事項については、以下の通り記載されています。
まず積極要素については,入管法第50条第1項第1号から第3号に掲げる事由のほか,次の要素が挙げられています。
1.特に考慮する積極要素
(1)当該外国人が,日本人の子又は特別永住者の子であること
(2)当該外国人が,日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,次のいずれにも該当すること
ア 当該実子が未成年かつ未婚であること
イ 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること
ウ 当該外国人が当該実子を現に本邦において相当期間同居の上,監護及び養育していること
(3)当該外国人が,日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために,婚姻を仮装し,又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)であって,次のいずれにも該当すること
ア 夫婦として相当期間共同生活をし,相互に協力して扶助していること
イ 夫婦の間に子がいるなど,婚姻が安定かつ成熟していること
(4)当該外国人が,本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く。)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し,当該実子を監護及び養育していること
(5)当該外国人が,難病等により本邦での治療を必要としていること,又はこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること
2.その他の積極要素
(1)当該外国人が,不法滞在者であることを申告するため,自ら地方入国管理官署に出頭したこと
(2)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格(注参照)で在留している者と婚姻が法的に成立している場合であって,前記1の(3)のア及びイに該当すること
(3)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,前記1の(2)のアないしウのいずれにも該当すること
(4)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している者の扶養を受けている未成年・未婚の実子であること
(5)当該外国人が,本邦での滞在期間が長期間に及び,本邦への定着性が認められること
(6)その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること
次に、消極要素については,次の要素が挙げられています。
3.特に考慮する消極要素
(1)重大犯罪等により刑に処せられたことがあること
例えば、凶悪・重大犯罪により実刑に処せられたことがある場合や違法薬物及びけん銃等,いわゆる社会悪物品の密輸入・売買により刑に処せられたことがある場合などです。
(2)出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
例えば、不法就労助長罪,集団密航に係る罪,旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがある場合や不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがある場合などです。
4.その他の消極要素
(1)船舶による密航,若しくは偽造旅券等又は在留資格を偽装して不正に入国した
(2)過去に退去強制手続を受けたことがある
(3)その他の刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められる
(4)その他在留状況に問題がある
例えば、犯罪組織の構成員である場合などです。
在留特別許可の許否判断は,上記の1.2の積極要素及び3.4の消極要素の各事項について,それぞれ個別に評価し,考慮すべき程度を勘案した上,積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には,在留特別許可の方向で検討することとなります。
したがって,積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではありません。
また逆に,消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が検討されないというものでもありません。
以上のように、「在留特別許可」については、「個別判断」というところにポイントがあります。
つまり、同じような事由に該当する場合であっても、許否の判断が異なる可能性が高いといえます。
法務省のガイドラインにおける消極要素に該当する場合であっても、積極要素によっては許可されることもありますので、「在留特別許可」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。
結婚相手がいなくなった?婚約を解消するためにはどうしたらよいか
外国人との結婚で,安易に偽装結婚の相手となってしまった場合,公正証書原本不実記録罪という犯罪になってしまう可能性があります。
犯罪になるのかどうかという点については,前回の記事でもご紹介しています。
今回は,偽装結婚を解消するためにはどうしたらよいかという点について解説をします。
「離婚」をする場合,できない場合
婚姻状態を解消するとなると,まず思いつくのは「離婚」ではないでしょうか。
日本で離婚をする場合,お互いに合意して書面(離婚届)で届け出て行う方法と,裁判や審判で決める方法があります。
お互いに「離婚しましょう/そうしましょう」という意思の合致があるのであれば,裁判や審判を行う必要はないということです。
離婚の方法は国によっても異なり,「裁判をしないと離婚を認めない」という国もあります(宗教や文化の違いに基づくものです)。
一方,どちらか一方が離婚する意思がない場合には離婚届を出して離婚をするということができません。その場合には,裁判所の手続きによるしかありません。この,「離婚する意思がない場合」というのは,「離婚したくない!」という意思を持っている場合に限らず,「離婚したいのかしたくないのか,意思が分からない」という場合や,「そもそもどこにいるのか分からない」という場合まで含みます。
それでは,もしも偽装結婚の相手になってしまった場合,何らかの離婚のための手段を採ればよいのでしょうか。
実はここに落とし穴があります。そもそも,「偽装結婚」で作られた戸籍は,虚偽の戸籍です。そして,離婚は,真正な結婚を解消するというものですから,偽装結婚を解消するための離婚も虚偽の届出になってしまうのです。
偽装結婚を解消するためとはいえ,勝手に離婚をしてしまうと大変なことになってしまいます。
偽装結婚を解消するためには,事前に専門家とよく相談しておかなければなりません。
偽装結婚解消のための手続
それでは,偽装結婚を解消するには,何らかの裁判所での手続きを経る必要があります。
しかしながら,ほとんどの偽装結婚の場合,婚姻届けを出した後は,相手と連絡が取れなくなってしまうということがほとんどです。
どこにいるのか分からない外国人を相手に裁判を起こすことは,極めて困難です。
出入国管理局から資料を取り寄せる等して,そもそも裁判の相手が日本にいるのかどうかを調査する必要があります。
また,「今どこにいるのか」と言うことについて必要な調査を尽くさなければなりません。裁判所に対して「今どこにいるのか分かりません」と申告するだけでは足りず,「色んな調査活動をして,相手がどこにいるのか調べて,裁判のために出てきてくださいと言ってきたけれども,それでもわかりませんでした」と言えなければ,裁判所も取り合ってもらえません。
この調査活動は裁判を起こすの準備として必要になります。当然のことながら,これに加えて,裁判そのものの準備も必要です。
偽装結婚を解消したい,解消したいけれども相手がどこにいるのか分からない,という方は,弁護士等の専門家にご相談ください。
上陸拒否されても日本に入国することができるか?上陸拒否の特例について解説
一度強制送還をされてしまうと,多くの場合には再入国を拒否されてしまいます。
再度日本へ入国することを希望する場合,どのような手続きがあるのでしょうか。
「上陸拒否の特例」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
(架空の事例です)
Aさんは、小学校1年生の時に、南米にある日系移民が多く暮らす町から家族全員で日本に移住してきました。Aさんはおじいさんが日本人の日系3世です。Aさんは父母、弟、妹の5人家族で、Aさんが10歳の時にお父さん、お母さん、弟、妹とAさんの5人全員がA県に移住してきました。AさんはA県の公立高等学校を卒業して、A県にある自動車部品製造会社で、3交代で働いていました。
ある時知人から「この草をたばこのように紙に巻いて吸うと疲れが取れるよ。試してみないか」とすすめられ、興味本位で知人から大麻草0.5グラムを譲り受けました。
Aさんはこの草をインターネットで検索し大麻草であることを知りましたが、最近仕事でストレスがたまっていたこともあり、気分転換のつもりで吸ってもどうせばれないだろうと考え、夜勤明けに会社近くにある公園の駐車場で、紙たばこのようにして大麻草を吸っていたところ、公園を巡回していた警察官に見つかり現行犯逮捕されました。
その後Aさんは起訴され裁判所で懲役8月執行猶予3年の有罪判決を受けました。
この事件が原因で入管からこれまでの素行善良要件に問題があると判断され、Aさんは次の在留更新が不交付となって本国に帰ることになりました。本国に帰ったAさんには親しい知り合いが誰もおらず、小さいころから日本で生活しているため母国語もよくわからないため給料の高い仕事につけず毎日の生活が本当に大変です。なんとか日本に戻って安定した仕事を得て、日本にいる家族と一緒に生活したいAさんですが、入管からは無期限上陸拒否の処分がでているため、観光ビザでの入国すらも拒否されてしまいます。Aさんの大麻取締法違反の刑の執行猶予期間はとっくに経過しており、刑の言い渡しは効力を失っているにもかかわらず(刑法27条)、ほんの出来心でわずかな量の大麻を吸引して日本で罰を受けたAさんは、このままでは永久に日本に戻れません。
一体どうすればAさんは日本に戻ることができるのでしょうか?
Aさんが日本に入国するためには?入管法の規定はどうなっているのか?
入管法では上陸拒否について以下のように規定されています。
<関連条文>
入管法第5条1項
「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入国することができない。」
入管法第5条1項では、上陸拒否に該当する事由を列挙しています。
入管法第5条第1項4号
「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りではない。」
一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた場合は、無期限上陸拒否となります。ここで注意しなければならないのは、この条文にある「相当する刑に処せられた」です。本来「執行猶予」期間が経過すると刑が失効するにも関わらず、「一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑」に「執行猶予」も含めて運用されているため、日本では起訴=有罪がほぼ100%であることから、裁判所から有罪判決を受けたという事実だけで、ほぼ無期限の上陸拒否事由に該当してしまうことになります。
結果として該当者やその家族にとって極めて厳しい選択を強いられる結果となり、事件をおこした外国人だけでなく、その家族にとっても過酷な運用となっています。
例えば入管法第5条1項4号に該当する方の日本人配偶者の場合、家族が一緒に暮らすことを選択した場合は、日本人でありながら日本国内で家族一緒に暮らすことがかなわず、家族全員海外での暮らしを余儀なくされます。子供を日本の学校に通わせたい場合は海外と日本で家族が離れ離れとなり、普通の日本人家庭であればごく当たり前のことが当事者にとってはきわめて困難な選択となる恐れが生じます。
入管法五条一項は上陸拒否の該当事由を列挙していますが、この条文と対になる条文が入管法第五条の二(上陸特別拒否の特例)です。
「法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第二六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないとすることができる。」
仮に上陸拒否に該当する事由があったとしても、上陸を認める相当の理由があるときは、入管法五条に該当する事由のみをもって上陸を拒否しない、すなわち「相当の理由」があれば上陸を認める場合もあるということです。
では「相当の理由」とはどのような意味でしょうか?
法務大臣の裁決の特例としての上陸特別許可
入管法第一二条第一、二、三項に該当する場合、入管法第七条一項四号で定める上陸の基準には適合しない場合でも上陸を特別に許可する場合があります。
実務上多い類型として、入管法第十二条第三項の「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとみとめるとき。」が挙げられます。
ここでの「特別に上陸を許可すべき事情」とは、家族の結合など、上陸を認めることが人道上の観点から配慮すべき場合です。
仮に無期限上陸拒否に該当する場合であっても、人道上特別な事情が認められれば、上陸(入国)が認められる余地はあるということです。
在留申請に人道上特別な事情があることを、在留資格認定証明書を通して入管に訴えていきます。
日本に滞在中に有罪判決を受けて日本への入国が拒否されている場合でも、特別に入国が認められることはあります。
上陸拒否を受けて日本への入国を拒否されている方や家族等、日本に入国できずに困っている方は、お一人で悩まずに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(033-5989-0843)までご相談ください。
万引きで検挙されたら,ビザが変更できなくなる?
(解説のための事例はフィクションです)
C国籍のAさんは,「技能」の在留資格で日本に在留する外国人でした。
Aさんは,日本国内で転職活動を行い,貿易業を営んでいる日本の企業での就職が決まりました。Aさんはそれまで「技能」の在留資格でしたが,転職と同時に,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更する,変更申請手続きをしており,現在は申請の結果待ちです。
ある日,Aさんは日本のスーパーで買い物をしていた時,出来心からお菓子を万引きしてしまい,店内を巡回していた私服の警備員に発覚してしまいました。その場に駆け付けた警察官は,さんを逮捕しないで取調べをしましたが,「これから何度か警察署に来てもらう」と言われました。
Aさんは,取調べを受けている間に自分のビザが変更されるのか,強制送還されてしまうのではないか等の不安が生じたため,専門家に相談することにしました。
強制送還される可能性について
事例のAさんのような万引きは,日本の窃盗罪にあたります。
窃盗罪に対しては,10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。
万引きの事件の場合,1件あたりの被害額はそこまで高くならないでしょうから,Aさんに前科がなければ不起訴,もしくは罰金で終わることが多いでしょう。
一方,強制送還されるのかどうかについてですが,窃盗罪で有罪となった場合,強制送還されてしまう可能性があります。
Aさんのような「技能」や「技術・人文知識・国際業務」のような在留資格は,いわゆる就労ビザと呼ばれるものです。この在留資格で日本に在留している人の場合,有罪判決を受けて
- 1年を超える実刑判決
- 一定の犯罪について懲役刑,禁錮刑の判決(執行猶予だった場合も含まれてしまう)
となると,強制送還されてしまいます。
Aさんも,窃盗罪で懲役刑の判決(執行猶予がついた場合も含む)を受けてしまうと,強制送還されてしまう可能性があります。
一方,不起訴で終わった場合や,罰金刑だけで終わったという場合には,すぐに強制送還されてしまうということはありません。
外国人の方の刑事事件の場合,起訴された/不起訴になった,というだけで,強制送還されるかどうかが大きく変わってしまうケースもあります。在留資格(ビザ)の問題に発展してしまう前に,刑事事件に強い弁護士事務所にご相談ください。
変更・更新の手続きでの不利益
ビザの更新・変更の手続きをしている時に刑事事件を起こしてしまったという場合,すぐに強制送還されなかったとしても手続に影響が出ることはあるのでしょうか。
Aさんの事例の場合,ビザの変更申請に影響が出る可能性は低いでしょう。あくまでまだ,検挙されたという場合,そこから不起訴/罰金/執行猶予,のいずれの処分となるかが未確定な段階になります。刑事事件としての処分が未確定であれば,すぐにはビザの申請には影響しません。通常,在留資格の変更の手続きの場合,どの資格に変更するかによっても変わりますが,就労系の在留資格だと,変更の手続きに係る日数は約30日程度です。この30日の間に強制送還となるような出来事が起きれば別ですが,通常そのようなことはありません。
Aさんも,万引きの事件で取調べを受けることになるでしょうが,在留資格の変更についてはそのまま審査が進められることでしょう。
ただし,その後の更新手続きでは不利益があるかもしれません。日本で万引きをしてしまったことや,それが理由となって罰金刑を受けたことがあるという事情は,日本での素行不良となります。次回の在留期間の更新では,期間が短くなってしまうことがあるでしょう。また,永住申請を考えている方の場合,罰金刑を受けたことは素行不良とみられますから,しばらくの間は永住申請が認められない可能性が高いとも言えます。
罰金刑を受けたなど日本での有罪判決について心配な方や不安なことがある方は,行政書士や弁護士などの専門家にご相談ください。
下記のフォームからもお問い合わせいただけます。
大麻取締法違反で強制送還,再入国できるのか
(解説のための架空の事例です)
X国籍で東京都に住んでいたAさんは,自己使用目的で大麻数グラムを所持していたところ,路上で職務質問を受けて大麻の所持が発覚していしまい,現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは裁判によって,執行猶予付き判決を受けましたが,その後,東京出入国管理局から呼び出されてインタビューを受け,退去強制(強制送還)されてしまいました。
Aさんには婚約関係にあった,日本国籍のBさんという方がいました。Bさんは,Aさんと結婚して日本で生活をしていきたいと思っていますが,Aさんの再入国手続きについて弁護士に相談することにしました。
薬物事件で強制送還された場合
Aさんのように,薬物事件(具体的には,覚醒剤取締法違反,麻薬及び向精神薬取締法違反,大麻取締法違反,麻薬特例法違反)によって有罪の判決を受け,その判決が確定してしまうと退去強制の理由(入管法24条4号チ)が生じます。判決が確定した後に強制送還の手続きとなります。
薬物事件で有罪判決を受けたことによって強制送還となると,日本に再上陸できなくなってしまいます。
日本国内で大麻取締法違反による前科(犯罪歴)がある方の場合,刑の内容や刑期に関わらず無期限で再入国できなくなってしまいます。
再入国を求める場合
Aさんのように薬物事件で有罪の判決を受けて国籍国に送還された後,日本への再入国を求める場合には,上陸特別許可を求めることになります。
上陸特別許可とは,本来は再入国できない人(上陸拒否事由がある人)についても,特別に上陸を許可する事情がある場合に,その外国人の上陸を認めるというものです。
強制送還(退去強制)される手続の中における,在留特別許可のようなものです。上陸特別許可を求めて日本へ入国しようとする場合には,大きく分けて二通りの手続きがあります。
- 国籍国のパスポートを取得して,出国して,日本の空港や港の入管で上陸審査を受ける。
- 出国する前に,在留資格認定証明書の交付を請求する。
1の方法は,言ってみれば「ぶっつけ本番」という形で,ひとまず日本へやってきて,そこから上陸特別許可を得られるかどうかの審査をしてもらうという方法です。この場合,形式的には一度「入国拒否」の処分を受けることになり,そこから改めて上陸審査を受けることになりますから,手続には数日かかることがあります。その間,空港や港から出ることはできません。
ほとんどの方は,2の方法で再上陸できるかどうかについての審査を受けることになるでしょう。
本来,「在留資格認定証明書」というのは,日本での在留資格が認められるかどうかについての事前審査として行われるものです。Aさんの場合,おそらく「日本人の配偶者等」のビザを申請することになりますが,本来であれば「日本人の配偶者等」に該当するかどうかが審査の対象になります。
しかし,上陸拒否事由がある人が在留資格認定証明書の請求をした場合,上陸特別許可をするかどうかについても併せて審査をすることになります。
つまり,AさんやAさんの家族のように,既に強制送還された後の人を呼び寄せたいと思った場合には,先に,上陸特別許可がもらえるのかどうか(在留資格認定証明書がもらえるか)についての審査を受けておいた方が良いでしょう。
1のように,ぶっつけ本番で上陸特別許可を求めても,仮に不許可となった場合には,そのまま国籍国へ帰らなければなりません。費用的にも,時間的にも,身体的にも多大な負担となってしまうでしょう。
一方,2の方法の在留資格認定証明書の請求については,弁護士や行政書士に委任すれば,オンラインでの手続きも可能です。
一度強制送還されてしまった方の再入国については,弁護士等の専門家にご相談ください。
上陸特別許可について
「上陸特別許可」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がご説明します。
日本で暮らす外国人の中で、例えば
- オーバーステイで強制送還された
- 事件を起こして逮捕され1年以上の実刑に処せられた
- 執行猶予を含む1年以上の刑に処せられた
- 薬物犯罪で刑に処せられた
などの場合、一定の事情に該当する方は,一度日本を離れてしまうと,再び日本に入国することを拒否される場合があります。
これは「上陸の拒否」とよばれ、出入国管理及び難民認定法第5条1項で「上陸の拒否」に該当する事情と「上陸拒否期間」が定められています。
①の場合、初回のオーバーステイで5年、2回目以降は10年間上陸が拒否されます。
「上陸の拒否」とは日本への入国が認められないという意味です。
②や③,④のように,犯罪歴がついてしまった場合,一度日本から出国すると「無期限上陸拒否」となり、永久に日本に入国することはできず、該当者にとって大変厳しい規定となっています。
しかし入管法5条1項の「上陸の拒否」に該当すると判断された場合でも、人道上の理由等法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、法務大臣の裁量により上陸の許可を与える場合があります。
この法務大臣による上陸許可を「上陸特別許可」と言います。
「上陸拒否」に該当する日本国外にいる外国人が改めて日本に入国したい場合は、法務大臣に対して「上陸特別許可」を求める「在留資格認定証明書」の申請をします。
理由書・嘆願書・SNS・写真等の証拠書類を添付した「在留資格認定証明書」を通して、法務大臣に「上陸を認めるべき特別の事情」を説明して在留許可のお願いをします。
オーバーステイ等で強制送還され上陸拒否に該当する場合でも、上陸拒否期間内に日本に戻れる場合があります。上陸拒否にあたる家族や友人を日本に呼び戻したい方はお一人で悩まずに、まずは入管業務を扱う弁護士・行政書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
喧嘩で被害届が出たら強制送還されるのか?
2023年1月2日の夜,神奈川県内でベトナム国籍の男性ら2人が刃物で刺されるという事件が起きたことが報じられています。
飲食店でベトナム人ら2人刺され大けが 男が逃走 神奈川 相模原
2023年1月5日時点では,犯人はまだ逮捕されていないようですが,仮に外国人同士の喧嘩だった場合,加害者として検挙される人は暴行,傷害罪の罪に問われる可能性があります。
暴行罪:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
傷害罪:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
事実関係はまだ明らかではないですが,もしも仮に,この事件について被害届が出されて,犯人が検挙され,その犯人が外国籍だった場合には強制送還されることがあるのでしょうか。
刑事事件で検挙された場合
刑事事件の犯人として検挙された場合であっても,直ちに強制送還されるというわけではありません。
刑事事件の手続の中で,強制送還される場合というのは次のような場合です。
- 一定の入管法によって処罰された場合
- 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
- 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
- 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
- どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合
報道にあるような暴行,傷害事件の場合には,4つ目,もしくは5つ目の場合に該当することがあります。
暴行,傷害罪は,刑法のうち第27章に規定されている罪であり,これは入管法で言う「一定の刑法犯」に該当します。そのため,暴行,傷害罪で起訴され,執行猶予付きの判決を受けた場合には強制送還の対象となる可能性があることになります。また,裁判の結果,1年を超える実刑判決となれば,強制送還となる可能性が相当高くなります。
具体的な事実関係は不明ですが,暴行,傷害事件について被害届が出されると,警察としては犯人を特定するための捜査活動を行うことになります。加害者と被害者との人間関係や,被害者の怪我の程度によっては逮捕されてしまう可能性がありますし,怪我が重ければ刑事裁判になる可能性があります。
強制送還となる具体的な場合
実際に暴行,傷害事件で強制送還となる具体的な場合について解説をします。
まず,「一定の刑法犯にあたるとして懲役,禁錮刑に処せられた場合」に該当する場合です。これを理由として強制送還されるのは,入管法の「別表1の在留資格」に該当する場合のことを言います。
「別表1」と言われてもよく分からないかもしれませんが,入管法に定められている在留資格には,大きく分けて二種類があり,別表1と,別表2があります。別表1は,日本での活動内容に応じて認められる在留資格を,別表2は外国人と日本との結びつきそのものに応じて認められる在留資格のことです。別表2には「永住者,永住者の配偶者等,日本人の配偶者等,定住者」をさします。
別表1は「別表2以外の在留資格の全部」をさすものと考えてよいでしょう。というのも,別表1には30種類以上の在留資格があります。その多くはいわゆる就労ビザと呼ばれるものですが,「留学生」や「短期滞在」も,この別表1の在留資格に含まれます。
そのため,「別表1の在留資格」(別表2以外の在留資格)で,暴行,傷害罪で執行猶予付きの判決を受けた場合には,強制送還となる可能性があります。
逆に,別表2の在留資格(永住や日本人の配偶者等)である場合や,罰金刑のみで終わった場合には,強制送還の対象とならないで済むことになります。
ただ注意しなければならないのは,罰金刑で終わったとしても,永住の在留資格でない限りは,次のビザの更新の時の不利益な事情となる場合があります。更新した時の在留期間が短くなったり,最悪の場合だと更新が認められないということがあります。
外国人の方の刑事事件は,罰金/執行猶予/実刑という,処分そのものだけでなく,在留資格への影響まで考えて弁護をしなければなりません。
日本で在留している間に刑事事件を起こしてしまったという方や,刑事事件に関わってしまった,強制送還されたくはない,という方は,是非ご相談ください。
刑事事件から在留資格までワンストップでご相談いただけます。
口頭審理で忘れてはいけないこと,日本で在留を続けるため
(以下は解説のための架空の事例です)
事例―MDMAの裁判の後・・・・
Bさんは「定住者」の在留資格で18年間,日本で生活をしていました。日本人の交際相手もおり,日本の企業にも就職していて,出来ればずっと日本で生活し続けたいと願っていました。
しかし,Bさんはある時,仕事がうまく行っていなかったことや友達から勧められたこともあり,MDMAを使ってしまい,警察に逮捕されました。
Bさんには懲役1年6月,執行猶予3年の判決が言い渡さた後,今度は入管からの呼出がありました。
Bさんは,インタビューの中でも日本に残りたいことを伝えましたが,口頭審理では「あなたは強制送還になります」と言われました。
Bさんとその交際相手のかたは,弁護士に相談することにしました。
口頭審理って何?
口頭審理とは,入国審査官が「退去強制事由がある」と判断をしたことに対して,特別審査官が再度審査をするという手続きのことです。
強制送還になるまでには,
- 強制送還となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
- 入国警備員による調査
- 入国審査官による審査
という段階がありますが,「口頭審理」という手続きは,この「3」の次にある手続ということになります。
口頭審理期日は,入管の審判部門でのインタビューとなります。
東京入管の場合には,6階のエレベーターを降りて,ちょうどその裏にある部屋になります。名古屋入管の場合には3階です。
口頭審理の場では,,入国審査官の判断が間違っていたかどうか,が審理の対象になります。
そのためまずは,強制送還の理由となった事情について再度細かく質問を受け,その後,日本での在留に関する質問をされます。
口頭審理で忘れてはいけないこと
もしも日本での在留を続けたい方で,これから口頭審理を受ける方がいれば,覚えておいてほしいことがあります。
それは,口頭審理を受けただけでは在留特別許可は出ないということです。
どんな事案であっても,口頭審理の結果として在留特別許可をするということはできません。これは,法律上,できないからです。
口頭審理の結果というのは,
- 入国審査官の判断は間違っていた
- 入国審査官の判断は間違っていない
この二つしかありえません。ですから,口頭審理の場で在留特別許可がされなかったことで,パニックになってはいけません。
在留特別許可を望むのであれば,口頭審理の結果出てから3日以内に,法務大臣に異議の申出をしなければいけません。異議の申出があってから初めて,在留特別許可をするかどうかという判断が始まるのです。口頭審理の結果を受けて諦めてしまい,異議の申出をしないでいると,在留特別許可を受けるチャンスをつぶしてしまうことになりかねません。
口頭審理が終わったら必ず異議の申出をする,ということは,忘れてはいけません。
在留特別許可までの流れが複雑すぎる?
現在の法律によると,在留特別許可がされるかどうかの判断には,
- 強制送還となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
- 入国警備員による調査
- 入国審査官による審査
- 特別審査官による口頭審理
- 法務大臣(もしくは各地方入管局長)の裁決
という手続きを踏まなければならず,事実を認めて争っていない場合であっても,何度もインタビューを受ける必要がありました。一度廃案になってしまいましたが,入管法の改正案の中には,「在留特別許可についても窓口で申請ができるようにする」というものもありました。これまでは,入管側のアクションを待たなければならなかったものが,自分たちでも申請ができるようになる,という改正案です。
将来的には,在留特別許可についても手続きが大きく変わってくるかもしれません。
在留特別許可に関する手続きや,口頭審理に向けた手続きについてご不安がある方は,弁護士,行政書士といった専門家に早めにご相談ください。
解決事例 在留特別許可(日本人の配偶者等)が認められた事例
当所の扱った事案について,在留特別許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。
(守秘義務の関係上,事実の詳細を明らかにしない部分があります)
事案
ご依頼者であるXさんは,日本国内にて大麻を所持していたという事案によって,執行猶予付きの懲役刑の判決を受けました。
執行猶予付きの判決ではあったものの,大麻取締法違反の事件でしたので,判決が確定後に,入管から違反調査のための呼出が来ることになりました。
ご依頼の経緯
判決の言い渡し前から,Xさんは,「刑事事件の判決によって自分の在留資格がどのようになるか」という点について不安があり,当所へ相談に来られました。
Xさんは日本で育ち,家族のほとんどが日本で生活しているという状況であるため,違反調査の後,強制送還されてしまうと非常に不利益が大きいという状況でもあり,在留特別許可に向けた活動をご希望でした。
刑事事件の判決が言い渡される前からご相談に来られたことで,事前のリサーチなどを行う時間も十分に確保でき,実際に入管からの違反調査が始まって以降は速やかに正式に代理人として受任し,在留特別許可の獲得に向けた活動を行うことができました。
弁護活動
Xさんに対する違反調査,違反認定については,在宅のままで進められました。Xさんは元々日本で生活していた方で,日本人の家族もいたことから,違反調査があっても在留資格は直ちには影響を受けなかったためです。
違反認定の結果,違反事実があり,口頭審理に進むという段階でも,入管の施設内に収容されてしまうということもなく,身元保証人もいたことから,即日仮放免で出てこられました。
代理人弁護士としては,「Xさんが日本にいなければXさんが困る/Xさん以外にも困る人がいる/Xさんを日本に在留させ続けるのが誰にとっても良い」ということを入管にアピールするために,手続の早い段階から,Xさんが置かれた状況について入管の担当者に対して説明を行いました。
口頭審理が行われる前から,先だって在留特別許可を求める具体的な事情を述べ,また,入管が判断する基準に基づいても「在留特別許可するべきである」という意見と理由をつけた意見書を提出しました。ただ意見を言うだけではなく,Xさんのご家族からも嘆願書をもらう等して,資料を集めました。
実際の口頭審理の場でも,弁護士が立ち会い,Xさんに在留資格が付与されるべきであることの意見を述べ,審理の中でXさんにとって不利な供述がなされてしまわないかどうかを立会確認しました。
口頭審理の結果
口頭審理から約2週間程度という速さで,結果が出て,在留特別許可が認められることになりました。
Xさんはもともと,「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留していましたので,在留特別許可(日本人の配偶者等,在留期間1年)という形で認められました。
Xさんは日本で家族との生活を続けられることになり,お仕事についても日本の法律上,何らの問題もなく続けられることとなりました。
ポイント
Xさんの事件では,Xさんが日本に長く在留していたこと,日本に家族がいたことが審理において非常に有利な点として考慮してもらう事ができました。また,Xさんの事例では,Xさん自身が日本で仕事をしていたこと,この仕事が日本や地域社会の利益にもつながっていたことも,入管に対して主張していました。
ただ,大麻をはじめとした薬物事件というのは,やはり入管業務においても重たい事案として扱われていることも事実です。
刑事裁判の結果についても触れて,その責任が必ずしも重大なものではないことについても,刑事弁護的な観点から意見を述べています。
よりよい弁護活動や一貫した弁護活動を目指すのであれば,刑事裁判の段階から入管まで見据えた弁護活動が望ましいでしょう。
今後も在留資格や強制送還に関する手続きでお困りの方,そのご家族の力になれるよう,事案に取り組んでいきたいと思っております。
家族や友達の偽装結婚でもビザが取り消される?
Kさんは日本で「定住者」の在留資格をもって在留している外国人でしたが,Kさんの妹が日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することになりました。
Kさんは,妹が日本で結婚する証人になることになり,婚姻届の「証人」の欄に署名をしました。その後,Kさんの妹は日本人配偶者等の在留資格で来日しました。
しかし後日,実はKさんの妹がした結婚は偽装結婚であり,来日してからは全く家族としての生活をしていないことが分かりました。
Kさんは,妹の偽装結婚の証人となってしまったことで自分の在留資格も影響が出るのではないかと思い,弁護士に相談することにしました。
偽装結婚は重い罪
事例のように,偽装結婚というのは入管実務上でも非常に悪質な犯罪とされており,刑法上も重たい刑罰が定められています。
「本当は夫婦として結婚生活を送るつもりがないのに,ビザをもらうためだけに婚姻届けを出して結婚したことにする」というのは,公正証書原本不実記録,供用罪という犯罪にあたり,最大で5年の懲役刑が科されることになります。
また,公正証書原本不実記録,供用罪で有罪の判決を受け,懲役の判決を受けた場合(執行猶予付きの判決も含みます)には,在留資格によっては強制送還の対象となってしまいます。
さらに,元々の在留資格を問わず,
・自分が偽装結婚をして在留資格を不正に取得したり,在留資格の変更,更新の許可等を得た場合
・偽装結婚によって他人に在留資格を不正に取得させたり,在留資格を変更,更新の許可を得させた場合
には,在留資格の取消し,強制送還の対象となってしまいます。この場合,仮に有罪の判決を受けていなかったとしても,入管の独自の調査によってビザが取り消されたり,強制送還に向けた手続きが進んでしまうことがあります。
特に,逮捕されて警察で取調べを受けているという状態の場合,それと並行しながらビザの取消しに向けた調査が進んでいるという場合があります。警察の取調べについては国選弁護士でも対応をしてくれますが,ビザの取消しに関しては国選弁護士も任務の範囲外になってしまいます。逮捕されている事件でビザの取消しも防ぎたいという場合には,早急に自分たちで弁護士に依頼しましょう。
Kさんの事例の場合,「他人の偽装結婚の証人になっている」ということですから,Kさん自身の在留資格については何ら不正をしていないとしても,「Kさんの妹の在留資格について不正な手段を用いた」と疑われてしまうと,強制送還に関する違反調査が始まってしまう可能性があります。
強制送還の対象になるのか
Kさんのように他人の偽装結婚に関わってしまった場合,強制送還されてしまうのでしょうか。
まず,強制送還の対象となる可能性のある場合の法律は,次のとおりです。
三 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は前二節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
難しいことが書かれているように見えるのですが,簡単にまとめると次のようになります。
誰の在留資格についてか
自分以外の外国人
どんな目的だったか
不正に在留資格を得させる目的で
何をした場合か
文書を偽造した,文書に嘘の記載をした,偽造や嘘の文書を提出/所持/提供した,またはこれらの行為の手助けをした
これらにすべて該当するのであれば,強制送還の対象となる可能性があります。
Kさんの場合には,自分で虚偽の婚姻届を作ったり入管への文書を偽造したというものではないと思われます。そのため,証人になったからと言って,直ちに強制送還の対象になってしまうということはないでしょう。
ただそ,仮に「妹の結婚が偽装結婚であることを最初から知って証人となった場合」には,文書に虚偽の記載をする手助けをしたものとして,強制送還の対象になる可能性もあります。
入管当局は,偽装結婚に対しては特に厳しい態度で臨んでいます。「日本人の配偶者等」の在留資格は,比較的日本で安定した生活を送るためのビザですが,ビザの条件が「結婚」というものだけであることから悪用されることも多いのです。
もしも他人の偽装結婚に関わってしまったという場合には,適切に対応しなければご自身の在留資格まで取り消されて,強制送還されてしまう可能性もあります。偽装結婚に関わってしまったという外国人の方は,早めに弁護士までご相談ください。
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