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永住権が取りにくくなった?永住許可申請の基準変更を解説
永住許可申請について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
永住者とは「法務大臣が永住を認める者」をいい、永住許可後日本に本拠を置いて生活する者が想定されていますが、近年では高度人材等、政策的に我が国への入国・在留を促進すべき外国人へのインセンティブとして、永住許可をすることも行われています。(審査要領)
永住者の在留資格は在留活動・在留期間に制限がないことから日本に在留する外国人にとって最も価値のある在留資格となります。
近年、永住許可申請は急速に取得難易度が上昇してきました。その要因として2018年12月18日に入管法が改正され、「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されたことと関連性があることが指摘されています。政府は特定技能による労働者の受入を5年間で34万人と予測しました。
特定技能2号は永住申請に必要な就労期間としてカウントされ、特定技能1号5年と特定技能5年の計10年間で居住歴に係る永住資格取得申請の申請要件を満たすことから、「特定技能」から永住許可申請者が増加するのを懸念して永住申請の要件を厳しくしたという見方が指摘されています。
これを踏まえて,永住許可に関するガイドラインは2019年5月31日に改訂されました。
改訂部分についてですが、
改訂前①「納税義務等公的義務を履行していること」の部分が
⇒改訂後②「公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等)の義務を適正に履行していること」
に変更されました。
具体的な変更点として以下の点が変更されています。
・住民税の課税証明書・納税証明書の提出年数期間
変更前:3年 ⇒ 変更後:5年
・国民年金・国民健康保険の加入状況
審査対象として追加
・年金・健康保険の記録
変更前:不要 ⇒ 変更後:直近2年分が必要
・国税の納税証明書
変更前:不要 ⇒ 変更後:5つの税目について必要
上記の変更点から判断すると、公的義務の履行と独立生計要因が重要視されています。
収入についても独立生計要件として重要な審査要件となります。
それでは実際の許可率を改正前、改正後で比較検討してみます。
2014年度全体の既決総数は50788件、永住申請許可率は東京入管68,6%、名古屋入管68,5%、大阪入管74,3%、全体で72%となっています。
2018年度の既決総数は61,027件、永住許可率は東京入管が51,6%、
名古屋入管が39,8%、大阪入管が63,2%、全体で53,6%となっています。
2021年度の既決総数は62142件、永住許可率は東京入管が60,6%、名古屋入管が49,4%
大阪入管が70,2%、全体で59%となっています。
2014年度は東京、名古屋、大阪入管とも永住申請許可率は70%前後と高い許可率となっていましたが、2018年度は全体で53,6%と4年前と比較すると全体で18ポイントほど低下しました。2021年度の永住許可率は2018年度と比較して多少改善はされていますが、2014年度と比べると依然低い水準となっています。
特に名古屋入管管轄の永住許可率は50%を割っています。
このように現在の永住許可申請は申請書類の内容自体が高度になってきており、10年前と比べて入管の審査も厳しくなってきています。
永住許可申請についてお悩み事、困りごとのある方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
高度専門職の在留資格が変わる?特別高度人材制度について解説
在留資格「特別高度人材制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
日本政府は、高度な知識や技能を持つ外国人材を日本で働いてもらうために、新たに「特別高度人材制度」を創設します。
「特別高度人材制度」について具体的にご説明すると、「高度専門職」の在留資格について、年収2,000万円以上の研究者の方々に資格を付与する新ルートを設けるというものです。
2023年2月17日の関係閣僚会議で導入が了承され、2023年4月中の運用開始を予定しています。
現在の高度専門職の在留資格は、学歴や職歴、年収、年齢などを項目ごとにポイント化し、ポイントの合計が70点以上となった場合、「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組みになっています。
この高度外国人材1号は3年を経過すれば、在留期間が無期限の「2号」に移行できます。
出入国在留管理庁によれば、このポイント制が始まった2012年5月から22年6月までに研究者や技術者、経営者の中で約3万5,000人が高度外国人材として在留資格が付与されているとのことです。
今回の新制度は、国際間の人材獲得競争が激化していることから、ポイント制という制度は保持しつつ、新たなルートを加えるというものになっています。
この新たなルートでは、研究者や技術ら者は、「修士号以上を取得」、「職歴が10年以上」のいずれか一方の条件を満たし、年収が2,000万円以上であれば高度外国人材1号を与えるというものです。
また、経営者は職歴が5年以上で年収4,000万円以上が条件となります。
いずれもポイント制より短い1年で2号に移行できるようになります。
さらに、若い海外人材を呼び込むため、世界大学ランキングで100位以内に入っている大学の卒業生の方々を「未来創造人材」として「特定活動」の在留資格を与える予定です。
就職活動や起業に備え、日本に2年間滞在できるようにし、その間の就労も認められる予定です。
このように、日本では様々な外国人の方を日本で働いていただけるように日々検討し、新たな在留資格を追加しています。
例えば、ご存知の方も多いかと思いますが、2019年4月に導入された「特定技能」という在留資格についても、日本が新たに認めた在留資格の一つです。
最後に、新たな在留資格についてはまだルールが定まっていないことが多く、自身で在留資格を取得又は変更させる際に手間がかかることも多く、現在はオンラインでの申請が認められておりますので、在留資格に強い専門家に依頼することをお勧めします。
在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所その13
このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。
今回の事例は,令和4年4月14日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。
この事例では,外国籍の男性Aさんが,日本国内で外国籍のBさんと婚姻し,その後,永住許可を受けて日本で生活していましたが,Aさんは風俗営業法違反や売春防止法の違反によって執行猶予付き懲役刑を受け,強制送還の手続きに付されました。その後,出入国管理局は,Aさんに対して退去強制令書を発付して,正式にAさんを強制送還するとの決定をしました。
Aさんは,日本での婚姻関係やその家族と日本に引き続き在留することを求めて,退去強制(強制送還)令書の取消を求めて裁判を起こしました。
事案の概要
Aさんは「留学」の在留資格で来日した後,Bさんと出会って結婚し,日本の大学を卒業しました。
Bさんには前婚からの連れ子がいましたが,Aさんとの間にも実子をもうけました。Aさんは「留学」の在留資格から「定住者」へと変更し,その後に永住者に変更しました。
Aさんは輸入関係の会社を経営していましたが,それとは別でマッサージ店を経営するようになり,このマッサージ店において無許可で性的なサービスが提供されたことから,風俗営業法の違反によって罰金刑を受け,更にその後もマッサージ店で売春行為が行われていたことから売春防止法違反によって執行猶予付き懲役刑の判決を受けることになりました。
売春防止法違反に当たった行為は,入管法における売春関連業務に従事していることにもなったため,Aさんは退去強制(強制送還)の対象となってしまいました。
①原告であるAさんは,
・Aさんが永住許可を受けていること
・Aさんが日本に定着していること
・Bさんとの婚姻関係や子供との親子関係があること
から,在留特別許可が認められるべき事案であると主張しました。
②これに対して被告の国は,
・Aさんの売春関連業務への従事の違法性が大きいこと,犯罪性が大きいこと
・永住許可は特に考慮する事情ではないこと
・本国への帰国期間が長いこと
・家族関係も含めて,Aさんを強制送還したとして支障は少ない
から,在留特別許可が認められるべき事案ではないと主張しました。
裁判で重要になったポイント,裁判所の判断
裁判所は,Aさんの訴えを認めず,請求を棄却しました。
まず,Aさんが強制送還されるに至った事情である風営法違反や売春防止法違反の事実は,日本で法律を守って生活しようとする意識の低さを表していると指摘しました。
また,永住許可を受けているという事情についても,永住者だから直ちに在留特別許可がなされるというわけではなく,あくまで一事情にとどまり,上記のような法令の違反があることも考慮すると,在留特別許可を認める大きな事情とまでは言うことができないとしました。
そして,Aさんの日本への定着性や家族関係についても,①日本との定着性については,2度の法令違反があったのだから善良な生活状況だったとは言えない,②家族関係については,Aさんの妻と実子はAさんと同じ国籍なのだから本国で一緒に暮らすこともできること,連れ子については成人していて仕事もしているし,Aさんの本国での生活も可能である事を理由に,在留特別許可をするほどの事情ではないとしました。
コメント
在留特別許可を求める事案において,外国人同士の結婚(永住者の外国人同士)の場合には,やはり日本人同士の結婚とは異なり,法律上保護される程度が低くなっています。
また,売春に関わっていたとされると,入管法上は非常に厳しい対応をされてしまいます。売春関連については,刑事裁判で有罪の判決を受けていない段階でも,強制送還が可能とされていますし,仮に不起訴処分になったとしても,入管は退去強制事由があるとして強制送還できます。それだけ,外国人による売春に対して厳しい対応をしているということになります。
この事案のように,日本国内で,比較的安定した家族生活を営んでいるというケースであっても,売春関連業務に関わっているというように,違法性が高いと認められると,在留特別許可の見込みも低くなってしまいます。
在留特別許可に関する対応は,入管が関わる前の段階から,刑事事件での対応の段階で,ある程度の決着がついてしまいます。ご不安なことがある方は,一度弁護士や行政書士などの専門家にご相談ください。
「日本人の配偶者等」の在留期間が短くなったらどうする
現在,「日本人の配偶者等」の在留資格をもって日本に在留している外国人の方が多くいます。
「短期滞在」(旅行者など)の在留資格で入国する方を除くと,「定住者」についで数の多い在留資格です。
この「日本人の配偶者等」の在留資格も,「永住者」と違って在留期間が設定されており,永続的な日本での在留を希望する場合には都度,更新をしなければなりません。
「日本に滞在できる期間」という点で,在留期間の定めには意味があるものですが,実際にはさらに重要になる場面があります。
また,「思っていたよりも短い期間しか更新が認められなかった」という場合もあります。
在留期間の長さが重要になる場合
在留期間の長さが重要になる場合,それは永住許可申請をしようとする場合です。
永住許可を受ける場合に必要な条件の中に,次のようなものがあります。
・入管法施行規則に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
在留期間について,「最長の期間が認められている場合でなければ永住許可をしないよ」ということです。
そして,当面の期間はこの「最長の在留期間」とは「3年」とされています。
「日本人の配偶者等」の在留資格の場合,在留期間については
5年,3年,1年,6か月
のいずれかが付与されることになっています。
そのため,3年の在留期間となるのか,1年の在留期間となるのかという点は,永住許可申請をすることができるかどうかについて非常に大きな差となるのです。
どのようにして在留期間が決まるのか
「日本人の配偶者等」の在留資格に該当することを証明できたとして,実際の資格付与の際には具体的な在留期間が決定されます。
この「在留期間」の決め方は,個別の在留資格によって異なります。
「日本人の配偶者等」の場合についてみると,在留資格を取得した最初のタイミングだと1年,その後の更新の際に3年,5年と延長が認められる場合が多くあります。
特に,実態を伴った婚姻生活が継続していることが,長期間の在留期間が認められるためには重要になります。「日本人の配偶者等」の在留資格を最初に取得した際の在留期間が1年とされるのも,「これから先きちんと実態のある婚姻生活が継続するかどうか」という点がまだ分からない(結婚してその後の生活が安定するかどうか分からない)という点から,「1年」の在留期間とされるのです。
その後,更新を重ねていく中で「日本での婚姻生活が継続している」と認められれば,3年,5年の在留期間が認められることになります。
逆に,全く別居していて夫婦間での交流がなく経済的にも完全に独立している,といった夫婦の場合だと,「実態を伴った婚姻生活が継続していない」として長期の在留期間が認められない場合もあります。
在留期間の更新の際にも,夫婦関係が継続していることをきちんと疎明しておく必要があるでしょう。
解決事例 永住許可が認められた事例
当所の扱った事案について,永住許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。
事案・ご依頼の経緯
ご依頼者であるXさんは「定住者」の在留資格を取得して日本で生活していました。
日本での生活が10年以上にわたり,より安定してた生活を送り,長期間にわたって日本で在留し続けたいと考えたXさんは,「永住許可」を申請しました。
しかし10年以上日本で生活していた実績があるにもかかわらず,Xさんの永住許可申請は「不許可」となってしまいました。
「定住者」としての在留資格は維持できていたものの,在留期間の更新手続きを行わなければならないこと点や日本でのローンが組みにくい点など,日本での生活に不便さがありました。
そこで,Xさんは再度,永住許可申請をしようと考え,申請の際には弁護士に手続きを依頼することにしました。
永住許可に向けた活動
永住許可申請は法律上,外国人本人でも行える手続きです。しかし,実際にはどんな場合に永住許可がもらえるのか,永住許可のためにはどんな事情や書類が必要なのかということについては,あまり理解されていないことが多くあります。
永住が認められる場合というのは,
の全てを満たしている場合です。
詳しくはこちらでも解説しています。
Xさんの事例でもそうだったのですが,永住許可申請のためには大量の書類を整理して入管に提出しなければなりません。
そのうち一部の書類が欠けているだけで,永住が不許可となってしまいます。実際,きちんと書類を全部出していれば「永住者」になれたはずなのに,書類がなかったからという理由で永住申請が「不許可」となることはとても多いのです。
Xさんの依頼を受けた弁護士も,ご本人や入管から書類を取り寄せて,永住申請のために必要な書類を整理して寄り分けて,申請書を作成しました。
提出する書類が大量にあるということは,そのすべてに矛盾しないような申請書を作成しなければいけません。書類同士で記載が違っていたり,提出した書類と申請書とで食い違いがあると,入管からは「虚偽の申請をしているのではないか」という疑いをかけられることになり,申請が不許可となってしまう可能性があります。
また,申請書を提出した後も,入管から資料の追加や理由書の提出を求められることがあります。入管がこのように求めて来るということは「今の申請書や書類だけでは永住許可することが難しい」と考えているということです。追加提出資料についてもきちんと対応する必要があります。
Xさんの事例でも,申請書類,提出資料を整えて提出し,入管から追加提出の指示があった資料に関しても適切に対応したところ,申請から約3か月ほどで永住許可が認められました。
ご自身で在留資格の変更申請,永住許可申請をしたものの不許可だったという方は,一度弁護士にもご相談ください。
解決事例 在留特別許可(日本人の配偶者等)が認められた事例
当所の弁護士が扱った事案について,在留特別許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。
(解説にあたって,ご依頼者様からご了解を頂きましたが,守秘義務の関係上一部,事情を変えて記載しています)
事案
ご依頼者であるXさんは「日本人の配偶者等」としての在留資格を取得後,日本人家族との生活を続けるために永住者の申請を行い,永住者として認められました。
しかし,Xさんは母国にも家族がおり,永住の申請をするときに,母国の家族については何も申告しないまま永住の申請をしてしまいます。
その後,Xさんは入管から呼び出されて調査を受け,永住申請の時に虚偽の申告を行ったとして永住許可を取り消されてしまいました。
ご依頼の経緯
XさんとXさんのご家族は,Xさんの永住許可が取り消されて強制送還されてしまうかもしれない,というご不安から,当事務所にご相談されました。
当事務所東京支部の弁護士が事情を伺ったところ,果たして永住許可が取り消されるほどの重大な事案なのか,また,Xさんの日本に置ける状況を鑑みると,なおも,日本での在留が認められるべき事案ではないかと思われました。
Xさんから正式にご依頼を受けた弁護士が,入管に対して,Xさんに対しては在留特別許可が認められるべきである,と主張していくことにしました。
具体的な弁護活動
Xさんの事案では,弁護士が依頼を受けた段階で既に永住許可が取り消されており,在留特別許可に関する口頭審理が開かれる前の段階でした。
そのため,まずは,Xさんが在留特別許可を求めている事,その理由となる具体的な事情をまとめ,意見書として入管に対して提出しました。
また,口頭審理までの間に,よりXさんの在留が認められやすくなるように状況を整え,その証拠を集めました。
そして,実際の口頭審理の場では弁護士が立ち会い,Xさんがインタビューの答えに困った時には直ぐにアドバイスができるように助言し,場合によっては弁護士がXさんの代わりに説明を行いました。
審理は長時間にわたって行われましたが,その合間の休憩時間などには,審理の流れについて確認し,その場でXさんとの打ち合わせも行いました。
口頭審理の結果
口頭審理から約1か月後に在留特別許可が認められたとの通知がなされました。
Xさんは日本人の配偶者としての地位がありましたので,在留特別許可(日本人の配偶者等,在留期間1年)という形で認められました。
Xさんは日本で家族との生活を続けられることになり,ご家族の方も大変安心されました。
ポイント
退去強制(強制送還)手続きに伴う在留特別許可の審査においては,日本との結びつき,特に,日本での家族関係があるかどうかが非常に重要です。Xさんのケースでは,「日本人の家族がいる」という事情があり,これは在留特別許可を求めるうえで最も有利になる事情ですから,弁護士からの意見書でもこの点を最も前面に押し出して主張を行いました。
口頭審理に先立って,事前に特別審査官との面談も行っており,その際にも許可が認められる見通しや審理を行う前の心証についても開示を受けていたため,特別審査官の審理でも,この点に注意しつつ質問に応じました。
何よりも,Xさんが日本で家族と生活を続けられることになったということが,弁護士としても非常にうれしく思います。
今後も在留資格や強制送還に関する手続きでお困りの方,そのご家族の力になれるよう,事案に取り組んでいきたいと思っております。
永住権が取り消されることもある?永住権を守るためにどうしたらいいか
このページでは,永住許可が取り消されることがあるのか,取り消されそうになった時にどのように対応すべきなのかについて解説をします。
永住権は取り消される?
「永住者」(永住権)の在留資格は,日本で生活する外国人の方にとって,最も安定した在留資格であって,長期間日本で生活することを考えている方であれば,「できれば永住許可を受けたい」と思う方が多いのではないでしょうか。
「永住者」のメリットとしては
- 在留期間が無期限で更新する必要がない
- 仕事の制限がない
- 結婚したら配偶者は「永住者の配偶者等」という在留資格となり,ほぼ永住者と同じ扱いを得られる
というものがあります。これらのメリットは,他の在留資格における手間やリスクといったものを覆すようなもので,「永住者」が「最も安定した在留資格」と言われる理由でもあります。
ただ,この「永住者」の在留資格であっても,取り消される場合というのがあります。
「永住者」であっても在留資格を取り消される場合としてありうるのは,大きく分けて次のような場合です。
- 永住許可申請の時に虚偽の申立てをしたり,偽造した文書を提出して永住許可を受けていた場合
- 日本で犯罪をした事によって,一定の処分や刑罰を受けた場合
虚偽の申立て等をした場合としては,例えば日本で犯罪歴があったのに申告しなかった場合や,仕事場や住所・家族構成について虚偽の申請をした場合,納税や社会保険料の納付に関して文書を偽造して提出していたという場合があります。
また,日本で犯罪をした事によって処分や刑罰を受けた場合,永住者の方であっても,退去強制(強制送還)の手続きが始まることがあります。
永住者であっても退去強制(強制送還)となってしまう可能性があるものとしては,
売春に従事しているとされた
1年以上の実刑判決
入管法違反,旅券法違反,薬物関係の事件で有罪の判決を受けた
と言ったものがあります。これらの場合には,たとえ永住者であったとしても強制送還されるおそれがあり,そうなると永住者としての在留資格も失ってしまうことになります。
永住権を守るために出来ること
それでは,永住者としての在留資格が取り消されてしまうかもしれない場合において,どのようなことができるでしょうか。
まず,虚偽の申立てや偽造した文書を提出したことを理由として永住許可が取り消されそうになってしまったという場合,申し立ての内容や提出した文書に誤りがないかどうかをよく確認する必要があります。本当に,永住許可が欲しくて嘘をついてしまったのか,それとも勘違いや誤解から真実と異なる申立てをしてしまっただけなのかによって,永住許可が取り消されるかどうかが変わってきます。
永住許可の取り消しについても,入管で事情聴取がありますから,勘違いや誤解があるという場合には説得的にそれを主張しなければなりません。
また,本当に嘘をついてしまったという場合や日本で犯罪をした事によって処分や刑罰を受けたという場合,強制送還に関する手続きの中で,在留特別許可を求めていかなければなりません。
この在留特別許可を求める際に,過去に「永住者」の在留資格を取得していた,ということは,それだけ日本で定着して生活をしていたということですから,在留特別許可をもらいやすくなる事情として働きます。
「永住者だった」というだけでなく,個別の事件における事情や,日本に残らなければならないという事情,日本から出国してしまうと困る事情を広く集めて,入管での事情聴取や口頭審理(インタビュー)手続きの中で強く主張しておかなければなりません。
口頭審理の手続きについて,事前に準備しておくべきことはこちらでも解説しています。
入管での口頭審理手続きについては,家族とは別で弁護士も立ち会うことができます。
永住許可の取消や強制送還の手続きでお困りのことがある方は,一度弁護士にも相談してみましょう。
「永住者」の在留資格取得手続
このページでは,「永住者」の在留資格取得について解説をします。
永住者ビザは,数ある在留資格の中でも最も安定しているものとされており,仕事にしろ家族関係にしろ,日本に長期的に在留する外国人の方のほとんどが「出来るなら永住者としてビザを持っておきたい」と考えるのではないでしょうか。
今回は,永住者の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。
「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格の違い
前回の解説記事にて,「家族滞在」の在留資格の取得に必要な手続きを解説をしました。
その中で,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格に似ている部分があることについて触れました。
この記事では,その,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の違いについて具体的に解説をしていきます。
高度専門職ビザのメリット!他の就労ビザとはこんなに違う
今回は,「高度専門職」ビザのメリット,特に,他の就労ビザと違うところについて解説をします。
永住許可がもらいやすい,在留期間が長い,家族の在留資格にもメリットがある,という点が代表的なものになります。
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