Posts Tagged ‘在留資格認定証明書’

「特定活動」ビザは何種類ある?どんな時に認められる?

2023-06-01

在留資格「特定活動」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「特定活動」の在留資格に該当する活動としては、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動が該当します。
「特定活動」の該当例としては、外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等です。
「特定活動」の在留期間は、5年・3年・1年・6月・3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。

令和元年5月30日より、これまで制限されていた外国人の販売・接客業務への就労を認可する「46号告示」が施行され、注目されている在留資格といえます。

この「特定活動」には以下の3種類があります。
1. 出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動
法務大臣の告示ではなく入管法の中で規定されている特定活動のことです。
具体的には、以下の3種類があります。
①特定研究活動
研究機関の施設で特定の分野に関する研究、研究の指導及び教育をする活動のことです。上記と同様の分野に関連する事業を経営する活動も含まれます。

②特定情報処理活動
自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する情報処理に関わる業務に従事する活動のことです。

③特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動
①または②で滞在する外国人の扶養を受ける配偶者又は子が日本で行う活動のことです。

2. 告示特定活動
法務大臣があらかじめ告示している活動内容で、現在では46種類もの活動が存在しています。
具体的には、以下をご参照ください。
1号:外交官・領事官の家事使用人

2号の1:高度専門職・経営者等の家事使用人
2号の2:高度専門職の家事使用人

3号:台湾日本関係協会の在日事務所職員とその家族

4号:駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族

5号の1:ワーキングホリデー
5号の2:台湾人のワーキングホリデー

6号:アマチュアスポーツ選手

7号:6号のアマチュアスポーツ選手に扶養されている配偶者あるいは子

8号:外国人弁護士

9号:インターンシップ

10号:イギリス人ボランティア

12号:短期インターンシップを行う外国の大学生

15号:国際文化交流を行う外国の大学生

16号:インドネシア人看護研修生

17号:インドネシア人介護研修生

18号:16号のインドネシア人介護研修生の家族

19号:17号のインドネシア人介護研修生の家族

20号:フィリピン人看護研修生

21号:フィリピン人介護研修生(就労あり。)

22号:フィリピン人介護研修生(就労なし。)

23号:20号のフィリピン人看護研修生の家族

24号:21号のフィリピン人介護研修生の家族

25号:医療・入院

26号:25号で治療を受ける者の日常生活の世話をする活動

27号:ベトナム人看護研修生

28号:ベトナム人介護研修生(就労あり)

29号:ベトナム人介護研修生(就労なし)

30号:27号のベトナム人看護研修生の家族

31号:28号のベトナム人介護研修生の家族

32号:外国人建設就労者

33号:在留資格「高度専門職」で在留している外国人の配偶者の就労

34号:高度専門職外国人あるいはその配偶者の親

35号:造船労働者

36号:研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者

37号:情報技術処理者

38号:36号、37号の活動で在留する者に扶養される配偶者又は子

39号:36号、37号で在留する者あるいはその配偶者の親

40号:観光・保養

41号:40号で在留する外国人の家族

42号:製造業に従事する者

43号:日系四世

44号:外国人起業家

44号告示

45号:44号外国人の扶養を受ける配偶者又は子

46号:4年制大学又は大学院の卒業生でN1以上の日本語力を有する者

47号:46号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子

48号:東京オリンピックの関係者

49号:48号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子

3. 告示外特定活動
あらかじめ告示されてないが、慣例的に法務大臣が日本への上陸・在留を認める活動のことです。
代表的な告示外特定活動には、以下の3種類があります。
①日本に在留する外国人の方の高齢となったご両親や親の呼び寄せ

②就職先が決まらないまま卒業した留学生の就職活動

③在留資格更新が不許可となった場合の出国準備

以上のように、「特定活動」には多くの種類があり、それぞれに該当要件がありますので、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「研修」ビザの注意点,実は働かせてはいけなかった?

2023-05-30

在留資格「研修」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「研修」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(技能実習1号、留学における活動を除く。)が該当します。
この「研修」の在留資格の該当例としては、研修生です。
この「研修」の在留資格の在留期間は、1年・6月又は3月です。

この「研修」には、①実務研修を伴わない非実務研修と②実務を伴う研修の2種類があります。
基本的には、一般企業においては実務研修を伴わない非実務研修のみが対象となり、公的機関が行う研修については実務を伴う研修が可能ということになっています。

つまり,「研修」の在留資格の場合には,基本的には労働をしてはいけない(対価が生じるような活動をしてはならない)ことになるのです。

また、この「研修」の在留資格で来日する外国人は、基本的に労働者として取り扱われませんので、日本の労働関連法令(労働基準法や労働契約法など)は基本的に非適用となる点がポイントといえます。
そのため、研修を実施する企業と、研修で来日する外国人との間において、雇用契約を締結する必要はなく、研修を実施する企業としては賃金を支払う必要もないということになります。逆に,賃金を支払うような活動は不法就労不法就労助長罪になってしまう可能性があります。
ただし、研修を実施する企業は、外国人に対して生活費として研修手当などを支給することがなります。賃金ではなく,あくまで滞在のための費用の援助です。

この「研修」の在留資格は、最長1年の在留期限があり、かつ日本で研修をした後に帰国することを前提としている在留資格ですので、在留資格「家族滞在」の対象となっておらず、家族を帯同することはできません。

「研修」のうち、①実務研修を伴わない非実務研修の場合の要件は、以下の6点です。

  1. 申請人が修得しようとする技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと
  2. 申請人が18歳以上であり、かつ国籍又は住所を有する国に帰国後、日本において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること
  3. 申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること
  4. 申請人が受けようとする研修が研修生を受け入れる日本の公私の機関(以下、受入れ機関)の常勤の職員で、修得しようとする技能等について5年以上の経験を有するものの指導の下に行われること
  5. 研修実施機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置を講じていること
  6. 研修実施機関が研修の実施状況に係る文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修の終了の日から1年以上保存することとされていること

この在留資格「研修」が不許可となる典型的なケースとしては、一般企業が受け入れる際に実務研修を伴う内容としてしまう場合が挙げられます。

前述の通り、原則として一般企業においては非実務研修のみに限定されているため、実務研修を伴う活動は認められていません。

一般企業において実務研修を伴う場合は、技能実習などの在留資格を取得する必要となるため、留意が必要です。

以上のように、外国人に「研修」をさせたいという目的で外国人を受け入れる場合で、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「留学ビザ」は日本で何ができる?ビザの取りやすさは?

2023-05-22

在留資格「留学」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「留学」の在留資格に該当する活動としては、日本の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動が該当します。

「留学」の在留資格の該当例としては、大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・中学校及び小学校等の学生・生徒です。

「留学」での在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(4年3月を超えない範囲)となっています。

また、「留学」の在留資格を保有したまま、母国に一時帰国することも可能です。
ただし、出国期間が1年以上の場合は「再入国許可」、出国期間が1年未満の場合は「みなし再入国許可」の手続きを行う必要があります。
「みなし再入国」は、出国期間が1年未満の場合は、「再入国許可」の手続きをせずに再入国をすることが認められている簡易的な制度です。
ここで留意が必要なのは、一時帰国時に保有している在留期間が1年未以内に満了する場合は、再入国期間も在留期間と同じになることということです。

さらに、「留学」の在留資格を保有している者は、当該外国人の配偶者と子供であれば、一定の条件を満たすことで日本に呼び寄せることが可能です。
この場合、「家族滞在」の在留資格を申請して日本に呼び寄せることになりますが、次の3点を満たすことを証明する必要があります。
① 法令で認められた学校に留学していること
「法令で認められた学校」とは、大学・大学院・その他法務大臣が認めている学校が対象であり、日本語学校は含まれていません。
② 適法に結婚等をしてることが確認できること
③ 家族を扶養するための十分な資力があること
扶養者の貯金などの資力が不十分である場合には、母国の親族から仕送りなどがされていることなどを証明する必要があります。

最後に、「留学」の在留資格を有する者は、学業を目的とした在留資格のため、原則として報酬を得る活動(アルバイトなど)は資格外活動に該当するため認められていません。
この資格外活動とは、現在有している在留資格では認められていない報酬を得る活動のことをいいます。
しかし、この資格外活動許可(包括許可)を取得することにより、1週間に28時間以内のアルバイトが可能になります。
ただし、夏期・冬期休業等の教育機関の長期休業中は、1日8時間以内の就労(風俗営業等への従事を除き、教育期間に在籍している場合に限る。)が可能です。

なお、余談ですが、この「留学」の在留資格に対して就労活動に制限のない永住者などの身分系在留資格を持つ外国人は、資格外活動許可の対象にはならず、資格外活動許可を得ずにアルバイト等の就労に従事することが可能です。

以上のように、一言で「留学」と言っても、様々なルールがありますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「企業内転勤」の在留資格,「転勤」する時ならいつでも認められるのか?

2023-05-15

在留資格「企業内転勤」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「企業内転勤」が認められるためには

「企業内転勤」とは、日本に本店や支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤し、当該事業所において行う入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動を行う在留資格です。

この「企業内転勤」の在留資格の該当例としては、外国の事業所からの転勤者です。
この「企業内転勤」在留期間としては、5年・3年・1年又は3月です。

ここで、技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動とは、

日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)

をいいます。

この「企業内転勤」が認められるためには、申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国にその事業所のある公私の機関の日本にある事業所において業務に従事していた期問がある場合には、その期間を合算した期間)が継続して1年以上であることが必要です。

「企業内転勤」が認められるためには、当該外国人の報酬が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要になります。

「企業内転勤」と似ている在留資格

「企業内転勤」と似て非なる在留資格として、「技能実習(企業単独型)」という在留資格があります。

この「技能実習(企業単独型)」は、日本の企業等(実習実施者)が当該日本の企業等の海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員技能実習生として受け入れる方法のことをいいます。

日本に存する企業等が、海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくという点においては、「企業内転勤」と似ています。

しかし、「企業内転勤」においては「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している外国人職員が対象となっているのに対して、「技能実習(企業単独型)」においては外国人技能実習機構が認める職種における作業を行う外国人職員が対象となっており、仕事内容に決定的な差異があります。

ごく簡単に例えるのであれば、「企業内転勤」=「ホワイトカラー」、「技能実習(企業単独型)」=「ブルーカラー」という感じです。

「日本支店」に就職する時は?

「日本の大学を卒業する予定で日本以外に本店のある企業に就職をするが,すぐ日本支店に配属される場合にどうなるのか」という質問がありました。

この場合,上記の「継続して1年以上」の勤務経験を満たさないことになるので,「企業内転勤」としての在留資格は認められないことになります。

そのため,就職する前に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が認められるかどうかを確認しておく必要があります。在留資格については,在留資格認定証明書の請求を行うことで,事前の審査を受けることができます。

海外にある法人の日本支店の方が,日本にいる外国人を雇い入れようと思う場合には,事前の手続きについて専門家とよく相談しておきましょう。

海外に存する現地法人等から外国人職員を日本に存する企業等にて勤務していただくにも選択肢がありますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

 

社長ビザはどんな事業でも認められるのか?「経営・管理」の在留資格を解説

2023-05-08

在留資格「経営・管理」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「経営・管理」に該当する活動としては、日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)のことをいい、具体的には会社の社長・取締役・監査役・部長・工場長・支店長などです。

「経営・管理」での在留期間は、5年・3年・1年・6月・4月又は3月があります。

一般的に、以下の要件を満たしている必要があります。
1.事業を営むための事業所が日本に存在すること。
ただし、その事業が開始されていない場合にあっては、その事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。

2.申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員(法別表 第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。

3.申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

この中で、上記2.ハの上記2.ロに準ずる規模は、申請をしようとする外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合で、500万円以上を投資して事業を営まれているような事業の規模などがこれに該当するといわれています。
この500万円の投資とは、その事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、次の①から③の目的で行われるものがこれに当たります。

  • ①その事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費
  • ②役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
  • ③事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費

また、引き続き行われている事業の場合は500万円以上の投資が継続的に行われていることが必要であり、この継続性が確認される場合には事業規模を満たしているものとされます。

上記以外にも、各要件において様々な判断要素がありますので、在留資格「経営・管理」の取得を考えられている外国人の方は、ぜひご相談ください。

上陸拒否されても日本に入国することができるか?上陸拒否の特例について解説

2023-04-26

一度強制送還をされてしまうと,多くの場合には再入国を拒否されてしまいます。

再度日本へ入国することを希望する場合,どのような手続きがあるのでしょうか。

「上陸拒否の特例」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(架空の事例です)

Aさんは、小学校1年生の時に、南米にある日系移民が多く暮らす町から家族全員で日本に移住してきました。Aさんはおじいさんが日本人の日系3世です。Aさんは父母、弟、妹の5人家族で、Aさんが10歳の時にお父さん、お母さん、弟、妹とAさんの5人全員がA県に移住してきました。AさんはA県の公立高等学校を卒業して、A県にある自動車部品製造会社で、3交代で働いていました。

ある時知人から「この草をたばこのように紙に巻いて吸うと疲れが取れるよ。試してみないか」とすすめられ、興味本位で知人から大麻草0.5グラムを譲り受けました。

Aさんはこの草をインターネットで検索し大麻草であることを知りましたが、最近仕事でストレスがたまっていたこともあり、気分転換のつもりで吸ってもどうせばれないだろうと考え、夜勤明けに会社近くにある公園の駐車場で、紙たばこのようにして大麻草を吸っていたところ、公園を巡回していた警察官に見つかり現行犯逮捕されました。

その後Aさんは起訴され裁判所で懲役8月執行猶予3年の有罪判決を受けました。

この事件が原因で入管からこれまでの素行善良要件に問題があると判断され、Aさんは次の在留更新が不交付となって本国に帰ることになりました。本国に帰ったAさんには親しい知り合いが誰もおらず、小さいころから日本で生活しているため母国語もよくわからないため給料の高い仕事につけず毎日の生活が本当に大変です。なんとか日本に戻って安定した仕事を得て、日本にいる家族と一緒に生活したいAさんですが、入管からは無期限上陸拒否の処分がでているため、観光ビザでの入国すらも拒否されてしまいます。Aさんの大麻取締法違反の刑の執行猶予期間はとっくに経過しており、刑の言い渡しは効力を失っているにもかかわらず(刑法27条)、ほんの出来心でわずかな量の大麻を吸引して日本で罰を受けたAさんは、このままでは永久に日本に戻れません。

一体どうすればAさんは日本に戻ることができるのでしょうか?

Aさんが日本に入国するためには?入管法の規定はどうなっているのか?

入管法では上陸拒否について以下のように規定されています。

<関連条文>

入管法第5条1項

「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入国することができない。」

入管法第5条1項では、上陸拒否に該当する事由を列挙しています。

入管法第5条第1項4号

「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りではない。」

一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた場合は、無期限上陸拒否となります。ここで注意しなければならないのは、この条文にある「相当する刑に処せられた」です。本来「執行猶予」期間が経過すると刑が失効するにも関わらず、「一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑」に「執行猶予」も含めて運用されているため、日本では起訴=有罪がほぼ100%であることから、裁判所から有罪判決を受けたという事実だけで、ほぼ無期限の上陸拒否事由に該当してしまうことになります。

結果として該当者やその家族にとって極めて厳しい選択を強いられる結果となり、事件をおこした外国人だけでなく、その家族にとっても過酷な運用となっています。

例えば入管法第5条1項4号に該当する方の日本人配偶者の場合、家族が一緒に暮らすことを選択した場合は、日本人でありながら日本国内で家族一緒に暮らすことがかなわず、家族全員海外での暮らしを余儀なくされます。子供を日本の学校に通わせたい場合は海外と日本で家族が離れ離れとなり、普通の日本人家庭であればごく当たり前のことが当事者にとってはきわめて困難な選択となる恐れが生じます。

入管法五条一項は上陸拒否の該当事由を列挙していますが、この条文と対になる条文が入管法第五条の二(上陸特別拒否の特例)です。   

「法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第二六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないとすることができる。」

仮に上陸拒否に該当する事由があったとしても、上陸を認める相当の理由があるときは、入管法五条に該当する事由のみをもって上陸を拒否しない、すなわち「相当の理由」があれば上陸を認める場合もあるということです。

では「相当の理由」とはどのような意味でしょうか?

法務大臣の裁決の特例としての上陸特別許可    

入管法第一二条第一、二、三項に該当する場合、入管法第七条一項四号で定める上陸の基準には適合しない場合でも上陸を特別に許可する場合があります。   

実務上多い類型として、入管法第十二条第三項の「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとみとめるとき。」が挙げられます。

ここでの「特別に上陸を許可すべき事情」とは、家族の結合など、上陸を認めることが人道上の観点から配慮すべき場合です。

仮に無期限上陸拒否に該当する場合であっても、人道上特別な事情が認められれば、上陸(入国)が認められる余地はあるということです。

在留申請に人道上特別な事情があることを、在留資格認定証明書を通して入管に訴えていきます。

日本に滞在中に有罪判決を受けて日本への入国が拒否されている場合でも、特別に入国が認められることはあります。

 

上陸拒否を受けて日本への入国を拒否されている方や家族等、日本に入国できずに困っている方は、お一人で悩まずに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(033-5989-0843)までご相談ください。

介護の仕事でビザが取れる?新しい就労ビザ「介護」について解説

2023-04-13

「介護職の外国人の在留資格」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

日本で外国人が「介護職」として働くためには、4つのパターンがあります。

1.外国人技能実習生として
外国人技能実習制度の職種として「介護職」で実習することが認められています。
外国人技能実習制度とは、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るという制度です。 この技能等の修得は、技能実習計画というものに基づいて行われます。
外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習1号」で1年間、「技能実習2号」で2年間、「技能実習3号」で2年間の最長5年間の実習が認められています。
なお、外国人技能実習生として実習する場合は、「技能実習2号」から「技能実習3号」に変更するまでの間又は「技能実習3号」に変更してから1年以内に、法律上1ヵ月以上母国に一時帰国する必要があります。

2.特定技能外国人として
特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、在留資格「特定技能1号」で最長5年間、日本で介護職として働くことが認められています。
特定技能制度とは、日本国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性、技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
なお、特定技能外国人として「介護職」で働く場合は、「技能実習」とは異なり、法律上母国に一時帰国をする必要はありません。

3.EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として
EPA介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら、国家試験である介護福祉士の資格取得をめざす外国人のことをいいます。
介護業界におけるEPA(経済連携協定)とは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国と結ぶ経済連携協定をいいます。介護福祉士の資格取得を目指してEPA制度で来日した外国人は、日本の介護施設で研修を行いながら国家試験の合格を目指すことになります。

このEPA介護福祉士候補者になるためには、以下のように各国の条件があります。
インドネシアでは、高等教育機関(3年以上)卒業をした上で、インドネシア政府による介護士認定を受けるまたはインドネシアの看護学校(3年以上)卒業する必要があります。
フィリピンでは、4年制大学を卒業した上で、フィリピン政府による介護士認定を受けるまたはフィリピンの看護学校(学士・4年)卒業する必要があります。
ベトナムでは、3年制または4年制の看護過程を修了する必要があります。

このように、EPA介護福祉士候補者は希望すればすぐになれるわけではなく、母国でも相当の学習が必要になっています。国別の差異はありますが、少なくとも介護や看護の学校へ3~4年間通うことが必須となっています。

4.在留資格「介護」として
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行う者として働くことができます。
該当例としては、介護福祉士として働くことになります。
なお、令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」が認められることとなっています。
この「介護」の在留資格の在留期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかが認められることとなります。

以上のように、日本において「介護職」として働くためには、上記の4つのパターンがあり、外国人の方は自身の状況に応じたパターンを選択することができます。

強制送還された後も再入国できる?上陸特別許可の解説

2023-03-28

上陸特別許可・上陸拒否の特例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

日本で暮らしていた外国人が、オーバーステイや何かの犯罪をしてしまい有罪判決を受けて本国に帰国したときは、日本から出国したあと再び日本に入国できるでしょうか?

再入国できないのはどんな場合?

入管法5条1項では、外国人の日本への上陸拒否(入国を認めない)にあたる事項を列挙しています。

上陸拒否に当たるもので代表的なものとして

  • 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがない場合の上陸拒否期間は,退去強制された日から5年
  • 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがある場合(「複数回退去強制」)の上陸拒否期間は,退去強制された日から10年
  • 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は,出国した日から1年  
  • 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合

  「懲役刑等(1年以上)」は無期限上陸拒否、「等」には執行猶予も含む。

  • 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の法令に違反して刑に処せられた者は無期限上陸拒否
  • となっています。

該当者が執行猶予を含む1年以上の有罪判決を受けて判決が確定した場合、一旦日本から出国すると、法律上は永久に日本に入国することが出来ないという極めて厳しい規定となっています。

また薬物事犯の場合は、1年以下の有罪でも無期限上陸拒否となります。

①はオーバーステイにより退去強制を受けた場合、それが初回であり、かつ過去に出国命令を受けたことのない場合の上陸特別拒否期間について規定しており、退去強制の日から5年間は再び日本に入国することが出来ませんというものです。

最近一部マスコミ等でオーバーステイにあたる者に対して「非正規滞在者」という表現を使用していることと関係しているのか、時々ご相談の方から「オーバーステイは犯罪じゃないですよ」というお話しをされることがあります。

しかし,出入国管理及び難民認定法ではオーバーステイは「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」と規定されていることから、あくまで法律上オーバーステイは罰則のある犯罪です。

オーバーステイは「非正規滞在」だから「非正規労働者」みたいなもので、特に法律上問題はないだろう,と思われることが,上記のようなお話をされる理由かもしれませんが,法律上は誤りです。オーバーステイで逮捕されるということは全く珍しくありませんし,仮に刑事事件で扱われなくても行政処分として出国後5年間は日本に上陸が出来ません。

それゆえオーバーステイを安易に考えることは出来ません。

なお出入国在留管理局を含む法務省、総務省等の官公庁は、オーバーステイに対する表現を「不法滞在」で統一しています。

再入国できる場合とは?

入管法7条1項各号では、外国人が日本に上陸するための条件が規定されています。

この条件に適合しない場合、本来なら日本に上陸することができませんが、法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると判断した場合に、法務大臣の裁量により上陸が認められる場合があります。この法務大臣による許可を「上陸特別許可」といいます。

H21年に入管法が改正され上陸拒否の特例(法5の2)が設けられました。

入管法5条1項で規定する上陸拒否事由に該当する場合であっても、法務大臣が法務省令に該当する場合であって相当と認める時には、入国審査官,特別審理官,法務大臣と三段階の手続を経る上陸特別許可(法12条1項)を行わずに、入国審査官が上陸許可の証印をできるようにする規定です。(『入管法と外国人労務管理・監査の業務』857P)

申請の方法として、あらかじめ在留資格認定証明書交付申請を行い、審査の結果、同証明書が交付されると申請人は在外公館で査証発給を得て、我が国の空港などで上陸申請を行い日本に入国します。

 

上陸特別許可、上陸拒否の特例に関してご心配や困りごとのあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

「技能実習」の在留資格は何か,「技能実習」はどんな制度?

2023-03-20

在留資格「技能実習」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

①外国人技能実習制度の概要

外国人技能実習制度は、1960年代から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が元となっており、この研修制度が評価されたためこれを原型として1993年に制度として整備されたものです。

技能実習制度の目的・趣旨は、日本で培われた技能、技術又は知識(以下、「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際貢献の制度です。
技能実習制度の目的・趣旨は1993年に制度が創設されてからずっと一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(技能実習法第3条第2項)とされています。

技能実習制度の内容は、外国人技能実習生が、日本において企業等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。
実習期間は最長5年とされ、技能等の修得は、外国人技能実習機構に認可された技能実習計画に基づいて行われることになります。

②技能実習生受入れ方法

受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。

このうち企業単独型での受入れをしている会社はほぼ無く、約99%の企業が団体監理型での受入れとなっています。

企業単独型とは、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。

一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。

上記2つの方法の最大の差異は、受け入れた技能実習生を企業等が直接、業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をするか否かという点にあります。

企業単独型で受け入れた場合は、企業等が直接、技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになります。

一方、団体監理型で受け入れた場合は、前述の「監理団体」が技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになり、企業等としては監理団体にフォローをしてもらうことができます。

技能実習生は入国後に、入国後日本語講習や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等(実習実施者)との雇用関係の下で、実践的な技能等の修得をしていきます。

この中で、法的保護に必要な知識等についての講習(8時間)については、企業単独型であっても団体監理型であっても、必ず実習開始前に受講する必要があります。

なお、企業単独型の場合であれば入国後日本語講習の実施は入国直後でなくても構いません。

高度専門職の在留資格が変わる?特別高度人材制度について解説

2023-03-14

在留資格「特別高度人材制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

日本政府は、高度な知識や技能を持つ外国人材を日本で働いてもらうために、新たに「特別高度人材制度」を創設します。

「特別高度人材制度」について具体的にご説明すると、「高度専門職」の在留資格について、年収2,000万円以上の研究者の方々に資格を付与する新ルートを設けるというものです。
2023年2月17日の関係閣僚会議で導入が了承され、2023年4月中の運用開始を予定しています。

現在の高度専門職の在留資格は、学歴や職歴、年収、年齢などを項目ごとにポイント化し、ポイントの合計が70点以上となった場合、「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組みになっています。
この高度外国人材1号は3年を経過すれば、在留期間が無期限の「2号」に移行できます。
出入国在留管理庁によれば、このポイント制が始まった2012年5月から22年6月までに研究者や技術者、経営者の中で約3万5,000人が高度外国人材として在留資格が付与されているとのことです。

今回の新制度は、国際間の人材獲得競争が激化していることから、ポイント制という制度は保持しつつ、新たなルートを加えるというものになっています。
この新たなルートでは、研究者や技術ら者は、「修士号以上を取得」、「職歴が10年以上」のいずれか一方の条件を満たし、年収が2,000万円以上であれば高度外国人材1号を与えるというものです。
また、経営者は職歴が5年以上で年収4,000万円以上が条件となります。
いずれもポイント制より短い1年で2号に移行できるようになります。

さらに、若い海外人材を呼び込むため、世界大学ランキングで100位以内に入っている大学の卒業生の方々を「未来創造人材」として「特定活動」の在留資格を与える予定です。
就職活動や起業に備え、日本に2年間滞在できるようにし、その間の就労も認められる予定です。

このように、日本では様々な外国人の方を日本で働いていただけるように日々検討し、新たな在留資格を追加しています。
例えば、ご存知の方も多いかと思いますが、2019年4月に導入された「特定技能」という在留資格についても、日本が新たに認めた在留資格の一つです。

最後に、新たな在留資格についてはまだルールが定まっていないことが多く、自身で在留資格を取得又は変更させる際に手間がかかることも多く、現在はオンラインでの申請が認められておりますので、在留資格に強い専門家に依頼することをお勧めします。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

03-5989-0843電話番号リンク 問い合わせバナー