Posts Tagged ‘取消し’

離婚後に定住者への在留資格の変更が認められた裁判例

2021-04-14

日本人と離婚した外国人の方が,「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格の変更を求めて裁判を起こした結果,裁判所が,在留資格の変更を認める方向の判決を出した事案について紹介します。

「在留資格の変更を認める方向」という,少し遠回しな言い方になっているのは,裁判所が直接「在留資格の変更と認めた」というわけではないからです。

この事案では,外国人の方が一度,在留資格の変更の申請(「日本人の配偶者等」→「定住者」)をしたところ,当時の入管が不許可の処分をしました。外国人の方は,この不許可処分の取り消しを求めて裁判を起こしたのです。

裁判例は,平成14年4月26日東京地方裁判所で判決が言い渡された事件です。それでは詳しく解説します。

(さらに…)

日本人と離婚したら国外退去?

2021-04-02

日本人と結婚していたのに,在留資格が取り消されたという裁判例について解説をしました。

参考 在留資格の取り消しを争った裁判例

この裁判例の前提として,日本人と結婚していた外国人の方が,離婚した場合にはどうなるのかについて解説したいと思います。離婚したらすぐに国外退去となってしまうのでしょうか。

なお,日本人と結婚していたけれども「日本人の配偶者等」の在留資格に変更していないという方は,全く問題がありません。離婚したとしても,在留資格に関わる活動を継続している限りは,在留資格が取り消されるということはありません。

離婚したときの在留資格

在留資格とは,日本国内での活動に応じて付与されるものです。「日本人の配偶者等」という在留資格は,日本人の配偶者,日本人の子として日本で生活する場合に認められる在留資格です。

この「配偶者」とは,日本の法律に従って結婚している場合を指し事実婚や内縁関係の場合には「配偶者」には該当しないことになります。また,離婚届が受理されると,「日本人の配偶者」ではないことになります。

では,離婚するとすぐに在留資格が取り消されるのでしょうか。

実は,法律上はそうなっていないのです。

入管法上は,

『その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く)』場合に限って,在留資格を取り消すことがある,としています。

これは,夫婦関係については喧嘩などの理由からしばらく別居したり距離を取ったりすることもあるため,6か月程度は別れるつもりなのかどうか時間をおいてみるべきであることや,日本人と離婚したとしても,その後別の在留資格を取得する可能性があることや,離婚後の手続きなどの関係上,直ちに日本から出国するのが難しい場合があることから,すぐに在留資格を取り消すのは外国人の立場を不安定にしてしまうため,一定の期間を設けていると理解できます。

そして,離婚した時から「配偶者としての活動をしなくなった」となります。

そのため,離婚してから6か月がたつと,「配偶者としての活動を6か月以上行っていない」として,在留資格が取り消される可能性が出て来るのです。

日本人の配偶者としての活動を継続して6か月以上行わず,他の在留資格へ変更しないで在留資格が取り消された場合には,「30日間」の出国準備期間が設けられ,その間に日本から出国しなければなりません。この時の出国は「強制送還(退去強制)」ではありませんので,再入国禁止の期間は特にないことになります。

離婚後に出国準備期間が付与され,一度日本から出国したとしても,すぐに他の在留資格で再度入国するということは可能です。

但し,この出国準備期間の内に日本から出国しなかった場合には,強制送還(退去強制)の対象となってしまいます。強制送還されてしまうと,原則として5年間,日本に入国することが出来なくなってしまいます。離婚後も日本への入国を考えているという方は,出国準備期間を過ぎてしまわないように十分に気を付けましょう。

※親権や養育費をめぐって離婚の調停や裁判が続いている間は?

離婚に関する調停や裁判が続いている間についても,在留期間を6か月として「日本人の配偶者等」の在留資格が認められる場合が多いです。

離婚の調停や裁判が続いている間であっても,その後,夫婦関係が回復する可能性もあるから在留資格がすぐに取り消されるものではありません。

※夫からのDVで逃げている場合

配偶者からの暴力から逃れて一時的に別居しているという場合には,在留資格が取り消されない可能性があります。

但し,DVが原因となり,離婚届けは出していないものの,事実上結婚生活が破壊されているという場合には,そもそも「日本人の配偶者」ではなくなったとして,在留期間の更新が認められない場合があります。そのような場合には,次の「定住者」へ在留資格を変更することを考えましょう。

離婚後の在留資格はどんなものがあるか

離婚したとしても,すぐに在留資格が取り消されて強制送還されるわけではないことが分かりました。

次に,離婚後も引き続き日本での滞在を希望する方の在留資格について解説します。

就労系の在留資格

離婚後,外国人の方のお仕事が就労系の在留資格に該当する仕事であれば,就労の在留資格へ変更することが可能です。例えば,通訳業をしていた方であれば「技術,人文知識・国際業務」,学校の先生であれば「教育」や「技術,人文知識,国際業務」等があり得ます。

もちろん,離婚した後でも転職活動をすることはできますし,離婚後に在留資格が認められるような仕事を探すのでも全く構いません。

技術,人文知識,国際業務の在留資格についてはこちらでも解説しています。

技術・人文知識・国際業務の在留資格取得手続

定住者の在留資格

「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた方のうち,一定の条件を満たす場合には,離婚後にも「定住者」へ在留資格することが出来ます。

定住者への変更が認められる場合としては,

1 日本で概ね3年以上正常な婚姻関係,家庭生活が継続していた方(離婚定住)

2 日本人との間に生まれた子どもを監護,養育している方(日本人実子扶養定住)

が該当します。

また,離婚はしていないものの,配偶者からのDVによって事実上婚姻関係が破綻しているという場合には「1」の離婚定住と同様に,定住者への在留資格の変更が認められる場合があります。

定住者の場合には就労の制限がないので違法なものでない限り,日本国内で様々な仕事をすることが出来ます。

離婚後に「日本人の配偶者等」から「定住者」へ変更するという場合には,離婚後も日本で生活を営むだけの資産や技能があることが条件とされています。

まとめ

今回は,離婚後の在留資格がどうなるのかという点について,解説しました。

離婚すると,すぐに在留資格を取り消されるというわけではありませんが,きちんと入国管理局への届け出をしなければなりません。

また,離婚から6か月が過ぎると,「日本人の配偶者等」の在留資格については取り消される可能性が出て来るので,その後も日本での在留を希望する場合には,別の在留資格への変更をしなければなりません。

「定住者」がどのような在留資格なのかについては,また改めて詳しく解説をしたいと思います。

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所判決

2020-12-11

このページでは,在留特別許可を求めて裁判まで争われた事例について,判決文を見ながら解説をします。事例は,令和2年2月18日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例は,外国籍の3人の家族について,それぞれ在留特別許可を求めて裁判を起こしたところ,そのうち1人について法務大臣が在留特別許可を認めなかったことについて判断の誤りがあったとしたものです。

(さらに…)

仕事を休んだら/退職したら,帰国しないといけない?

2020-11-13

このページは,就労ビザ(在留資格)で日本に在留する方が,退職する場合や休職する場合に,在留を続けられるのかどうかを解説します。

 

就労ビザ(在留資格)について

就労ビザとは,日本で働くことを目的とした在留に認められる在留資格です。

就労ビザと呼ばれる在留資格には,経営・管理(以前の投資・経営の在留資格),法律・会計業務,医療,研究,教育,技術,人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能,技能実習,高度専門職が挙げらます。これらの在留資格は,それぞれに対応した職種で働くことを前提として認められている在留資格です。

そのため,「経営・管理」の在留資格で日本にいる方が本来の業務以外で教育の職に就いていたり,通訳業務等についていたりすると,資格外活動として刑罰や在留資格の取消処分が科される可能性があります。在留資格外の活動を行うことについては,出入国管理法において禁止され,刑事罰や行政処分の対象になっているのです。

では,「在留資格に沿った活動をしなかった」という場合には,どうなるのでしょうか。

具体的には退職するという場合,休職するという場合を考えてみます。

 

退職したら在留資格はどうなる?

退職することによって直ちに出国を命じられたり,在留資格が取り消されるということはありません。

出入国管理法には,就労ビザで在留している外国人が日本で退職した場合には,在留資格が取り消される可能性があることを定めています。

それが,在留資格の取消について定めた,出入国管理法22条の4という条文です。


出入国管理法22条の4

第6号 別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者が,当該在留資格に応じた同表の下欄に掲げる活動を継続して3月(カッコ内省略)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く)。


元々認められた在留資格に関する活動を継続して3ヶ月以上正当な理由なく,行わなかった場合には,在留資格を取り消すことがあると定めています。

そのため,退職して3か月以上働かないで何もしないで日本で生活していた場合には,在留資格が取り消されることがあるのです。

ここで重要なのは,「継続して3か月以上」活動をしていないこと,「正当な理由」がなければ在留資格は取り消されないということです。

ですので,退職してから3か月以内に別の同じ職に就いていれば(もちろん,在留資格で認められる範囲の職に限ります)在留を続けられますし,働いていない期間の累計が3か月を超えてしまっても継続していなければ問題はありません。なお,あまりに休みがちだと会社を解雇されてしまったり,在留期間の更新申請が不許可となってしまう可能性もありますので,注意しましょう。

また,正当な理由がある場合であれば在留資格は取り消されません。例えば,自主退職した後も転職活動を続けている場合や,会社が倒産してしまったため止むを得ず解雇されてしまい新しい仕事を探しているような場合,本人や家族が病気などのため一時的に仕事を辞める場合等,本人が仕事を続けたくても続けられないようなやむを得ない事情がある場合であれば,正当な理由があると見られます。

退職したり転職したりしても,在留資格が直ちに変わるわけではありません。ですので,在留資格で認められている範囲外の仕事は資格外活動になりますし,転職するまでの間の繋ぎとして短期間のアルバイトをした場合であっても資格外活動になる可能性があります。

☆退職後に他業種に転職する場合には在留資格の変更申請を忘れずに行いましょう。

 

休職したらどうなる?

休職している場合にも「継続して3か月以上」「正当な理由なく」働いていないという場合かどうかによって,在留資格が取り消されるかどうか変わります。

例えば,旅行のために1ヶ月休みをとったという場合であれば「継続して3か月」になっていませんし,病気等の療養のために一時的に仕事を休んでいるという場合には正当な理由があるといえます。本人や家族が入院する必要がある場合等についてはそもそも在留資格を取り消さないという運用がなされています。

今,問題となっているのは,感染症等によって,会社の都合により出社できなくなった場合についでです。

会社の都合で出社できない場合,例えばリモートワーク(在宅勤務)となっている場合等も,きちんと働いているものと考えられますので,在留資格の取消とはなりません。在宅勤務をしていたことの証拠をとっておくためにも,会社でのメールや通話の履歴,Web会議などの履歴はある程度保存しておくと安全です。

更に,リモートワークのみならず,会社都合での休職となっている場合も,「正当な理由」があると言えるでしょう。会社都合での休職の場合には,労働基準法の基準に従って(平均賃金の6割以上),休業手当が支払われなければなりません。但し,会社都合の休職であっても,その間に副業等をする時には,資格外活動にならないように注意しなければなりません。本来の在留資格の目的外の活動を許可なく行ってしまうと,資格外活動として在留資格が取り消されたり,刑罰を受けたりする可能性があります。

まとめ

上記の内容をまとめると,次のようになります。

☆退職する場合には次の職が決まっているかどうか,どんな業種の仕事かによって,在留資格に必要な手続きが異なります。

☆休職する場合にはどんな事情によるのか,どれくらいの期間休むのかによって,在留資格の取消の可能性が変わってきます。

退職/休職の際の手続きに不安がある方は,在留資格を取り消されないためにも,また,今後の在留に関する手続きに禍根を残さないためにも,早めに弁護士などの専門家に相談されると良いでしょう。

トップへ戻る

03-5989-0843電話番号リンク 問い合わせバナー