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「家族滞在」ビザをもらうためには?別のビザに変更する時は?

2023-07-06

在留資格「家族滞在」についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「家族滞在」とは何か

  • 創設の目的について

一定の在留資格をもって、本邦に在留する外国人の扶養家族を受け入れるためにもうけられました。

  • 在留期間について

「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人は、その扶養者である配偶者又は親が本邦に在留する間に限って本邦に在留することができます。

  • 扶養者の在留資格の種類について

申請人の配偶者又は親である扶養者の在留資格が、「教授」、「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文・国際」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」又は「留学」

の場合に限られます。

ここで注意すべき点として、扶養者が日本語学校の留学生の場合は、在留資格は「留学」ですが、「家族滞在」では対象外となります。(基準省令第1号イ又はロに該当しないため)

家族滞在が認められるために必要な要件として以下の3つが必要です。

  1. 扶養者の扶養意思:扶養者が「家族滞在」で在留するものに対して扶養の意思を有すること。
  2. 扶養者の扶養能力:扶養者が申請人(家族滞在で来る人)を扶養する能力があること。
  3. 配偶者又は子にあっては、現に扶養者の扶養を受け又は看護養育を受けていると認められること。

その他、配偶者又は子として在留する場合にあっても、主たる入国目的が扶養者に依存することなく独立して別個の活動に従事するときは、それぞれに対応した在留資格が必要です。「例えば仕事をして収入を得ようとする場合は、就労資格が必要」となります。

「家族滞在」から在留資格変更許可申請について

「家族滞在から定住者への変更」どのような場合に必要となるでしょうか。

(架空の事例です)

N国出身のAさんは、父親が日本でレストランで働くために「技能」の在留資格を取得して来日したことに伴い10年前に母親と3人で日本に来ました。

Aさんが初めて日本にきたときはまだ8歳でした。来日してから日本の小学校、中学校を経て今年の春高校を卒業しました。

高校卒業と同時に地元にあるB商社に働くことが決まりました。

Aさんの高校卒業と同時期に父親のレストランで働く契約期間が切れたことに伴い、Aさんの両親はN国に帰ることになりました。

Aさんの在留資格「家族滞在」は、Aさんの扶養者であるお父さんの在留資格である「技能」がなければ認められません。

Aさんはせっかく内定したB社を辞退して、両親と一緒にN国に帰国しなければならないのでしょうか?

 

次の1~5いずれの要件にも該当する場合は、「家族滞在」から「定住者」への在留変更が認められる場合があります。

1「家族滞在」の在留資格をもって在留していること

2 入国時に18歳未満であること

3 日本の義務教育を終了していること

4 日本の高等学校を卒業していること

5 就職先が決定(内定を含む)していること

立証資料として、

・履歴書(義務教育を終了した経歴について記載のあるもの)

・小学校・中学校を卒業したことを証明する資料(卒業証明書又は卒業証書の写し)

・高校を卒業したことを証明する資料

・就職先の内定通知書又は雇用を証明する資料等。

 

上記の事例のAさんは、上記1~5いずれの要件にも該当することから、両親と一緒に

N国に帰らなくとも日本で働いて自分のビザ(定住者)で在留することが出来そうですね。

 

在留資格「家族滞在」についてご心配やお困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

 

                   参考:出入国在留管理庁 入国・在留審査要領

研究者の在留資格は何があるか?教授とは何が違うのか

2023-07-03

在留資格「研究」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「研究」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授の項に掲げる活動を除く。)です。

「研究」の該当例としては、政府関係機関や私企業等の研究者などです。
日本にある外国法人の支店・支社で行う研究活動も対象になります。
この場合、外国から転勤し日本で研究活動を行う場合は、一定の条件を満たせば下記の「学歴・職歴」要件が不要とされます。

また、個人が経営する会社などで行う研究活動も、研究活動を行うに足りる施設および人員があれば「研究」の在留資格の対象になります。

「研究」の在留期間は、5年・3年・1年又は3月です。

まず、「研究」の在留資格が認められるためには、継続的な「契約」があることが必要になります。

例えば、日本の機関と契約せずに,外国企業の研究員として日本で研究活動を行う場合には、この「研究」の在留資格には該当しません。
ですので、日本の機関・企業等との直接的な雇用契約が必要ということになります。

「研究活動」については、その研究が専門的・科学的な研究に該当する必要があります。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と「研究」の在留資格との差異は、「技術・人文知識・国際業務」は外国人が有する「技術・知識」を用いて企業などで業務を行う外国人を対象としているのに対し、「研究」はそれら「技術・知識」を研究する外国人を対象としている点にあります。

審査のポイントとしては、大学(※1 短期大学を除く)を卒業後に、その研究分野で修士号を取得または3年以上研究に従事していること(大学院において研究した期間を含む)、または、その研究分野において10年以上の実務経験(大学において研究した期間を含む)を有することなどが要件になっているため、申請者の「学歴・職歴」が重要なポイントになってきます。
※1:日本の専門学校を卒業して「高度専門士」の称号を付与された外国人は要件に適合しますが、「専門士」の称号を付与された外国人は要件を満たしません。

日本人が受け取る報酬と同等額以上の報酬を得ることが条件になります。
「報酬」については、報酬月額は賞与を含めた年収(基本給+賞与)の1/12で計算し、諸手当(通勤手当・扶養手当・住宅手当・超過勤務手当など)は計算に含めません。

また、日本人が受け取る報酬と同等額以上の基準についてですが、初めて外国人を採用されるケースにおいては、当該外国人の学歴や受け入れる会社の規模、受け入れる会社の職種などを総合的に考慮して当該外国人の報酬額を決める必要があります。

なお、大学などの教育機関以外の場所で研究を行う場合には、「研究」の在留資格が該当しますが、大学などで研究を行う場合は、「教授」の在留資格になりますので、ご注意ください。

また、報酬を得ることなく研究を行う場合は、「文化活動」の在留資格の対象となります。

上記のように、「研究」の在留資格に該当するように思える場合であっても、別の在留資格に該当することもありますので、「研究」の在留資格についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

強制わいせつ罪で懲役刑の判決を受けたら,強制送還?

2023-06-30

(以下の事例はフィクションです)

外国籍のAさんは,東京都に住んでおり,日本人の女性と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得して日本に在留しています。

Aさんは日本の会社に勤めており,日本での生活も20年以上です。

ある日Aさんは,会社の飲み会で飲みすぎてしまい,帰り道に酔った勢いで見ず知らずの女性に抱き着いて服の中まで手を入れて体を触ってしまいました。

その場で通報されてAさんは,東京湾岸警察署で逮捕されてしまいます。Aさんは強制わいせつ罪で起訴され,裁判では懲役1年6月,執行猶予3年という判決が下されました。

Aさんは強制送還されてしまうのか不安に思い,弁護士事務所に相談することにしました。

起訴されることを避ける

事例でAさんは既に逮捕,起訴されてから在留資格についての相談をしようと思ったようです。

後で解説する様に,今回のAさんの事案であれば,裁判の後でもまだ大丈夫だったのですが,それ以外の在留資格の人や違う罪名の刑事事件の方の場合,判決が出た後ではどうしようもない状態になってしまっているという方もいます。特に,「起訴される前に手を打っておけば日本に残れたかもしれないのに」という事案はたくさんあります。

外国人の方で特に日本での刑事事件についてお困りがある方,ご家族や友人の外国人の方の事件についてご不安がある方は早めにご相談ください。

「懲役刑」の場合の強制送還

Aさんの場合,在留資格が「日本人の配偶者等」にあたるため,一般刑法の有罪判決だけで強制送還されるというわけではありません。

刑事裁判においては,一般刑法事件特別法事件という,大きく分けると二種類の事件があります。

一般刑法事件というのは,刑法に規定がある犯罪のことです。暴行や傷害,窃盗,住居侵入,といったものがあります。強制わいせつも一般刑法犯にあたります。

一方,特別法事件というのは刑法以外の法律の違反で刑罰の規定がある事件のことです。ニュースなどで「○○法違反で逮捕」という報道がされることがありますが,このように「○○法違反」と表現されるのはいずれも特別法に違反した刑事事件です。覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反,関税法違反,売春防止法違反,といったものがあります。

Aさんのように就労系の在留資格ではなく,「日本人の配偶者等」の在留資格の方で,一般刑法事件で有罪判決となった場合,1年以上の実刑判決でなければ,すぐに強制送還されるということはありません。Aさんの事例では,「執行猶予付きの判決」になっており実刑判決ではないため,強制送還を免れる可能性があります。

有罪判決が出た場合の在留資格への影響

それでは,実刑判決でなければ在留資格やビザへの影響がないと言えるのでしょうか。

その答えはNOです。

Aさんのように「日本人の配偶者等」の在留資格で在留している方の多くは「永住者」の在留資格へ変更することを考えているかと思います。

永住許可がもらえれば,在留期間を更新する必要がなくなり,また,日本でも住宅ローンを組みやすくなるなど,生活が大きく変わるからです。

日本で有罪判決を受けてしまうと,永住許可がもらいにくくなります。永住許可が認められるための条件の一つに,日本での素行の善良性というものがあります。「日本のルールを守って正しく生活している」ということです。有罪となって執行猶予付きの判決を受けてしまうと,この「素行の善良性」が悪いと判断されてしまい,永住許可が認められないケースがあります。

もちろん,外国人の方も日本人と同様に「前科」があることによって様々な社会生活上の制限を受ける可能性があります。具体的には仕事を解雇されてしまったり,自営であれば取引が停止してしまったり,職務上の専門資格を失ってしまう可能性もあります。

すぐに強制送還されることがないからと言って安心しきってしまうのではなく,刑事裁判の判決が自分の在留資格へどのように影響するのか,事前に専門家によく相談しておく必要があるでしょう。

在留期間の更新手続,5年のビザをもらうにはどうしたらいい?

2023-06-27

 在留更新について

「在留期間を1年から3年に延長するにはどうすればいいのか?」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

外国人が3か月以上日本に滞在する場合、在留中の身分を証明するものとして在留カードが発行されます。

在留資格には期間があります。6か月、1年、3年、5年のいずれかの期間の中で在留期限が設けられ、事前に認められた在留期間は,日本で在留することができるのです。

日本に在留する外国人が、引き続き日本の在留を継続したい場合は、必ず在留期限前に在留期間更新申請手続きを管轄の出入国管理局で行う必要があります。

在留期間は入国の段階で事前に審査により期間が定められ、最初から最長の在留期間である5年の在留期間が認められる場合もありますが、大抵の場合、最初は1年間の在留期間が許可されます。

在留更新手続きについては出入国管理及び難民認定法(以下入管法)で規定されており、

「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がある場合に限り、これを許可することができる。」(入管法21条第3項)

とされています。

在留期間が1年ずつの更新の場合,申請する外国人にとってみれば、毎回の更新で不交付になるリスクがあり、精神的にも労力的にも負担が大きいです。

在留期間が「1年」から「3年」に延長されれば,更新ができなくなるリスクも減少し、申請側の負担も軽減されます。申請する側にとってみれば1年ごとの在留更新よりも3年ごとの在留更新の方が精神的にも経済的にも有利となります。

では、毎年1年ごとの期間更新しか認められない場合、どのような点に注意すれば在留1年が3年に延長されるのでしょうか?在留資格の中で一般的な「日本人の配偶者等」を例に考えてみます。

在留資格「日本人の配偶者等」:更新期間は6月 1年  3年  5年のいずれかになります。

入管の審査基準である「審査要領」によると在留期間が5年として認められるのは,次のいずれにも該当する方をいいます。

  • 申請人又は申請人を扶養する親が入管法上の届出義務(住居地の届出、住居地変更の届 出、所属機関の変更の届出等)を履行しているもの
  • 申請人又は申請人を扶養する親が公的義務を履行しているもの
  • 学齢期(義務教育の期間をいう。)の子にあっては、小学校又は中学校(いわゆるインタナショナルスクール等を含む。)
  • 主たる生計維持者が納税義務を履行しているもの
  • 本邦に5年以上在留しているもの

上記①から⑤の要件を全てクリア出来れば5年(在留の最長期間)が認められる基準を満たしているということになります。(あくまで基準であり、この基準を満たせば必ず5年がつくわけではありません)

在留期間3年 次のいずれかに該当するもの

①5年の在留期間を決定されていた者で、在留期間更新の際に次のいずれかにも該当するもの

a 5年の在留期間の項の①から⑤までのいずれかに該当しないもの

b 家族構成、婚姻期間等婚姻を取り巻く諸状況から見て、婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続が認められるもの

②5年、1年又は6月の項のいずれにも該当しないもの

 

在留期間1年 次のいずれかに該当するもの

①3年の在留期間を決定されていた者で、在留期間更新の際に5年の在留期間の項の①から⑤までのいずれかに該当しないもの

②家族構成、婚姻期間等婚姻を取り巻く諸状況からみて、婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要があるもの

③滞在予定期間が6月を超えて1年以下のもの

 

在留期間1年と3年はどこが違うのでしょうか?

在留期間3年では、「婚姻及び配偶者の身分に基づく生活が認められる」が、在留期間1年では、「婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要がある」とする部分に違いがあります。「婚姻生活の継続性」が認められるか否かで3年と1年の違いが生ずるということです。

在留期間を1年から3年にしたいのなら夫婦仲をよくする事が一番重要ということになります。「婚姻の継続性」の判断については、経済的に婚姻の継続性が見込まれるという点も重要な判断材料となるでしょう。

以上をまとめると、在留期間1年の方は、夫婦関係が円滑であること、健全な婚姻関係を維持できるだけの経済力があることを示すことができれば、1年から3年に更新期間を延長できる可能性があるということです。

日本人の配偶者で現在の在留期限を1年から3年に延長更新したい方は、夫婦仲をよくして収入を増やしましょう。

もっともメジャーなビザ,「日本人の配偶者」ビザについて解説

2023-06-21

在留資格「日本人の配偶者等」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する方としては、日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者です。
「日本人の配偶者等」の該当例としては、日本人の方の夫又は妻・実子・特別養子などです。単なる養子の場合には,ビザを取得することはできません。
「日本人の配偶者等」在留期間は、5年・3年・1年又は6月です。

この「日本人の配偶者等」の在留資格を取得するメリットとしては、就労制限がないため、自由に仕事をしたり、パート、アルバイトをすることができ、他業種への転職もできます。

この「日本人の配偶者等」の在留資格には、在留活動に制限がないので大学や専門学校に通うこともできます。

また、永住者の申請をする場合に、日本人と婚姻していることにより永住者の在留要件が3年に短縮されます。

さらに、帰化申請をする場合にも、日本人と婚姻していることにより簡易帰化による在留期間の短縮特例があり帰化しやすいということもあります。

「日本人の配偶者等」の在留資格を申請する場合には、次の点に注意が必要です。

1.配偶者の場合

相手方の配偶者が死亡した場合や離婚した場合は含まれないということです。また、内縁の配偶者も含まれません。

実際に日本の法令に従って婚姻をしていることが必要であり、日本で入籍していない場合は、所定の方法により入籍してから申請することになります。

ここが審査の最大のポイントと言っても過言ではありませんが、婚姻の実体を伴っていることが必要となります。当然のことですが、偽装による結婚は認められません。
ここについては、単なる法律上の婚姻関係だけではなく、婚姻が実体を伴うものであることについて、写真や夫婦生活についての資料を提出し、個別具体的に審査がなされます。

2.日本人の実子・特別養子の場合

本人の出生後父又は母が日本国籍を離脱した場合であっても、日本人の子として出生した者に該当します。

逆に、本人の出生後にその父又は母が日本国籍を取得しても、日本人の子として出生した者には該当しませんのでご注意ください。

「日本人の配偶者等」という名前通り、日本人と婚姻することにより在留資格が認められるというイメージがあるかと思いますが、偽装結婚の例が少なからず存在することから、「婚姻の実体が伴っているか否か」というポイントについては、慎重に判断されることになります。

本当に結婚している場合であっても,申請内容によっては「不許可」となるケースもありますので、「日本人の配偶者等」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

解決事例 在留特別許可(留学)が認められた事例

2023-06-18

当所の扱った事案について,在留特別許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。

事案・ご依頼の経緯

ご本人は外国籍の留学生で,1年半ほど前から留学生ビザで日本に滞在していました。
両親は母国在住で,両親の友人で日本に住んでいる家族が日本での身元保証人になっていました。
日本での留学中,ビザの更新期限が近づいていましたが,学校の友達から「2か月くらいは過ぎても普通に更新できるよ」と言っていたことを信じてしまい,軽く考え、また学会の発表などで忙しかったことから更新期限をすぎてしまいました。
精神的に不安定になったご本人が,SNSに自殺を仄めかす投稿をしたところ,それをみて心配した友人が警察に通報しました。ご本人の自宅に臨場した警察官が本人確認をしたところ,ご本人のビザが切れていることが発覚し,オーバーステイとして現行犯逮捕されてしまいます。

弁護活動

刑事事件については悪質性もなく、期間も短いということを検察官に主張したところ,10日勾留の後不起訴(起訴猶予)となりましたが,直ちに入管に引き渡されることとなりました。
引き渡し当日に入管から,「仮放免を考えているが、身元保証人が今日来れないようなので弁護士が身元保証人になってほしいという」依頼もあり,弁護士が入管に出向き,仮放免となった本人の身元を引き受けると共に更新等の申請に関する委任状を提出しました。
仮放免後,比較的過ぎにすぐに違反調査,違反審査が立て続けに行われたので,更新期限徒過の経緯を記した上申書,日本での身元保証人が今後の監督を約束している聴取書等の書類を取りまとめ,在留特別許可を出すように求めました。
結果,2度の違反調査,1度の違反審査を経て,留学資格での在留特別許可決定を得られました。

事件を振り返って

この事件は,刑事事件と入管事件が連続して起こったもので,ご本人としても「日本に残れるのかどうか」が非常に大きな関心事でした。
オーバーステイのような入管法違反の事件は,刑事事件も入管事件も,一貫した対応をすることが重要です。
今回の事件においては,ご本人のオーバーステイ期間が短期間であって悪質な事案ではないことを主張し,刑事事件としては「不起訴」を,入管事件では「在留特別許可」を獲得することを目指しました。事件当初から弁護活動を開始し,ご本人の身体拘束期間をなるべく短いものとして,また,不起訴,在留特別許可という結果を得ることができました。

連れ子を日本に呼び寄せることはできる?在留資格はもらえるのか

2023-06-15

「連れ子定住」についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

最近の在留資格に関するお問い合わせの中で、日本人と結婚した外国人のうち「日本人の配偶者等」の在留資格の方から、自分の子供(実子)の日本への呼び寄せに関するお問い合わせが増えています。

日本人配偶者の実子の呼び寄せというのはどのようなものかというと、およそ以下のような事例の場合です。

事例

(解説のための架空の事例です)

日本人男性AさんとB国女性のCさんは、国際結婚サイトで知り合いSNSを通して通じてお互いの信頼関係と愛情を育み、知り合ってから1年後に両国で結婚登録を行い、Aさんは、Cさんを海外から在留資格認定証明書で「日本人の配偶者」で呼び寄せました。

Cさんは「日本人の配偶者」として日本に来てから1年が経過し、ある程度日本での生活も慣れてきました。Cさんの在留資格も2回目の更新で「日本人の配偶者等」(3年)の在留資格が取得できました。

Cさんには前夫との間に生まれた一人娘の女の子Dさんがいます。この子の世話はB国にいるCさんの母親が面倒を見ています。Cさんはこの先日本で暮らしていく経済的余裕もある程度出来てきたので、DさんをB国から呼び寄せたいと考え,専門家に相談することにしました。

連れ子に認められる在留資格

まずCさんが自分の娘(実子)のDさんを日本に呼び寄せるにはどのような在留資格となるかというと、該当する在留資格は「定住者」となります。

「定住者」とは、他のいずれの在留資格にも該当しないものの、日本で相当期間の在留を認める特別な事情があると法務大臣が判断した者に在留資格を認めるために設けられたものです。

定住者の在留資格は「定住者告示」といって、上陸許可の判断において一定の類型の地位を定めて置き、いずれかの類型に該当する場合に入国・在留を認める在留資格の一つです。

入管法7条第1項第2号の規定により、入国審査官が上陸の許可に際して「定住者」の在留資格を決定できるのは、法務大臣が定住者告示をもってあらかじめ定めている地位を有する者としての活動を行おうとする外国人の場合に限られます。

上記の事例で該当する類型は、定住者という在留資格の中で、「定住者告示第6号二」で規定されています。      

定住者告示第6号二の規定は,次の通りです。

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子

日本人と婚姻関係にある配偶者(夫又は妻)の実子であるが、婚姻関係にある日本人の実子ではない場合で、なおかつ未成年で未婚であることが条件となります。

なお成人年齢は,2022年4月1日から18歳に引き下げられました。

日本人・永住者の配偶者の方で、母国にいる子供を日本に連れて来て一緒に暮らしたいという方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

同性婚裁判,ビザへの影響は?

2023-06-12

2023年6月8日,福岡地方裁判所にて,同性婚を認めていない現行法が憲法に違反する状態であるとの判決が出されました。

この裁判は,同性カップルが「異性婚と同性婚で法律上の取り扱いが異なるのは,平等ではない」と憲法違反を主張して国に損害賠償を求めた裁判です。

同様の裁判は2019年から全国各地で提訴されており,札幌地方裁判所,名古屋地方裁判所では既に「憲法に違反する」と判決,東京地方裁判所は「憲法に反する状態」と判決,大阪地方裁判所は「憲法に違反しない」と判決をしており,これで5件目の判決となりました。

「憲法違反」か「憲法違反の状態」かの違いについてはここでは深く言及しません。

在留資格,ビザの申請においても,今回の判決は影響がありうるため,現在の入管法が「同性婚」についてどのように扱っているか,今後どうなりうるかについて解説をします。

今の法律では,同性婚≠配偶者

現在の入管法では,同性婚として「パートナーシップ宣言」等をしていたとしても,原則として「配偶者」とは認められていません。

そのため,日本人と同性婚状態になった外国人の方は「日本人の配偶者等」とは認められていません。

今回,同性婚と異性婚を別に扱うことが憲法違反とされたことで,民法が変われば,同性婚についても「配偶者ビザ」が認められる余地が出て来るでしょう。

現在の「同性婚」の扱い

現在の入管法では,同性婚の場合,「特定活動」のビザを認めるようになっています。

元々,外国人同士の同性婚の場合,外国人のどちらかが日本でビザを取得していれば,その同性婚のパートナーについては「特定活動」の在留資格が認められてきました。

これは,平成25年に法務省が各地方の入管に対して通知しており,全国共通の取り扱いとなっています。

一方,日本人と外国人の同性カップルの場合,外国人の方に「特定活動」の在留資格が認められない,という状況がありました。

これは上記の,東京地方裁判所の判決があった事例で,裁判では「特定活動の在留資格を認めないのは憲法に違反する」と判断されているのです。

このような,全体的な裁判例の流れを見ると,同性婚であっても異性婚であっても,原則的には同じように取り扱うべきという流れがあり,このことは在留資格,ビザの場でも同じようです。

民法や入管法の改正状況次第では,日本人と外国人との同性カップルに対して「日本人の配偶者等」の在留資格や「定住者」といった在留資格が認められるようになるかもしれません。

その場合,「特定活動」の在留資格と比べても日本での活動に制約が減り,また,日本での経済活動(車や家をローンで購入する,事業や会社を立ち上げるなど)と言ったことがより一層やりやすくなることが予想されます。

入管実務上も,今後の同種裁判の帰趨には注目したいと思います。

ビザが失効する時の最終手段,在留特別許可とは何か解説

2023-06-09

「在留特別許可」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「在留特別許可」については、法務省から在留特別許可に係るガイドラインが公表されています。

その中で、「在留特別許可の許否の判断に当たっては、個々の事案ごとに在留を希望する理由や家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して行うことと」とされています。また、その際の考慮する事項については、以下の通り記載されています。
まず積極要素については,入管法第50条第1項第1号から第3号に掲げる事由のほか,次の要素が挙げられています。
1.特に考慮する積極要素
(1)当該外国人が,日本人の子又は特別永住者の子であること
(2)当該外国人が,日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,次のいずれにも該当すること
ア 当該実子が未成年かつ未婚であること
イ 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること
ウ 当該外国人が当該実子を現に本邦において相当期間同居の上,監護及び養育していること
(3)当該外国人が,日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために,婚姻を仮装し,又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)であって,次のいずれにも該当すること
ア 夫婦として相当期間共同生活をし,相互に協力して扶助していること
イ 夫婦の間に子がいるなど,婚姻が安定かつ成熟していること
(4)当該外国人が,本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く。)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し,当該実子を監護及び養育していること
(5)当該外国人が,難病等により本邦での治療を必要としていること,又はこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること

2.その他の積極要素

(1)当該外国人が,不法滞在者であることを申告するため,自ら地方入国管理官署に出頭したこと
(2)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格(注参照)で在留している者と婚姻が法的に成立している場合であって,前記1の(3)のア及びイに該当すること
(3)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,前記1の(2)のアないしウのいずれにも該当すること
(4)当該外国人が,別表第二に掲げる在留資格で在留している者の扶養を受けている未成年・未婚の実子であること
(5)当該外国人が,本邦での滞在期間が長期間に及び,本邦への定着性が認められること
(6)その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること

次に、消極要素については,次の要素が挙げられています。

3.特に考慮する消極要素

(1)重大犯罪等により刑に処せられたことがあること
例えば、凶悪・重大犯罪により実刑に処せられたことがある場合や違法薬物及びけん銃等,いわゆる社会悪物品の密輸入・売買により刑に処せられたことがある場合などです。
(2)出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
例えば、不法就労助長罪,集団密航に係る罪,旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがある場合や不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがある場合などです。

4.その他の消極要素

(1)船舶による密航,若しくは偽造旅券等又は在留資格を偽装して不正に入国した
(2)過去に退去強制手続を受けたことがある
(3)その他の刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められる
(4)その他在留状況に問題がある
例えば、犯罪組織の構成員である場合などです。

在留特別許可の許否判断は,上記の1.2の積極要素及び3.4の消極要素の各事項について,それぞれ個別に評価し,考慮すべき程度を勘案した上,積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には,在留特別許可の方向で検討することとなります。
したがって,積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではありません。
また逆に,消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が検討されないというものでもありません。

以上のように、「在留特別許可」については、「個別判断」というところにポイントがあります。
つまり、同じような事由に該当する場合であっても、許否の判断が異なる可能性が高いといえます。
法務省のガイドラインにおける消極要素に該当する場合であっても、積極要素によっては許可されることもありますので、「在留特別許可」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「技能」ビザを得られる職種を解説

2023-06-06

在留資格「技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「技能」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動です。

「技能」の該当例としては、外国料理の調理師やスポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等です。
「技能」の在留期間は、5年・3年・1年又は3月です。

基準省令による「技能」の上陸許可基準は以下の通りです。

まず、申請外国人が次のいずれかに該当し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要となります。

1.料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次の①又は②のいずれかに該当するもの(第九号に掲げる者を除く。)

① 当該技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者

② 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者

2.外国に特有の建築又は土木に係る技能について十年(当該技能を要する業務に十年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっ ては、五年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する もの

3.外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

4.宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

5.動物の調教に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

6.石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要す る業務に従事するもの

7.航空機の操縦に係る技能について千時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第十八項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

8.スポーツの指導に係る技能について三年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポー ツに従事していた期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国 際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの

9.ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びに ぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能について五年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を 含む。)を有する次①ないし③のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

① ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者

② 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者

③ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

以上のように、「技能」の在留資格については日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを前提に、様々な種類の仕事があり、それぞれの仕事につき実務経験などの条件がありますので、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

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