日本で滞在している間に,「これってやっていいんだろうか?」と思うことはありませんか?
既にこのサイトでも解説しているように,永住者,日本人または永住者の配偶者等,定住者以外の方の場合には,在留資格と日本での活動の内容によっては,資格外活動となってしまう場合があります。
☆資格外活動に関する解説記事☆
資格外活動をしてしまった場合に待っているのは強制送還 刑事罰についてもあります
今回は,そもそも,資格外活動申請が必要になるのはどんなときなのか?という根本的な部分を解説します。資格外活動で摘発されたくない,日本から追い出されたくない,という方は,是非よく読んでおいてください!
このページの目次
資格外活動申請が必要になる時
禁止されている行為かどうか
まずは,在留資格についてのおさらいですが,「在留資格」とは,日本での活動の内容に応じて認められるものです。
本来の在留資格に沿って行われる日本国内での活動には,法律で禁止されているもの(刑法や条例で禁止されている行為,例えば売春など)でない限りは問題がありません。
そして出入国管理法で禁止されている「資格外活動」とは,在留資格に由来しない活動によって報酬を得たり収入を得たりすることです。例えば,レストランの料理人として「技能」の在留資格が付与されていたのに,レストランでの仕事をせず,別の会社に就職して事務作業をして給料をもらっていた場合が「資格外活動」にあたります。事務作業は「技能」の在留資格に由来しない活動であって,その活動によってお給料という収入を得ているからです。この場合には,在留資格の変更許可申請をして,許可決定をもらわなければなりません。
では,お給料をもらっていなかった場合はどうでしょうか。
労働基準法上,人を働かせておいて給料を払わなかったことの問題はあるかもしれませんが,在留資格の問題に限って考えてみます。在留資格に由来しない活動をしていることにはなりますが,給料をもらっていない以上,「報酬を得たり収入を得たり」していないので,入管法で禁止されている資格外活動には該当しないことになります。
法律上禁止されている「資格外活動」にあたるかどうかの判断で,一番の分岐点となるのは「報酬を得たり収入を得たりしているかどうか」という点になります。
禁止されていないとしても・・・?
法律上禁止されていないのであれば,在留資格に関係しない活動をしても問題は無いのでしょうか。実はそうとも言い切れません。法律上禁止されていない活動であっても,のちのち在留資格に影響することがあります。特に,在留期間の延長の時に,問題になります。
冒頭のお話を再度確認します。在留資格は,「日本での活動内容に応じて認められる」のです。つまり,元々の在留資格に沿った活動をしていないと判断されると,在留資格そのものが認められなくなり,在留期間の延長が認められなかったり,在留資格が取り消されてしまったりするのです。
先ほど記載した,レストランの料理人の例で言うと,無報酬で別の会社で事務作業をしていたとしても資格外活動には当たりませんが,レストランでの仕事を全くしていないとなると,「在留資格に沿った活動をしていない」とみられてしまう可能性があります。「技能」の在留資格で日本に滞在している方は,「技能」の活動をする目的があるからこそ,日本での在留が認められているのです。在留資格に沿った活動をしていないと判断されると,「そもそも日本での在留を認める理由がない」とされてしまいます。
これは,資格外活動許可を受けていた場合であっても同様ですし,働くことについて制限のない永住者や日本人の配偶者等であっても同様です。
例えば,日本人と結婚した外国人の方が,特別な理由(文化や宗教上の理由など)によらないで別居を続けたり,他の複数の異性と交際を続けたりした場合には,在留資格に沿った活動をしていないと判断されて,在留期間の延長が認められない,在留資格が取り消されるという不利益を受ける場合があります。
まとめ
最後に在留資格に由来しない活動についてまとめると,次のようになります。
【報酬を受け取っている場合】
別表1(就労ビザなど)の場合には,禁止されている資格外活動にあたる可能性あり。入管に摘発されると強制送還や在留資格の取り消し,刑罰を受ける可能性が大。
【報酬を受け取っていない場合】
禁止されている資格外活動にはならない。
ただし,元々の在留資格に沿った活動をしていないと見られる可能性あり。
もしも普段の生活の中で「あれ,これってもしかしてやっちゃだめなことだった?」と疑問に思った場合,お近くの専門家に相談した方が良いでしょう。放っておくと,後々取り返しがつかないことになってしまうかもしれません。
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