資格外活動への処分その2

このページでは,日本に在留する外国人の方が資格外活動を行ってしまった場合の強制送還(退去強制)について解説します。

資格外活動に対する刑事処分は,こちらの「資格外活動への処分その1」でも解説していますので併せてご参考ください。

また,どのような場合に資格外活動となってしまうのかについては,こちらの「資格外活動として検挙される場合」で解説しています。

資格外活動による強制送還(退去強制事由)の条文

まずは,資格外活動により強制送還が取られる根拠となる条文について確認します。

 


出入国管理法24条

次の各号のいずれかに該当する外国人については・・・本邦からの退去を強制することが出来る。

 4号 本邦に在留する外国人・・・・で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの

  イ 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者

  ヘ 第73条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者

    ※第73条の罪とは,専らではなく資格外活動を行っていた場合の罪,1年以下の懲役若しくは禁錮又は200万円以下の罰金が科される。


 

資格外活動が強制送還の対象となるかどうかについて,出入国管理法は,二段階の規定を置いています。

まずは,資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合には,直ちに強制送還の対象となります。この場合,刑事裁判を受けていなくても強制送還の対象になります。

次に,専ら明らかに行っていると明らかに認められない場合であっても,刑事裁判を受けて禁錮もしくは懲役刑の判決を受けた時は,強制送還の対象となります。この場合,執行猶予付きの判決であったとしても強制送還の対象となります。

資格外活動に対する刑事罰の規定と同様に,資格外活動を専ら行っていると明らかであるかどうかによって適用される条文が変わり,非専従資格外活動(専ら行っていると明らかではない)の場合には,刑事罰の重さ次第で強制送還の対象となるかどうかが変わります。

出入国管理庁は資格外活動に対しては厳しい態度をとっており,資格外活動をした場合には,

①専ら資格外活動を行っていると明らかには認められず

かつ

②刑事罰については不起訴,もしくは罰金刑のみであった

という場合ない限りは,強制送還の対象とする,という法律の仕組みになっています。

なお,資格外活動をさせたり援助したりした場合(不法就労助長に当たるばあい)には,刑事罰に関係なく強制送還の対象となっています(出入国管理法24条3号の4イからハ)。

 

注意点

資格外活動をして強制送還されなかったとしても,資格外活動をしていたことの履歴が残ると,それだけでも日本に留まりずらくなります。

例えば,在留期間を更新する際に,資格外活動の履歴があるために延長が不許可になることや,在留資格の変更申請が認められないということがあります。

「これくらいは大丈夫だろう」と思って資格外活動をしてしまうと,あとになって苦い思いをしてしまうこともあります。

本当に必要な資格外活動なのであれば,資格外活動許可を受けたり,在留資格を変更したりするなど,適切な手続きをとるようにしましょう。

 

まとめ

ここまで,いくつかのページに分けて資格外活動について解説してきました。

日本に在留している外国人の方で,違法な資格外活動をしてしまわないことは重要ですし,他の外国人に対して資格外活動をさせないことも重要です。法律では,資格外活動を「させた側」に対しても,日本人,外国人を問わず,厳しい処分が設けられています。

資格外活動や資格外活動許可についてご不安な点や分からない点があるという方は,まずは弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

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