資格外活動への処分その1

このページでは,日本に在留する外国人の方が資格外活動をしてしまった場合の刑罰その後の処分について解説します。

資格外活動が刑事罰にあたる場合

資格外活動は出入国管理法19条1項によって禁止されており,資格外活動許可を受けなければなりません。

資格外活動許可を受けないままで資格外活動をして報酬や収入を得てしまった場合,出入国管理法19条1項の違反として,「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金,またはそれらの両方」が科されます(出入国管理法73条)。

また,出入国管理法にはもう一つ資格外活動に対する刑罰の規定を置いています。

報酬や収入を得ている資格外活動を「専ら」していると「明らかに認められる」場合には,「3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金,またはそれらの両方」が科されます。

資格外活動として刑罰を科されるかどうかは

A 在留資格で認められる活動以外の活動によって報酬や収入を得ているかどうか

A’ 専ら資格外活動をしていると明らかに認められるかどうか

によって異なることになります。

A’は,在留目的の活動が変化したとまで言えるかどうかによって判断がなされます。

裁判例によると,具体的には,資格外活動を行っていた時間,行っていた期間,報酬や収入の大きさ,本来の在留目的の活動等から,在留目的の活動が変化したと言えるかどうかを判断することとされています。

例えば,資格外活動の内容が単なる副業やお小遣い稼ぎに留まらないほどの内容であった場合や,元々の在留資格の活動に支障が出ている場合等があります。

特に,A’にあたる場合には強制送還(退去強制)される可能性が非常に高くなります。しかし専ら,明らかな資格外活動であるかどうかについては曖昧な部分もあり,立場によって判断が分かれる場合もあります。

なお,資格外活動そのものではありませんが,外国人を資格外活動として働かせると,不法就労助長罪として処罰されます(出入国管理法73条の2)。この場合には,外国人が専ら資格外活動によって収集を得ていると明らかに認められる場合でなくとも,「3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金,またはそれらの両方」が科されます。不法就労助長罪については,外国人に限らず,日本人であっても成立する犯罪です。

 

資格外活動の刑事罰はどうなるか

資格外活動については,その内容や程度にもよりますが,法律上,罰金刑と懲役刑が科されることになります。

資格外活動許可は受けていたものの,その条件の軽微な違反(例えば,就労可能時間数を少し超えてしまった場合)等には比較的軽い処分が科されます。

一方,資格外活動許可がありえない風俗営業をしていた場合や,専ら資格外活動を行っていたと明らかに認められる場合には重い処分が下される場合もあります。

特に,長期間にわたる資格外活動で収入を得ていた場合や,不法就労助長罪にあたる場合には,正式な裁判手続きにおいて懲役刑が科されることもあります。

 

まとめ

資格外活動に対する刑事罰は以上のとおりです。簡単にまとめると,①本来の在留目的の活動と並行して資格外活動をしたのか,②本来の在留目的が失われるほど資格外活動をしたのかによって,刑罰の内容も異なります。

そして,①にあたるのか,②にあたるのかによって,強制送還される可能性も変わってきます。

次のページでは,資格外活動に対する強制送還について解説します。

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