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飲酒運転をしてしまうと「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に影響が出るのか・延長申請ができない?強制送還になる?
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に滞在しているAさんは、適法な運転免許証を所持し、自家用車を保有していました。
ある日、Aさんは、友人宅で飲酒をした後、そのまま自家用車で帰宅したところ、帰宅途中の道路で警察官に呼び止められ、そのまま呼気アルコール濃度の検査を受けることになりました。
検査の結果、Aさんの呼気からは1リットル当たり0.2mgのアルコールが検知され、Aさんは酒気帯び運転で検挙されてしまいました。
このとき
①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるか
②①の刑事罰は、Aさんの在留期間の更新時に影響があるか、若しくは退去強制処分となるか
以上の点について解説していきたいと思います。
酒気帯び運転の刑事罰
道路交通法第65条1項により、何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならないこととされています。この「酒気を帯びた」かどうかの判断は、呼気アルコール濃度によって行われ、呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールが含まれていた場合には、酒気帯び運転として刑事罰の対象とされます。
酒気帯び運転の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています(道路交通法117条の2の2第3号)。
酒気帯び運転の罪の場合、初めて刑事罰を受けるような場合であれば、略式起訴という簡単な手続きにより罰金刑となることが多いです。
ここから先は、Aさんが罰金30万円の刑となったことを前提として解説していきます。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について
在留期間の更新は「更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」(出入国管理及び難民認定法21条2項)に認められますが、この認定にあたっては、出入国在留管理庁によるガイドラインがあります。
このガイドラインによると、在留期間の更新が許可されるのは
1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること(別表第1の2の表又は第4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者)
3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4 素行が不良でないこと
5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6 雇用。動労条件が適正であること
7 納税義務を履行していること
8 入管法に定める届出等の義務を履行していること
とされています。
このうち4の部分には「素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要素として評価され,具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為,不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は,素行が不良であると判断されることとなります。」との記載がなされています。
今回Aさんは、道路交通法違反により刑事処分を受けています。
まず、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、入管法上別表第1の2の表に記載がある在留資格です。
そのため、法務省令に定める上陸許可基準等に適合する必要があります。
この上陸許可基準は公表されていますが、概ね業務に関する事項や報酬についての定めが記載されています。ですので、道路交通法違反の罰金前科があるからと言って上陸許可基準に該当しないというものではありません。
今回の場合、ガイドラインに記載されている「素行が不良でないこと」が問題となります。そして、「退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた」場合には素行不良であると判断されることになるため、退去強制事由に準ずるような刑事処分であるかどうかを検討していくことになります。
それでは刑罰法令違反が退去強制事由となるかどうかを考えていきます。別表第1の在留資格の場合、入管法等在留関係の法律以外の刑罰法令が問題となる退去強制事由には、入管法24条4号リと同法24条4号の2があります。
まず、入管法24条4号リは、「無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。」とするものです。Aさんは罰金刑を受けており、これは懲役や禁錮よりも軽い刑ですから、この条文には該当しません。
次に、24条4号の2ですが、こちらは一定の犯罪で懲役又は禁錮に処せられた場合に退去強制事由となるものです。24条4号リとの違いは、罪名の違いがあるものの、執行猶予付きの判決であっても退去強制事由となる点にあります。ただ、Aさんが問題視されている道路交通法違反は、この列挙された犯罪に含まれていませんし、罰金刑は執行猶予付き判決よりも軽いものですから、これには該当しません。
最後に、次に、Aさんの罰金が退去強制事由に「準ずる」刑事処分とまで言えるかどうかが問題となります。この点について、定住者告示3号等に該当する者の素行要件についての審査要領では「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者(以下略)」とされています。
この審査要領は一般の在留期間の更新にも該当すると考えられます。そのため、Aさんの場合には、道路交通法違反による罰金刑を受けているだけですから、かっこ書きの中にある「道路交通法違反による罰金」に該当しますので、素行不良要件には該当しないと考えられます。
以上のような事情からすれば、Aさんの在留期間の更新は認められる可能性が高いと思われます。ただし,永住申請する際には別途検討が必要です。永住に関するガイドラインについては出入国管理局がHPじょうでも公開しており,こちらから確認ができます。
偽装結婚が発覚するとどうなるのか?強制送還の可能性や対処について刑事事件に強い弁護士が解説
【事例】
以下の事例はフィクションです。
外国人のAさんは、日本で働いて本国の家族に送金をするため、日本人と偽装結婚をし、日本人の配偶者等の在留資格で来日しました。
その後日本で暮らしてきたAさんでしたが、ある日、Aさんと同じように偽装結婚をしていた外国人の知人が逮捕されたらしいと、風の噂で聞きました。
Aさんは、自分も偽装結婚が発覚して逮捕・収容され、本国へ強制送還されるのではと不安で、眠れない日々が続いています。
【偽装結婚と退去強制】
偽装結婚をして日本人の配偶者等の在留資格で来日したAさんは、虚偽の申請をして上陸許可を受けたということで、在留資格が取消され退去強制事由となります。
「偽装結婚とは何か」についてはこちらの記事もご覧ください。
また、適法に上陸した後に偽装結婚をした場合であっても、後述するとおり公正証書原本不実記載又は電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪が成立し、その刑事裁判で懲役刑の有罪判決を受ければ、執行猶予の有無にかかわらず退去強制事由となります。
【偽装結婚発覚前のお悩みについて】
Aさんのように、偽装結婚がまだ入管や警察に発覚していない外国人の方は
①発覚したら逮捕されるのか
②もう日本に残ることはできないのか
③出国までずっと入管に収容されるのか
④偽装結婚の刑罰はどうなるのか
といったことでお悩みかと思います。
以下、順に見ていきましょう。
①発覚したら逮捕されるのか
偽装結婚が警察に発覚したり、入管に察知され警察に通報された場合、個別事情によるので一概には言えませんが、逮捕されることは多いです。
警察も入管と協働して取り締まり・摘発に積極的な部分です。
参考:警察庁HP
②もう日本に残ることはできないのか
偽装結婚は、前述のとおり、退去強制事由に該当するという結論になる可能性が極めて高く、それでも日本に残るための手段は、在留特別許可を受けることのみになります。
在留特別許可は、基本的に簡単に得られるものではありません。
その上、一般的に、偽装結婚で在留特別許可を得ることは非常に困難です。
もっとも、真正な配偶者になる予定の人と相当長期間内縁関係にある、日本での養育が必要な子どもがいるなど、在留特別許可にプラスの事情があれば、100%在留特別許可は無理とも限りません。
在留特別許可が得られる見込みについては、他にも様々な事情が絡む問題なので、おひとりで悩まずに、まずは専門家である弁護士等に相談することをおすすめします。
③出国までずっと入管に収容されるのか
偽装結婚が理由で在留資格を取消される、懲役刑の有罪判決を受けるなどの退去強制事由に該当すると、入管に収容される可能性があります。
もっとも、収容された場合でも、仮放免の許可を得られれば、収容を解かれた状態で手続きが進むことになります。
仮放免の許可を得るためには、仮放免を必要としており、かつ手続きの進行上認めても差支えがないという事情をしっかりと伝えなければいけないので、弁護士に相談することをおすすめします。
④偽装結婚の刑罰はどうなるのか
真正な婚姻をする意思がないのに婚姻の届出をすると、戸籍等に不実の記載(電子化された戸籍等の場合は不実の記録)をさせ、そのような状態の戸籍等を役所に備え付けさせることになり、公正証書原本不実記載又は電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪が成立します。
有罪判決の場合の刑の重さは、懲役刑、ただし執行猶予が付いて刑務所には入らずにすむケースが多いです。最も事件に応じて、個別の事情によるので一概には言えませんが刑罰についてもご不安であれば、弁護士に相談しましょう。
【おわりに】
偽装結婚により得た身分で日本に滞在している外国人の方は、いつまで経っても不安定な地位は変わらないので、前述のとおりの発覚した場合の様々なリスクを軽減するために出頭をし、真摯な対応をするということも選択肢としてはあります。
いずれにせよ、今後のリスクについて、まずは弁護士等の専門家に相談した方がよいかと思います。
前科があると帰化申請の時に不利になるのか?道路交通法違反で罰金刑になった場合を解説
道路交通法第65条1項により、何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならないこととされています。この「酒気を帯びた」かどうかの判断は、呼気アルコール濃度によって行われ、呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールが含まれていた場合には、酒気帯び運転として刑事罰の対象とされます。
酒気帯び運転の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています(道路交通法117条の2の2第3号)。
酒気帯び運転の罪の場合、初めて刑事罰を受けるような場合であれば、略式起訴という簡単な手続きにより罰金刑となることが多いです。
ここから先は、Aさんが罰金30万円の刑となったことを前提として解説していきます。
帰化申請の要件
他の在留資格と異なり、帰化については国籍法に定めがあります。
国籍法第4条2項により、帰化をするためには法務大臣の許可が必要とされていますが、その許可をするための条件は国籍法5条から9条に定めがあります。
①一般帰化
国籍法5条に定めている帰化のための条件は
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
二 十八歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
です。ただ、この条文は「次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。」とされていますので、これら6項の条件をすべて満たせば帰化ができるというものではなく、
反対にこれら6項の中に該当するものがあれば帰化をすることができないと考えることになります。
②簡易帰化
国籍法5条には、より日本との結びつきが強い関係の者について、5条より簡易な条件での帰化を認めています。
次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
三 引き続き十年以上日本に居所を有する者
この場合には
ア 現に日本に住所を有し
イ 1~3号のいずれかの要件を満たす場合
には①の1号の要件「引き続き5年以上日本に住所があること」という部分を満たさない場合でも、帰化を認めるものとなります。ただ、アとイの要件を満たせば直ちに帰化が認められるというものではないことに注意が必要です。
③日本人の配偶者の帰化
日本人の配偶者の場合にも、一部条件が緩和されています(国籍法7条)
日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
この場合の要件は
ア 日本国民の配偶者であること
イ 引き続き3年以上日本に住所又は居所があること
ウ 現に日本に住所があること
エ 5条3~6号の条件を満たすこと
若しくは
ア 日本国民と婚姻の日から3年が経過していること
イ 引き続き1年以上日本に住所を有すること
ウ 5条3~6号の条件を満たすこと
となります。
交通前科と帰化の関係
Aさんは日本人の配偶者ですので、婚姻期間や滞在年数によっては国籍法7条による帰化が考えられます。
今回の場合、Aさんには交通前科がありますから、「素行が善良であること」ということの条件を満たすかどうかが問題となります。
ところで、永住許可を含めた在留資格についての手続きは、出入国在留管理庁へ申請を行います。
しかし、帰化の申請は、法務局へ申請することとなっています。
いずれも法務省に属する組織ではあるのですが、形式上は別の役所ということになります。帰化の手続きに関する法務省の案内はこちらです。
そのため、出入国在留管理庁の指針をそのまま法務局が採用するとは限りませんが、同庁のガイドラインは帰化申請においても参考になると思われます。
在留期間の更新の際に問題となる「素行が善良であること」についての考え方としては「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者(以下略)」との審査要領が定められています。
これを参考にすれば、道路交通法違反による罰金前科については、素行善良の要件の際に大きな問題とはならないと考えられます。
ただし、最初にも述べた通り、帰化申請は「全条件を満たすと帰化ができる」というものではなく「全条件を満たさなければ帰化できない→全条件を満たすときに帰化を許可するかは法務大臣の裁量である」
という考え方を採用していますから、罰金前科が全く否定的な評価を受けないとは限りません。
ですので、帰化申請の際には、前科についての顛末の説明や、反省の態度や再発防止策を記載した文書を提出したほうがよいでしょう。
交通事故や交通違反についてお困りの方,前科が理由で帰化やビザの手続きについてご不安なことがある方は,一度ご相談ください。
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密航で日本に来たことが発覚するとどうなる?不法入国での逮捕,強制送還はどうなるのか
事例
以下の事例はフィクションです。
外国人のAさんは、密航によって日本に来ました。
日本で生活していく中でAさんは、日本人と恋をして結婚し、2人の間には子どもが生まれました。
日本でできた家族と一緒に暮らしてきたAさんでしたが、ある日、Aさんと同じように日本に密航をしてきた同郷の知人が、不法滞在で逮捕されたらしいと、風の噂で聞きました。
Aさんは、自分も不法滞在が発覚して逮捕・収容され、本国へ強制送還されるのではと不安で、眠れない日々が続いています。
不法入国・不法上陸と退去強制
不法滞在という言葉がありますが、この言葉には、適法に日本に入国・上陸した後、在留資格の期限が過ぎても日本に滞在し続ける不法残留(オーバーステイ)と、密航等、日本への入国・上陸自体が違法である不法入国・不法上陸の外国人の滞在が含まれます。
オーバーステイ、不法入国・不法上陸といった事情で不法滞在中の外国人の方は、退去強制の対象となります。
不法入国・不法上陸発覚前のお悩みについて
Aさんのように、不法入国・不法上陸がまだ入管や警察に発覚していない外国人の方は
①発覚したら逮捕されるのか
②もう日本に残ることはできないのか
③出国までずっと入管に収容されるのか
④不法入国・不法上陸の刑罰はどうなるのか
といったことでお悩みかと思います。
以下、順に見ていきましょう。
①発覚したら逮捕されるのか
逮捕、収容、退去強制といったことが怖くて出頭をせずに日々を過ごしていたところ、職務質問や、同じく不法滞在をしている知人の逮捕等のきっかけで不法滞在が警察に発覚した場合は、逮捕されることが多いです。
②もう日本に残ることはできないのか
不法入国・不法上陸は退去強制事由にあたりますので、それでも日本に残るための手段は、在留特別許可を受けることのみになります。
在留特別許可は、基本的に簡単に得られるものではありません。
また、一般的に、来日の入口が適法であるオーバーステイに比べて、来日の入口から違法である不法入国・不法上陸の方が、在留特別許可の判断にあたってマイナスにはたらくことが多いです。
もっとも、Aさんのような、日本人の配偶者がいて、子どももいるという事情は、在留特別許可の判断にあたってプラスになります。
他にも、違反の悪質性、日本での在留期間、婚姻期間、子どもの年齢や日本での養育を必要とする事情、退去強制歴はないか、日本での行状等、様々な要素が絡むので一概には言えませんが、不法入国・不法上陸の場合でも、在留特別許可が得られるケースはあります。
在留特別許可の判断についてはガイドラインが策定されており,判断の参考になります。
不法入国・不法上陸により日本に滞在している方は、いつまで経っても不安定な地位は解消されないままなので、入管に出頭し、真摯な態度を示した上で在留特別許可を得るための努力をするということも検討されてはいかがでしょうか。
在留特別許可が得られる見込みについては、前述のとおり様々な事情が絡む問題なので、おひとりで悩まずに、まずは専門家である弁護士等に相談することをおすすめします。
③出国までずっと入管に収容されるのか
不法入国・不法上陸のような退去強制事由にあたると判断されると、多くの場合は、入管に収容されることになります。
もっとも、仮放免の許可を得られれば、収容を解かれた状態で手続きが進むことになります。
仮放免の許可を得るためには、仮放免を必要としており、かつ手続きの進行上認めても差支えがないという事情をしっかりと伝えなければいけないので、弁護士に相談することをおすすめします。
④不法入国・不法上陸の刑罰はどうなるのか
これも事情によるので一概には言えませんが、懲役刑については、執行猶予が付いて刑務所には入らずにすむケースが多いです。
刑罰についてもご不安であれば、弁護士に相談しましょう。
おわりに
不法入国・不法上陸により日本に滞在している外国人の方は、いつまで経っても終わらないお悩みをそのままにしておくより、出頭して在留特別許可を得るという対応等について、まずは弁護士等の専門家にご相談ください。
酒気帯び運転で前科が付くと在留資格が更新できなくなる?刑事事件に強い弁護士事務所が解説
事例(フィクションです)
日本人の配偶者という在留資格で日本に滞在しているAさんは、適法な運転免許証を所持し、自家用車を保有していました。
ある日、Aさんは、友人宅で飲酒をした後、そのまま自家用車で帰宅したところ、帰宅途中の道路で警察官に呼び止められ、そのまま呼気アルコール濃度の検査を受けることになりました。
検査の結果、Aさんの呼気からは1リットル当たり0.2mgのアルコールが検知され、Aさんは酒気帯び運転で検挙されてしまいました。
このとき
①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるか
②①の刑事罰は、Aさんの在留期間の更新時に影響があるか、若しくは退去強制処分となるか
以上の点について解説していきたいと思います。
酒気帯び運転の刑事罰
道路交通法第65条1項により、何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならないこととされています。この「酒気を帯びた」かどうかの判断は、呼気アルコール濃度によって行われ、呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールが含まれていた場合には、酒気帯び運転として刑事罰の対象とされます。
酒気帯び運転の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています(道路交通法117条の2の2第3号)。
酒気帯び運転の罪の場合、初めて刑事罰を受けるような場合であれば、略式起訴という簡単な手続きにより罰金刑となることが多いです。
ここから先は、Aさんが罰金30万円の刑となったことを前提として解説していきます。
日本人の配偶者の在留資格について
在留期間の更新は「更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」(出入国管理及び難民認定法21条2項)に認められますが、この認定にあたっては、出入国在留管理庁によるガイドラインがあります。
このガイドラインによると、在留期間の更新が許可されるのは
1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること(別表第1の2の表又は第4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者)
3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4 素行が不良でないこと
5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6 雇用。動労条件が適正であること
7 納税義務を履行していること
8 入管法に定める届出等の義務を履行していること
とされています。
このうち4の部分には「素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要素として評価され,具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為,不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は,素行が不良であると判断されることとなります。」との記載がなされています。
今回Aさんは、道路交通法違反により刑事処分を受けています。
そこで、まずこの刑事処分がAさんにとって「退去強制事由」になるかどうかを見てみます。
Aさんは「日本人の配偶者」ですので、入管表別表第2に記載されている在留資格を有しています。この在留資格の場合には、「無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者」(入管法24条4号リ)に該当する場合には、罪名関係なく退去強制を受ける事由となります。
今回のAさんの場合には、罰金30万円となっています。罰金刑は、懲役の刑よりも軽い刑罰となっていますので、この4号リには該当しませんから、Aさんにとっては退去強制事由には該当しないということになります。
次に、Aさんの罰金が退去強制事由に「準ずる」刑事処分とまで言えるかどうかが問題となります。この点について、定住者告示3号等に該当する者の素行要件についての審査要領では「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者(以下略)」とされています。
この審査要領は一般の在留期間の更新にも該当すると考えられます。そのため、Aさんの場合には、道路交通法違反による罰金刑を受けているだけですから、かっこ書きの中にある「道路交通法違反による罰金」に該当しますので、素行不良要件には該当しないと考えられます。
よって、現在の資格である「日本人の配偶者」資格の期間を更新するにあたっては、酒気帯び運転による罰金刑は大きな問題とはならないと考えられます。
ただし,永住許可を申請する時には,罰金前科があることはマイナスの事情になってしまいます。
出入国管理庁は永住許可の審査についてガイドラインも公開しています。ガイドラインはこちらです。
日本人配偶者の在留資格で在留している方の多くは,ゆくゆくは永住許可を取って長く日本に在留することを希望しています。
罰金刑の前科が付くかつかないかで,今後の手続きに影響が出てくるという方は,早いうちに弁護士に相談する必要があります。
酒気帯び運転で検挙されると永住許可が認められなくなるのか?刑事事件に強い弁護士事務所が解説
事例
(フィクションです)
日本人の配偶者という在留資格で日本に滞在しているAさんは、適法な運転免許証を所持し、自家用車を保有していました。
ある日、Aさんは、友人宅で飲酒をした後、そのまま自家用車で帰宅したところ、帰宅途中の道路で警察官に呼び止められ、そのまま呼気アルコール濃度の検査を受けることになりました。
検査の結果、Aさんの呼気からは1リットル当たり0.2mgのアルコールが検知され、Aさんは酒気帯び運転で検挙されてしまいました。
このとき
①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるか
②①の刑事罰は、Aさんが永住権を得るときに影響するか
以上の点について解説していきたいと思います。
永住権への影響
⑴酒気帯び運転の刑事罰
道路交通法第65条1項により、何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならないこととされています。この「酒気を帯びた」かどうかの判断は、呼気アルコール濃度によって行われ、呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコールが含まれていた場合には、酒気帯び運転として刑事罰の対象とされます。
酒気帯び運転の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています(道路交通法117条の2の2第3号)。
酒気帯び運転の罪の場合、初めて刑事罰を受けるような場合であれば、略式起訴という簡単な手続きにより罰金刑となることが多いです。
ここから先は、Aさんが罰金30万円の刑となったことを前提として解説していきます。
⑵永住権を取得する際に影響が出るか
現在Aさんは「日本人の配偶者」という資格で在留しています。
この後、Aさんが「永住者」資格へ資格の変更を考えるとした場合、今回の罰金前科は何らかの影響が出るのでしょうか。
永住者については、入管法22条に定めがあり、要件は
①各号のいずれにも適合すること
1号 素行が善良であること
2号 独立の生計を営むに足りる技能を有すること
②その者の永住が日本国の利益に合すること
とされています。
出入国管理庁は永住許可の審査についてガイドラインも公開しています。ガイドラインはこちらです。
しかし、「その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない」(入管法22条2項但書)とされています。このような場合には、上記の要件のうち①の要件は不要ということになります。
今回のケースでAさんは「日本人の配偶者」ということですから、この但書が適用されることになります。よってAさんが永住者の在留資格を得られるかどうかは、この②の要件を満たすことができるかどうかということにかかっています。
では、この「日本国の利益に合すること」(国益適合要件)を満たすといえるのはどのような場合でしょうか。
この点について、入管の審査要領においては
- a 原則として引き続き10年以上日本に在留し、この期間のうち技能実習等を除く就労資格又は別表第2の資格を以て直近において引き続き5年以上在留していること
- b 公的義務(納税、入管法上の手続きなど)を適正に履行していることを含め、法令を遵守していること
- c 現に有している在留資格について、規定されている最長の在留期間をもって在留していること(例外有)
- d 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
- e 著しく公益を害するおそれがないと認められること
- f 在留特別許可又は上陸特別許可を受けた者の場合には一定の条件を満たすこと
- g 原則として公共の負担となっていないこと
をポイントに審査されてることとなっています。
今回のように刑罰を受けている場合には、eの要素が問題となります。
「日本国の法令に違反して、懲役・禁錮若しくは罰金に処せられたことがあること」は、eの要件を満たさない可能性が高いと言えます。但し、罰金については「その執行を終わり(中略)5年を経過し(中略)たときは、これに該当しない者」と考えられます(刑法34条の2)。
Aさんは日本人の配偶者であるため、「素行善良」の要件は問題となりません。しかし、国益適合要件は問題となりますので、前科の有無はこの場面で問題となります。
ただ、このeの要素を考慮する際には、罰金刑があるからといって一律に永住権を付与しないわけではなく、罰金刑を受けた原因やその金額などによって判断をされる傾向にあるようです。
今回のような道路交通法違反の場合には、これがあるだけで直ちに永住権が付与されないと言われるまでのものとは考えられませんが、他の要素の兼ね合いで不許可となることも想定されます。
仮に永住申請が不許可となってしまった場合には、刑法34条の2に従い、罰金を納付した日から5年を経過したタイミングで、再び永住申請をしていただく必要があります。
うっかりオーバーステイ,どうしたらいい?入管に出頭すべき?逮捕されてしまう可能性は?
事例
(フィクションです)
Aさんは、技能の在留資格(いわゆる就労ビザの中の1つ)で来日し、調理人として日本のお店で働いてきました。
在留期間の終わりが迫る中、Aさんは日々のお店での業務が忙しく、在留資格の更新手続きを後回しにしていたところ、うっかり在留期間を過ぎることになってしまいました。
後で在留期間が過ぎてしまったことに気付いたAさんは、入管に出頭すれば、そのまま拘束されて本国へ退去強制させられてしまうのではないかと怖くなり、誰にも相談できないまま今に至ります。
まだこのことは入管や警察に発覚していませんが、Aさんの不安は日々大きくなっています。
オーバーステイ(不法残留)とは
オーバーステイとは、在留期間を過ぎて在留資格が無くなってしまった外国人の方が、その状態のまま日本に在留し続けることをいいます。
法律用語的には「不法残留」といい、入管法に違反しているということになります。不法残留によって逮捕、起訴されてしまうと法律上、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課されます。
オーバーステイは、退去強制の対象となります。
オーバーステイ発覚前のお悩みについて
オーバーステイ状態がまだ入管や警察には発覚していないという外国人の方は
- 入管に出頭すべきか
- 発覚したらすぐに逮捕されるのか
- もう日本に残ることはできないのか
- 出国までずっと入管に収容されるのか
- オーバーステイの刑罰はどうなるのか
といったことでお悩みかと思います。
以下、順に見ていきましょう。
入管に出頭すべきか
オーバーステイ状態になってからは、時間が経てば経つほど状況は悪化し、出頭をしないままでオーバーステイが発覚すれば、身体拘束、強制的な送還、重い刑罰といったリスクが高まります。
手遅れの事態にならないよう、早く弁護士等の専門家に相談し、出頭も含め、適切な対応を取れるようにしましょう。
発覚したらすぐに逮捕されるのか
出頭をせずに日々を過ごしていたところ、職務質問や交通違反の時の手続等のきっかけでオーバーステイが警察に発覚した場合は、逮捕されることが多いです。
入管に出頭した場合は、入管が警察へ通報すれば逮捕される可能性がありますが、オーバーステイの期間が短かったり、その他の事情次第では、通報されないまま入管での手続きを進めることになることもあります。
「入管への出頭≠警察での逮捕」ですから,もしも日本での在留を希望する場合には早めに手を打たなければいけません。
もう日本に残ることはできないのか
在留期間の最後の日から2か月以内であれば、在留資格更新の「特別受理」といって、更新を申請できて許可されることがあります。
特別受理が認められるのは、病気や怪我などのやむを得ない事情で在留期間中に更新手続きを行えなかった場合が典型ですが、Aさんのようにうっかり在留期間を過ぎてしまった場合でも、他の事情次第で認めれらる余地があります。
2か月を過ぎてしまっていたり、事情により特別受理が認められないのであれば、オーバーステイの方が日本に残る手段は、在留特別許可を受けることのみになります。
在留特別許可は、基本的に簡単に得られるものではありません。
もっとも、Aさんのように、うっかり在留期間を過ぎただけで他には退去強制にあたることはしていない方の場合は、日本で長期間生活している、日本に家族がいるなどの事情を考慮して在留特別許可を得られる可能性があります。
オーバーステイを放置して時間が経てば経つほど、隠れながらあえて残留し続けていたと見られ、在留特別許可の判断は厳しくなっていきますので、早く弁護士等の専門家に相談し、対応しましょう。
出国までずっと入管に収容されるのか
オーバーステイのような退去強制事由にあたると判断されると、手続き上,全ての事件で入管に収容されることになります。
これを「全件収容主義」といい,入管当局は基本的に「退去強制事由がある事件については全ての事件で収容のための手続きをとる」としているのです。
ただ,入管に収容する手続きが取られてしまっても,例外的に釈放する手続きが設けられています。
Aさんのようにオーバーステイ以外には退去強制にあたることをしていない方が、出国の意思を持って入管に出頭した場合、オーバーステイが初めてであること、日本で一定の犯罪により刑を課されていないこと、パスポート、航空券の用意があることなどの条件をみたしていれば、出国命令制度によって、収容されずに簡単な手続きで出国することができます。
出国命令制度を使えれば、再度来日できるようになるまでの上陸拒否の期間は1年間となり、退去強制手続きの場合よりも早く再来日できるので、在留特別許可を得ることが厳しい場合は、出頭して出国命令制度を利用することも選択肢として考えましょう。
また、収容中に、仮放免の許可を得られれば、収容を解かれた状態で手続きが進むことになります。
仮放免の許可を得るためには、仮放免を必要としており、かつ手続きの進行上認めても差支えがないという事情をしっかりと伝えなければいけないので、弁護士に相談することをおすすめします。
オーバーステイの刑罰はどうなるのか
オーパーステイの期間が短く、そうなった理由や行状が悪くなければ、不起訴となることもあります。
逆に、オーバーステイの期間が長かったり、そうなった理由や行状が悪ければ悪いほど、罰金、執行猶予と、刑罰は重くなっていきます。
【まとめ】
以上のとおり、オーバーステイがまだ発覚していない外国人の方は、そのまま放置していても状況は悪化していくだけです。
- 日本に残り続けたい
- 入管での収容を避けたい
という方は,速やかに弁護士等の専門家に相談し、出頭を含めた適切な対応をとっていくことをおすすめします。
外国人による公然わいせつ事案の法律解説
外国人の方がしてしまった公然わいせつも,日本国内においては日本人と同様に処罰されてしまいます。
特にスポーツの応援などから気分が盛り上がってしまい公共の場で露出をしてしまったという事案や,仕事等のストレスから夜間に路上で露出をしてしまうという事案があります。
日本に在留する外国人の方が公然わいせつをしてしまったという事例を基に,刑事手続やビザへの影響について解説をします。
公然わいせつ罪の定義
公然わいせつ罪は、日本の刑法第174条に定められています。この罪は、「公然と」「わいせつな行為」を行うことによって成立します。
「公然」とは、不特定または多数の人が認識しうる状態を指します。この定義には、実際に多数の人に認識されたことは必要なく、認識される可能性がある状況が含まれます。例えば、公園や路上での性器露出などがこれに該当します。周囲に人がいなかったとしても、通行人が通れば認識される可能性があるため、「公然と」に該当します。
「わいせつな行為」とは、性的な行為であり、普通人の正常な性的羞恥心を著しく害し、善良な性的道義観念に反するものを指します。これには、性器の露出や性的な行為が含まれます。行為者自身や他者の性欲を刺激、興奮させる動作がこれに該当します。
公然わいせつ罪は、社会の健全な性風俗を守るための規定と解されており、時代背景や行為の目的など様々な事情を考慮して判断されます。この罪には、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、または科料が科されることがあります。
外国人による公然わいせつ
公然わいせつ罪の具体的な事例として、外国人による公然わいせつ行為を考えてみましょう。
事例の紹介
(以下の事例はフィクションです)
ある外国籍の男性Aさんが、夜間に酒に酔って全裸で東京都内の路上を走り、警察に逮捕されました。この行為は、公然として周囲の人々に認識され得る状態で行われたため、公然わいせつ罪に該当します。
法的問題点の分析
この事例では、外国人であるがゆえの文化的背景や意図が考慮される可能性があります。
しかし、日本の法律は行為の性質と公共の場での行為の影響を重視します。公然わいせつ罪の判定においては、行為が普通人の正常な性的羞恥心を著しく害し、善良な性的道義観念に反するかどうかが重要な判断基準となります。
この事例においては、文化的な誤解や知識不足により行動した可能性があるため、法的対応においては教育的な側面も考慮されるべきです。また、被告人が再犯を防止するための環境を整えること、例えば専門のカウンセリングを受けることも重要です。
法的な対応と刑罰
このような事例での公然わいせつ罪に対する法的な対応と刑罰について詳しく見ていきましょう。
公然わいせつ罪の法定刑
公然わいせつ罪(刑法第174条)には、以下のような刑罰が定められています。
- 6ヶ月以下の懲役
- 30万円以下の罰金
- 拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する自由刑)
- 科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)
刑事手続とAさんのビザ
逮捕されたAさんはその後,48時間以内に検察庁へ,さらにその後24時間以内に裁判所へ送られ,最大20日間の勾留を受けるかどうかの審判を受けます。
勾留されたとしても,釈放されたとしても,その後の捜査の結果として,罰金刑や懲役刑を受けて,日本での前科がついてしまう可能性があります。
長期間の身体拘束を受けてしまうと,仕事等に行けないだけでなく,出入国管理局での必要な手続きも出来なくなってしまいます。例えばビザの取得,更新,変更等のような窓口での手続きが行えないと,場合によってはオーバーステイとなってしまうことがあります。逮捕や勾留をされている間にオーバーステイとなってしまうと,入管からは強制送還の処分を受けるリスクがあります。
また,罰金や前科がついてしまうことで,その後のビザの更新・変更が不許可となったり,強制送還のリスクが生じてしまいます。
総じて,刑法犯によって逮捕されるということは,外国人の方にとって強制送還リスクを高めるものなのです。
逮捕された直後から弁護士への早急な相談を行いましょう。早期から弁護士が活動することによって
- 逮捕後の身体解放
- 勾留期間の短縮
- 刑事処分の回避
といった,ビザへの影響を最小限にするための弁護活動も行える場合があります。
東京都内で逮捕された外国人の方の面会についてはこちらからもご相談いただけます。
強制送還を避けて日本に滞在するためのビザについてはこちらでも解説しています。
示談と被害者への対応
公然わいせつ罪における示談の重要性と被害者への対応について詳しく見ていきましょう。
示談の重要性
公然わいせつ罪の場合、示談は法的解決に向けて重要なステップとなります。示談は、被害者と加害者双方が合意に達し、被害者が加害者に対する告訴を取り下げることを意味します。示談が成立すると、裁判所はこれを量刑の際に考慮することが一般的です。起訴される前であれば,不起訴の処分を得られる可能性が高まります。
示談は、被害者の精神的な苦痛を和らげ、加害者にとっても刑事責任を軽減する機会を提供します。
示談のプロセス
示談のプロセスには、被害者への謝罪、弁償の提案、合意書面の作成といった準備進みます。
このようなプロセスは、弁護士が代理人として行うのが望ましいです。
被害者への対応
公然わいせつ罪の被害者への対応は、精神的なケアが重要です。被害者は、性的な羞恥心やトラウマを抱えることがあり、適切なサポートと理解が必要です。加害者による誠実な謝罪や弁償は、被害者の心の傷を癒す一歩となり得ます。
示談は、公然わいせつ罪における法的解決の一環として、被害者の感情的な回復と社会的な和解を促進する重要な役割を果たします。このプロセスを通じて、被害者と加害者双方にとって公正で納得のいく解決が図られることが望まれます。
外国人加害者の再犯防止と社会復帰
公然わいせつ罪において外国人加害者の再犯防止と社会復帰の重要性に焦点を当ててみましょう。
外国人加害者に特化した再犯防止措置
外国人加害者の場合、再犯防止措置は文化的背景と言語の違いを考慮する必要があります。異文化間コミュニケーションや文化的適応に関するカウンセリングも重要となります。これらの措置は、加害者が日本の社会規範を理解し、将来的に同様の過ちを犯さないようにするために不可欠です。
外国人加害者の社会復帰支援
外国人加害者の社会復帰支援には、言語教育や職業訓練が含まれます。これらの支援は、加害者が日本社会での生活に適応し、健全な生活を送るための基盤を築くのに役立ちます。また、文化的適応を支援するプログラムも、外国人加害者にとって重要です。
外国人加害者の社会復帰の重要性
外国人加害者の社会復帰は、彼らが日本社会の一員として再び機能する機会を持つことを意味します。これは、文化的な違いを乗り越え、再犯のリスクを減らすために重要です。外国人加害者に対する社会復帰支援は、彼らだけでなく、日本社会全体の安全と健全性を保つためにも重要な役割を果たします。
外国人加害者に対する再犯防止と社会復帰支援は、文化的な違いを理解し、個人の改善と社会の安全を両立させるための重要なステップです。これらの措置を通じて、外国人加害者が日本社会の有益なメンバーとして機能する道を築くことができます。
まとめ
公然わいせつ罪に関わる事案においては、弁護士への早期相談が非常に重要です。
弁護士は、法的な側面からのアドバイスを提供し、加害者や被害者の権利を保護する役割を果たします。
特に外国人が関与する場合、言語の壁や文化的な違いによる誤解を避けるためにも、専門家の介入が不可欠です。早期の法的介入により、適切な法的対応が可能となり、示談の成立や社会復帰の道がスムーズに進むことが期待されます。
外国人による住居侵入罪と日本の刑事手続き
外国人が日本で住居侵入罪を犯した場合、日本の刑事手続きに従って処理されます。
この記事では、その手続きの流れと、外国人が直面する可能性のある法的な問題について解説します。
1. 住居侵入罪とは
この罪は、他人の居住する場所や他人が管理している建造物等に無断で立ち入る行為を指し、刑法第130条によって禁止されています。
外国人がこの罪を犯した場合、その法的責任は日本国民と同様に問われます。
しかし、文化的背景や法律に対する理解の違いから、外国人が無意識のうちにこの罪を犯してしまうこともあります。
具体的には、「人の住居、法律上その住居に準ずる場所、または人が一時的に居住する場所に、正当な理由なくして侵入した者」を処罰の対象としています。
外国人がこの罪を犯す場合、意図的であれ計画的であれ、法的責任を免れることはできません。
日本においては、文化的な誤解や言葉の壁が原因で、外国人がこの罪を犯す事例が報告されています。
2. 事例
(次の事例はフィクションです)
ある米国籍の男性が、大阪の住宅街で、門が開いている一軒家に入り、庭を散策しました。住民の方が通報したところ警察官がやってきて,現行犯人逮捕されてしまいました。
この行為は、家主の許可なく私有地に侵入したため、住居侵入罪に該当します。
男性は、文化的な誤解により、開いている門は歓迎の意味だと解釈していましたが、日本の法律では、明確な許可なく私有地に足を踏み入れることは禁止されています。
このようには、文化的な違いから意図せず日本の刑法に触れてしまったという事例もあります。
3. 逮捕から起訴まで
外国人が住居侵入罪で逮捕された場合、日本の刑事訴訟法に従って手続きが始まります。逮捕された瞬間から、被疑者は法的な権利を有し、弁護士との相談を求めることができます。
警察は最長で48時間の逮捕後、検察官・裁判所の判断により最大23日間の勾留がなされます。
この期間中に、警察と検察官は事件の事実関係を調査し、起訴するかどうかの決定を行います。
勾留の期間中,外部との連絡が禁止される場合もあり,職場や家族への連絡も途絶えてしまう可能性があります。
外国人であることが、起訴の決定に直接的な影響を与えることはありませんが、言語の壁や文化的な誤解が適切な法的支援を受ける上で障壁となることがあります。
4. 裁判手続き
起訴された後、外国人被告人は日本の裁判所で審理を受けます。裁判の過程では、検察官が提出する証拠と、弁護側の反論が交わされます。
また、通訳の手配が必要な場合、国はこれを提供する義務があります。
住居侵入で起訴されてしまった場合,判決の内容は懲役刑も罰金刑もいずれもあり得ます。
ただ間違えて立ち入ってしまった,という程度であれば罰金刑で終わることもありますが,窃盗やわいせつ行為等の別の犯罪にあたる行為を目的としていた場合には執行猶予付きの懲役刑が言い渡されることも考えられます。
5. 在留資格と刑事手続き
住居侵入罪による有罪判決は、外国人の在留資格に深刻な影響を及ぼす可能性があります。日本の入国管理法は、犯罪行為を理由に強制送還処分することができると規定しています。
つまり,合法的なビザを持っていたとしても,有罪判決を受ければ強制送還になってしまうリスクがあるのです。
住居侵入罪の場合,現在の在留資格の内容によっては,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても強制送還の対象になります。
退去強制に関する手続きについて出入国管理局の解説はこちら。
そのため,逮捕された直後から起訴されないための弁護活動が非常に重要になるのです。
その他の事件について刑事事件と在留資格について解説したものはこちらになります。
6. まとめ
逮捕された瞬間から、外国人の被疑者・被告人の在留資格は危機に瀕します。
このような状況では、直ちに法的支援を求めることが、ビザを守る上で極めて重要です。
弁護士へ相談することで、逮捕後の初期段階での適切なアドバイスが受けられるとともに,在留資格の保持に向けた活動に着手することもできます。
日本の法律下では、犯罪行為によって在留資格が取り消される可能性があり、これは強制退去につながることもあります。
しかし、適切な法的対応が速やかに行われれば、在留資格の失効を回避し、最終的には強制退去を避けることが可能になる場合があります。
逮捕された直後から、弁護士との相談を行うことは、在留資格を守る上で不可欠です。
外国人が日本で法的な問題に直面した際には、迅速な法的支援がその人の将来に大きな影響を及ぼすことを理解していただけたと思います。
日本での生活を続けるためには、日本の法律を尊重し、必要な場合には適切な法的手続きを踏むことが重要です。
傷害,器物損壊罪で強制送還になるのか?在留資格への影響はどうなるのか
報道によると,外国人の男性がタクシー運転手に対する傷害罪で逮捕され,さらに余罪として器物損壊が疑われていると報じられました。
この方のように,傷害罪や器物損壊罪について検挙された場合,ビザにはどのような影響があるのでしょうか。
退去強制とは
日本に正規で在留している外国人の方は,どなたも何かしらの在留資格をもって在留しています。
正規の資格をもっていたとしても日本で何かしらの法令の違反や,入管の手続の違反があった場合には,強制送還の対象となってしまう場合があります。
日本から外国人の方を強制送還する手続きのことを,正式には「退去強制」と言います。
退去強制手続きは主に
- 理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
- 入国警備員による調査
- 入国審査官による審査
- (場合によっては)法務大臣による裁決
という4つの段階を踏まえて進められていくことになります。
退去強制の理由となる理由が発生した場合,そのことを入国管理局が知ることで調査が実施されます。調査の結果は全て,入国審査官へ引き継がれて「強制送還をすることが適法かどうか」の審査がなされます。審査の結果を踏まえて,強制送還が最終的に決定されることになります。
強制送還をする,という審査がなされた後,決定に不服がある場合には異議を申し出て口頭審理,法務大臣の裁決へと手続きが進みます。
口頭審理,法務大臣の裁決を踏まえて,最終的に強制送還をするか,在留特別許可をするか,それとも強制送還をしないか,といった決定が下されることになるのです。
刑事事件を起こしてしまった外国人の方が強制送還されるかどうかという点や,審査手続きの流れについて細かく解説します。
退去強制の理由になる事実
入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。
- 一定の入管法によって処罰された場合
- 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
- 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
- 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
- どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合
執行猶予が付いたとしても強制送還になってしまう刑法犯は,代表的には次のようなものです。
-
- 住居侵入罪
- 公文書/私文書偽造罪
- 傷害罪,暴行罪
- 窃盗罪,強盗罪
- 詐欺罪,恐喝罪
これらの罪の場合,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても,裁判が確定すると強制送還の対象となります。一定の刑法犯で懲役刑,禁錮刑に処せられたとして強制送還されるのは,入管法の別表1に該当する在留資格をもって日本に滞在している外国人の方です。入管法の別表1に該当する在留資格とは,こちらのページで列挙されています。
在留資格の一覧についてはこちらです。
何かしらの犯罪で逮捕されてしまった,というだけでは強制送還の対象とはなっていません。ですが,逮捕,勾留に引き続いて「公判請求」,つまり,「起訴」がなされてしまうと有罪の判決が言い渡される可能性が極めて高く,有罪の判決を受けると内容によっては強制送還されてしまう可能性があるということです。
特に,薬物事件や入管法違反については,「悪質な事案」として入管法でも厳しく扱われており,強制送還されやすくなっています。逆に,一般刑法の違反の場合には,「その罪名や言い渡された刑の内容によっては強制送還される」という定め方になっています。
報道では,当該外国人の方の在留資格までは分からないのですが,仮に永住者,日本人の配偶者等,定住者といった,いわゆる別表2の在留資格の場合には,直ちに強制送還の対象となるものではありません。
一方,留学や就労系の在留資格,家族滞在のように,別表1の資格の場合,逮捕・起訴されて有罪の判決を受けて執行猶予となってしまうと強制送還の対象となってしまいます。
在留資格の種類によって,強制送還の対象となるかどうかが変わってくるような事案です。
入国警備官による調査
刑事事件を起こしてしまったことが強制送還の理由となってしまった場合,刑事手続きが終了した後,近くの各地方出入国在留管理局に呼び出された上で,入国警備官による調査を受けることになります。
この時の調査の内容は,「退去強制をするべき事実が発生したかどうか」ということに限られます。そのため,調査での一番の調査事項は,
- 一定の入管法によって処罰されたかどうか
- 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
- 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決が確定したかどうか
- 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
- どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けたかどうか
という点になります。そして,これらの事実のほとんどは,刑事裁判の結果を基に認定がなされます。
裁判で事実を争っていない場合にはそのまま「強制送還の理由あり」という認定になってしまうでしょう。
裁判で争っていた場合,または入管の手続きになってから初めて事実を争うという場合,改めて証拠を提出したり詳細な主張を行ったりする必要があります。
入国審査官による審査
入国警備官が調査した内容は,そのまま入国審査官へと引き継がれていきます。そして入国審査官が対象となる外国人の方と面談(interview)を行い,審査を実施します。
審査の対象となるのも上に書かれた調査事項と同様です。
なお,強制送還の理由となる事実に加えて,日本での生活や仕事のこと,家族のこと,財産のこと等も一緒に質問されることがあります。
これは,強制送還の理由になる事実があったとしても,在留特別許可をするかどうか,という判断で考慮される事情になります。
審査が終わると強制送還の理由になる事実があったか/なかったか,という点についての判断がなされ,「事実があった」と認定されると一時的に入管の施設に収容されてしまいます。
元々オーバーステイだった場合には,そのまま収容が続いてしまうことが多くあります。
一方で,審査が終わるまでは一応在留資格をもって日本に在留していたという方の場合,一時的に収容の手続きがなされたとしても,すぐに「仮放免」といって,保証金を払うことで釈放される場合もあります。仮放免の解説はこちらです。
入国審査官による審査が不服であった場合,強制送還の理由になる事実があったとしても,さらに日本での在留を希望する場合には,その後の口頭審理という手続きを行うことになります。
口頭審理とは何か?
口頭審理とは,入国審査官が「退去強制事由がある」と判断をしたことに対して,特別審査官が再度審査をするという手続きのことです。
退去強制になるまでには,
- 理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
- 入国警備員による調査
- 入国審査官による審査
- (場合によっては)法務大臣による裁決
という段階がありますが,「口頭審理」という手続きは,この3と4のちょうど間にある手続です。
口頭審理では,入国審査官の判断が間違っていたかどうか,が審理の対象になります。
そのためまずは,強制送還の理由となった事情について再度細かく質問を受け,その後,日本での在留に関する質問をされます。ですが,口頭審理でのインタビューは,法務大臣の裁決という手続きに進む前の,最後のインタビュー手続きです。
そのため,口頭審理の場では,違反審査に関する事だけでなく,在留特別許可を認めるかどうかの判断で重要となる部分の『聞き取り』も行われることになっています。
ただ,あくまで「聞き取り」を行うだけですので,事実に間違いがない限りは,口頭審理の結果については,「元の審査に誤りはなかった」と判断されることになります。
口頭審理の後も,引き続き日本での在留を希望するという場合には,異議の申立てをして,法務大臣の裁決を求めることになります。
口頭審理のポイントとなるのは,『法務大臣による裁決前の最後のインタビューである』という点です。
法務大臣の裁決
入国警備官による調査から始まって,強制送還に関する最後の手続きが法務大臣の裁決という手続きです。
この手続では面談などはなく,口頭審理の結果を踏まえて在留特別許可をするかどうかについて,書面による審査が実施されます。
法務大臣の裁決では,それまでの手続きにおける間違いがないかどうかという点の審査に加えて,在留特別許可をするかどうかという最も重要な点についての審査が行われます。
在留特別許可をするかどうかについては,入管における判断の透明性を確保するという観点から,ガイドラインが公開されています。
そのガイドラインの大枠は,次のようなものになります。
- 積極要素
日本人の子か特別永住者の子である
日本人か特別永住者との間に生まれた未成年の子を育てていて親権を持っていること等
日本人化特別永住者との間に法律上有効な婚姻が成立している
⇒日本と外国人とが,家族関係を持つレベルで接着していること
- 消極要素
重大犯罪によって刑に処せられた
出入国管理行政の根幹を犯す違反をした
反社会性の高い違反をした
⇒日本に在留させることが日本にとって不利益が特に大きい場合
最終的には様々な事情を総合して判断することにはなりますが,これらの積極要素/消極要素を中心にして,過去の事例なども参考にしながら,在留特別許可をするかどうかの判断がなされます。
まとめ
報道の事例では,在留資格の種類によっては強制送還の対象となり得るものです。また,逮捕されてしまうとそれ自体によって資格の変更や在留期間の更新といった各種手続きが滞ってしまい,オーバーステイとなってしまう可能性もあります。
日本に残って生活を続けたいと希望する場合には,刑事事件の中で不起訴を目指すという活動と,その間に在留資格が失われてしまうことがないようにするための活動,刑事事件後に退去強制手続きが掛かってしまうとしても在留特別許可を目指すための活動が重要です。
強制送還に関する手続きについて,弁護士等に一度ご相談された方が良いでしょう。
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