Posts Tagged ‘資格外活動許可’

「留学」の在留資格について解説,ビザがもらえる学校はどこまで?

2023-02-08

在留資格「留学」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

1.「留学」の在留資格に該当する活動

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。

2.基準  一部抜粋

(前略)四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。 (後略)

3.基準についてのポイント

基準省令四の二は、申請人が中学校若しくは特別支援学級の中学部又は小学校若しくは特別支援学級の小学部において教育を受けようとする場合の基準です。

イからホまでありますが、学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当しなくともかまいません。

イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であることが必要です。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であることが必要です。

二 申請人を受け入れる小学校、中学校、特別支援学校等に常勤の生活指導員が必要です。

ホ 申請人が日常生活を支障なく営むための「寄宿舎」「宿泊施設」が必要です。

 この「寄宿舎」「宿泊施設」は申請人の監護者の自宅で構いません。

4.「留学」と「資格外活動」について

「留学」としてイメージしやすいのは「大学」ですが、在留資格【留学】は小学校から大学院までを対象としています。

「留学」には日本語学校も含まれます。

在留資格「留学」で日本語学校等に入学された方は本来働くことは認められていませんが、「資格外活動許可」を受けた場合には、週28時間以内(長期休業(夏休み等については1日8時間以内)のアルバイトがみとめられます(風俗営業店舗等を除く。)。

資格外活動許可を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり、在留更新が認められない場合があり、近年、ブローカーの甘言を安易に信じ、入国当初から多額の借金を背負うことになった結果、借金返済のために制限を超えたアルバイトをすることで本来の日本語学校での勉強がおろそかになり、ほとんど日本語が習得できないまま、帰国を余儀なくされたり、より稼ぎをえるために失踪する者が増加していることが問題となっています(出入国在留管理局HPより)。

「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格の違い

2022-03-30

前回の解説記事にて,「家族滞在」の在留資格の取得に必要な手続きを解説をしました。

その中で,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格に似ている部分があることについて触れました。

この記事では,その,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の違いについて具体的に解説をしていきます。

(さらに…)

外国人従業員が「勝手に」不法就労をした?不法就労助長罪の成立要素

2021-06-22

不法就労助長罪は,「事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた」場合に成立する犯罪です。

出入国管理法73条の2第1号の違反となり,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が定められています。

この,①事業活動に「関して」外国人を働かせていたかどうか,また,②事業主が外国人に仕事を「させた」かどうかが争われた裁判例があります。

参照する裁判例は,東京高等裁判所が平成6年11月14日に判決を言い渡した不法就労助長罪の事件です。

この事件は,スナックを経営していた日本人がスナック店内で外国人に売春をさせていたという事件です。被告人は,あくまでスナック従業員として雇っていた外国人が勝手に売春をしていた,従業員に対して不法就労を命令していない,として無罪を主張していましたが,東京高等裁判所はこれを認めず,被告人を有罪とした一審判決を維持しました。

①事業に「関して」いるかどうか

「事業に関し」とは,運営・従事している事業のために必要な活動でなければ犯罪にならないとされています。

そのため,実際に雇い主が営んでいる事業と関係しない活動を,外国人が行ったとしても不法就労助長罪にはなりません。裁判例の被告人も,あくまで事業は「スナック」であったことを,外国人を雇っていたのも「スナックの従業員として」であることを主張していたようです。

ですが,この裁判例のスナックでは,

①外国人がスナック従業員として勤務しつつ,客との間で売春の合意ができた時には売春の対価のうち一部をスナックに支払っていたこと,

②売春のために店の外に出る時には店の了解が必要で店に断りなく売春をした場合には罰金が徴収されることになっていたこと

等の事実が認定され,看板としては「スナック」として経営されていたとしても,その実態は「売春スナック」であったから,事業に関して外国人を雇っていると判断されました。

この裁判例が「本件スナックが,正規の営業目的いかんにかかわらず」と述べているように,外国人を働かせている名目よりも,実質的にどんな業務に従事していたのかが判断の対象になります。

不法就労助長にあたらないように名目だけ適法な事業をさせていたとしても,従事していた業務の実質が判断されることになるので,外国人の雇い入れ時には注意しましょう。

②不法就労を「させた」かどうか

不法就労を「させた」といえるには,外国人を監督下において働かせたことを言うとされています。

そのため,外国人が全くの自由な判断で仕事をした場合には,不法就労助長罪とはなりません。

「外国人が『勝手に』働いていたのでは給料も支払われないのだから,そんな事態になるのはあり得ないのでは?」と思われる方がいるかもしれません。

しかし,ある事業主の下で外国人が働き,事業主からは給料が支払われなくとも,客から直接報酬が支払われるという業務であれば,そのような事態もあり得るのです。

先の裁判例においては,被告人が経営していたスナックで,外国人が売春行為をしたときに,客からの売春対価の一部が店舗に,残りが外国人の手元に残る形となっていました。そして東京高等裁判所は,不法就労をした外国人に対して,不法就労をさせた人が直接対価を支払っていなくても,犯罪は成立するとしています。

報酬を支払っていなくても,不法就労助長罪は成立するのです。

また,外国人従業員に対して不法就労することを業務として指示はしていないとしても,雇い主と従業員という上下関係があり,不法就労にあたる行為についての指導をしていたと証拠上認められたことから,不法就労を「させたといえる」と判断されました。

裁判例でみるべきポイント

具体的な事案での結論はそれぞれ異なる可能性があるので,「売春スナックだと不法就労助長になる」というロジックは正確ではありません。

一番重要なのは,「どのような要素から不法就労助長に該当すると判断されているか」という点です。

この裁判例からいえることは,不法就労助長罪が成立するかの判断で

①外国人が行った業務が,事業主が実質的に営んでいる業務なのかどうか

②「外国人に報酬を払っていない」というだけでは無罪にはならない,外国人の業務をどこまで是認していたか

が重要であるということです。

特に②については,事業主として作業場の管理が徹底していれば起きえない問題です。

管理が徹底していても,それでも外国人が不法就労をしていたということなのであれば(それだけ外国人が,巧妙に隠れて働いていた),『不法就労助長罪は成立しない』と争いやすくもなります。

外国人の雇用と不法就労助長罪について不安のある方は是非一度ご相談ください。

ウーバー配達員の資格確認,何が問題だった?

2020-12-25

令和2年12月5日,食事の宅配サービスの大手「ウーバーイーツ」を運営するウーバー・ジャパンが外国人の配達員に在留資格を証明する書類を確認する方式を導入したことを,各種の報道機関が報じています。

中日新聞の記事 https://www.chunichi.co.jp/article/165372

このウーバーイーツの配達員に関して,外国人が配達員を担うことについてどんな問題があり得るのかを解説します。

(さらに…)

資格外活動への処分その1

2020-10-30

このページでは,日本に在留する外国人の方が資格外活動をしてしまった場合の刑罰その後の処分について解説します。 (さらに…)

資格外活動許可の申請手続き

2020-10-23

このページでは,資格外活動許可の申請手続きについて解説します。

そもそも資格外活動とは何なのか,申請の時に必要な書類は何なのか,弁護士が解説します。

また,次回以降の更新では,資格外活動の申請の許可についての判断基準や,申請をしないで資格外活動をしてしまった時にどうなるかという点も続けて解説します。

関心のある方は続けてご覧下さい。

(さらに…)

日本に留学中の外国人は働けるのか

2020-09-29

留学生を雇うと問題があるのか?

※このページは主に日本の事業主の方に向けた解説です。

留学のために来日する外国人留学生は年々増加しており,平成30年の統計によると,約33万人の外国人留学生が日本に在留しています(なお,日本における大学生の総数が約280万人程度と言われています)。

完全に自分一人で事業を行っている方を除けば,大半の事業主の方は人を雇って事業を営まれているかと思います。また,事業の形態や規模にもよりますが,正規の社員ではなく,アルバイトとして人を雇っているという方もいらっしゃるかと思います。

そして,現在のように外国人留学生が増加している中で,「留学生がアルバイト応募してきたのだけれど雇っていいのかな」という質問を持たれる方もいらっしゃいます。

今回は,留学生を雇う場合の問題点について取り上げます。

(さらに…)

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