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強制送還の危機!知っておくべき手続きと弁護士への相談方法
強制送還とは、日本に滞在する外国人が一定の違法行為をした場合、日本から強制的に送り返される手続きです。
この記事は、強制送還の危機に直面している外国人、特に留学生や労働者、その家族や関係者に向けて書かれています。
強制送還は、留学や仕事、家庭生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、手続きの流れを理解し、適切な対応を取ることが非常に重要です。 この記事では、実際の事例を交えながら、強制送還手続きの詳細、弁護士に相談するメリットについて解説します。
事例
(事例はフィクションです)
Aさんは、日本の大学に留学中の20歳の男性です。
東京都内の電車で、Aさんは痴漢行為をしてしまいました。 この行為が目撃され、駅で警察によって現行犯逮捕されました。
Aさんが痴漢行為をした理由は、ストレスと好奇心からでした。逮捕後、警察の取り調べを受け、結果として罰金刑が科されました。
この事件により、Aさんは強制送還の対象となるのではないかと不安になりました。 留学生である彼にとって、この結果は日本での学業と将来に重大な影響を与えるものでした。
この事例から、どんなに些細な違法行為でも、それが強制送還につながる可能性があることを理解することが重要です。 特に、留学生や労働者といった在留資格を持つ外国人は、一度強制送還の対象となると、その後の日本での生活が非常に困難になります。
強制送還手続きの全体像
強制送還手続きは、正式には「退去強制」と呼ばれ、以下の4つの主要な段階があります。
- 理由となる事実の発生: これにはオーバーステイ、不法就労、虚偽の申請、犯罪歴などが含まれます。
- 入国警備員による調査: 理由となる事実が発生した場合、入国管理局が調査を実施します。
- 入国審査官による審査: 調査の結果を基に、強制送還が適法かどうかの審査が行われます。
- 法務大臣による裁決: 審査結果に不服がある場合、口頭審理と法務大臣の裁決が行われます。
強制送還の理由になる事実は、一定の入管法違反や刑事事件で有罪判決を受けた場合などがあります。 特に、犯罪で有罪判決を受けた場合、その内容によっては強制送還される可能性が高くなります。
入国警備員による調査では、具体的な違反事実とその証拠が確認されます。 この段階で事実を争う場合、証拠を提出する必要があります。
入国審査官による審査は、調査結果を基に行われ、審査が不服であれば口頭審理が続きます。 最終的には法務大臣の裁決によって、強制送還をするか、在留特別許可をするかが決定されます。
この手続きは複雑であり、専門的な知識が必要です。 そのため、弁護士のアドバイスが非常に重要となります。
弁護士に相談することのメリット
強制送還手続きは非常に複雑で、専門的な知識が必要です。 そのため、弁護士に相談することには以下のようなメリットがあります。
- 専門的なアドバイス: 弁護士は入管法や刑法に精通しているため、具体的なケースに最適なアドバイスを提供できます。
- 手続きのサポート: 強制送還手続きには多くの書類や手続きが必要です。弁護士はこれらのプロセスをスムーズに進めることができます。
- 口頭審理での代理: 弁護士は口頭審理での代理人としても活動でき、より有利な状況を作ることが可能です。
- 在留特別許可の申請: 強制送還が確定した場合でも、在留特別許可の申請が可能です。弁護士はこの申請に必要な書類の作成や手続きをサポートします。
- 心のサポート: 強制送還手続きは精神的にも大きな負担となります。弁護士はそのような時に心のサポートも提供してくれます。
弁護士に相談することで、強制送還手続きをよりスムーズに、そして確実に進めることができます。 特に、強制送還が確定すると日本での生活が非常に困難になるため、早めの相談が推奨されます。
Aさんの事例の場合,「痴漢行為をしてしまった」ということですので,各都道府県に定められている迷惑行為防止条例違反か,不同意わいせつ罪(刑法176条)として処分を受ける可能性が高くあります。このケースで強制送還となるリスクが生じるのは
- 1年を超える実刑判決を受けてしまった場合
- 実刑判決にならなかったとしても,その後のビザの更新や変更が認められず不法滞在(オーバーステイ)となってしまった場合
になります。
Aさんのように痴漢で逮捕されてしまったという場合,まずは1年を超える実刑になってしまうリスクに対応しなければなりません。
罰金刑に処せられた場合,その後のビザの更新,変更の手続きにおいて,申請が許可されないという可能性も十分にあり得ます。そのため,刑事事件においても出来る限り軽微な処分を得ることが非常に重要です。
まとめ
この記事では、強制送還手続きとその法的側面について詳しく解説しました。 特に、留学生のAさんが痴漢で逮捕された事例を通じて、強制送還のリスクとその手続きについて具体的に説明しました。
また、強制送還手続きが進む各段階、入国警備員による調査から法務大臣による最終裁決までのプロセスを解説しました。 このような複雑な手続きを理解し、適切に対応するためには、専門的な知識と経験が必要です。
弁護士は法的問題を解決するための重要なパートナーです。早めの相談と適切な対応が、強制送還という厳しい結果を回避、またはその影響を最小限に抑える鍵となります。
強制送還は、その対象となる外国人にとって、人生に大きな影響を与える可能性があります。ですから、この記事が強制送還手続きについての理解を深める一助となれば幸いです。
解決事例 在留特別許可(留学)が認められた事例
当所の扱った事案について,在留特別許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。
事案・ご依頼の経緯
弁護活動
事件を振り返って
「留学ビザ」は日本で何ができる?ビザの取りやすさは?
在留資格「留学」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「留学」の在留資格に該当する活動としては、日本の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動が該当します。
「留学」の在留資格の該当例としては、大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・中学校及び小学校等の学生・生徒です。
「留学」での在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(4年3月を超えない範囲)となっています。
また、「留学」の在留資格を保有したまま、母国に一時帰国することも可能です。
ただし、出国期間が1年以上の場合は「再入国許可」、出国期間が1年未満の場合は「みなし再入国許可」の手続きを行う必要があります。
「みなし再入国」は、出国期間が1年未満の場合は、「再入国許可」の手続きをせずに再入国をすることが認められている簡易的な制度です。
ここで留意が必要なのは、一時帰国時に保有している在留期間が1年未以内に満了する場合は、再入国期間も在留期間と同じになることということです。
さらに、「留学」の在留資格を保有している者は、当該外国人の配偶者と子供であれば、一定の条件を満たすことで日本に呼び寄せることが可能です。
この場合、「家族滞在」の在留資格を申請して日本に呼び寄せることになりますが、次の3点を満たすことを証明する必要があります。
① 法令で認められた学校に留学していること
「法令で認められた学校」とは、大学・大学院・その他法務大臣が認めている学校が対象であり、日本語学校は含まれていません。
② 適法に結婚等をしてることが確認できること
③ 家族を扶養するための十分な資力があること
扶養者の貯金などの資力が不十分である場合には、母国の親族から仕送りなどがされていることなどを証明する必要があります。
最後に、「留学」の在留資格を有する者は、学業を目的とした在留資格のため、原則として報酬を得る活動(アルバイトなど)は資格外活動に該当するため認められていません。
この資格外活動とは、現在有している在留資格では認められていない報酬を得る活動のことをいいます。
しかし、この資格外活動許可(包括許可)を取得することにより、1週間に28時間以内のアルバイトが可能になります。
ただし、夏期・冬期休業等の教育機関の長期休業中は、1日8時間以内の就労(風俗営業等への従事を除き、教育期間に在籍している場合に限る。)が可能です。
なお、余談ですが、この「留学」の在留資格に対して就労活動に制限のない永住者などの身分系在留資格を持つ外国人は、資格外活動許可の対象にはならず、資格外活動許可を得ずにアルバイト等の就労に従事することが可能です。
以上のように、一言で「留学」と言っても、様々なルールがありますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
家族滞在の在留資格取得手続
このページでは,「家族滞在」の在留資格取得について解説をします。
家族ビザというと,「日本人の配偶者」や「日本人の子供」についてのビザを思い浮かべるかもしれませんが,日本人の家族でなくても「家族滞在」の在留資格が認められることも十分にあります。
今回は,家族滞在の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。
資格外活動許可申請の審査基準
日本で生活されている方,特に,留学生や家族滞在の在留資格で日本に在留している方の中には,資格外活動の申請をしている方が多いのではないでしょうか。就労ビザを持っている人であれば良いですが,留学生や家族滞在の在留資格の方が日本でアルバイトやパートで働くときには,資格外活動許可を受けなければ不法就労になってしまいます。
以前,不法就労になってしまうのかどうかについての解説記事もアップしています。
今回は,資格外活動申請をしたとして,その後はどんな審査がなされるのかについて出入国管理庁の審査基準などについて解説します。申請を出すときに,どんなポイントに気を付けないといけないのか,どんなことを書いたら不許可になるのかについても解説しますので,気になる方は最後までよく読んで申請を出しましょう。
ウーバー配達員の資格確認,何が問題だった?
令和2年12月5日,食事の宅配サービスの大手「ウーバーイーツ」を運営するウーバー・ジャパンが外国人の配達員に在留資格を証明する書類を確認する方式を導入したことを,各種の報道機関が報じています。
中日新聞の記事 https://www.chunichi.co.jp/article/165372
このウーバーイーツの配達員に関して,外国人が配達員を担うことについてどんな問題があり得るのかを解説します。
日本に留学中の外国人は働けるのか
留学生を雇うと問題があるのか?
※このページは主に日本の事業主の方に向けた解説です。
留学のために来日する外国人留学生は年々増加しており,平成30年の統計によると,約33万人の外国人留学生が日本に在留しています(なお,日本における大学生の総数が約280万人程度と言われています)。
完全に自分一人で事業を行っている方を除けば,大半の事業主の方は人を雇って事業を営まれているかと思います。また,事業の形態や規模にもよりますが,正規の社員ではなく,アルバイトとして人を雇っているという方もいらっしゃるかと思います。
そして,現在のように外国人留学生が増加している中で,「留学生がアルバイト応募してきたのだけれど雇っていいのかな」という質問を持たれる方もいらっしゃいます。
今回は,留学生を雇う場合の問題点について取り上げます。