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ビザの更新,期限が切れたら?!更新の申請の特例
ビザの有効期限がいつまでか,きちんと管理されていますか?
雇用主の方は,従業員の在留期間がいつまでか,把握されていますか?
外国人の方が日本で生活する上で最も大事なビザ(在留資格)には,そのほとんどに,一定の期限が設けられています。
例外として「永住許可」の場合には,ビザに期限はありませんので,7年おきに「在留カード」の更新だけすれば大丈夫です。
ですが,それ以外のビザの方は,期限ごとに「在留期間の更新申請」をしなければなりません。この手続きをもしも忘れてしまうと,どうなるのでしょうか。
在留期間の延長を求めて争った裁判事例 東京地方裁判所その1
このページでは,在留期間の延長を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。
今回の事例は,令和2年2月27日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。
この事例では,「定住者」の在留資格を付与されていた外国籍のAさんが,
①スピード違反により懲役3月,執行猶予2年の有罪判決を受け,さらにその猶予期間中に
②無免許運転により懲役5月の有罪判決を受けて,日本の刑務所で服役することになりました。
Aさんは,服役する直前に,在留期間の更新申請をしていましたが,この申請は不許可となり,Aさんは服役中に不法残留(オーバーステイ)の状態となってしまいました。
Aさんは,在留期間の更新申請の不許可処分に対して取り消しを求めて東京地方裁判所に訴えを起こしました。
帰国したいのに帰国できない方へ
日本のみならず,世界の情勢として人の移動,物の移動を制限する状況が長く続いています。
新型の感染症の影響によって,各国も国境を閉鎖したり,出国・入国の禁止や制限を設けていたりします。
日本に在留する外国人の方の中でも,「帰国したいのにできない」という方や,「在留期限が過ぎて帰国したいのに母国へ帰る飛行機がない」という方もいるかもしれません。
現在,日本政府は,「本国等へ帰国が困難な外国人に係る取り扱い」を発表しています。
これは,母国等に帰りたくても帰れない状況が続いている方への救済の措置になります。
内容としては次の2点です。この救済の措置は,入国制限や出国制限などによって母国等に帰れない期間が続いている間,継続することとされています。
短期滞在の在留期間の延長
短期滞在で日本に在留している方は,90日在留期間を延長できます。
もともと,短期滞在の在留資格については特別な事情がない限り在留期間の延長は認められていませんでしたが,帰国が困難な状況が続いている間オーバーステイとしないために,在留期間の延長が認められます。
但し,自動で延長されるものではありませんので,90日おきに手続きが必要です。手続を忘れてしまうとオーバーステイになってしまい,これから先5年間,もしくは10年間,日本に再入国できなくなってしまう可能性があるため注意しなければなりません。
「特定活動」への在留資格の変更
元々帰国する予定だったため,日本での仕事を辞めてしまった方や学校を辞めてしまった方については,在留資格を「特定活動」へ変更することが出来ます。
特定活動というのは,法律で定められている活動以外に個別の活動を指定して在留を認めるというものです。
そして,特定活動の在留資格の場合には,通常働くことは認められていませんが,
・「留学」の在留資格の方(元々留学生で出国準備中だった方も含む)
・「技能実習」,もともとが「特定活動(9号,12号,32号,35号,42号)」だった方
については,週28時間までのアルバイトも認められるようになりました。
これにより,元々の在留資格が取り消されたり資格外活動として検挙されたりするリスクを下げることが出来ます。なお,それ以外の在留資格の方であっても特定活動の在留資格へ変更することはできますが,その期間働くことはできません。生活費を得るためにアルバイトの必要がある場合には,資格外活動許可を得る必要があります。
特定活動に変更した場合の在留期間は6か月,ないし3ヶ月です。
ご自身として在留資格を変更する必要があるのかどうか分からない方や不安な方は一度弁護士にご相談ください。
就労資格証明書の取得手続
このページでは,就労資格証明書について,解説します。
就労資格証明書とは何か
就労資格証明書とは,『既に取得している在留資格の範囲内で日本で働くことができることと,仕事の内容』を証明するものです。
在留資格には,いわゆる「就労ビザ」と呼ばれるものがあり,特定の仕事をするために日本に在留する際に認められるものがあります。
しかし,就労ビザは,「経営管理」や「教授」「教育」など,種類だけ聞いても「この在留資格でこの仕事に就くことはできるのか?」と判断しにくいものもあります。特に,「技術・人文知識・国際業務」は,パッと見ただけではどんな仕事を含むのか判断しづらく,「これは人文知識の在留資格で働ける仕事なのか」と悩むことも多くあります。
せっかく就労の在留資格が取得できても,それを使って日本で働けるのかどうか分からないというのでは,在留資格を申請する意味がありません。
そこで,「就労資格証明書」を取得することによって,取得した在留資格によって働くことが出来る内容を証明することが出来るのです。
どのように申請したらよいか
就労資格証明書の申請には,次の書類を準備します。
・在留カード,旅券を提示(提示できないときは理由書を提出する)
・申請手数料1200円(窓口で払う)
就労資格証明書の申請は,各地方出入国管理局の窓口で,平日・日中の時間帯に申請書を提出します。
申請から証明書が発行されるまでにかかる期間は,通常その日のうちに発行されますが,転職する場合だと1~3か月程度かかることもあります。
特に,転職にあたって就労資格証明書を申請する場合には期間の余裕を持って申請手続きを行いましょう。
どんな時に使えるのか
就労資格証明書を活用すべき場合とは,上記で触れたように,就労ビザで日本に在留している外国人の方が転職しようとする場合です。
日本人の配偶者や永住許可を受けている方は,日本での就労に大きな制限はないので,基本的には就労資格証明書を使うことは少ないかと思います。
日本国内で転職する際,転職後の仕事の内容についての「就労資格証明書」を取得しておくことで,
①転職先に対して適法な在留資格を持っていることを証明できる。
②次回の在留期間の延長の時に手続きが円滑に進む。
というメリットがあります。
もちろん,就労資格証明書がなくても同じ在留資格に適合する範囲内であれば転職するは可能です。
ただ,就労資格証明書を得ておくことによって,在留資格を変更しないままで問題ないことを転職先に示すことで,転職先の会社としても「この人を雇っても不法就労にはならない」と安心することが出来ます。一般の企業でも,仕事の内容が在留資格に適合しているものなのかどうか,判断するのは非常に難しい場合があります(特に,技術・人文知識・国際業務の在留資格。就労系の在留資格として最も取得されているものですが,その範囲については漠然としています)。
また,通常,転職後の在留期間の延長の審査には追加の書類が多数必要になることに加えて,審査にも時間がかかります。在留期間の延長審査をしている間に,在留期間の満了を迎えてしまう,ということも考えられます。
事前に就労資格証明書を取得しておけば,在留期間の延長申請の時に慌てなくてすみます。
更に,万が一,就労資格証明書が交付さなかった場合には,再度転職活動を続けるということもできます。
もしも,転職した後に在留期間の延長申請をして,「転職後の仕事では在留資格が認められない」ということが分かったとすると,延長申請が認められないだけではなく,在留資格が特定活動へと変更され,日本からの出国準備をしなければならなくなります。そうなると,転職先での仕事を続けることはできなくなってしまいますし,仕事を続けると資格外活動として出入国管理法違反の刑罰にも問われかねません。
そうなる前に就労資格証明書を申請して,転職後の仕事も在留資格に適合するかどうか一度審査を受けておくことで,余裕を持った転職活動ができることになります。
まとめ
就労資格証明書は,①のような事業者にとってのメリット,②のような外国人側にとってのメリットの両方のあるものですが,あまり活用されていないようです。
中途採用やヘッドハンティング等で外国人の採用を考えている事業主の方,在留資格を変えないままで転職しようと考えている外国人の方は,就労資格証明書の取得,活用を検討されると良いでしょう。
就労資格証明書の取得にあたって,手続上分からないことがある方や,手続の代理をお願いしたいという方は,事前に弁護士にご相談いただくのが良いでしょう。