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オーバーステイだと必ず入管に収容されてしまうのか

2022-05-24

(この事例は入管手続きについて解説をするための架空のものであり,実在する地名と事例は必ずしも関係ありません)。

Xさんはコロナ禍になる2018年に母国の家族に仕送りをするために日本に働きに来ました。

はじめは就労ビザを持っていたのですが,コロナ禍になってしまい会社をクビになり,ビザの更新ができないまま在留期限を過ぎてしまいました。

ビザがなくなっても家族に仕送りをしなければならないため,Xさんは日本でアルバイトを続けていたのですが,そうした中で日本人のYさんと出会い,結婚することにしました。

Xさんは日本でYさんと正式に暮らし続けたいと思い,入管へ連絡しようとしています。

入管への出頭

事例のXさんのように,在留資格をもっていない方(=オーバーステイになってしまった人)が自分から入管へ行くという場合には,大きく二通りのパターンがあります。

  1. 自国へ帰国するために名乗り出るというパターン
  2. 日本で生活する理由があるため新たにビザを求めるというパターン

1のパターンは,出国命令制度を利用したもので,早期に帰国ができたり,日本へ再入国する時の有利な事情となります。

退去強制されないためにはどうしたらよいか

本来であれば,「違反調査」⇒「審理」⇒「送還」と言った手続きを踏むことになりますが,出国命令制度によると,オーバーステイであることを確認した後,ある程度の期間を指定されます。その期間内に日本から出国すればよい,という制度です。

2のパターン,上記の事例のようなパターンですが,これは「出頭申告」とも言われるもので,在留資格を認めてもらうためにあえてオーバーステイであることを入管に出頭して申告する(言う)というものです。オーバーステイも,出入国管理法違反になりますので,例えば警察官の職務質問などでオーバーステイが発覚すると,その場で逮捕されてしまうことになります。

そのように,いつ逮捕されるか分からないという状態を解消するためにも,日本で生活し続けることについて何かしら正当な理由がある場合には,むしろ,こちらから入管へ行って説明し,在留資格を認めてもらうための手続きを進めることが必要になります。

待っていても,在留資格はもらえないということです。

オーバーステイだと収容されるのか

Xさんの事例のように,すでにオーバーステイになった状態で入管へ出頭する時,その場で入管に収容されてしまうのではないかと恐れる人も多くいるでしょう。

ですが,自分から出頭しているという事情は,収容を回避したり,仮放免を認めてもらうためにも重要な事情になります。

確かに,オーバーステイの状態になっているということは,入管法上,「収容」(逮捕のようなもの)が出来る状態です。ですが入管当局の運用として,

収容と同時に仮放免をする

ということがたまにあります。

どういうことかというと,「本来であれば入管に収容する事案なのだけれども,いろいろな事情を考慮して,その日のうちにすぐ釈放してあげます。ただし,最終的なビザについての処分が決まるまでの間,1か月~2か月に1回,入管にちゃんと来てください」というものです。

このような「収容と同時に仮放免」がなされるような事案だと,事前に入管から,身元保証人と一緒に来てくださいとか,保証金として10万円を持ってきてください等と言われることがあります。そのような事前の指示があった場合には,仮放免が認められる可能性が相当高く,その日のうちに収容される可能性は低いということですから,指示に従って準備をしましょう。

さて,Xさんの事例のように,オーバーステイとなった後に日本人Yさんと結婚したという場合だとどうでしょうか。

個別の事情によって異なりますが,日本人Yさんとの結婚がビザ目的のものではなくて,Yさんも仕事をしていて収入がきちんとあるという場合や,一緒に生活をしていてXさんが逃げてしまわないようにYさんがきちんと様子を見ることができそうだ,と判断してもらえれば,オーバーステイの中で入管へ出頭したとしても直ちに収容されることなく,拘束されないままで在留特別許可について審理を受けられる場合があります。

特にXさんのような事例の場合,真摯な結婚で,ビザを目的として偽装結婚等ではないと判断してもらえれば,在留特別許可が認められやすい事案です。

オーバーステイというのは,確かに逮捕されてしまったり入管施設に収容されてしまったりする可能性がありますが,状況によっては収容そのものを回避したり,なるべく早い段階で仮放免認めてもらえたりするという場合もあります。

今現在でもオーバーステイの状態で悩んでいる方や,恋人・婚約者がオーバーステイになってしまっているという方は,一度弁護士までご相談ください。

窃盗罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

2022-05-12

(この事例は入管手続きについて解説をするための架空のものであり,実在する地名と設例は必ずしも関係ありません)。

「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留していたXさん(40代女性)は,東京都板橋区のスーパーマーケットで「お金を払うのが勿体ない」と思ってしまい,食料品等を約1000円分を万引きし,その様子を見ていた私服警備員に現行犯人逮捕されてしまいました。

Xさんの夫である日本人のYさんは,「Xさんが母国に強制送還されるのではないか」と不安になって弁護士に相談することにしました。

窃盗罪の場合には,強制送還があり得る

これまで当サイトにて解説している通り,入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

参考記事 強制わいせつ罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

Xさんの事例のように,万引きの場合だと,窃盗罪が成立します。窃盗罪に対しては「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられています。

そして,「窃盗罪」というのは,上記の「一定の刑法犯」に含まれています。

執行猶予が付いたとしても強制送還になってしまう刑法犯は,代表的には次のようなものです。

    • 住居侵入罪
    • 公文書/私文書偽造罪
    • 傷害罪,暴行罪
    • 窃盗罪,強盗罪
    • 詐欺罪,恐喝罪

これらの罪の場合,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても,裁判が確定すると強制送還の対象となります。

外国人の方が万引きによって逮捕されてしまった場合には

  • 不起訴になる
  • 無罪を獲得する
  • 罰金刑で済ませる

ことができないと,強制送還される可能性があるのです。

有罪になったら必ず強制送還か

それでは,Xさんの事例で,起訴されて有罪の判決を受けたら必ず強制送還になるのでしょうか。

実は,「一定の刑法犯」で強制送還になる人というのは,その時の在留資格によって変わります。

一定の刑法犯で懲役刑,禁錮刑に処せられたとして強制送還されるのは,入管法の別表1に該当する在留資格をもって日本に滞在している外国人の方です。

入管法の別表1に該当する在留資格とは,こちらのページでも列挙されています

Xさんのように,「日本人の配偶者等」,「永住者」,「永住者の配偶者等」,「定住者」の在留資格であれば入管法の別表2ですから,執行猶予付きの有罪判決を受けたとしても強制送還にはなりません。

ただし,強制送還にならないからと言って全く不利益がないわけではなく,在留期間の更新の時に認められる在留期間が短くなったり,永住許可申請の時に不利な事情として扱われたりします。

強制送還にはならないとしても,その後の日本での在留に関して不利益にならないよう,刑事事件の段階でなるべく軽い処分が得られるように早期に対応しておくことが重要です。

強制わいせつ罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

2022-05-04

(この事例は入管手続き,刑事手続について解説をするための架空のものであり,実在する地名と設例は必ずしも関係ありません)。

「技術,人文知識,国際業務」の在留資格で日本に在留していたXさん(30代男性)は,東京都新宿区の居酒屋で開かれた飲み会の帰り道,酔いすぎたせいか,好みの見た目をしていた女性に対して,路上で抱き着いてしまい,その場で通行人に現行犯人逮捕されてしまいました。

Xさんと交際していた日本人のYさんは,「Xさんが母国に強制送還されるのではないか」と不安になって弁護士に相談することにしました。

「逮捕=強制送還」ではない

Xさんの事例のように,外国籍の方が日本で逮捕されてしまうと,「すぐに強制送還されるのではないか」と不安にある方が多くいらっしゃいます。

ですが,実際に強制送還される場合というのは入管法に規定されており,この規定に当たらない限りは「強制送還できない」ということになります。

入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

何かしらの犯罪で逮捕されてしまった,というだけでは強制送還の対象とはなっていません。

ですが,逮捕,勾留に引き続いて「公判請求」,つまり,「起訴」がなされてしまうと有罪の判決が言い渡される可能性が極めて高く,有罪の判決を受けると内容によっては強制送還されてしまう可能性があるということです。

特に,薬物事件や入管法違反については,「悪質な事案」として入管法でも厳しく扱われており,強制送還されやすくなっています。

逆に,一般刑法の違反の場合には,「その罪名や言い渡された刑の内容によっては強制送還される」という定め方になっています。

Xさんの事例の,強制わいせつ罪(刑法176条)の場合には「1年を超える実刑判決」を受けた場合に限り,強制送還の対象となります。

そのためXさんの事例では,起訴されないための弁護活動,仮に起訴されたとしても執行猶予を獲得できるような弁護活動に重点を置くことになります。

実刑判決にならなければOK?

それではXさんの事例で,実刑判決を回避できれば万事解決となるでしょうか。

Xさんの場合には,「技術,人文知識,国際業務」の在留資格で日本に在留していますから,当然「在留期間」というものが決まっています。

短い人は6か月や1年,最長でも5年の在留期間が決まっており,定められた在留期間以降も日本に留まることを希望する場合には,「在留期間の更新」をしなければなりません。

強制送還をされなかったとしても,Xさんが日本での長期的な在留を望む場合,「強制わいせつ罪で逮捕された」という事実が在留期間の更新手続きの中で不利に働くことがあります。

在留期間の更新については

  • 在留資格の基礎となる活動が適切なものであるから
  • 在留期間を更新するのが相当であるか

という点が審査されます。「逮捕された」という事実は,このうち「更新するのが相当であるか」という点に影響してきます。

日本で逮捕されたことがある,という事実は,日本での生活の素行が悪いという方向の事実であるからです。

刑事事件と在留期間の更新については,やや事案は異なりますが裁判例について解説したものもありますので,併せてご覧下さい。

在留期間の延長を求めて争った裁判事例 東京地方裁判所その1

逮捕されたことで強制送還されるのではないか,在留資格に影響が出るのではないか,とご心配のある方は,一度弁護士にご相談ください。

「永住者」の在留資格取得手続

2022-04-26

このページでは,「永住者」の在留資格取得について解説をします。

永住者ビザは,数ある在留資格の中でも最も安定しているものとされており,仕事にしろ家族関係にしろ,日本に長期的に在留する外国人の方のほとんどが「出来るなら永住者としてビザを持っておきたい」と考えるのではないでしょうか。

今回は,永住者の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。

(さらに…)

「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格の違い

2022-03-30

前回の解説記事にて,「家族滞在」の在留資格の取得に必要な手続きを解説をしました。

その中で,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の在留資格に似ている部分があることについて触れました。

この記事では,その,「永住者の配偶者等」と「家族滞在」の違いについて具体的に解説をしていきます。

(さらに…)

特定活動の在留資格取得手続

2022-03-16

このページでは,「特定活動」の在留資格取得について解説をします。

特定活動ビザと一言でいっても,多種多様なものが存在し,中には「法律にあげられていないけれどもビザが認められる」という場合もあります。

就労ビザや留学ビザ,家族ビザが認められないという場合の手段として,特定活動のビザの取得を考えるべき場合というのもあるでしょう。

今回は,「特定活動」の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。

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家族滞在の在留資格取得手続

2022-03-09

このページでは,「家族滞在」の在留資格取得について解説をします。

家族ビザというと,「日本人の配偶者」や「日本人の子供」についてのビザを思い浮かべるかもしれませんが,日本人の家族でなくても「家族滞在」の在留資格が認められることも十分にあります。

今回は,家族滞在の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。

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留学の在留資格取得手続

2021-12-13

このページでは,「留学」の在留資格取得について解説をします。

在留資格を持って中長期的に日本に滞在している外国人の方の中でも,「留学」ビザで在留している人の割合は高く,中長期滞在者の約10%(2020年度の統計データ)が留学生です。

各都市のロックダウンや出入国制限などによって,2020年は留学生の数は大きく減りましたが(2019年に比べると約半分以下)それでも,中長期滞在者に占める「留学」ビザの割合は,上位5位となっています。

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興行の在留資格取得手続

2021-12-01

このページでは,「興行」の在留資格の中身と,「興行」の在留資格取得にあたって,入国管理局に対して提出する必要がある書類について解説します。

(さらに…)

【日本に残るために】口頭審理の前の準備

2021-10-27

強制送還の手続きの中では,必ず口頭審理というものが開かれます。

口頭審理は,日本で入管法上の違反があったと疑われる外国人を,強制送還するかどうかを判断する上でとても重要な手続きです。

口頭審理の前に必要な準備について解説をします。

(さらに…)

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