今回は,マイナーな在留資格である「文化活動」についてこのページで取り扱います。
そもそも「文化活動」という名前の在留資格,つまり在留中の活動とは何なのか,どのくらいの人が「文化活動」の在留資格で日本に滞在しているのか,どういう人が対象となるのかについても解説してみたいと思います。
このページの目次
そもそもどんな在留資格なのか
文化の在留資格とは,
「収入を伴わない学術若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動」
とされています。
条文の読み方がややこしいですが,「文化活動」の在留資格の対象となる人は
- 収入を伴わない芸術,学術か
- 日本文化の専門的な研究
- 日本文化の専門家指導の下での修得
のいずれかに該当する人となります。
【①収入を伴わない芸術,学術】
学術活動には,外国の研究機関から派遣されて行う調査,研究活動,大学などの研究生への指導等,無報酬で行われる学術上の活動のすべてを含みます。
学術上の活動について,給料という形でなくとも,本国から研究費や奨励金などが支給される場合には,「教授」や「研究」の在留資格となる場合もあります。
「文化活動」の在留資格は,いわゆる就労ビザではありませんので,日本国内で報酬や収入を伴う活動をすることは,資格外活動となり資格外活動許可が必要になります。
資格外活動許可についてはこちらでも解説しています。
「文化活動」とするのか,「教授」「研究」とするのかを分けるのは,支給される費用が「全て研究等の学術上の活動のために使われるのかどうか」が問題となります。
全額学術上の活動のために使われるのであれば「収入を伴わない」とされますが,一部でも手元に残る部分があると入管は「収入を伴う」活動をすると判断します。
学術,芸術活動の内容については審査の対象ではありません。
特定の流派や分野,主義,思想であるから在留資格が認められない,ということはありません。
【②日本文化の専門的な研究】
日本文化としては,生花,茶道,柔道,日本建築,日本画,日本舞踊,日本料理,邦楽,禅,空手などが含まれるとされています。
これらについての研究や調査(フィールドワークなど)については,②のような「文化活動」に当たります。
【③日本文化の専門家指導の下での修得】
専門家から「個別の指導」を受けて技術や文化を修得する場合には「文化活動」に該当します。
専門家の指導であっても,大学などの教育機関で指導を受ける場合には「留学」の在留資格になります。
また,「〇〇塾」のような機関の場合,つまり,日本の大学や高校に該当しない機関に受け入れられて専門家の指導を受けるという場合には,「研修」の在留資格にあたると思われます。
以上のいずれの活動であっても,①で触れた通り,収入や報酬を伴う活動を行うことは資格外活動に該当する可能性があります。
そのため,「日本で生活費を稼がなくても生活できる人」でなければ文化活動の在留資格は認められません。
在留資格認定証明書の申請をする場合にも資料として,日本で生活するための十分な資力があることを示す書類(保有している銀行口座の残高証明書等)が必要となります。
なお,令和元年時点での統計で,文化活動の在留資格で在留している外国人の方は,3013人でした(出典:概説(令和元年末外国人統計)/法務省http://www.moj.go.jp/content/001327221.pdf)。
これは日本に在留する外国人全体の0.1%です。
在留資格認定証明書のために必要な書類
「文化活動」の在留資格認定証明書のために必要な書類は次のとおりです。
①,②,③の文化活動に共通する書類として
・在留資格認定証明書交付申請書 1通(こちらのリンクからもダウンロードできます)
・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚
・返信用封筒(404円分の切手を貼っておく) 1通
・日本での活動内容,期間,所属機関を明らかにする書類
本人や所属機関が作成した書類に加えて,活動内容等に関してパンフレットなどの資料があるとなお良い
・学術又は芸術上の業績に関する書類
推薦状やコンクールなどでの入賞成績,報道の実績,論文や作品など
・日本に滞在中の支出が賄えることに関する書類
を提出します。
これに加えて,③専門家の指導の下での修得する活動の場合には
・専門家の経歴,業績を明らかにする書類
が必要となります。
出入国管理局に対する印紙代はかかりません。
審査にかかる時間・在留期間
在留資格認定書は,申請してから実際にもらえるまで,通常,約1~2か月程度かかります。
法務省の統計データによると,文化活動については,申請から在留資格認定証明書の交付まで,平均して約24日で手続きがなされるようです。
在留期間については3ヶ月,6か月,1年,3年,とあり,通常であれば1年,日本での活動内容によっては3年の在留期間が認められることもあります。
なお,基本的に日本での活動予定に見合った在留期間が付与されることになりますので,滞在予定よりも長く在留期間が認められるということはあまりありません。
まとめ
「文化活動」として在留資格を申請する場合というのは多くありませんが,「教授」の在留資格にも,「研究」の在留資格にも該当しないような活動で,短期滞在の在留資格の期間中では終えられない,ある程度まとまった期間が必要になるという場合には,「文化活動」も選択肢に挙がってきます。
これら,「教授」「研究」「留学」「文化活動」の在留資格は,それぞれ隣り合っており,重なっている部分もあります。
マイナーな在留資格ではありますが,学問や芸術の関係で来日されようと思われる方は,「文化活動」も検討されてみてください。
在留資格について不安な点や手続に疑問がある場合には,下記の窓口までご相談ください。