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上陸拒否されても日本に入国することができるか?上陸拒否の特例について解説

2023-04-26

一度強制送還をされてしまうと,多くの場合には再入国を拒否されてしまいます。

再度日本へ入国することを希望する場合,どのような手続きがあるのでしょうか。

「上陸拒否の特例」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(架空の事例です)

Aさんは、小学校1年生の時に、南米にある日系移民が多く暮らす町から家族全員で日本に移住してきました。Aさんはおじいさんが日本人の日系3世です。Aさんは父母、弟、妹の5人家族で、Aさんが10歳の時にお父さん、お母さん、弟、妹とAさんの5人全員がA県に移住してきました。AさんはA県の公立高等学校を卒業して、A県にある自動車部品製造会社で、3交代で働いていました。

ある時知人から「この草をたばこのように紙に巻いて吸うと疲れが取れるよ。試してみないか」とすすめられ、興味本位で知人から大麻草0.5グラムを譲り受けました。

Aさんはこの草をインターネットで検索し大麻草であることを知りましたが、最近仕事でストレスがたまっていたこともあり、気分転換のつもりで吸ってもどうせばれないだろうと考え、夜勤明けに会社近くにある公園の駐車場で、紙たばこのようにして大麻草を吸っていたところ、公園を巡回していた警察官に見つかり現行犯逮捕されました。

その後Aさんは起訴され裁判所で懲役8月執行猶予3年の有罪判決を受けました。

この事件が原因で入管からこれまでの素行善良要件に問題があると判断され、Aさんは次の在留更新が不交付となって本国に帰ることになりました。本国に帰ったAさんには親しい知り合いが誰もおらず、小さいころから日本で生活しているため母国語もよくわからないため給料の高い仕事につけず毎日の生活が本当に大変です。なんとか日本に戻って安定した仕事を得て、日本にいる家族と一緒に生活したいAさんですが、入管からは無期限上陸拒否の処分がでているため、観光ビザでの入国すらも拒否されてしまいます。Aさんの大麻取締法違反の刑の執行猶予期間はとっくに経過しており、刑の言い渡しは効力を失っているにもかかわらず(刑法27条)、ほんの出来心でわずかな量の大麻を吸引して日本で罰を受けたAさんは、このままでは永久に日本に戻れません。

一体どうすればAさんは日本に戻ることができるのでしょうか?

Aさんが日本に入国するためには?入管法の規定はどうなっているのか?

入管法では上陸拒否について以下のように規定されています。

<関連条文>

入管法第5条1項

「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入国することができない。」

入管法第5条1項では、上陸拒否に該当する事由を列挙しています。

入管法第5条第1項4号

「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りではない。」

一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた場合は、無期限上陸拒否となります。ここで注意しなければならないのは、この条文にある「相当する刑に処せられた」です。本来「執行猶予」期間が経過すると刑が失効するにも関わらず、「一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑」に「執行猶予」も含めて運用されているため、日本では起訴=有罪がほぼ100%であることから、裁判所から有罪判決を受けたという事実だけで、ほぼ無期限の上陸拒否事由に該当してしまうことになります。

結果として該当者やその家族にとって極めて厳しい選択を強いられる結果となり、事件をおこした外国人だけでなく、その家族にとっても過酷な運用となっています。

例えば入管法第5条1項4号に該当する方の日本人配偶者の場合、家族が一緒に暮らすことを選択した場合は、日本人でありながら日本国内で家族一緒に暮らすことがかなわず、家族全員海外での暮らしを余儀なくされます。子供を日本の学校に通わせたい場合は海外と日本で家族が離れ離れとなり、普通の日本人家庭であればごく当たり前のことが当事者にとってはきわめて困難な選択となる恐れが生じます。

入管法五条一項は上陸拒否の該当事由を列挙していますが、この条文と対になる条文が入管法第五条の二(上陸特別拒否の特例)です。   

「法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第二六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないとすることができる。」

仮に上陸拒否に該当する事由があったとしても、上陸を認める相当の理由があるときは、入管法五条に該当する事由のみをもって上陸を拒否しない、すなわち「相当の理由」があれば上陸を認める場合もあるということです。

では「相当の理由」とはどのような意味でしょうか?

法務大臣の裁決の特例としての上陸特別許可    

入管法第一二条第一、二、三項に該当する場合、入管法第七条一項四号で定める上陸の基準には適合しない場合でも上陸を特別に許可する場合があります。   

実務上多い類型として、入管法第十二条第三項の「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとみとめるとき。」が挙げられます。

ここでの「特別に上陸を許可すべき事情」とは、家族の結合など、上陸を認めることが人道上の観点から配慮すべき場合です。

仮に無期限上陸拒否に該当する場合であっても、人道上特別な事情が認められれば、上陸(入国)が認められる余地はあるということです。

在留申請に人道上特別な事情があることを、在留資格認定証明書を通して入管に訴えていきます。

日本に滞在中に有罪判決を受けて日本への入国が拒否されている場合でも、特別に入国が認められることはあります。

 

上陸拒否を受けて日本への入国を拒否されている方や家族等、日本に入国できずに困っている方は、お一人で悩まずに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(033-5989-0843)までご相談ください。

離婚後も日本に居続けられるのか?定住者ビザについて解説

2023-03-18

離婚・死別定住について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

「日本人の配偶者」でなくなっても在留を続けられるのか

日本人の配偶者、永住者・特別永住者の配偶者の在留資格で日本に在留している場合、配偶者としての活動をすることが在留資格の要件となっています、離婚、死別等で配偶者としての活動ができなくなった場合は、これまでの在留資格が認められないことになり、他の在留資格に変更しなければ本国に帰国することになります。

しかしながらこれまで配偶者としての活動を長年継続してきた方の中には、生活基盤が既に本国ではなく日本にあり、簡単には帰国を選択できない方が少なからずいるでしょう。

又、経営・管理、技術・人文・国際業務等の就労系の在留資格変更申請には、学歴、業務経験、資産等の面で複雑で高度な要件が求められ、変更要件を満たす人は限られてきます。

こうした場合に、これまでの生活基盤を大きく変更することなく、引き続き日本で生活することを希望する方の救済措置的な在留資格として、離婚定住・死別定住と呼ばれる在留資格があります。

「告示外定住」という定住者ビザの一種であり,要件が事前に定められていない在留資格です。離婚・死別定住の対象となる者は、日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚又は死別後引き続き日本に在留を希望する者で、同じ身分系の在留資格でも定住者の配偶者等と離婚又は死別後引き続き在留を希望する者は含まれません。

離婚・死別定住の許可要件はおよそ以下の4つです。

① おおむね3年以上の「正常な婚姻関係・家庭生活」を営んでいる

② 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③ 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと

④ 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること

審査のポイント

①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。

したがって、別居していた期間であっても夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればこれに該当します。

②「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、独立して生計を営むだけの収入のことです。

正社員、派遣社員、アルバイト等、就労形態による区別はありませんが、およそ月収18万以上が目安となります。

③「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、言語能力などの点で,日本での生活に支障がないことです。

例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問われません。

④「納税義務」は文字通り,きちんと払っているかどうかが問題となります。税金の滞納や交通違反等の法律違反があれば審査において不利になります。

定住者の在留資格に変更が出来れば、就労に制限はなく、これまでの生活基盤を大きく崩すことなく引き続き日本での生活が可能となります。

日本人、永住者・特別永住者の方と離婚・死別され、在留資格についてご心配事・困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。

「留学」の在留資格について解説,ビザがもらえる学校はどこまで?

2023-02-08

在留資格「留学」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

1.「留学」の在留資格に該当する活動

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。

2.基準  一部抜粋

(前略)四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。 (後略)

3.基準についてのポイント

基準省令四の二は、申請人が中学校若しくは特別支援学級の中学部又は小学校若しくは特別支援学級の小学部において教育を受けようとする場合の基準です。

イからホまでありますが、学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当しなくともかまいません。

イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であることが必要です。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であることが必要です。

二 申請人を受け入れる小学校、中学校、特別支援学校等に常勤の生活指導員が必要です。

ホ 申請人が日常生活を支障なく営むための「寄宿舎」「宿泊施設」が必要です。

 この「寄宿舎」「宿泊施設」は申請人の監護者の自宅で構いません。

4.「留学」と「資格外活動」について

「留学」としてイメージしやすいのは「大学」ですが、在留資格【留学】は小学校から大学院までを対象としています。

「留学」には日本語学校も含まれます。

在留資格「留学」で日本語学校等に入学された方は本来働くことは認められていませんが、「資格外活動許可」を受けた場合には、週28時間以内(長期休業(夏休み等については1日8時間以内)のアルバイトがみとめられます(風俗営業店舗等を除く。)。

資格外活動許可を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり、在留更新が認められない場合があり、近年、ブローカーの甘言を安易に信じ、入国当初から多額の借金を背負うことになった結果、借金返済のために制限を超えたアルバイトをすることで本来の日本語学校での勉強がおろそかになり、ほとんど日本語が習得できないまま、帰国を余儀なくされたり、より稼ぎをえるために失踪する者が増加していることが問題となっています(出入国在留管理局HPより)。

家族滞在の在留資格について,具体例を解説

2023-02-05

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.「家族滞在」の在留資格に該当する活動

法律上,「家族滞在」の在留資格が認められる場合としては,次のように規定されています。

入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動。

2.該当例

具体的に言うと,「外交」、「公用」、「特定技能1」、「技能実習」、「短期滞在」、「研修」及び「家族滞在」を除く別表第一の一から四までの表の上欄の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者及び子が,家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。

逆に,配偶者及び以外の家族は対象とはならりません。ここでいう「子」には養子も含まれます。

子は未成年者であることを要件とされておらず、成年に達していてもかまいません。

配偶者は、これらの在留資格をもって在留する外国人と現に婚姻している外国人です。

婚姻は法的に有効に成立した者でなければならず、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者に含まれません。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P203)

また、外国で有効に成立した同性婚による者も含まれません。

3.「特定技能」の外国人の場合や,「扶養を受ける配偶者,子」の範囲について

「特定技能」の場合

特定技能1」の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれません。「特定技能2号」の配偶者、又は子は「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれます。「特定技能2号」の外国人は、配偶者及び子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。

扶養を受ける配偶者及び子」の範囲

「扶養を受ける」とは、扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養をすることが可能な資金的裏付を有すると認められることをいいます。

「配偶者」については原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態、「子」にあっては扶養者の監護養育を受けている状態の事をいい、経済的に孤立している配偶者又は子としての活動は含まれません。(審査要領)

外国で有効に成立した同性婚の場合

海外では同性婚が認められる国は複数ありますが、日本では同性婚が認められておらず、海外での同性婚者は、「家族滞在」の在留資格に該当する「配偶者」として認められていません。なお、母国の法律で同性婚が認められたカップルの間でなされた婚姻での一方のパートナーに対して、告示外での「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。

 

「家族滞在」の在留資格についてご心配なことやお困りのことがあるという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

解決事例 在留資格(定住者)が認められた事例

2022-10-25

当所の扱った事案について,在留資格認定証明書の発行が認められましたので,その事例を紹介,解説します。

事案・ご依頼の経緯

ご依頼者様は外国籍で日本人の方と結婚されていましたが,本国に外国籍の未成年のお子さんがいらっしゃいました。

お子さんは日本人の子供ではなかったので,「日本人の配偶者等」の在留資格は得られず,また,日本で生まれたお子さんでもなかったものの,家族で集まって日本に住みたいという思いが強くありましたから,なんとか日本に呼び寄せたいとのご希望でした。

なお,このご依頼者様は一度,入管に対してお子さんを「定住者」のビザで呼び寄せようと申請を行っていましたが,不許可の通知を受けてしまいました。

一度申請が不許可となったものの,どうしても家族を呼び寄せたいとの思いから,弊所にご相談に来られました。

弁護活動と成果

ご相談後,在留資格認定証明書の交付請求について,正式にご依頼を頂き,弁護士としての活動を行いました。

ご自身で一度申請をしたものの不許可となった事案で,再度同じ件について申請をしようとする場合,「前にした申請の内容と矛盾しないようにする」という点が非常に大切です。

入管に対する申請については,特に回数制限はありませんが,同じ内容で申請をしても同じ結果,つまり不許可となるだけですし,申請内容を少し変えるとしても,前の申請内容と矛盾してしまうと「申請内容が信用できない」としてやはり不許可になる恐れもあります。

申請に先立って,ご依頼者様やそのご家族からも聞き取りを行い,申請内容が矛盾しないように注意を払いました。

また,不許可となった事案において更に大切なのが,「なぜ不許可となったのか」という点をきちんと洗い出すということです。

新しくビザ(在留資格)の申請をする場合,法律上の要件が満たされているのであれば,原則としてビザは発行(在留資格が認定)されます。それが不許可となったということは,何かしらの要件を満たさなかった,つまり,入管に対して提示すべき事実が欠けていたり証拠が不足していたということです。

この事案でも,不許可となった理由を確認し,不足していた事情を補って再度の申請を行いました。その際,前の申請内容と矛盾が生じないように気をつけなければならないことは先ほど述べた通りです。

弁護士が依頼を受けて再度の申請を行ったところ,申請から約1月弱で審査が完了し,無事に在留資格認定証明書が交付され,ご依頼者様のお子様は「定住者」と支店在留資格が認められることになりました。

外国人の子供のビザ,外国人の親のビザ

2022-08-26

日本で生活している外国人の方の中には,

・母国で生活している親を日本に呼びたい

・離れて暮らしている子供と日本で生活したい

という方が多くいるでしょう。

日本にいる外国人の方が,自分の親や子供を日本に呼び寄せる時に活用できる在留資格について解説をします。

外国人の子供のビザ

外国人の方の子供を呼び寄せようとする場合,

  1. 日本にいる外国人親の在留資格(ビザ)が何なのか
  2. 呼び寄せようと思う子供の年齢がいくつなのか

によって,ビザの種類やビザの取りやすさが変わってきます。

日本にいる外国人親の在留資格が,就労系の在留資格または,文化活動だった場合,家族滞在の在留資格で,その子供も日本での滞在が認められます。

就労系の在留資格とは,教授,芸術,宗教,報道,経営管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術,人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号の場合を言います。

技能実習生と特定技能1号の人は,家族滞在ビザで子供を呼び寄せることができません。

 

外国人親の在留資格が「日本人の配偶者等」,「永住者」,「定住者」である場合には,その子供と日本との関係が重要になります。

呼び寄せようと思う子供が日本人,永住者の実子なのであれば,子供も同様に「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格が認められます。

もっとも複雑なのが,子供が,外国人の実子ではあるけれども日本人の実子ではない(連れ子),というパターンです。

この場合,子供と日本人との関係によっては,「定住者」の在留資格が認められます。この場合,子供が18歳未満で,結婚しておらず,外国人の実子であるという点が重要です。

 

いずれの在留資格であっても,子供を日本に呼び寄せようと思う場合,その子供が「扶養を受ける」,つまり,日本にいる人に養ってもらって生活をするという事情がなければ子供としての在留資格は認められません。

自分で生計を立てられる(養われなくても生活ができる)というのであれば日本に呼び寄せる必要はないし,仕事に応じた就労系の在留資格を取得すればよい,ということです。

外国人の親のビザ

外国人の親を呼び寄せる場合,法文上は,ビザは「特定活動」の在留資格しかありません。

明確に認められるのは,「高度専門職1号,2号の外国人」の親です。それも,日本にいる外国人に7歳未満の子供(妊娠中の場合を含む)がいて,小さい子供の世話をする間,親(おじいちゃん,おばあちゃんの立場)に日本に来てもらって家事のお手伝いをしてもらうという場合です。

その他の在留資格の方が外国から親を呼び寄せようと思う場合には,「告示外特定活動」のビザを取得するしかありません。「老親介護」とも言われることがあります。

日本に滞在している外国人又は日本人の実の親で,本国で生活しており身寄りのいない場合に,人道上の理由から「特定活動」としての在留資格が認められる場合があります。

「老親介護」のための特定活動の在留資格を申請しようと思う場合,日本にいる外国人以外に適切な扶養者がいないこと,日本で親を扶養する資力が十分にあること等が審査の項目になります。

老親介護のための特定活動ビザの申請は,本人に一度,短期滞在等のビザで来日してもらった後で,在留資格変更許可申請(短期滞在→特定活動)をすることになります。

親のビザ,子供のビザについては弁護士等の専門家にご相談ください。

外国人のベビーシッター・お手伝いさんを雇う時の注意点

2021-06-16

日本では1990年以降,共働き世帯が増加していき,専業主婦世帯の数を大きく上回っています。

家事代行サービスの広がりもあり,単発,短時間であっても,家事代行のお手伝いさんやベビーシッターを利用したことがある,という方も多いのではないでしょうか。

中には,幼少期からの外国語教育のために,外国人のベビーシッターや家事代行サービスを利用する人もいるかもしれません。

外国人の在留資格の審査などをきちんと行っている企業を通じて,家事代行サービスを利用している分には不安は少ないのですが,個人的に外国人の方をお手伝いさんとして雇う場合には,気を付けなければならないポイントがあります。

(さらに…)

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所その10

2021-05-18

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,平成30年10月11日に東京地方裁判所で退去強制(強制送還)令書の発布について取消しが言い渡された事例です。

この事例は,「永住者の配偶者」の在留資格で来日した外国籍の女性Aさんが,配偶者の男性とうまくいかなくなり,在留資格の更新手続きをせず,在留期間が過ぎてしまったためオーバーステイになって,退去強制(強制送還)令書が発布されたので,その取り消しと在留特別許可を求めて裁判を起こしたというものです。

(さらに…)

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所判決その2

2020-12-15

このページでは,在留特別許可を求めて裁判まで争われた事例について,判決文を見ながら解説をします。

今回解説する事例は,令和元年12月24日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例は,日本で生まれた外国籍の男性Xさんが在留特別不許可となったため裁判を起こしたところ,裁判所は法務大臣の判断を肯定したものです。

既に紹介している東京地方裁判所民事第2部令和2年2月18日判決の事案と似ている部分もありますが,裁判所の判断としては在留特別許可は不許可のままとなりました。

(さらに…)

不倫と在留資格

2020-11-11

このページでは,日本で不倫をした外国人の方や,配偶者の外国人の方が不倫したという方に向けて,不倫が在留資格に影響するのかどうか?と解説します。

なお,このページにおいて「不倫」とは,法律上結婚している人が配偶者以外の人と交際したり情交を結ぶ(性交等をする)ことを指すとします。

 

配偶者の在留資格について

日本人の方と結婚した外国人の方は,「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することが出来ます。

「日本人の配偶者等」の在留資格は,在留中の活動に制限がなく(違法行為でない限り日本でどんな仕事もできます),結婚が継続している限りは在留期間の更新も認められやすく,とても安定した在留資格です。日本人と結婚した方で,ある程度の期間日本に在留することを希望する場合には,「日本人の配偶者等」へ在留資格を変更することが良いでしょう。

この在留資格は,「日本人と結婚していること」を前提として認める在留資格です。そのため,離婚した場合等,すでに結婚生活を行っていない場合には在留資格を認める前提がなくなってしまいます。結婚生活が行われていない状態が6か月以上継続し,在留資格を変更していないままでいると,在留資格が取り消されてしまうことになります。在留資格が取り消されると,30日間の出国準備期間が設けられ,その間に本邦から出国しなければならなくなります。

 

配偶者の在留資格と不倫 ~外国人の方が不倫してしまった場合~

※この項は外国人の方の方向けの解説です。

不倫をしてしまった場合,在留資格を取り消されてしまうのでしょうか。結論から言うと,すぐに取り消されるわけではありません。

在留資格が取り消されるかどうかは,日本人の方との結婚生活が続いているかどうかによって決まります。

不倫関係が数年に及んでいる場合や,夫婦で別居して家計が別々になっているような場合お互いに離婚に向けた話し合いや調停が進んでいるような場合であれば,結婚生活は既に破綻して修復する可能性もないとして,在留資格が取り消されたり,更新が不許可となる可能性もあります。また,不倫相手との関係を日本で続けるために離婚しないだけ,というような場合も,日本人との蹴痕生活が続いていないと判断される可能性があります。

一方,そうではない場合,例えば,夫婦として同居を続けている場合不倫があったとしても結婚関係を修復していく姿勢である場合には,引き続き在留資格を認められる可能性もあります。

不倫自体は在留資格を取り消す理由にはなりませんが,結婚生活の実態次第では在留資格が取り消される可能性があるということになります。

宗教間や文化によって「結婚」に対する考え方が異なるのは当然ですが,日本で不倫をするということは,それだけのリスクがある行為ということになります。

 

配偶者の在留資格と不倫 ~配偶者である外国人の方が不倫してしまった場合~

※この項は,不倫をしてしまった外国人の方の配偶者の方向けの解説です。

男女問わず,外国人である配偶者の方が不倫してしまった場合,当該外国人の方の在留資格がどうなるのかというのは上記のとおりです。

そして,不倫をされた日本人の方としては,このまま結婚生活を続けるのか,離婚を考えていくのか,が大きな問題になります。これは日本人同士の結婚でも同じかもしれませんが,外国人の方と結婚している場合には,

①相手の在留資格

②慰謝料の請求方法

③子供がいる場合には子供の親権や国籍

の問題があります。

結婚を続ける方向であれば,相手の在留資格の保持や更新申請の許可に向けた準備が必要になります。上記のとおり,不倫があったことのみで在留資格が取り消されたり強制退去になることはありませんが,資格の更新が不許可となったり,更新の期間が短くなったりする可能性があります。

一方,離婚する方向なのであれば,相手が日本から大挙してしまう可能性があるので,②,③についても考えなければなりません。

このページでは①に限って解説をしていますが,②,③についても簡単に触れると,いずれも相手が日本にとどまっているうちに請求や手続をしておく方が良いでしょう。相手が帰国してしまった場合,日本の裁判所で手続きができなくなってしまったり,適法される法律が変わってしまうことがあるためです。

 

まとめ

今回は,不倫の在留資格に対する影響について解説してきました。

既にふれた通り,「結婚」や「不倫」に対する考え方については,個々人の思想や信条によって異なることは確かです。しかし,日本の法律の仕組みというのも,ここでお話しした通りです。

昔日本には,「不倫は文化」という言葉もあったようですが,外国人の方の在留資格の関係で言うと,「不倫はリスク」です。

「日本人の配偶者等」の在留資格はとても安定しており,日本での在留を希望されるのであれば保持しておきたいものです。「日本人の配偶者等」の在留資格についてご不安のある外国人の方,日本人の方は一度ご相談下さい。

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