Posts Tagged ‘子供’

「外交」在留資格の全て:活動範囲から注意点まで

2023-10-22

在留資格「外交」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「外交」の在留資格とは

この「外交」の在留資格で本邦において行うことができる活動としては、日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動などです。

上記の「接受」とは受け入れるという意味ですが、外交使節団の長の場合は事前の同意が与えらます。

外交使節団の長とは大使、公使及び代理公使を意味し、外交使節団の構成員とは外交使節団の長及び外交使節団の職員を意味します。

上記の「外交使節団の構成員」とは、外交使節団の長及び外交官の身分を有する者、外交職員、その他事務及び技術職員並びに役務職員を意味します。

また、「領事機関の構成員」とは、領事機関の長及び職員、領事官、その他事務及び技術職員並びに役務職員を意味します。

この「外交」の在留資格の該当例は、外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族などです。

「外交」の在留期間は、外交活動の期間です。

「外交」ビザのポイント

「外交」の在留資格のポイントを以下にてご紹介します。

①「外交」の在留資格を保有する外国人は、その外国人の家族も「外交」の在留資格を保有することになります。

そのため、外国人の家族が仕事をしたいという場合は、別途、「資格外活動許可」の申請をする必要があります。

この資格外活動許可の申請をしないで就労してしまうと、「外交」の在留資格が取り消される可能性もありますのでご注意ください。

②外交としての活動が終了した後に、引き続き日本に在住したいという場合、他の在留資格へ変更しなければ、そのまま滞在することはできませんのでご注意ください。

③仮に、「外交」の在留資格を保有する外国人が扶養者である場合、当該扶養者が日本国外に転勤となり、家族は引き続き日本に在住したいという場合、「外交」の在留資格のままでは日本での滞在は認められません。

この場合、扶養者と帯同するか、日本で他の在留資格への変更申請が必要となります。

④「外交」の在留資格の対象となる子どもについては、実子ではなくても長期間共に生活していた内縁の子や甥や姪であっても認められることがあります。

ただし、子どもの年齢は22歳以下が対象となり、それ以上の年齢の子は原則として許可されませんのでご注意ください。

⑤この「外交」の在留資格は他の在留資格のように申請者が入国管理局で手続きを行うのではなく、法務省を通じて入国管理局へ申請することになりますのでご注意ください。

「外交」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「家族滞在」の在留資格が認められる条件,一家で日本に移住できるか?

2023-08-13

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「家族滞在」の在留資格に該当する活動としては、入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動です。

この「日常的な活動」とは、文字通り日本国内で生活することの他,買い物に行く,趣味のために出かける,教育機関で教育を受ける活動など,広範囲な活動が含まれますが、収入や報酬を受ける活動は含まれていません。そのため,どんな形態であれ,働いてはいけません。

つまり、「家族滞在」の在留資格を持つ方がアルバイト・パートを行う場合には資格外活動許可を取らなければなりませんので注意が必要です。

資格外活動許可についてはこちらの記事もご覧ください。

それ,資格外活動申請が必要?

「家族滞在」の該当例としては、在留外国人が扶養する配偶者・子です。

「家族滞在」の在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。

「家族滞在」の在留資格を取得するためには、以下の要件を充足する必要があります。

「家族滞在」の在留資格を取得することができる対象は、配偶者又は子です。
この点、配偶者は法律上有効な婚姻関係であることが必要ですので、内縁の妻、内縁の夫、婚約者などの場合は対象となりません。

また、子は実子に限らず養子をも含み、年齢は問いませんが、養子縁組をしていない妻の連れ子に関しては、たとえ夫が扶養していても家族滞在の在留資格の対象となりません。

なお、原則として両親は「家族滞在」の対象とはなりません。

外国の親を呼び寄せるにはどうしたらよいか

②配偶者も子も扶養を受けることが必要です。
扶養を受けるとは、原則として夫婦が同居し経済的に相手に依存しており、子は監護・養育を受ける状態にあることを意味しますので、20歳以上の子でも親の扶養を受けていれば家族滞在の対象になります。
逆に、配偶者や子が一定の収入を得るようになった場合には他の在留資格への変更申請が必要になります。

③家族の滞在生活費が十分に確保できることが必要になります。
扶養者の給料がどのくらいあれば良いかについては、地域や家族構成、年齢などに応じて異なるため、その額について明確な金額基準は設けられていません。

ただ、扶養者の居住地における世帯の生活保護給付額が一応の目安とされています。

また、扶養者の在留状況に問題がなければ入国当初1年間の生活費などを賄える程度を有していることでも良いとされています。

④入国拒否事由に該当しないことが前提となります。

なお、「就学」および「研修」の在留資格を持っている方の配偶者や子は、上陸にあたり「家族滞在」の在留資格は付与されませんので注意が必要です。

「家族滞在」については家族を招聘したいと考えている外国人の方が多いと思いますが、上記のように、様々な要件を充足する必要がありますので、「家族滞在」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「永住者の配偶者等」のビザを解説

2023-07-12

在留資格「永住者の配偶者等」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「永住者の配偶者等」の在留資格に該当する方としては、永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者です。

「永住者の配偶者等」の該当例としては、永住者・特別永住者の配偶者及び日本で出生し引き続き在留している子などです。

「永住者の配偶者等」の在留期間は、5年・3年・1年又は6月です。

「永住者の配偶者等」の在留資格は、就労制限がないため、自由に仕事をすることができ、仕事のジャンルを問わず転職もできます。

また、「永住者の配偶者等」の在留資格には在留活動に制限がないので、大学や専門学校に通うこともできます。

日本において「永住者」の在留資格の申請する場合に、「永住者」と婚姻することにより、「永住者」の在留要件が短縮されます。

「永住者の配偶者等」の要件についての留意点を以下にてご説明いたします。

まず、永住者等の配偶者(夫または妻)の場合、永住者等の配偶者の身分を有する者であるといえることが必要です。

ここでいう「配偶者」とは、現に婚姻関係中の者を意味し、永住者等の方が既に死亡している場合や永住者の方と離婚した場合は含まれません。

また、婚姻は法的に有効なものである必要があるので、内縁関係や同性婚の場合には法的に有効な婚姻であるとは認められません。

さらに、この場合は、日本において夫婦で共同生活をすることを前提にしていますので、配偶者である永住者等の方と原則として同居する必要があります。

次に、永住者等の子である場合、永住者等の子として日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者であるといえることが必要です。

①出生時に父または母が永住者のビザをもって日本で生活をしていたこと又は②出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡したときに永住者ビザをもっていたことのいずれか一方に該当することが必要です。

また、ここでいう子とは「実子」を意味するので、嫡出子・認知された非嫡出子は子として認められますが、養子は含まれません。

そして、子は「日本で出生した」ことが必要です。

したがって、例えば母が海外で子を出産したために、日本国外で出生したという場合には、この要件が認められないことになります。

最後に、「永住者の配偶者等」の審査のポイントについてご説明いたします。

申請者が永住者・特別永住者と婚姻していることを前提に当該婚姻関係が偽装ではないことを証明することが最大のポイントといえます。

日本においては、偽装結婚については厳格に判断することになっており、上記の「永住者の配偶者等」の在留資格のような配偶者の在留資格を取得されたいと考えられている方は、婚姻関係が偽装ではないことを証明することが必要になりますので、「永住者の配偶者等」の在留資格についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

連れ子を日本に呼び寄せることはできる?在留資格はもらえるのか

2023-06-15

「連れ子定住」についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

最近の在留資格に関するお問い合わせの中で、日本人と結婚した外国人のうち「日本人の配偶者等」の在留資格の方から、自分の子供(実子)の日本への呼び寄せに関するお問い合わせが増えています。

日本人配偶者の実子の呼び寄せというのはどのようなものかというと、およそ以下のような事例の場合です。

事例

(解説のための架空の事例です)

日本人男性AさんとB国女性のCさんは、国際結婚サイトで知り合いSNSを通して通じてお互いの信頼関係と愛情を育み、知り合ってから1年後に両国で結婚登録を行い、Aさんは、Cさんを海外から在留資格認定証明書で「日本人の配偶者」で呼び寄せました。

Cさんは「日本人の配偶者」として日本に来てから1年が経過し、ある程度日本での生活も慣れてきました。Cさんの在留資格も2回目の更新で「日本人の配偶者等」(3年)の在留資格が取得できました。

Cさんには前夫との間に生まれた一人娘の女の子Dさんがいます。この子の世話はB国にいるCさんの母親が面倒を見ています。Cさんはこの先日本で暮らしていく経済的余裕もある程度出来てきたので、DさんをB国から呼び寄せたいと考え,専門家に相談することにしました。

連れ子に認められる在留資格

まずCさんが自分の娘(実子)のDさんを日本に呼び寄せるにはどのような在留資格となるかというと、該当する在留資格は「定住者」となります。

「定住者」とは、他のいずれの在留資格にも該当しないものの、日本で相当期間の在留を認める特別な事情があると法務大臣が判断した者に在留資格を認めるために設けられたものです。

定住者の在留資格は「定住者告示」といって、上陸許可の判断において一定の類型の地位を定めて置き、いずれかの類型に該当する場合に入国・在留を認める在留資格の一つです。

入管法7条第1項第2号の規定により、入国審査官が上陸の許可に際して「定住者」の在留資格を決定できるのは、法務大臣が定住者告示をもってあらかじめ定めている地位を有する者としての活動を行おうとする外国人の場合に限られます。

上記の事例で該当する類型は、定住者という在留資格の中で、「定住者告示第6号二」で規定されています。      

定住者告示第6号二の規定は,次の通りです。

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子

日本人と婚姻関係にある配偶者(夫又は妻)の実子であるが、婚姻関係にある日本人の実子ではない場合で、なおかつ未成年で未婚であることが条件となります。

なお成人年齢は,2022年4月1日から18歳に引き下げられました。

日本人・永住者の配偶者の方で、母国にいる子供を日本に連れて来て一緒に暮らしたいという方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

上陸拒否されても日本に入国することができるか?上陸拒否の特例について解説

2023-04-26

一度強制送還をされてしまうと,多くの場合には再入国を拒否されてしまいます。

再度日本へ入国することを希望する場合,どのような手続きがあるのでしょうか。

「上陸拒否の特例」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(架空の事例です)

Aさんは、小学校1年生の時に、南米にある日系移民が多く暮らす町から家族全員で日本に移住してきました。Aさんはおじいさんが日本人の日系3世です。Aさんは父母、弟、妹の5人家族で、Aさんが10歳の時にお父さん、お母さん、弟、妹とAさんの5人全員がA県に移住してきました。AさんはA県の公立高等学校を卒業して、A県にある自動車部品製造会社で、3交代で働いていました。

ある時知人から「この草をたばこのように紙に巻いて吸うと疲れが取れるよ。試してみないか」とすすめられ、興味本位で知人から大麻草0.5グラムを譲り受けました。

Aさんはこの草をインターネットで検索し大麻草であることを知りましたが、最近仕事でストレスがたまっていたこともあり、気分転換のつもりで吸ってもどうせばれないだろうと考え、夜勤明けに会社近くにある公園の駐車場で、紙たばこのようにして大麻草を吸っていたところ、公園を巡回していた警察官に見つかり現行犯逮捕されました。

その後Aさんは起訴され裁判所で懲役8月執行猶予3年の有罪判決を受けました。

この事件が原因で入管からこれまでの素行善良要件に問題があると判断され、Aさんは次の在留更新が不交付となって本国に帰ることになりました。本国に帰ったAさんには親しい知り合いが誰もおらず、小さいころから日本で生活しているため母国語もよくわからないため給料の高い仕事につけず毎日の生活が本当に大変です。なんとか日本に戻って安定した仕事を得て、日本にいる家族と一緒に生活したいAさんですが、入管からは無期限上陸拒否の処分がでているため、観光ビザでの入国すらも拒否されてしまいます。Aさんの大麻取締法違反の刑の執行猶予期間はとっくに経過しており、刑の言い渡しは効力を失っているにもかかわらず(刑法27条)、ほんの出来心でわずかな量の大麻を吸引して日本で罰を受けたAさんは、このままでは永久に日本に戻れません。

一体どうすればAさんは日本に戻ることができるのでしょうか?

Aさんが日本に入国するためには?入管法の規定はどうなっているのか?

入管法では上陸拒否について以下のように規定されています。

<関連条文>

入管法第5条1項

「次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入国することができない。」

入管法第5条1項では、上陸拒否に該当する事由を列挙しています。

入管法第5条第1項4号

「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りではない。」

一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた場合は、無期限上陸拒否となります。ここで注意しなければならないのは、この条文にある「相当する刑に処せられた」です。本来「執行猶予」期間が経過すると刑が失効するにも関わらず、「一年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑」に「執行猶予」も含めて運用されているため、日本では起訴=有罪がほぼ100%であることから、裁判所から有罪判決を受けたという事実だけで、ほぼ無期限の上陸拒否事由に該当してしまうことになります。

結果として該当者やその家族にとって極めて厳しい選択を強いられる結果となり、事件をおこした外国人だけでなく、その家族にとっても過酷な運用となっています。

例えば入管法第5条1項4号に該当する方の日本人配偶者の場合、家族が一緒に暮らすことを選択した場合は、日本人でありながら日本国内で家族一緒に暮らすことがかなわず、家族全員海外での暮らしを余儀なくされます。子供を日本の学校に通わせたい場合は海外と日本で家族が離れ離れとなり、普通の日本人家庭であればごく当たり前のことが当事者にとってはきわめて困難な選択となる恐れが生じます。

入管法五条一項は上陸拒否の該当事由を列挙していますが、この条文と対になる条文が入管法第五条の二(上陸特別拒否の特例)です。   

「法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であっても、当該外国人に第二六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないとすることができる。」

仮に上陸拒否に該当する事由があったとしても、上陸を認める相当の理由があるときは、入管法五条に該当する事由のみをもって上陸を拒否しない、すなわち「相当の理由」があれば上陸を認める場合もあるということです。

では「相当の理由」とはどのような意味でしょうか?

法務大臣の裁決の特例としての上陸特別許可    

入管法第一二条第一、二、三項に該当する場合、入管法第七条一項四号で定める上陸の基準には適合しない場合でも上陸を特別に許可する場合があります。   

実務上多い類型として、入管法第十二条第三項の「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとみとめるとき。」が挙げられます。

ここでの「特別に上陸を許可すべき事情」とは、家族の結合など、上陸を認めることが人道上の観点から配慮すべき場合です。

仮に無期限上陸拒否に該当する場合であっても、人道上特別な事情が認められれば、上陸(入国)が認められる余地はあるということです。

在留申請に人道上特別な事情があることを、在留資格認定証明書を通して入管に訴えていきます。

日本に滞在中に有罪判決を受けて日本への入国が拒否されている場合でも、特別に入国が認められることはあります。

 

上陸拒否を受けて日本への入国を拒否されている方や家族等、日本に入国できずに困っている方は、お一人で悩まずに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(033-5989-0843)までご相談ください。

離婚後も日本に居続けられるのか?定住者ビザについて解説

2023-03-18

離婚・死別定住について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

「日本人の配偶者」でなくなっても在留を続けられるのか

日本人の配偶者、永住者・特別永住者の配偶者の在留資格で日本に在留している場合、配偶者としての活動をすることが在留資格の要件となっています、離婚、死別等で配偶者としての活動ができなくなった場合は、これまでの在留資格が認められないことになり、他の在留資格に変更しなければ本国に帰国することになります。

しかしながらこれまで配偶者としての活動を長年継続してきた方の中には、生活基盤が既に本国ではなく日本にあり、簡単には帰国を選択できない方が少なからずいるでしょう。

又、経営・管理、技術・人文・国際業務等の就労系の在留資格変更申請には、学歴、業務経験、資産等の面で複雑で高度な要件が求められ、変更要件を満たす人は限られてきます。

こうした場合に、これまでの生活基盤を大きく変更することなく、引き続き日本で生活することを希望する方の救済措置的な在留資格として、離婚定住・死別定住と呼ばれる在留資格があります。

「告示外定住」という定住者ビザの一種であり,要件が事前に定められていない在留資格です。離婚・死別定住の対象となる者は、日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚又は死別後引き続き日本に在留を希望する者で、同じ身分系の在留資格でも定住者の配偶者等と離婚又は死別後引き続き在留を希望する者は含まれません。

離婚・死別定住の許可要件はおよそ以下の4つです。

① おおむね3年以上の「正常な婚姻関係・家庭生活」を営んでいる

② 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③ 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと

④ 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること

審査のポイント

①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。

したがって、別居していた期間であっても夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればこれに該当します。

②「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、独立して生計を営むだけの収入のことです。

正社員、派遣社員、アルバイト等、就労形態による区別はありませんが、およそ月収18万以上が目安となります。

③「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、言語能力などの点で,日本での生活に支障がないことです。

例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問われません。

④「納税義務」は文字通り,きちんと払っているかどうかが問題となります。税金の滞納や交通違反等の法律違反があれば審査において不利になります。

定住者の在留資格に変更が出来れば、就労に制限はなく、これまでの生活基盤を大きく崩すことなく引き続き日本での生活が可能となります。

日本人、永住者・特別永住者の方と離婚・死別され、在留資格についてご心配事・困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。

「留学」の在留資格について解説,ビザがもらえる学校はどこまで?

2023-02-08

在留資格「留学」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

1.「留学」の在留資格に該当する活動

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。

2.基準  一部抜粋

(前略)四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。 (後略)

3.基準についてのポイント

基準省令四の二は、申請人が中学校若しくは特別支援学級の中学部又は小学校若しくは特別支援学級の小学部において教育を受けようとする場合の基準です。

イからホまでありますが、学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当しなくともかまいません。

イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であることが必要です。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であることが必要です。

二 申請人を受け入れる小学校、中学校、特別支援学校等に常勤の生活指導員が必要です。

ホ 申請人が日常生活を支障なく営むための「寄宿舎」「宿泊施設」が必要です。

 この「寄宿舎」「宿泊施設」は申請人の監護者の自宅で構いません。

4.「留学」と「資格外活動」について

「留学」としてイメージしやすいのは「大学」ですが、在留資格【留学】は小学校から大学院までを対象としています。

「留学」には日本語学校も含まれます。

在留資格「留学」で日本語学校等に入学された方は本来働くことは認められていませんが、「資格外活動許可」を受けた場合には、週28時間以内(長期休業(夏休み等については1日8時間以内)のアルバイトがみとめられます(風俗営業店舗等を除く。)。

資格外活動許可を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり、在留更新が認められない場合があり、近年、ブローカーの甘言を安易に信じ、入国当初から多額の借金を背負うことになった結果、借金返済のために制限を超えたアルバイトをすることで本来の日本語学校での勉強がおろそかになり、ほとんど日本語が習得できないまま、帰国を余儀なくされたり、より稼ぎをえるために失踪する者が増加していることが問題となっています(出入国在留管理局HPより)。

家族滞在の在留資格について,具体例を解説

2023-02-05

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.「家族滞在」の在留資格に該当する活動

法律上,「家族滞在」の在留資格が認められる場合としては,次のように規定されています。

入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動。

2.該当例

具体的に言うと,「外交」、「公用」、「特定技能1」、「技能実習」、「短期滞在」、「研修」及び「家族滞在」を除く別表第一の一から四までの表の上欄の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者及び子が,家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。

逆に,配偶者及び以外の家族は対象とはならりません。ここでいう「子」には養子も含まれます。

子は未成年者であることを要件とされておらず、成年に達していてもかまいません。

配偶者は、これらの在留資格をもって在留する外国人と現に婚姻している外国人です。

婚姻は法的に有効に成立した者でなければならず、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者に含まれません。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P203)

また、外国で有効に成立した同性婚による者も含まれません。

3.「特定技能」の外国人の場合や,「扶養を受ける配偶者,子」の範囲について

「特定技能」の場合

特定技能1」の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれません。「特定技能2号」の配偶者、又は子は「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれます。「特定技能2号」の外国人は、配偶者及び子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。

扶養を受ける配偶者及び子」の範囲

「扶養を受ける」とは、扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養をすることが可能な資金的裏付を有すると認められることをいいます。

「配偶者」については原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態、「子」にあっては扶養者の監護養育を受けている状態の事をいい、経済的に孤立している配偶者又は子としての活動は含まれません。(審査要領)

外国で有効に成立した同性婚の場合

海外では同性婚が認められる国は複数ありますが、日本では同性婚が認められておらず、海外での同性婚者は、「家族滞在」の在留資格に該当する「配偶者」として認められていません。なお、母国の法律で同性婚が認められたカップルの間でなされた婚姻での一方のパートナーに対して、告示外での「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。

 

「家族滞在」の在留資格についてご心配なことやお困りのことがあるという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

解決事例 在留資格(定住者)が認められた事例

2022-10-25

当所の扱った事案について,在留資格認定証明書の発行が認められましたので,その事例を紹介,解説します。

事案・ご依頼の経緯

ご依頼者様は外国籍で日本人の方と結婚されていましたが,本国に外国籍の未成年のお子さんがいらっしゃいました。

お子さんは日本人の子供ではなかったので,「日本人の配偶者等」の在留資格は得られず,また,日本で生まれたお子さんでもなかったものの,家族で集まって日本に住みたいという思いが強くありましたから,なんとか日本に呼び寄せたいとのご希望でした。

なお,このご依頼者様は一度,入管に対してお子さんを「定住者」のビザで呼び寄せようと申請を行っていましたが,不許可の通知を受けてしまいました。

一度申請が不許可となったものの,どうしても家族を呼び寄せたいとの思いから,弊所にご相談に来られました。

弁護活動と成果

ご相談後,在留資格認定証明書の交付請求について,正式にご依頼を頂き,弁護士としての活動を行いました。

ご自身で一度申請をしたものの不許可となった事案で,再度同じ件について申請をしようとする場合,「前にした申請の内容と矛盾しないようにする」という点が非常に大切です。

入管に対する申請については,特に回数制限はありませんが,同じ内容で申請をしても同じ結果,つまり不許可となるだけですし,申請内容を少し変えるとしても,前の申請内容と矛盾してしまうと「申請内容が信用できない」としてやはり不許可になる恐れもあります。

申請に先立って,ご依頼者様やそのご家族からも聞き取りを行い,申請内容が矛盾しないように注意を払いました。

また,不許可となった事案において更に大切なのが,「なぜ不許可となったのか」という点をきちんと洗い出すということです。

新しくビザ(在留資格)の申請をする場合,法律上の要件が満たされているのであれば,原則としてビザは発行(在留資格が認定)されます。それが不許可となったということは,何かしらの要件を満たさなかった,つまり,入管に対して提示すべき事実が欠けていたり証拠が不足していたということです。

この事案でも,不許可となった理由を確認し,不足していた事情を補って再度の申請を行いました。その際,前の申請内容と矛盾が生じないように気をつけなければならないことは先ほど述べた通りです。

弁護士が依頼を受けて再度の申請を行ったところ,申請から約1月弱で審査が完了し,無事に在留資格認定証明書が交付され,ご依頼者様のお子様は「定住者」と支店在留資格が認められることになりました。

外国人の子供のビザ,外国人の親のビザ

2022-08-26

日本で生活している外国人の方の中には,

・母国で生活している親を日本に呼びたい

・離れて暮らしている子供と日本で生活したい

という方が多くいるでしょう。

日本にいる外国人の方が,自分の親や子供を日本に呼び寄せる時に活用できる在留資格について解説をします。

外国人の子供のビザ

外国人の方の子供を呼び寄せようとする場合,

  1. 日本にいる外国人親の在留資格(ビザ)が何なのか
  2. 呼び寄せようと思う子供の年齢がいくつなのか

によって,ビザの種類やビザの取りやすさが変わってきます。

日本にいる外国人親の在留資格が,就労系の在留資格または,文化活動だった場合,家族滞在の在留資格で,その子供も日本での滞在が認められます。

就労系の在留資格とは,教授,芸術,宗教,報道,経営管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術,人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号の場合を言います。

技能実習生と特定技能1号の人は,家族滞在ビザで子供を呼び寄せることができません。

 

外国人親の在留資格が「日本人の配偶者等」,「永住者」,「定住者」である場合には,その子供と日本との関係が重要になります。

呼び寄せようと思う子供が日本人,永住者の実子なのであれば,子供も同様に「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格が認められます。

もっとも複雑なのが,子供が,外国人の実子ではあるけれども日本人の実子ではない(連れ子),というパターンです。

この場合,子供と日本人との関係によっては,「定住者」の在留資格が認められます。この場合,子供が18歳未満で,結婚しておらず,外国人の実子であるという点が重要です。

 

いずれの在留資格であっても,子供を日本に呼び寄せようと思う場合,その子供が「扶養を受ける」,つまり,日本にいる人に養ってもらって生活をするという事情がなければ子供としての在留資格は認められません。

自分で生計を立てられる(養われなくても生活ができる)というのであれば日本に呼び寄せる必要はないし,仕事に応じた就労系の在留資格を取得すればよい,ということです。

外国人の親のビザ

外国人の親を呼び寄せる場合,法文上は,ビザは「特定活動」の在留資格しかありません。

明確に認められるのは,「高度専門職1号,2号の外国人」の親です。それも,日本にいる外国人に7歳未満の子供(妊娠中の場合を含む)がいて,小さい子供の世話をする間,親(おじいちゃん,おばあちゃんの立場)に日本に来てもらって家事のお手伝いをしてもらうという場合です。

その他の在留資格の方が外国から親を呼び寄せようと思う場合には,「告示外特定活動」のビザを取得するしかありません。「老親介護」とも言われることがあります。

日本に滞在している外国人又は日本人の実の親で,本国で生活しており身寄りのいない場合に,人道上の理由から「特定活動」としての在留資格が認められる場合があります。

「老親介護」のための特定活動の在留資格を申請しようと思う場合,日本にいる外国人以外に適切な扶養者がいないこと,日本で親を扶養する資力が十分にあること等が審査の項目になります。

老親介護のための特定活動ビザの申請は,本人に一度,短期滞在等のビザで来日してもらった後で,在留資格変更許可申請(短期滞在→特定活動)をすることになります。

親のビザ,子供のビザについては弁護士等の専門家にご相談ください。

« Older Entries

トップへ戻る

03-5989-0843電話番号リンク 問い合わせバナー