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強制送還されたことがあっても再入国はできる?上陸特別許可の解説
「上陸特別許可」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「上陸特別許可」とは、一般的には入国拒否期間中であるにもかかわらず、日本への入国が認められる許可のことをいいます。
「上陸特別許可」は、いわゆる入管法第12条に定められています。
上陸拒否期間中は原則として日本に入国することはできませんが、当該期間が経過したことにより必ず日本に入国できるというわけではありません。
上陸拒否期間経過後は「上陸拒否期間中のため」という理由により日本への入国が拒否されることはありませんが、他の別の理由で拒否される可能性はあります。
つまり、上陸拒否期間が経過することと、「日本人の配偶者等」などの在留資格が与えられることは全くの別の問題となります。
退去強制された外国人が過去に日本で法律違反を繰り返している場合などには、日本に正式な配偶者と実子がいても全くビザが許可されない事もあります。
あくまでも、過去の滞在状況と今回の呼び寄せる理由とを比べて総合的に判断されることになりますので、形式的に上陸拒否期間が経過したことだけをもって在留資格が認められるというわけではないことに注意が必要です。
また、一度退去強制されてからどれくらいの期間が経過すれば上陸特別許可が認められるかについては一概に何年という基準はありません。
退去強制事由によっても異なりますが、一般的には退去強制されてから3~4年程度経過した場合に許可されるケースが多いようです。
ただし、「上陸特別許可」は「在留特別許可」と同様に正式に認められた申請ではなく、日本への入国に際しても相当の理由が必要となるため、誰に対しても許可がおりるわけではなく、何度申請しても不許可となる可能性もあります。
「上陸特別許可」を申請する外国人を取り巻く環境などにより異なるので、一概に退去強制から何年経過すれば入国ができるということは出来ません。
そこで、事前に在留資格認定証明書交付申請を行い、あらかじめ上陸拒否者であることを前提とした審査を経る必要があります。
上記のように、「上陸特別許可」は正式に認められた申請ではないことから、どのような条件であれば認められるかが非常に難しいものになります。
「上陸特別許可」についてお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
退去強制事由についての解説
「退去強制事由」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
退去強制手続とは、外国人が日本国内で法的に許可された在留資格や期間を超えて不法滞在する、または他の法律違反を犯した場合に、その外国人を日本から退去させるための手続きのことをいいます。
また退去強制事由とは、外国人が入国や在留に際して日本の法律や規定に違反した場合に、彼らを日本から退去させることができる理由や事情のことをいいます。
「出入国管理及び難民認定法」の第24条に退去強制事由についての記載があります。
条文では、一号から十号までの事由が列挙されていますが、ここでは代表的なものを以下にてご説明いたします。
① 不法入国者
有効なパスポートなどを持たずに日本に入国した人が該当します。
また、外国人が他人のパスポートを使って入国した場合や偽造パスポートによる入国も不法入国に該当します。
② 不法上陸者
手段や方法は問わずに、上陸の許可などを受けることなく日本に上陸した人が該当します。
不法上陸者には、2つのパターンがあり、1つ目は上陸許可の証印や記録を受けないで日本に上陸した者、二つ目は寄港地上陸や通過上陸などの特例上陸許可を受けなければならない状況であるにも関わらず、これを受けないで入国した者となっています。
③ 偽造・変造文書を作成・提供した人
不正に上陸や在留するために、組織的・専門的に偽物のパスポートや書類を作成したり提供した人を指し、外国人ブローカーなどを日本から退去強制することが目的とされています。
なお、偽造文書の作成や提供だけでなく、それを幇助した者も含まれます。
④ 資格外活動者
「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」などを行い、在留資格で定められた活動以外のことを行なっている人をいいます。
外国人留学生が学校に通うことなく本格的に就労している場合や就労のための在留資格を持つ人が許可を得ることなく、他に深夜にアルバイトをしている場合などには資格外活動に該当することがあります。
⑤ 不法残留者(オーバーステイ)
在留期間の更新又は変更を受けずに、日本に滞在することを許された期間をすぎて滞在している人が該当します。
親族訪問の目的で「短期滞在」で入国後にそのまま在留期限が経過してしまった場合などが代表的な例です。
⑥ 刑罰法令の違反者
住居を犯す罪、通貨偽造の罪、文書偽造の罪、有価証券の偽造の罪、支払い用カードの電磁的記録に関する罪、印象偽造の罪、賭博及び富くじに関する罪、殺人の罪、傷害の罪、逮捕及び監禁の罪、脅迫の罪、略取、誘拐及び人身売買の罪窃盗及び強盗の罪、詐欺及び恐喝の罪、盗品等に関する罪などにより懲役または禁錮に処せられたものが該当します。
⑦ 売春関係業務の従事者
売春関係の業務に従事したという事実があれば該当し、売春防止法などに違反して刑に処せられたかどうかは要件とされませんので、注意が必要です。
⑧ 退去命令違反者
退去命令を受けたにも関わらず日本から退去しない者であり、出向命令制度などにより既に退去命令が出ているにも関わらずそのまま日本から退去しない場合などが該当します。
上記のように、一言で「退去強制事由」といっても、数多くの「退去強制事由」が存在します。
特に、上記⑥については、どれくらいの刑罰を受けることになるのかによっても、「退去強制事由」に該当するか否かが変わりますので、「退去強制事由」でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
企業内転勤ビザの更新手続き:必要なステップと注意点
企業内転勤ビザは、多くの外国人が日本で働くために必要な在留資格の一つです。
しかし、このビザの有効期限が切れると、不法滞在となり厳しい罰則が科される可能性があります。この記事では、企業内転勤ビザの更新手続きについて詳しく解説します。
1. 企業内転勤ビザとは?
企業内転勤ビザは、特定の企業に所属する外国人が日本で働くために必要な在留資格です。
企業内転勤ビザ(Intra-Company Transferee Visa)は、外国の企業が日本に子会社や関連会社を持っている場合、その企業の外国人従業員が日本で一定期間働くために必要な在留資格です。
このビザの特徴として、日本での労働内容は、外国の母体企業での業務と基本的に同じでなければならないという点があります。 企業内転勤ビザの有効期間は3か月から5年の幅がありますが,通常1年または3年とされることが多いでしょう。この期間が終了する前に更新手続きを行う必要があります。
企業内転勤ビザを取得する際の基本的な条件として、申請者が外国の母体企業で一定期間(通常は1年以上)働いている必要があります。 さらに、日本での業務内容、給与、労働条件なども審査の対象となります。
このビザのメリットとしては、日本での労働が比較的スムーズに始められる点、注意すべき点としては、業務内容が「技術・人文知識・国際業務」のものに制限される点が挙げられます。
このビザは、日本国内での業務遂行を円滑にするために発行されます。 しかし、このビザには有効期限があり、期限が切れると不法滞在となります。 そのため、更新手続きは非常に重要です。
2. 更新手続きのタイミングと流れ
企業内転勤ビザの更新手続きは、有効期限が切れる前に行う必要があります。 一般的に、ビザの有効期限が切れる3ヶ月前から手続きを始めることが推奨されます。
以下は、更新手続きのタイミングと流れについての詳細です。
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3ヶ月前: まず、ビザの有効期限が切れる3ヶ月前に、必要な書類のリストを作成します。この段階で、書類の内容を確認し、不足しているものがあれば、それを揃える時間が確保できます。
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2ヶ月前: この時点で、すべての書類が揃っているか再確認します。また、必要な場合は、弁護士や専門家に相談して、書類の内容を確認してもらいます。
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1ヶ月前: 書類が整ったら、入国管理局に提出するためのアポイントメントを取ります。多くの場合、オンラインで予約が可能です。
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数週間前: アポイントメントの日に、必要な書類を持って入国管理局に行き、更新申請を行います。指定された窓口で書類を提出します。
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申請後: 申請が承認されると、新しい在留カードが発行されます。このカードを受け取るためには、再度入国管理局に行く必要があります。
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有効期限当日: 最後に、新しい在留カードを確実に受け取って、古いカードを返却します。更新が許可された場合には,窓口で手数料(4,000円)を支払います
このように、更新手続きは複数のステップに分かれており、それぞれのステップでしっかりと準備と確認が必要です。 特に、書類が不足していると、更新が拒否される可能性もありますので、注意が必要です。
3. 必要な書類と手続きの流れ
企業内転勤ビザの更新手続きには、いくつかの重要な書類と手続きが必要です。 以下に、その主要なポイントを詳しく説明します。
必要書類
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在留カード: 最も基本的な書類であり、必ず提出する必要があります。
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雇用契約書: 日本の企業との雇用契約書や、外国の母体企業との契約書のコピー。
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給与明細: 最近3ヶ月分の給与明細を用意します。
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納税証明書: 所得税の証明書や、住民税の証明,年金の支払いに関する証明も必要です。
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在職証明書: 企業からの在職証明書が必要とされる場合もあります。
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申請書: 入国管理局からダウンロードできる、ビザ更新の申請書を記入します。
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パスポート: 有効なパスポートも提出が必要です。
手続きの流れ
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書類の準備: 上記の書類を全て揃えます。
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書類の確認: 不備がないか、専門家や弁護士に確認してもらった方が良いでしょう。
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申請書の記入: 必要な情報を正確に記入します。
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入国管理局での申請: 予約した日時に、必要な書類を持って入国管理局に行きます。
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申請料の支払い: 申請が認められたら窓口で手数料(4,000円)を支払います。
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在留カードの受取:、新しい在留カードを受け取ります。
このように、書類の準備から申請、そして新しい在留カードの受取まで、一連の流れがあります。 各ステップで注意深く行動することで、スムーズな更新が可能です。
4. オンラインでの更新手続き
近年、オンラインでのビザ更新手続きが可能なケースも増えています。 このセクションでは、オンラインでの手続きのメリットと注意点について詳しく説明します。
オンライン申請によるメリット
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時間節約: 入国管理局に物理的に足を運ぶ必要がないため、時間を節約できます。
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手続きの簡素化: オンラインでの手続きは、通常、書類のアップロードといった簡単なステップで完了します。
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24/7 アクセス: オンラインであれば、時間や場所に縛られずに申請が可能です。
オンライン申請の注意点
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技術的な問題: インターネット接続の不具合やウェブサイトのトラブルが発生する可能性があります。
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セキュリティ: 個人情報をオンラインで取り扱うため、セキュリティ対策が必要です。
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書類の確認: オンラインでの申請では、書類の確認が厳しくなる場合があります。そのため、書類は事前にしっかりと確認しておく必要があります。
オンライン手続き利用については,入管当局のHP等をご覧ください。
5. 有効期限が切れた場合の対処法
ビザの有効期限が切れてしまった場合、それは非常に深刻な問題になります。ビザが切れた状態で在留していることは不法残留,オーバーステイと呼ばれ,罰則が科されたり,強制送還されたりしてしまいます。
有効期限が切れた場合の緊急の対処について詳しく説明します。
即時対応が必要
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入国管理局への連絡: まず最初に、できるだけ早く最寄りの入国管理局に連絡を取ります。
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弁護士の相談: 法的な問題が発生する可能性が高いため、速やかに入管法に詳しい弁護士に相談することが推奨されます。手続の状況によっては,更新の申請が間にあったり,在留特別許可が目指せるという場合もあります。
とはいえ,やはり不法残留の状態となってしまわないようにするのがベストです。
日本に在留している以上,常に在留期限は気にしておく必要があります。
外国人を雇用している雇用主としても,従業員の在留期限については気を配っておかなければなりません。外国人本人が不法残留となってしまうだけではなく,雇用主も「不法就労助長罪」として処罰の対象となってしまうおそれがあります。
6. まとめと今後の注意点
ビザの更新手続きは、多くの外国人が日本で生活する上で避けては通れない重要なプロセスです。 この記事では、更新手続きのタイミング、必要な書類、費用、オンラインでの手続き、そして有効期限が切れた場合の対処法について詳しく説明しました。
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早めの準備: 更新手続きは時間がかかる場合がありますので、早めに準備を始めることが重要です。
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書類の確認: 必要な書類はしっかりと確認し、不備がないように注意が必要です。
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法的な相談: 不明点や問題が発生した場合は、専門家や弁護士に相談することが推奨されます。
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有効期限の確認: ビザの有効期限は常に確認し、リマインダーを設定するなどして忘れないようにしましょう。
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オンライン手続きの活用: 可能であれば、オンラインでの手続きを活用して、手間と時間を節約することが有用です。
以上が企業内転勤ビザの更新手続きについての全体的なガイドとなります。 この情報が皆さんのビザ更新手続きをスムーズに進める助けとなれば幸いです。 何か質問やフィードバックがありましたら、お知らせください。
不法就労助長の会社の責任と個人の責任,どう違う?
不法就労助長罪には,雇っていた法人や事業主に対する責任と,雇い入れをした個人に対する責任の両方が定められています。
このような規定を「両罰規定」と言って,「法人」や「会社」に対しても刑罰を科すという規定です(入管法76条の2)。
もちろん,会社に対して「懲役刑」を科すことはできません(会社は目に見えないものですし,実際の肉体もありません)。法人に対する両罰規定としては,罰金が科されることになります。
不法就労助長罪となった裁判例 その2
今回は,不法就労助長罪として起訴されたものの,「在留カードの記載を見落としていた」として不法就労助長罪の故意がないと主張した裁判例について解説します。人事の担当などの方でも,外国人の雇入れの際には在留カードを確認するという実務が定着しているかと思いますが,「うっかり見落とした」という事態も,いつか,どこかで起きえる事態です。「見落としていた」という主張は,どこまで認められるのでしょうか。
解説する裁判例は,平成30年12月11日に札幌地方裁判所小樽支部が言い渡したものです。
不法就労助長罪となった裁判例 その1
今回は,不法就労助長罪が成立するかどうかについて争われた裁判例について紹介・解説します。
解説する裁判例は,平成31年4月15日に札幌地方裁判所で判決が言い渡された事例です。
不法就労助長罪による逮捕・処罰
このページでは,不法就労助長罪について詳しく解説します。
外国人を雇う事業主の方には必ず知っておいていただきたい内容になります。出入国管理法が定めている不法就労助長罪は「そんな法律は知らなかった」と言っても逃れられない規制ですし,「逮捕されるとは思わなかった」,「前科がつくなんて知らなかった」と思っていると,思わぬ結果になってしまうこともある事件です。
不安な点がある方は早めに弁護士に相談しましょう。
不法就労助長罪はどんな罪か
不法就労助長罪とは,日本で働くことが認められていない外国人を
1 事業のために働かせたり
2 日本で働くように自分の下で支配,管理したり
3 繰り返し(法律上は「業として」)日本での働き先を紹介したり
等した場合に犯罪になるというものです。
出入国管理法73条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
「不法就労活動」とは何か
「不法就労活動」とは,働く内容が違法かどうかという点ではなく,その外国人の方が「日本で適法に働く資格があるかどうか」が問題となります。
不法就労活動の典型例としては次のようなものがあります。
・在留資格がないが日本での生活費のために働く
・在留期間を過ぎてオーバーステイになったが生活費のために働く
・出国準備の在留資格や短期滞在の在留資格で働く
・週28時間のアルバイトが認められているがそれを超過して働く
このような場合には,出入国管理法上は不法就労活動として扱われることになります。
「させた」,「させる」とは何か
不法就労を「させる」とは,事業主として働かせた場合や,監督下で働くことを認めていた場合のことを言います。
「勝手に働いていたので知らない」と主張される方もいますが,外国人が自分の判断で働いていたとしても,その労働に対して給料を払っていた場合や会社に利益があったような場合には監督下で働くことを認めていたと判断され,不法就労をさせていたと見られることがあります。
逮捕されるのか
不法就労助長罪については事業主の方が最初に検挙されたり逮捕されたりするということは多くありません。
というのも,不法就労助長罪が発覚する場合というのは,まずは,労働者である外国人の方が不法残留(オーバーステイ)や資格外活動などにより,外国人の方が検挙され,そこから雇用主である事業主の方に対して捜査が及ぶことが多いようです。また,同業者や取引先からの告発や通報によって発覚するというケースもあるようです。
いずれのきっかけにしても,警察や出入国管理局が不法就労助長罪の疑いがあると判断すれば,他の従業員との口裏合わせや証拠隠滅のおそれがあるとして,逮捕されてしまう可能性があります。
実際に,事業主の方が逮捕される事例も多く発表されています。
↓不法就労助長罪による逮捕の報道例
在留資格のない外国人を工場に派遣していたとされる事件 https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201118/1000056343.html
中国人留学生を風俗店で働かせていたとされる事件 https://www.sankei.com/west/news/201101/wst2011010008-n1.html
不法就労助長罪の疑いがかかると,逮捕から引き続いて最長20日間勾留されるおそれがあるほか,複数の従業員を別々の機会で働かせていた場合には再逮捕されることもあります。
逮捕されてしまってからでは自分で弁護士を探したり相談に行ったりすることが出来なくなります。少しでも不安な点がある方やこれから外国人を雇って事業を拡大しようと考えている方はあらかじめ専門家に相談しましょう。
前科がつくのか
不法就労助長罪について検挙,逮捕され,捜査された結果,不法就労助長罪の証拠が揃ったと見られると,多くの場合には起訴され,裁判になります。
不法就労助長罪は特定の被害者がいる事件ではありませんので,示談をして不起訴となるという事件ではありません。
不法就労助長罪については,「外国人が働けない状態だったとは知らなかった」と言っても処罰されることがあります。
出入国管理法上は,外国人が不法就労活動をしていることについて知らなかったとしても,事業者,雇用主の側に過失がなかった場合には処罰を免れないことが規定されています。やや難しい規定ですが,
不法就労であるかどうか確認をしていた | 不法就労であるかどうか確認をしなかった | |
不法就労であることを知っていた | 処罰される | 処罰される |
不法就労であることを知らなかった | 処罰されないことがある | 処罰される可能性あり |
上の表にあるように,処罰される場合の方が広くなっています。
不法就労助長罪について有罪となると,不法就労をさせていた規模や利益の程度,不法就労の内容が社会的に非難されるものかどうかという点に応じて,刑の重さが決められます。
不法就労によって大きな利益を得ていたこと(平成29年3月10日前橋地方裁判所太田支部),不法就労の規模が大きいこと(令和元年10月9日札幌地方裁判所),就労内容に売春が含まれていたこと(平成29年4月24日前橋地方裁判所)が刑を重くする事情として見られています。
会社や事業所の代表の方に対しては懲役刑と罰金刑の両方,法人に対しては罰金刑が科されることが多くなっています。これらはいずれも前科として扱われます。前科の内容によっては,会社の役員となることが出来ないことがある,各種許認可の手続ができないことがある,海外への渡航に制限が付くことがある等,種々のデメリットがあります。また,技能実習や特定技能の受け入れ機関となることが出来なくなるというデメリットもあります。
まとめ
不法就労助長罪の内容や逮捕されるのかどうか,前科がつくのかどうかという点について解説しました。
次回のページでは,不法就労助長にならないために気を付けるべき点について解説しますので,併せて読んでいただければと思います。