日本では1990年以降,共働き世帯が増加していき,専業主婦世帯の数を大きく上回っています。
家事代行サービスの広がりもあり,単発,短時間であっても,家事代行のお手伝いさんやベビーシッターを利用したことがある,という方も多いのではないでしょうか。
中には,幼少期からの外国語教育のために,外国人のベビーシッターや家事代行サービスを利用する人もいるかもしれません。
外国人の在留資格の審査などをきちんと行っている企業を通じて,家事代行サービスを利用している分には不安は少ないのですが,個人的に外国人の方をお手伝いさんとして雇う場合には,気を付けなければならないポイントがあります。
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「家事手伝い」のための在留資格
個人的な仕事の依頼であっても,外国人の方に,働いてもらって報酬を支払う,という関係に立つ以上,在留カードに記載されている在留資格は必ず確認しましょう。
よくある勘違いとして
家事使用人の在留資格があるので仕事を依頼しても大丈夫だと思った
というものです。
この「家事使用人」の在留資格とは,「外国人の家族にやとわれて家事手伝いをする人のため」の在留資格です。
そのため,「日本人にやとわれて家事手伝いをする」という在留資格はなく,外国人の方は資格外活動,日本人の方は不法就労助長罪に問われる可能性があります。
日本人の方が外国人を「家事手伝い」や「ベビーシッター」として雇うことが出来る在留資格は,おおよそ次の方です。
・永住者
・日本人や永住者の配偶者,子供
・定住者
・アルバイト許可を受けている留学生(全てのバイトを合計して週28時間以内)
これらの在留資格をお持ちの方であれば,日本人に家事手伝いとして雇われて報酬を受け取っても,基本的に,資格外活動となることはありません。
逆に,それ以外の在留資格,たとえ「家事使用人」の在留資格であっても,「ベビーシッター,家事手伝いをすることの資格外活動許可」がない限り働いてはいけませんし,雇っている日本人の方には資格外活動の幇助が成立してしまいます。
ちょっと子供を見てもらって,手当を出すだけでもアウト?
正式な雇用契約を結んでいない場合,例えば,
子供が急に熱が出てしまったので,すぐに連絡の取れた外国人の友達に頼んで,急遽ベビーシッターをしてもらった。
急に用事を頼んでしまったので,謝礼として5千円を支払った。
という場合を考えてみましょう。
不法就労助長罪として処罰されるのは,本来外国人の方ができないような就労活動を業として(反復,継続して)行った場合です。
そのため,事案にあるように,急遽,一回限り,用事を依頼してその手間賃を支払った,というだけであれば,資格外活動や不法就労助長となる可能性は低いでしょう。
ただし,例えば,
雇用契約という形にはしないけれども,毎週木曜日の15時から18時まで自宅で子供の面倒を見てもらう。
謝礼は毎月まとめて3万円払う。
と決めて依頼をしていた場合には,適切な在留資格を持つ外国人への依頼でない限り,資格外活動の幇助にあたってしまう可能性があります。
このような「報酬」と単なる「謝礼」との区別は,状況によって異なるので,一律に判断することは難しいでしょう。
違法な報酬と,適法な謝礼の区別については,こちらもご覧ください。
まとめ
外国人のお手伝いさんやベビーシッターを雇うことで,子供の外国語教育にもプラスがありますが,日本人側でも気を付けなければ犯罪が成立する場合があります。
外国人のお手伝いさん,ベビーシッターの雇用でお悩みの方,不安がある方は一度ご相談ください。