今回は,「高度専門職」ビザのメリット,特に,他の就労ビザと違うところについて解説をします。
永住許可がもらいやすい,在留期間が長い,家族の在留資格にもメリットがある,という点が代表的なものになります。
このページの目次
永住許可がもらいやすい
外国人の方が日本で永住許可をもらおうと思うと,原則は10年以上日本での在留歴が必要になります。
ですが,「高度専門職」ビザを持っている方は,より短い在留期間で永住許可の要件を満たすことができます。
どれくらい短くなるのかは,「高度外国人材」を認定する時の「ポイント」によって異なります。
高度外国人材の70ポイント以上の場合 | 3年以上日本に在留していること | (永住申請の時と,永住申請の「3年前」の時に,70ポイント以上が認められる必要がある) |
高度外国人材の80ポイント以上の場合 | 1年以上日本に在留していること |
(永住申請の時と,永住申請の「1年前」の時に,80ポイント以上が認められる必要がある) |
ポイント表は入管のホームページで確認できますし,こちらのページでも詳しく解説しています。
在留期間が長い
高度専門職ビザ1号が認められると,在留期間は一律5年となります。
他の就労ビザの場合だと,最初は1年,更新をしても3年,その次の更新でやっと5年,となるのが通常ですが,高度専門職ビザの場合には,いきなり5年の在留期間が認められることになります。
さらに,高度専門職ビザ1号をもって,日本に3年以上在留すると,高度専門職ビザ2号に変更することができます。
高度専門職ビザ2号になると,在留期間が無期限となります。つまり,更新をする必要はなく,在留資格が取り消されたり,強制送還の対象とならない限りは日本に居続けることができるのです。在留期間が無期限というのは,永住権と同じです。
家族のビザにもメリットがある
通常,就労ビザを持っている外国人と結婚しても,「家族滞在」の在留資格にしか変更できません。
「家族滞在」ビザでは,原則として働くことができず,アルバイトやパートタイム勤務をしようと思う場合,資格外活動許可を得なければなりません。
ですが,高度専門職ビザを持っている外国人の配偶者が一定の仕事をしようとする場合,「特定活動」ビザを取得することができます。
日本人と同等かそれ以上の報酬をもらっていて,かつ,高度専門職ビザの配偶者と同居していることを条件に,資格外活動許可なしで働くことができるのです。
この「特定活動」の場合のメリットは,学歴や職歴がなくても就労することができるという点です。
他の就労ビザだと,大学卒業程度の学歴や,3年以上の実務経験などが必要とされることがありますが,この「特定活動」のビザの場合そのような学歴,職歴が必要なくなるのです。
また,基本的に「外国人の親」は短期滞在(ツーリスト)のビザしか認められないのですが,「高度専門職」ビザの外国人の親,もしくはその配偶者の親については,
・7歳未満の子供を養育する場合
・妊娠中の場合
に呼び寄せることができます。
「子供が小さいのでおじいちゃんおばあちゃんに面倒を見てほしい」という場合や,「妊娠中なので家事を手伝ってほしい」という場合に,外国人の親を呼び寄せることができるのです。
このような「親の呼び寄せ」は,たとえ永住者であってもできないものですので,高度専門職ビザに特有の呼び寄せ方と言えます。
注意点:強制送還については他の就労ビザと同じ扱い
日本での在留について,他の就労系のビザと比べて待遇が良い「高度専門職」ビザですが,注意すべき点もあります。
在留資格の取消や,退去強制(強制送還)をするかどうかについては,他の就労系の在留資格と同じ扱いとなります。
そのため,一定の期間,在留資格に該当する活動を行っていないことが明らかになれば在留資格の取消となることがありますし,日本で刑事事件を起こして有罪の判決を受けた場合や入管法上の手続きを違反した場合には退去強制(強制送還)の対象になってしまいます。
また,高度専門職ビザは,日本人の配偶者等や永住者の場合と異なって,在留特別許可をするかどうかのガイドラインでは,あまり有利な事情とはなっていません。
ですので,「高度専門職」ビザは,正規の滞在をする上では各種手続きの優遇措置がありますが,万が一事件を起こしてしまった場合や手続を怠った場合には,他の在留資格と同じように扱われる,ということになります。
高度専門職ビザで認められる優遇措置を逃してしまわないためにも,在留資格についてお困りのことや不安なことがあるという方は弁護士にご相談ください。
将来の入管手続きや,日本の在留についてトータルで相談できる,個人向け顧問も受け付けています。
何か問題が起きる前にいつでも弁護士に相談する準備をしておくことができます。