今回は,「技能」の在留資格の概要と,取得にあたって入管などに対して提出する必要がある書類について解説します。
様々な分野で「専門特化」が進んでいますが,その技術や技能といった能力は,日本での在留資格の取得にどんな影響があるでしょう。
技術職,専門職の方を日本に呼び寄せたいと思っても,どんな分野であれば在留資格が認められるのでしょうか。
少し難しい話になりますが,「技能」という在留資格について解説します。
このページの目次
そもそもどんな在留資格なのか
技能の在留資格は,「日本の機関(公私を問わない)と契約して産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する活動」を行う場合に認められる在留資格です。
技能の在留資格(ビザ)も,いわゆる「就労ビザ」の一種です。就労ビザ全般については,こちらのページで紹介しています
技能の在留資格が認められる「産業上の特殊な分野」とは大きく分けると3種類があり,
- 外国に特有な産業分野
- 日本よりも外国の技能レベルが高い産業分野
- 日本の技能者が少ない産業分野
があり,全部で9つの分野が定められています。
☆外国に特有な産業分野
外国に特有の産業分野としては,
・調理師(基準1号)
・建築技術士(基準2号)
・外国特有製品の製造・修理(基準3号)
の分野があります。
☆日本よりも外国の技能レベルが高い産業分野
日本より外国の技能レベルが高い産業分野としては,
・宝石,貴金属,毛皮加工(基準4号)
・動物の調教(基準5号)
・スポーツ指導者(基準8号)
・ワイン鑑定士(基準9号)
の分野があります。
☆日本の技能者が少ない産業分野
日本の技術者が少ない産業分野としては,
・石油,地熱等掘削調査(基準6号)
・航空機操縦士(基準7号)
の分野があります。
他の在留資格との違い
技能の在留資格と似ているものとして,技術,人文知識,国際業務の在留資格があります。
技術,人文知識,国際業務の在留資格の解説についてはこちら⇒技術・人文知識・国際業務の在留資格取得手続
技能の在留資格も,技術,人文知識,国際業務の在留資格も,一定の専門的な知識を持って仕事をするという点では同じですが,
技能の在留資格については「個人の経験に基づいた専門性」,いわば職人さんとしての仕事をする場合に該当し,
技術,人文知識,国際業務の在留資格については,学術的な知識や理論を使って専門的な仕事をする場合に該当するものになります。
また,技術,人文知識,国際業務の在留資格について,仕事の分野は特定されていませんが,技能の在留資格の場合には,上記の9つの分野に限定されています。
在留資格認定証明書のために必要な書類
「技能」の在留資格認定証明書のために必要な書類は次のとおりです。
・在留資格認定証明書交付申請書 1通(こちらのリンクからもダウンロードできます)
・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚
・返信用封筒(404円分の切手を貼っておく) 1通
・所属機関を明らかにする書類
・勤務する内容,期間,報酬(日本人と同額かそれ以上の報酬でなければなりません)等を示す資料
・所属機関の規模に応じて(カテゴリー1~4に分類されます),申請人の職歴に関する書類
なお,いずれの資格職であっても,出入国管理局に対する印紙代はかかりません。
審査にかかる時間・在留期間
在留資格認定書は,申請してから実際にもらえるまで,通常,約1~2か月程度かかります。
「技能」の在留資格認定証明書は,申請から交付まで,平均58日かかります(法務省の統計より)。在留資格が認められる分野,程度の「技能」であるかどうかについて,詳細な検討が必要であることに加えて,
在留期間については3ヶ月,1年,3年,5年とあり,通常であれば最初は「1年」か「3年」,次の更新で「3年」,「5年」と徐々に長めの在留期間が認められやすくなります。
「3ヶ月」の在留期間となるのは,就労の期間が3か月未満の場合です。
まとめ
技能の在留資格は,「手に職をつけた」専門家を日本に積極的に受け入れよう,という趣旨で設けられたものです。
特に専門性を認められる分野として,9つの分野が挙げられており,それらに該当しない場合には,「技能」ではなく別の在留資格(例えば,技術,人文知識,国際業務)に該当しないかどうかを考えることになります。
専門職を受け入れようと考えている事業主の方や,技能の在留資格の取得手続などについてのご相談も随時お受けしています。