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窃盗罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

2022-05-12

(この事例は入管手続きについて解説をするための架空のものであり,実在する地名と設例は必ずしも関係ありません)。

「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留していたXさん(40代女性)は,東京都板橋区のスーパーマーケットで「お金を払うのが勿体ない」と思ってしまい,食料品等を約1000円分を万引きし,その様子を見ていた私服警備員に現行犯人逮捕されてしまいました。

Xさんの夫である日本人のYさんは,「Xさんが母国に強制送還されるのではないか」と不安になって弁護士に相談することにしました。

窃盗罪の場合には,強制送還があり得る

これまで当サイトにて解説している通り,入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

参考記事 強制わいせつ罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

Xさんの事例のように,万引きの場合だと,窃盗罪が成立します。窃盗罪に対しては「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられています。

そして,「窃盗罪」というのは,上記の「一定の刑法犯」に含まれています。

執行猶予が付いたとしても強制送還になってしまう刑法犯は,代表的には次のようなものです。

    • 住居侵入罪
    • 公文書/私文書偽造罪
    • 傷害罪,暴行罪
    • 窃盗罪,強盗罪
    • 詐欺罪,恐喝罪

これらの罪の場合,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても,裁判が確定すると強制送還の対象となります。

外国人の方が万引きによって逮捕されてしまった場合には

  • 不起訴になる
  • 無罪を獲得する
  • 罰金刑で済ませる

ことができないと,強制送還される可能性があるのです。

有罪になったら必ず強制送還か

それでは,Xさんの事例で,起訴されて有罪の判決を受けたら必ず強制送還になるのでしょうか。

実は,「一定の刑法犯」で強制送還になる人というのは,その時の在留資格によって変わります。

一定の刑法犯で懲役刑,禁錮刑に処せられたとして強制送還されるのは,入管法の別表1に該当する在留資格をもって日本に滞在している外国人の方です。

入管法の別表1に該当する在留資格とは,こちらのページでも列挙されています

Xさんのように,「日本人の配偶者等」,「永住者」,「永住者の配偶者等」,「定住者」の在留資格であれば入管法の別表2ですから,執行猶予付きの有罪判決を受けたとしても強制送還にはなりません。

ただし,強制送還にならないからと言って全く不利益がないわけではなく,在留期間の更新の時に認められる在留期間が短くなったり,永住許可申請の時に不利な事情として扱われたりします。

強制送還にはならないとしても,その後の日本での在留に関して不利益にならないよう,刑事事件の段階でなるべく軽い処分が得られるように早期に対応しておくことが重要です。

強制わいせつ罪で逮捕された外国人は強制送還されるのか

2022-05-04

(この事例は入管手続き,刑事手続について解説をするための架空のものであり,実在する地名と設例は必ずしも関係ありません)。

「技術,人文知識,国際業務」の在留資格で日本に在留していたXさん(30代男性)は,東京都新宿区の居酒屋で開かれた飲み会の帰り道,酔いすぎたせいか,好みの見た目をしていた女性に対して,路上で抱き着いてしまい,その場で通行人に現行犯人逮捕されてしまいました。

Xさんと交際していた日本人のYさんは,「Xさんが母国に強制送還されるのではないか」と不安になって弁護士に相談することにしました。

「逮捕=強制送還」ではない

Xさんの事例のように,外国籍の方が日本で逮捕されてしまうと,「すぐに強制送還されるのではないか」と不安にある方が多くいらっしゃいます。

ですが,実際に強制送還される場合というのは入管法に規定されており,この規定に当たらない限りは「強制送還できない」ということになります。

入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

何かしらの犯罪で逮捕されてしまった,というだけでは強制送還の対象とはなっていません。

ですが,逮捕,勾留に引き続いて「公判請求」,つまり,「起訴」がなされてしまうと有罪の判決が言い渡される可能性が極めて高く,有罪の判決を受けると内容によっては強制送還されてしまう可能性があるということです。

特に,薬物事件や入管法違反については,「悪質な事案」として入管法でも厳しく扱われており,強制送還されやすくなっています。

逆に,一般刑法の違反の場合には,「その罪名や言い渡された刑の内容によっては強制送還される」という定め方になっています。

Xさんの事例の,強制わいせつ罪(刑法176条)の場合には「1年を超える実刑判決」を受けた場合に限り,強制送還の対象となります。

そのためXさんの事例では,起訴されないための弁護活動,仮に起訴されたとしても執行猶予を獲得できるような弁護活動に重点を置くことになります。

実刑判決にならなければOK?

それではXさんの事例で,実刑判決を回避できれば万事解決となるでしょうか。

Xさんの場合には,「技術,人文知識,国際業務」の在留資格で日本に在留していますから,当然「在留期間」というものが決まっています。

短い人は6か月や1年,最長でも5年の在留期間が決まっており,定められた在留期間以降も日本に留まることを希望する場合には,「在留期間の更新」をしなければなりません。

強制送還をされなかったとしても,Xさんが日本での長期的な在留を望む場合,「強制わいせつ罪で逮捕された」という事実が在留期間の更新手続きの中で不利に働くことがあります。

在留期間の更新については

  • 在留資格の基礎となる活動が適切なものであるから
  • 在留期間を更新するのが相当であるか

という点が審査されます。「逮捕された」という事実は,このうち「更新するのが相当であるか」という点に影響してきます。

日本で逮捕されたことがある,という事実は,日本での生活の素行が悪いという方向の事実であるからです。

刑事事件と在留期間の更新については,やや事案は異なりますが裁判例について解説したものもありますので,併せてご覧下さい。

在留期間の延長を求めて争った裁判事例 東京地方裁判所その1

逮捕されたことで強制送還されるのではないか,在留資格に影響が出るのではないか,とご心配のある方は,一度弁護士にご相談ください。

何罪だと強制送還になる?強制送還になる罪名まとめ

2021-08-11

刑事事件で有罪の判決を受けて,日本から強制送還されてしまうという方が,一定数います。

また,相談に来られる方の中には,「国選弁護士からは大丈夫だと言われていた」のに,強制送還の手続きに乗せられてしまっているという方もいます。

刑事事件で,特に国選弁護士となると,人によっては,入管法にも刑事事件にも,両方ともあまり詳しくない弁護士が担当してしまうことがあります。

外国人の方の刑事事件については,入管法も刑事事件も精通した弁護士が担当するのが望ましいでしょう。

今回は,「この罪名で,この判決を受けると強制送還になります」というまとめをしていきます。

自分,もしくは知人が強制送還になるのかどうか分からない,という方は是非確認して頂いて,今後の手続きについては弁護士にご相談ください。

(さらに…)

在留期間の延長を求めて争った裁判事例 東京地方裁判所その1

2021-08-06

このページでは,在留期間の延長を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,令和2年2月27日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例では,「定住者」の在留資格を付与されていた外国籍のAさんが,

①スピード違反により懲役3月,執行猶予2年の有罪判決を受け,さらにその猶予期間中に

②無免許運転により懲役5月の有罪判決を受けて,日本の刑務所で服役することになりました。

Aさんは,服役する直前に,在留期間の更新申請をしていましたが,この申請は不許可となり,Aさんは服役中に不法残留(オーバーステイ)の状態となってしまいました。

Aさんは,在留期間の更新申請の不許可処分に対して取り消しを求めて東京地方裁判所に訴えを起こしました。

(さらに…)

在留特別許可を争った裁判事例 東京地裁判決その6

2021-04-19

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,令和2年9月25日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例は,

短期滞在の在留資格で来日した外国人夫婦が,日本で子供二人を設けて生活していたものの,家族4人とも在留資格がなく,または在留期限を超えて不法残留を続けていたという事案です。入国管理局がこの家族を摘発し,家族4人全員について退去強制令書(強制送還)の手続きがなされたため,この家族は退去強制令書(強制送還)の取消しと,在留特別許可を求めて,大阪地方裁判所で裁判を起こしました。

外国人の方が有罪判決を受けた後に在留特別許可を求めて裁判を起こしたという事例については,前回も紹介したものがありますので,併せてご覧下さい。

在留特別許可が認められなかった例1

在留特別許可が認められなかった例2

(さらに…)

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所判決その4

2020-12-23

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,令和元年11月28日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例は,定住者として来日した外国籍の男性Xさんが,覚せい剤取締法違反の罪で服役した後,退去強制手続きが始まったため在留特別許可を求めたものの,在留特別不許可となったため裁判を起こしたところ,裁判所は法務大臣の判断を肯定した,というものです。

この事例は,外国籍の方が実刑の有罪判決を受けた後で在留特別許可を求めたという点で,既に紹介している東京地方裁判所令和元12年月19日判決の事案と似ている部分もありますので,併せてご参照ください。

(さらに…)

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所判決その3

2020-12-18

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,令和元年12月19日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例は,刑事事件について有罪判決を受けて一度在留特別許可を受けていたXさんが,再度別の事件について有罪判決(懲役刑の実刑判決)を受けたため退去強制(強制送還)の手続きが進められましたが,Xさんは再度在留特別許可を求めて裁判を起こしたというものです。

(さらに…)

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