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家族滞在の在留資格について,具体例を解説

2023-02-05

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.「家族滞在」の在留資格に該当する活動

法律上,「家族滞在」の在留資格が認められる場合としては,次のように規定されています。

入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動。

2.該当例

具体的に言うと,「外交」、「公用」、「特定技能1」、「技能実習」、「短期滞在」、「研修」及び「家族滞在」を除く別表第一の一から四までの表の上欄の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者及び子が,家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。

逆に,配偶者及び以外の家族は対象とはならりません。ここでいう「子」には養子も含まれます。

子は未成年者であることを要件とされておらず、成年に達していてもかまいません。

配偶者は、これらの在留資格をもって在留する外国人と現に婚姻している外国人です。

婚姻は法的に有効に成立した者でなければならず、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者に含まれません。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P203)

また、外国で有効に成立した同性婚による者も含まれません。

3.「特定技能」の外国人の場合や,「扶養を受ける配偶者,子」の範囲について

「特定技能」の場合

特定技能1」の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれません。「特定技能2号」の配偶者、又は子は「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれます。「特定技能2号」の外国人は、配偶者及び子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。

扶養を受ける配偶者及び子」の範囲

「扶養を受ける」とは、扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養をすることが可能な資金的裏付を有すると認められることをいいます。

「配偶者」については原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態、「子」にあっては扶養者の監護養育を受けている状態の事をいい、経済的に孤立している配偶者又は子としての活動は含まれません。(審査要領)

外国で有効に成立した同性婚の場合

海外では同性婚が認められる国は複数ありますが、日本では同性婚が認められておらず、海外での同性婚者は、「家族滞在」の在留資格に該当する「配偶者」として認められていません。なお、母国の法律で同性婚が認められたカップルの間でなされた婚姻での一方のパートナーに対して、告示外での「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。

 

「家族滞在」の在留資格についてご心配なことやお困りのことがあるという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所その13

2023-02-01

このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。

今回の事例は,令和4年4月14日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。

この事例では,外国籍の男性Aさんが,日本国内で外国籍のBさんと婚姻し,その後,永住許可を受けて日本で生活していましたが,Aさんは風俗営業法違反や売春防止法の違反によって執行猶予付き懲役刑を受け,強制送還の手続きに付されました。その後,出入国管理局は,Aさんに対して退去強制令書を発付して,正式にAさんを強制送還するとの決定をしました。

Aさんは,日本での婚姻関係やその家族と日本に引き続き在留することを求めて,退去強制(強制送還)令書の取消を求めて裁判を起こしました。

事案の概要

Aさんは「留学」の在留資格で来日した後,Bさんと出会って結婚し,日本の大学を卒業しました。

Bさんには前婚からの連れ子がいましたが,Aさんとの間にも実子をもうけました。Aさんは「留学」の在留資格から「定住者」へと変更し,その後に永住者に変更しました。

Aさんは輸入関係の会社を経営していましたが,それとは別でマッサージ店を経営するようになり,このマッサージ店において無許可で性的なサービスが提供されたことから,風俗営業法の違反によって罰金刑を受け,更にその後もマッサージ店で売春行為が行われていたことから売春防止法違反によって執行猶予付き懲役刑の判決を受けることになりました。

売春防止法違反に当たった行為は,入管法における売春関連業務に従事していることにもなったため,Aさんは退去強制(強制送還)の対象となってしまいました。

①原告であるAさんは,

・Aさんが永住許可を受けていること

・Aさんが日本に定着していること

・Bさんとの婚姻関係や子供との親子関係があること

から,在留特別許可が認められるべき事案であると主張しました。

②これに対して被告の国は,

・Aさんの売春関連業務への従事の違法性が大きいこと,犯罪性が大きいこと

・永住許可は特に考慮する事情ではないこと

・本国への帰国期間が長いこと

・家族関係も含めて,Aさんを強制送還したとして支障は少ない

から,在留特別許可が認められるべき事案ではないと主張しました。

裁判で重要になったポイント,裁判所の判断

裁判所は,Aさんの訴えを認めず,請求を棄却しました。

まず,Aさんが強制送還されるに至った事情である風営法違反や売春防止法違反の事実は,日本で法律を守って生活しようとする意識の低さを表していると指摘しました。

また,永住許可を受けているという事情についても,永住者だから直ちに在留特別許可がなされるというわけではなく,あくまで一事情にとどまり,上記のような法令の違反があることも考慮すると,在留特別許可を認める大きな事情とまでは言うことができないとしました。

そして,Aさんの日本への定着性や家族関係についても,①日本との定着性については,2度の法令違反があったのだから善良な生活状況だったとは言えない,②家族関係については,Aさんの妻と実子はAさんと同じ国籍なのだから本国で一緒に暮らすこともできること,連れ子については成人していて仕事もしているし,Aさんの本国での生活も可能である事を理由に,在留特別許可をするほどの事情ではないとしました。

コメント

在留特別許可を求める事案において,外国人同士の結婚(永住者の外国人同士)の場合には,やはり日本人同士の結婚とは異なり,法律上保護される程度が低くなっています。

また,売春に関わっていたとされると,入管法上は非常に厳しい対応をされてしまいます。売春関連については,刑事裁判で有罪の判決を受けていない段階でも,強制送還が可能とされていますし,仮に不起訴処分になったとしても,入管は退去強制事由があるとして強制送還できます。それだけ,外国人による売春に対して厳しい対応をしているということになります。

この事案のように,日本国内で,比較的安定した家族生活を営んでいるというケースであっても,売春関連業務に関わっているというように,違法性が高いと認められると,在留特別許可の見込みも低くなってしまいます。

在留特別許可に関する対応は,入管が関わる前の段階から,刑事事件での対応の段階で,ある程度の決着がついてしまいます。ご不安なことがある方は,一度弁護士や行政書士などの専門家にご相談ください。

在留資格「経営・管理」とはなにか,審査のポイントは

2023-01-16

在留資格「経営・管理」について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「経営・管理」は、いわゆる「就労ビザ」の一種であり、事業の経営・管理業務に外国人が従事できるように設けられました。

1.ビザの該当範囲

入管法別表第1の2の表の「経営・管理」の項の下欄では、本邦において行うことができる活動を以下のように規定しています。

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律を行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

「貿易」は例示であり、我が国において適法に行われる業務であれば、その活動に制限はありません。ただし事業の安定性・継続性が認められる必要性があります。

経営・管理の在留資格の決定において、個人事業と法人事業の区別はありません。

2.経営・管理の在留資格が認められる活動のパターン

ア 本邦において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

イ 本邦においてすでに営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

ウ 本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」とは、①本邦において活動の基盤となる事務所を開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと、②本邦において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること③本邦において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは本邦におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うことをいいます。(審査要領)

3.「経営・管理」 審査基準

「経営・管理」の在留資格を取得するための審査の基準は,次の2つです。

第1号 事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。

この審査基準は、事業所に関する基準です。

具体的には,事業所が本邦(日本)に存在すること、使用する施設が継続的に使用可能なものであることが必要です。

 

第2号 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること

イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものである

こと。

ロ 資本金の額又は出資の総額が500万以上であること。

ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること

 

この審査基準は,事業の規模に関する基準です。

第2号イは、経営又は管理に従事する外国人以外に本邦に居住する常勤の職員が2人以上勤務する事業であることが要件となります。つまり、一定の従業員がいる場合に、事業の規模が基準を満たしているとしています。

ただし、法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する常勤の職員は除かれます。つまり、就労系の在留資格がある他の外国人労働者は除いた従業員数で審査をするということです。外国人の常勤の職員として認められる在留資格は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者です。もちろん、日本人の労働者の場合には問題がありません。

第2号ロは、事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が500万以上の事業であることを要件とします。会社の資金力から、会社の規模を判断するというものです。

第2号ハは、イ及びロのいずれにも該当しない場合に、イ又はロに準ずる規模であることを要件とするものです。例えば、外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万以上を投資して営まれているような場合がこれに当たります。(審査要領)

在留資格 「興行」 とは,どのような在留資格か

2023-01-13

在留資格「興行」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.在留資格「興行」の活動

演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(入管法別表第一の二の表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行はいずれも例示です。

2.「興行」として在留資格が認められる基準

興行にはいくつかの種類があり,入管実務において在留資格が認められるものとしては,第1号から第4号まであります。

第1号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

客席において飲食物を提供する施設、客の接待をする施設でのライブハウスのコンサートホール、キャバレー、バー等。

基準(一部抜粋)

①外国の教育機関において当該活動に係る科目を二年以上の期間専攻したこと

②二年以上の外国における経験を有すること。

「外国の教育機関」とは、その外国における学校教育制度において正規の教育機関として設置されている機関を意味します。

「二年以上の外国における経験を有すること」とはプロの芸能人として海外での活動が必要であり、日本国内で興行の在留資格で行った興行に関する活動歴は含まれません。                      

(入管関係法大全第2巻141頁)

第2号

申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動

第2号も第1号と同様、演劇等の興行に係る活動に従事する場合に関する規定ですが、活動を行う施設として、以下①~③の要件が必要となります。

① 客席において飲食物を有償で提供しない施設であること。

② 客の接待をしない施設であること。

③ 営利を目的としない本邦の公私の期間が運営する施設又は客席の定員が100名以上

  の施設であること。

「営利を目的としない本邦の公私の機関が運営する」とは、演劇などの興業が、非営利団体がもつ劇場、ホールなどの施設、公民館、体育館学校等で行われる場合を想定しています。

第3号

演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動

例)プロスポーツの競技、ゲームの大会、ダンスの選手権、各種のコンテスト、ファッションショー等

第4号

興行に係る該当資格には該当しない芸能活動。

 

商品又は事業の宣伝のために行われる催し(見本市やファッションショー)

放送番組又は映画の製作に係る活動

商業用写真の撮影に係る活動

商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

3.「興行」が認められにくくなった・・・?

在留資格「興行」は、普段あまり聞きなれない在留資格です。しかながら20年位前までは比較的メジャーな就労資格の一つでした。

令和4年現在、興行での滞在者数は2,068人となっています。

2003年当時、興行での新規入国者は133,103人でした。

このうちの大部分はフィリピン国籍者で、その数は80,048人に上りました。

その多くが国内にある「フィリピンパブ」で「タレント」として働きました。

なぜ在留資格「興行」は、ピーク時の13万人から2千人まで在留資格者が激減したのでしょうか?

それは政府の人身取引対策により、在留資格の要件を厳格化が図られた結果によるものでした。

平成12年11月に国連で人身取引議定書が採択され、政府は、人身取引の防止・撲滅と被害者の保護に向け、関係省庁間の緊密な連携を図り、国際社会と協調し、これを早急かつ着実に推進するため、平成16年4月、法務省を含む関係省庁において「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置しました。(出入国在留管理局HP)

在留資格「興行」により入国・在留する外国人については、風俗営業店においてホステス等として不法就労している者が少なくなく、中には人身取引の被害に遭っている者も存在するとの指摘がなされていたことから、「興行」の上陸許可基準に関する法務省令の改正が求められ、外国人芸能人の資格要件の適正化を目的として、在留資格「興行」の上陸基準に関する法務省令が改正されました。(平成17年3月施行)在留資格「興(出入国管理及

改正内容は、演劇、演芸、歌謡、舞踏、又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人が、その従事しようとする活動について、「外国の国若しくは地方公共団体又はこれらに準じる公私の機関が認定した資格を有すること」としている規定を削除するものです。

この改正により、演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏の興行に係る活動を行うことを目的として我が国」に「興行」の在留資格で上陸しようとする外国人は、その興行を行うことにより得られる報酬の額が1日につき500万円以上である場合、国・地方公共団体が招へいする場合、レコードの録音等の芸能活動を行う場合などを除き、その従事しようとする活動について「外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと」又は「2年以上の外国における経験を有すること」が必要となりました。

この改正により多くの「タレント」希望者が「興行」の在留資格の基準を満たすことが出来なくなり、結果として、それまで比較的容易に認められた「興行」の在留資格で働く「タレント」は激減しました。

技術,人文知識,国際業務の在留資格について

2023-01-02

在留資格「技術・人文・国際業務」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.就労ビザとしての「技術・人文知識・国際業務」について

外国人が日本で活動して収入を得るには、身分による在留資格を除き活動に応じた在留資格が必要です。就労ビザとか就労資格とか言われるものです。

就労が認められる在留資格には以下のものがあります。

外交 公用 教育 芸術 宗教 報道 高度専門職 経営・管理 法律・会計業務

医療 研究 教育 技術・人文・国際 企業内転勤 介護 興行 技能 特定技能

技能実習

今回は就労資格の中で最もメジャーな「技術・人文・国際」についてご紹介いたします。

在留資格「技術・人文・国際業務」は、日本の大学や専門学校に留学している留学生が日本企業に就職するために必要となります。

活動内容に高い専門性が求められ、単純労働が認められないのが大きな特徴です。

2.「技術・人文・国際業務」の活動内容について

まずは,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が認められる根拠法文を確認します。

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(抄)別表第一の二

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務

又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)

やや難しく見えますが,ここで認められている活動内容は,大まかにいうと2つに分けられます。

①理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務

②外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務

①の理学、工学は例示でありこれに限定されるものではありません。②の法律学、経済学、社会学も例示でありこれに限定されるわけではありません。

「外国人が当該企業において従事する業務を全体としてみた場合に、当該技術又は知識がなければ、少なくともその業務の主要な部分を遂行することが出来ないときに、その外国人の従事する業務は、当該技術又は知識を要する業務であるということができる」ということです。『入管関係法大全〔第2版〕第2巻104頁)』

3.技術・人文・国際業務の活動基準について

具体的に在留資格が認められる活動かどうかを判断する基準は,次のようなものになります。

 

出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)(抄)

法別表 第一の二の表の 技術・ 人文 知識・ 国際業務の項 下欄に 掲げる活動

申請人が次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)第五十八条の二に規定する国際仲裁事件の手続についての代理に係る業務に従事しようとする場合は、この限りでない。

申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又 は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。

イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。

ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。

ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。

二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。

ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。

三 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

4 審査におけるポイント

イの「当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業」とは、企業で従事する業務に必要な科目を専攻して大学を卒業したことで、従事する業務と大学での専攻科目が関連していることが必要ですが、大学を卒業した者は、学術研究を目的とする大学で学んだ知識を社会に還元するという立場であることから、大学における専攻科目と従事しようとする業務との関連性について、専修学校等、他の資格要件者よりも比較的緩やかに判断されることとなります。

偽装結婚で有罪となった,その後はどうしたらいいか?

2022-12-16

(以下は解説のための架空の事例です)

事例-偽装結婚についての判決後

Cさんは日本国籍の男性ですが,ある時,「戸籍を貸してくれたら毎月10万円振り込む」といわれて,外国籍女性のEさんと偽装結婚をしてしまいました。

その後,CさんはEさんとは何も関係することなく生活していましたが,ある日池袋警察署の警察官がCさんの自宅に捜索差し押さえを行い,Cさんは公正証書原本不実記録罪によって逮捕されてしまいました。

Cさんは起訴され,刑事裁判で有罪の判決を受けました。幸いにして執行猶予判決となりましたが,Cさんは「Eさんとの戸籍はどうなるのだろう」と思い,外国人事件,入管事件に詳しい弁護士に相談しようと思いました。

偽装結婚の罪

一般的に偽装結婚と呼ばれるものの中には,公正証書原本不実記録,同供用罪という犯罪に該当するものがあります。

これは,公務員(市役所職員など)に対して,嘘の申立てや届出を行い,登記簿や戸籍簿と呼ばれる公正証書の原本に虚偽の記載をさせた,またはその原本を供え置かせるというものです。

難しいように聞こえるかもしれませんが,結婚するつもりがないのに婚姻届けを提出して,戸籍上も婚姻したことにした場合には,犯罪が成立することになります。

偽装結婚というと,「結婚するつもりがないのに結婚したことにして婚姻届けを出す」という意味が一般的ですが,まさにこれが犯罪です。

一方,婚姻届けを出したときは幸せいっぱいの夫婦だったけれども結婚生活の中ですれ違い,今はただ「夫婦」という体を保っているだけという,いわゆる「仮面夫婦」のような状態だけでは犯罪とは言えません。あくまで,虚偽の届出を出して,戸籍に虚偽の記載をさせるというのが犯罪なのです。

Cさんのように,当初から婚姻生活を送るつもりがなく,また金銭を得るだけ(もしくは外国人に在留資格を得させるだけ)の目的でした婚姻届の提出なのであれば,公正証書原本不実記録罪に該当するでしょう。

同罪は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

有罪の判決が出た後はどうなるのか

Cさんのように日本人の立場からすると,偽装結婚がばれた後に自分の戸籍がどうなるのかという点が気になる方もいるかもしれません。

というのも,刑事裁判では「有罪(刑の重さ)/無罪」を決めるだけで,戸籍そのものについては何も訂正をしてくれないからです。

刑事裁判の後,Cさんはある困った問題に直面します。それは再婚ができないというものです。

戸籍が元に戻る(CさんとEさんの結婚が虚偽のものだからという理由で訂正される)までは,Cさんは戸籍上既婚者という立場が続くことになります。一方,Eさんと離婚に向けた手続きを行おうとしても,刑事裁判が確定すればEさんのような人は,ほとんど強制送還されるため,そもそもCさんはEさんと連絡を取る事すら難しくなってしまいます。

このような場合に,Cさんの戸籍を訂正して,再婚できるようにするためには次のような手続きが必要です。

まず一つ目は,役所内部での処理を待つというものです。

偽装結婚であることの刑事裁判が確定すると,検察庁から市区町村役場に対して,「あの婚姻届けは虚偽のものでしたよ」という通報がなされます。この通報を受けて,役所が内部の処理として,戸籍を自分たちで訂正するというものです。この手続には時間が掛かり,判決が確定した後,少なくとも数か月かかることになります。

次の手段としては,Cさんのような本人が裁判所に申立てをする場合です。

刑事裁判の中で偽装結婚であることが認められているのであれば,その裁判資料を使って家庭裁判所に対して「戸籍を直すことを許可してください」という申立てをすることができます。この場合には自分たちである程度資料を集めて手続きを行う必要がありますが,役所が自分たちで戸籍を訂正するよりも早く手続きが進むことが期待できます。

戸籍の訂正など,裁判所での手続きについては専門家へ依頼することを検討された方が良いでしょう。

もしも刑事裁判になっていなかったら?

Cさんのように,刑事裁判が確定していればよいですが,もしも刑事裁判になっていないという場合に戸籍を訂正しようと思ったら,どうしたらよいでしょう。

その場合には,そもそも婚姻届の提出自体が無効だったのだということを確定させるために,婚姻無効確認訴訟を起こして,裁判所に「結婚が無効である」ことの判決をもらわなくてはなりません。

また,刑事裁判になっていないという場合には,偽装結婚の相手となった外国籍の人が今どこで何をしているのかということの調査まで行わなければなりません。

加えて,警察には何も知られていない状態で,裁判で「偽装結婚をしていました」と話すことのリスクについても考えなければなりません。

もしも,過去に偽装結婚をしたまま戸籍を放置してしまっているという方,偽装結婚でお悩み・お困りの方がいれば,早めに弁護士などの専門家にご相談ください。

解決事例 在留特別許可(日本人の配偶者等)が認められた事例

2022-11-16

当所の扱った事案について,在留特別許可が認められましたので,その事例を紹介,解説します。

(守秘義務の関係上,事実の詳細を明らかにしない部分があります)

事案

ご依頼者であるXさんは,日本国内にて大麻を所持していたという事案によって,執行猶予付きの懲役刑の判決を受けました。

執行猶予付きの判決ではあったものの,大麻取締法違反の事件でしたので,判決が確定後に,入管から違反調査のための呼出が来ることになりました。

ご依頼の経緯

判決の言い渡し前から,Xさんは,「刑事事件の判決によって自分の在留資格がどのようになるか」という点について不安があり,当所へ相談に来られました。

Xさんは日本で育ち,家族のほとんどが日本で生活しているという状況であるため,違反調査の後,強制送還されてしまうと非常に不利益が大きいという状況でもあり,在留特別許可に向けた活動をご希望でした。

刑事事件の判決が言い渡される前からご相談に来られたことで,事前のリサーチなどを行う時間も十分に確保でき,実際に入管からの違反調査が始まって以降は速やかに正式に代理人として受任し,在留特別許可の獲得に向けた活動を行うことができました。

弁護活動

Xさんに対する違反調査,違反認定については,在宅のままで進められました。Xさんは元々日本で生活していた方で,日本人の家族もいたことから,違反調査があっても在留資格は直ちには影響を受けなかったためです。

違反認定の結果,違反事実があり,口頭審理に進むという段階でも,入管の施設内に収容されてしまうということもなく,身元保証人もいたことから,即日仮放免で出てこられました。

代理人弁護士としては,「Xさんが日本にいなければXさんが困る/Xさん以外にも困る人がいる/Xさんを日本に在留させ続けるのが誰にとっても良い」ということを入管にアピールするために,手続の早い段階から,Xさんが置かれた状況について入管の担当者に対して説明を行いました。

口頭審理が行われる前から,先だって在留特別許可を求める具体的な事情を述べ,また,入管が判断する基準に基づいても「在留特別許可するべきである」という意見と理由をつけた意見書を提出しました。ただ意見を言うだけではなく,Xさんのご家族からも嘆願書をもらう等して,資料を集めました。

実際の口頭審理の場でも,弁護士が立ち会い,Xさんに在留資格が付与されるべきであることの意見を述べ,審理の中でXさんにとって不利な供述がなされてしまわないかどうかを立会確認しました。

口頭審理の結果

口頭審理から約2週間程度という速さで,結果が出て,在留特別許可が認められることになりました。

Xさんはもともと,「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留していましたので,在留特別許可(日本人の配偶者等,在留期間1年)という形で認められました。

Xさんは日本で家族との生活を続けられることになり,お仕事についても日本の法律上,何らの問題もなく続けられることとなりました。

ポイント

Xさんの事件では,Xさんが日本に長く在留していたこと日本に家族がいたことが審理において非常に有利な点として考慮してもらう事ができました。また,Xさんの事例では,Xさん自身が日本で仕事をしていたこと,この仕事が日本や地域社会の利益にもつながっていたことも,入管に対して主張していました。

ただ,大麻をはじめとした薬物事件というのは,やはり入管業務においても重たい事案として扱われていることも事実です。

刑事裁判の結果についても触れて,その責任が必ずしも重大なものではないことについても,刑事弁護的な観点から意見を述べています。

よりよい弁護活動や一貫した弁護活動を目指すのであれば,刑事裁判の段階から入管まで見据えた弁護活動が望ましいでしょう。

今後も在留資格や強制送還に関する手続きでお困りの方,そのご家族の力になれるよう,事案に取り組んでいきたいと思っております。

家族や友達の偽装結婚でもビザが取り消される?

2022-11-08

Kさんは日本で「定住者」の在留資格をもって在留している外国人でしたが,Kさんの妹が日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することになりました。

Kさんは,妹が日本で結婚する証人になることになり,婚姻届の「証人」の欄に署名をしました。その後,Kさんの妹は日本人配偶者等の在留資格で来日しました。

しかし後日,実はKさんの妹がした結婚は偽装結婚であり,来日してからは全く家族としての生活をしていないことが分かりました。

Kさんは,妹の偽装結婚の証人となってしまったことで自分の在留資格も影響が出るのではないかと思い,弁護士に相談することにしました。

偽装結婚は重い罪

事例のように,偽装結婚というのは入管実務上でも非常に悪質な犯罪とされており,刑法上も重たい刑罰が定められています。

「本当は夫婦として結婚生活を送るつもりがないのに,ビザをもらうためだけに婚姻届けを出して結婚したことにする」というのは,公正証書原本不実記録,供用罪という犯罪にあたり,最大で5年の懲役刑が科されることになります。

また,公正証書原本不実記録,供用罪で有罪の判決を受け,懲役の判決を受けた場合(執行猶予付きの判決も含みます)には,在留資格によっては強制送還の対象となってしまいます。

さらに,元々の在留資格を問わず,

・自分が偽装結婚をして在留資格を不正に取得したり,在留資格の変更,更新の許可等を得た場合

・偽装結婚によって他人に在留資格を不正に取得させたり,在留資格を変更,更新の許可を得させた場合

には,在留資格の取消し,強制送還の対象となってしまいます。この場合,仮に有罪の判決を受けていなかったとしても,入管の独自の調査によってビザが取り消されたり,強制送還に向けた手続きが進んでしまうことがあります。

特に,逮捕されて警察で取調べを受けているという状態の場合,それと並行しながらビザの取消しに向けた調査が進んでいるという場合があります。警察の取調べについては国選弁護士でも対応をしてくれますが,ビザの取消しに関しては国選弁護士も任務の範囲外になってしまいます。逮捕されている事件でビザの取消しも防ぎたいという場合には,早急に自分たちで弁護士に依頼しましょう。

Kさんの事例の場合,「他人の偽装結婚の証人になっている」ということですから,Kさん自身の在留資格については何ら不正をしていないとしても,「Kさんの妹の在留資格について不正な手段を用いた」と疑われてしまうと,強制送還に関する違反調査が始まってしまう可能性があります。

強制送還の対象になるのか

Kさんのように他人の偽装結婚に関わってしまった場合,強制送還されてしまうのでしょうか。

まず,強制送還の対象となる可能性のある場合の法律は,次のとおりです。

三 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は前二節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

難しいことが書かれているように見えるのですが,簡単にまとめると次のようになります。

誰の在留資格についてか

自分以外の外国人

どんな目的だったか

不正に在留資格を得させる目的で

何をした場合か

文書を偽造した,文書に嘘の記載をした,偽造や嘘の文書を提出/所持/提供した,またはこれらの行為の手助けをした

これらにすべて該当するのであれば,強制送還の対象となる可能性があります。

Kさんの場合には,自分で虚偽の婚姻届を作ったり入管への文書を偽造したというものではないと思われます。そのため,証人になったからと言って,直ちに強制送還の対象になってしまうということはないでしょう。

ただそ,仮に「妹の結婚が偽装結婚であることを最初から知って証人となった場合」には,文書に虚偽の記載をする手助けをしたものとして,強制送還の対象になる可能性もあります。

入管当局は,偽装結婚に対しては特に厳しい態度で臨んでいます。「日本人の配偶者等」の在留資格は,比較的日本で安定した生活を送るためのビザですが,ビザの条件が「結婚」というものだけであることから悪用されることも多いのです。

もしも他人の偽装結婚に関わってしまったという場合には,適切に対応しなければご自身の在留資格まで取り消されて,強制送還されてしまう可能性もあります。偽装結婚に関わってしまったという外国人の方は,早めに弁護士までご相談ください。

無免許運転で逮捕された外国人は強制送還されるのか

2022-11-02

(この事例は入管手続きについて解説をするための架空のものであり,実在する地名と設例は必ずしも関係ありません)。

「技術,人文知識,国際業務」の在留資格で日本に在留していたYさん(30代男性)は,東京都内の首都高速道路で自家用車を運転していたところ,スピード違反で検挙されてしまいました。警察官から運転免許証の提示を求められたYさんは,実は日本での運転免許を持っておらず,無免許運転をしていたことが発覚し,現行犯逮捕されてしまいました。

Yさんの会社の友人は心配になり,弁護士に相談することにしました。

無免許運転で強制送還になることはあるのか

これまで当サイトにて解説している通り,入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

交通違反の場合,そもそも反則金制度の対象となる違反なのか,罰金刑以上が課される刑事罰の対象なのかという点が,区別として非常に重要です。

無免許運転の場合,反則金の対象とはならず,全て刑事事件として扱われることになります。

無免許運転は,道路交通法違反として3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が定められています。そのため,無免許運転として検挙されて有罪の判決を受ける場合には,最大で懲役3年の刑が科されることになります。

無免許運転を含んだ道路交通法違反の事件は,上記の「一定の刑法犯」には含まれませんので,「1年を超える実刑判決」とならなければ強制送還の対象とはなりません。

これは,どの在留資格であったとしても同じです。永住者,日本人の配偶者等の在留資格の方であっても,留学や短期滞在(旅行者)の在留資格であっても,1年を超える実刑判決を受けない限り,無免許運転をしたことによって強制送還されるということは原則としてありません。

また,「逮捕された」,「勾留された」というだけでは,強制送還や在留資格の取消事由ともなりません。

Yさんのように,逮捕されただけでは,直ちに強制送還までされるということはありません。無免許運転について事実を争わない(間違いがない)ということであれば,刑事事件として有罪ん判決を受けることになりますが,この時,「1年」を超える実刑判決を受けなければ,強制送還されず,日本での生活を続けることができます。そのため,刑事裁判において,いかに軽い処分を受けられるかという点が非常に重要です。

交通違反と在留資格

強制送還の対象とはならない刑事事件であっても,ビザに影響することはあります。

Yさんのように,逮捕された後に,略式罰金によって罰金の支払いを命じられたり,正式な裁判によって執行猶予付きの懲役刑判決を受けたりした場合には,日本での素行が良くないという事情が生じてしまいます。

そのため,次回の在留期間の更新や在留資格の変更申請をした際に,「素行が不良である」として,申請が不許可となってしまう可能性があります。また,長年日本で生活してきた方が永住許可申請をするときにも,前科があるということは非常に大きなマイナスポイントになってしまいます。

無免許運転のように,強制送還とはならない事件であっても,今後の在留資格に影響する可能性があることを忘れないできちんと対応する必要があります。

交通違反,無免許運転について,ご自身・家族・友人の在留資格について不安なことがある方は,是非一度,専門家にご相談ください。

解決事例 在留資格(定住者)が認められた事例

2022-10-25

当所の扱った事案について,在留資格認定証明書の発行が認められましたので,その事例を紹介,解説します。

事案・ご依頼の経緯

ご依頼者様は外国籍で日本人の方と結婚されていましたが,本国に外国籍の未成年のお子さんがいらっしゃいました。

お子さんは日本人の子供ではなかったので,「日本人の配偶者等」の在留資格は得られず,また,日本で生まれたお子さんでもなかったものの,家族で集まって日本に住みたいという思いが強くありましたから,なんとか日本に呼び寄せたいとのご希望でした。

なお,このご依頼者様は一度,入管に対してお子さんを「定住者」のビザで呼び寄せようと申請を行っていましたが,不許可の通知を受けてしまいました。

一度申請が不許可となったものの,どうしても家族を呼び寄せたいとの思いから,弊所にご相談に来られました。

弁護活動と成果

ご相談後,在留資格認定証明書の交付請求について,正式にご依頼を頂き,弁護士としての活動を行いました。

ご自身で一度申請をしたものの不許可となった事案で,再度同じ件について申請をしようとする場合,「前にした申請の内容と矛盾しないようにする」という点が非常に大切です。

入管に対する申請については,特に回数制限はありませんが,同じ内容で申請をしても同じ結果,つまり不許可となるだけですし,申請内容を少し変えるとしても,前の申請内容と矛盾してしまうと「申請内容が信用できない」としてやはり不許可になる恐れもあります。

申請に先立って,ご依頼者様やそのご家族からも聞き取りを行い,申請内容が矛盾しないように注意を払いました。

また,不許可となった事案において更に大切なのが,「なぜ不許可となったのか」という点をきちんと洗い出すということです。

新しくビザ(在留資格)の申請をする場合,法律上の要件が満たされているのであれば,原則としてビザは発行(在留資格が認定)されます。それが不許可となったということは,何かしらの要件を満たさなかった,つまり,入管に対して提示すべき事実が欠けていたり証拠が不足していたということです。

この事案でも,不許可となった理由を確認し,不足していた事情を補って再度の申請を行いました。その際,前の申請内容と矛盾が生じないように気をつけなければならないことは先ほど述べた通りです。

弁護士が依頼を受けて再度の申請を行ったところ,申請から約1月弱で審査が完了し,無事に在留資格認定証明書が交付され,ご依頼者様のお子様は「定住者」と支店在留資格が認められることになりました。

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