医療ビザとは何か?治療目的での来日は可能?

先日,日本の俳優さんが,日本では未承認の治療を受けるためにオーストラリアに渡航したとのニュースがありました。

【独自】西郷輝彦さん「未承認治療」語る がん治療で渡豪決断 TBSNEWS

日本の入管法にも,医療を受けるための入国も認められますがありますが,どのような在留資格が認められるのでしょうか。

また,必要な手続きは何かを解説します。

「医療」の在留資格?

入管法上,日本で医療を受けるための特別の在留資格は設けられていません。

医療を受けるための来日については「特定活動」のうち「医療滞在」として認められています。

特定活動の告示25号には

本邦に相当期間滞在して,病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動及び当該入院の前後に疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動

と定められています。

ここでいう「相当期間」とは,90日以上を指します。

90日以内に治療が終えられるのであれば,「短期滞在」の在留資格で入国した上で入院や診療を受けることが可能です。ただし短期滞在の在留資格は,最長90日までのため,それ以上の期間,入院したり診療を続けるのであれば,特定活動の在留資格を取得した方が良いでしょう。

「医療を受ける活動」とは,この「医療」の内容の判断は,医師が出す診断書や入院計画書などから判断をすることになります。

医療の内容として認められる範囲は割と広く,手術や入院などの具体的な治療の他にも,検査入院,健康診断や人間ドッグ,歯科治療等,日本の医療機関が指示による全ての行為を含みます。

なお,出産も含まれていますが,自宅やホテルで,ただ療養する場合には医療滞在の在留資格は認められないので気を付けましょう。

 

日本で受ける医療の内容は,「本人にとって必要な医療である」ことが説明できれば十分です。

なかには「日本でしかできない治療しかビザが認められない」と考えていらっしゃる方もいるかもしれませんが,基本的には「外国人本人にとって必要な医療であって日本で承認されているもの」なのであれば,「医療」として認められます。

医療を受ける外国人の方の「付添」をする人も「特定活動」の在留資格が認められます。付添の方は,家族でなくても,例えば婚約者や友人であっても認められますが,患者さんとの関係性については慎重に判断される傾向にあります。

入管としても,「付添に目的で不法な入国をしようとしているのではないか」と疑うことがあるためです。

必要な書類等

特定活動(医療滞在)の在留資格認定証明書の申請のためには,次の書類を用意します。

在留資格認定書交付申請書 ←入管のホームページからもダウンロードできます。

医療機関が発行した受け入れ証明書

 :入管の書式があります。

医療を受けることを説明する書類

 :治療予定表や入院計画書,入院の前後や日本での滞在先を示す書類等

日本での滞在中に必要な生活費を支出できることを説明する書類

 :医療機関に対して費用を前払いしていることの領収書,加入している医療保険の証書,銀行口座の残高証明書等

※付添の方を含めて,特定活動(医療滞在)によって日本に滞在している間は,日本の国民健康保険に加入することはできません

治療にかかる費用については全額自分で負担する以外には,出国元の国の保険制度を利用するか,自分で加入している民間の医療保険を利用することになります。

 

特定活動(医療滞在)の場合に認められる在留期間は「6月」もしくは「1年」になります。

医師の診断書などから,治療のために必要な期間が6か月未満の場合には「6月」の在留期間が,治療期間が6か月以上でありかつ入管が6か月ごとに在留の状況を確認する必要がない場合(保証人がいる場合や6か月間退院の目途がない等)には「1年」の在留期間が指定されます。

経過観察や複数回の手術,入院など,何度も日本に入国しなければならない場合には,数次ビザ(複数回の出入国をするビザ)が認められることがあります。この場合は,有効期間が3年となります。

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