外国人が日本で住居侵入罪を犯した場合、日本の刑事手続きに従って処理されます。
この記事では、その手続きの流れと、外国人が直面する可能性のある法的な問題について解説します。
このページの目次
1. 住居侵入罪とは
この罪は、他人の居住する場所や他人が管理している建造物等に無断で立ち入る行為を指し、刑法第130条によって禁止されています。
外国人がこの罪を犯した場合、その法的責任は日本国民と同様に問われます。
しかし、文化的背景や法律に対する理解の違いから、外国人が無意識のうちにこの罪を犯してしまうこともあります。
具体的には、「人の住居、法律上その住居に準ずる場所、または人が一時的に居住する場所に、正当な理由なくして侵入した者」を処罰の対象としています。
外国人がこの罪を犯す場合、意図的であれ計画的であれ、法的責任を免れることはできません。
日本においては、文化的な誤解や言葉の壁が原因で、外国人がこの罪を犯す事例が報告されています。
2. 事例
(次の事例はフィクションです)
ある米国籍の男性が、大阪の住宅街で、門が開いている一軒家に入り、庭を散策しました。住民の方が通報したところ警察官がやってきて,現行犯人逮捕されてしまいました。
この行為は、家主の許可なく私有地に侵入したため、住居侵入罪に該当します。
男性は、文化的な誤解により、開いている門は歓迎の意味だと解釈していましたが、日本の法律では、明確な許可なく私有地に足を踏み入れることは禁止されています。
このようには、文化的な違いから意図せず日本の刑法に触れてしまったという事例もあります。
3. 逮捕から起訴まで
外国人が住居侵入罪で逮捕された場合、日本の刑事訴訟法に従って手続きが始まります。逮捕された瞬間から、被疑者は法的な権利を有し、弁護士との相談を求めることができます。
警察は最長で48時間の逮捕後、検察官・裁判所の判断により最大23日間の勾留がなされます。
この期間中に、警察と検察官は事件の事実関係を調査し、起訴するかどうかの決定を行います。
勾留の期間中,外部との連絡が禁止される場合もあり,職場や家族への連絡も途絶えてしまう可能性があります。
外国人であることが、起訴の決定に直接的な影響を与えることはありませんが、言語の壁や文化的な誤解が適切な法的支援を受ける上で障壁となることがあります。
4. 裁判手続き
起訴された後、外国人被告人は日本の裁判所で審理を受けます。裁判の過程では、検察官が提出する証拠と、弁護側の反論が交わされます。
また、通訳の手配が必要な場合、国はこれを提供する義務があります。
住居侵入で起訴されてしまった場合,判決の内容は懲役刑も罰金刑もいずれもあり得ます。
ただ間違えて立ち入ってしまった,という程度であれば罰金刑で終わることもありますが,窃盗やわいせつ行為等の別の犯罪にあたる行為を目的としていた場合には執行猶予付きの懲役刑が言い渡されることも考えられます。
5. 在留資格と刑事手続き
住居侵入罪による有罪判決は、外国人の在留資格に深刻な影響を及ぼす可能性があります。日本の入国管理法は、犯罪行為を理由に強制送還処分することができると規定しています。
つまり,合法的なビザを持っていたとしても,有罪判決を受ければ強制送還になってしまうリスクがあるのです。
住居侵入罪の場合,現在の在留資格の内容によっては,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても強制送還の対象になります。
退去強制に関する手続きについて出入国管理局の解説はこちら。
そのため,逮捕された直後から起訴されないための弁護活動が非常に重要になるのです。
その他の事件について刑事事件と在留資格について解説したものはこちらになります。
6. まとめ
逮捕された瞬間から、外国人の被疑者・被告人の在留資格は危機に瀕します。
このような状況では、直ちに法的支援を求めることが、ビザを守る上で極めて重要です。
弁護士へ相談することで、逮捕後の初期段階での適切なアドバイスが受けられるとともに,在留資格の保持に向けた活動に着手することもできます。
日本の法律下では、犯罪行為によって在留資格が取り消される可能性があり、これは強制退去につながることもあります。
しかし、適切な法的対応が速やかに行われれば、在留資格の失効を回避し、最終的には強制退去を避けることが可能になる場合があります。
逮捕された直後から、弁護士との相談を行うことは、在留資格を守る上で不可欠です。
外国人が日本で法的な問題に直面した際には、迅速な法的支援がその人の将来に大きな影響を及ぼすことを理解していただけたと思います。
日本での生活を続けるためには、日本の法律を尊重し、必要な場合には適切な法的手続きを踏むことが重要です。