日本で生活する外国人の方にとって,「最も怖い!!」と感じるのは,突然の入管からの呼び出し,ではないでしょうか。
入管からの呼び出しは,多くの場合は,自宅へのお手紙で「お尋ねしたいことがあるので,○月×日に△△の入管に出頭してください」と書かれており,内容を書かれていないことが多いです。
いったいなぜ呼び出しを受けてしまうのか,どんなことを聞かれるのかについて,よくある場面を解説します。
このページの目次
何かの申請をしていて判断待ちの場合
よくあるパターンなのが,在留期間の延長や在留資格の変更の申請していて判断待ちの中で入管から呼び出しがあるという場面です。
ここで,各種の申請に対して「許可」なのであれば,「申請手数料と在留カードを持って入管に来てください」と書かれます。
手紙の中で申請に対して「許可」「不許可(不交付)」と書かれることはないのですが,申請手数料を持ってくるかどうかで,結論はある程度分かります。
「申請手数料を持ってきてください」と書かれておらず,「お尋ねしたいことがあります」等と書かれていた場合はどうでしょうか。
その場合,例えば,陳述した内容に不備がある場合や,提出すべき資料が足りていない場合,申請した内容と提出した書類に食い違っている部分がある場合が考えられます。
放っておくと,申請が却下されたり,不許可となったりする可能性が高い状態であるとも言えます。
指定された日時に出頭して,担当審査官からよく話を聞きましょう。
提出すべき書類を追加したり,申請内容を補充することで,在留期間の延長や在留資格の変更も認められる可能性があります。
よくある在留資格の申請における提出書類については,こちらのページにもまとめていますので,該当する在留資格の方はご確認下さい。
法務省の在留資格認定証明書に関する提出書類はこちら
法律違反や退去強制(強制送還)になる事情がある場合
在留資格や在留期間について何の申請もしていないのに入管から呼び出しがあったという場合には,違反調査として呼び出されている場合があります。
違反調査とは,退去強制(強制送還)に該当する事情があると疑われる場合に,入国警備官が事実を調査するために行うものです。外国人の方に対して事情聴取を行ったり,捜索・押収の手続を取ったりすることもあります。
違反調査の結果明らかになった事実によって,法律上,退去強制(強制送還)に該当する場合には,引き続き,退去強制(強制送還)の手続きが進められることになります。
調査を受ける外国人の方が,日本への在留を希望する場合であって,かつ,退去強制(強制送還)に該当しても日本での在留が認められることがある事案(例えば,オーバーステイになっていたとしても日本人と結婚していた場合や,日本で子供を養育している場合等)であれば,日本での滞在の可能性に関する事情も併せて調査されます。
この場合,疑われている事実に間違いがあるというときには調査の際にきちんと主張しなければなりません。違反調査や違反審査の結果に対しては不服を申し立てて,特別審理官による口頭審理を求めることが出来ますし,この口頭審理には弁護士も立ち会うことが出来ます。
疑われている事実に間違いはないものの日本での在留を希望する場合には在留特別許可を求める活動をしなければなりません。在留特別許可は必ず認められるわけではありませんが,永住許可を受けていた場合や日本での在留期間が長期間になっている場合等,事案によっては相対的に認められやすいものもあります。
違反調査や違反審査がなされると,入国警備官や入国審査官から「もう日本から出ていきなさい」と言われることもありますが,引き続き日本での滞在を希望する場合には別にとるべき手段がないかどうか,自分でもよく考えなければなりません。
「分からない」を放置しないで相談を
入管からの呼び出し通知は,基本的には「うれしいお知らせ」ではありません。
しかし,放っておくと申請が認められなかったり,退去強制(強制送還)の手続きが進行してしまったりすることがあります。
呼び出される理由にもよりますが,適切に対応をすることで不利益を回避できることもあります。
「よく分からないけれども怖いから」と放置せず,もしも不安がある方は,弁護士などの専門家へご相談ください。
既に何度か調査を受けている場合であっても,同様です。その場合には,「これまで何回調査を受けたのか」「家族の立会いの下でインタビューを受けたか」等,これまでの経緯をメモにしていただけると,相談がスムーズになります。