介護の在留資格取得手続

今回は,「介護」の在留資格の概要と,取得にあたって入管などに対して提出する必要がある書類について解説します。

世界全体が高齢化している中で,介護職の需要も介護従事者も増加しています。

日本で外国人が介護を行うことはできるのでしょうか。

そもそもどんな在留資格なのか

介護の在留資格は,「日本の組織(公私を問わない)と契約に基づいて,介護福祉士の資格を人が介護もしくは介護の指導」を行う場合に認められる在留資格です。

介護の在留資格(ビザ)も,いわゆる「就労ビザ」の一種です。就労ビザ全般については,こちらのページで紹介しています

⇒就労ビザ その1

⇒就労ビザ その2

介護の在留資格でポイントとなるのは

  1. ①契約に基づいて
  2. ②介護福祉士の資格で
  3. ③介護の活動/介護の指導をする

ということです。

【①契約に基づいて】

契約に基づいて,とは,日本の機関との間で契約(介護契約,雇用契約など名称は何でも構いません)を結んだうえで,介護を行うということです。

介護の内容は,老人介護だけでなく,障がいのある方の介護や生活に困難のある方のための訪問介護でもよいですが,要介護者本人やその家族との間で契約を結んでも「介護」の在留資格は認められません。個人的な介護のお願いというだけだと,在留資格は認められないということです。

【②介護福祉士の資格】

在留資格が認められるためには,日本で認められる介護福祉士の資格を持って介護を行う場合でなければなりません。

日本で認められる介護福祉士の資格を取得するためには,

介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士国家試験に合格する,という「養成施設⇒国家試験合格」のルートをたどらなければなりません。

親など,家族間の介護を日本で行うための在留資格は認められていません。そのため,日本に暮らしている親を介護するために来日したいという外国人の方は,別の在留資格を検討する必要があります。

【③介護の活動/介護の指導をする】

「介護」の在留資格で認められている活動は,介護福祉士としての介護の活動か介護の指導です。

老人ホームで介護福祉士として働く,という場合であっても,専門職として「介護」をする場合でなければ在留資格が認められないことになります。

そのため,施設の掃除や洗濯,受付事務,書類事務だけ行うという場合には,介護の活動に当たらないことになります。入管での審査も,「本当に介護の活動を行うのか」という点がよく見られることになります。提出書類を作成するときには,どんな内容の介護を行うのか,例えば,入浴の介助や食事の介助など,より介護職としての活動内容を詳しく説明しておくと良いでしょう。

在留資格認定証明書のために必要な書類

「介護」の在留資格認定証明書のために必要な書類は次のとおりです。

在留資格認定証明書交付申請書 1通(こちらのリンクからもダウンロードできます)

・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚

・返信用封筒(404円分の切手を貼っておく) 1通

・所属機関を明らかにする書類

・介護福祉士の資格を有することを証明する文書

・勤務する内容,期間,報酬(日本人と同額かそれ以上の報酬でなければなりません)等を示す資料(雇用契約書等で足ります)

なお,いずれの資格職であっても,出入国管理局に対する印紙代はかかりません。

審査にかかる時間・在留期間

在留資格認定書は,申請してから実際にもらえるまで,通常,約1~2か月程度かかります。

介護については新しい在留資格であることと,日本での資格取得が必要になるため,統計上は「これまで別の在留資格を持っていてけれども日本で勉強して介護福祉士になった」という方が圧倒的多数です。

介護福祉士になってから「介護」の在留資格へ変更する人が多いようですが,データによると,平均して,申請から約38日で「介護」の在留資格が認められています。

在留期間については3ヶ月,1年,3年,5年とあり,通常であれば最初は「1年」,次の更新で「3年」,「5年」と徐々に長めの在留期間が認められます。

まとめ

介護の在留資格は,比較的新しい在留資格(2016年の法改正によって設立)である上,日本の養成施設を出て国家試験を受けなければならないため,まだまだ認められにくい在留資格となっています。

似たような在留資格として,特定活動告示(EPA就労コース,就学コース)という,日本で介護の仕事をするための別の在留資格も存在しています。

「介護」の在留資格とは違った枠組み,判断基準で認められている在留資格ですので,こちらについては項を改めて解説したいと思います。

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