外国人労働者の雇用指針

厚生労働省は,『外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針』(以下指針とします)というものを発表しています。

これは厚生労働所のホームページでも公開されているもので,誰でも閲覧可能です。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/1015820920.pdf

この指針は,事業主が外国人を雇うときに従うべきガイドラインのようなものですが,その内容は難しく,パッと見とても複雑そうに見えるかもしれません。

そこで,このページでは指針のうち特に重要,もしくは守らないと罰則があるかもしれない,というものをピックアップして解説します。外国人の雇い入れについて詳しくお知りになりたい方や,外国人の雇い入れについて手続が分からなくて困っている,何が分からないのかが分からなくて困っている,という方も是非ご相談ください。

1 基本的な考え方は「日本人の雇い入れと同じ」

指針は,外国人を雇う場合であっても基本的には日本人と同じように,と言います。

当たり前に聞こえるかもしれませんが,これは,「外国人である(言語や文化が違う)ことで日本人よりも不利な立場にならないようにする」ことを言うのです。

つまり,採用の条件や雇用の条件を日本人と差別してはいけないというのはもちろんのこと,職場のルール(就業規則など)の説明や労災防止のための安全のための説明について,外国人が理解できるような説明をしなければならない,ということです。

国によっては,「雇用契約書」のような契約書を取り交わすことが文化として一般的ではないこともあります。また,社会保険料を源泉徴収することも世界共通のルールではありません。

そのような方にとっては,雇用契約書にサインすること自体の意味もよく分からないことがありますし,源泉徴収された給料を見て「不当に天引きされている」「うわまいをはねられている」と感じてしまうかもしれません。雇用契約書の内容を説明することはもちろんですが,契約書にサインするということはお互いにその内容に拘束されるということや,社会保険料や税金の聴衆の仕組みをきちんと説明しなければなりません(もとより,事業主や雇用の担当者が契約書や社会保険料等それぞれの意味をよく理解していなければなりません)。

また,外国人労働者であっても労働基準法,労働契約法などの法令が日本人と同じように適用され,厚生年金や労災保険,健康保険など各種の社会保障の被保険者となることも「日本人の雇い入れと同じ」ようになるのです。

繰り返しになりますが,「日本人と同じように」というのは,取り扱いを同じ様にすればいい,というだけではなく,「日本人と同じように理解できるように」という意味なのです。

 

2 在留カードの確認義務

出入国管理法には,不法就労助長罪が規定されており,在留資格のない外国人に仕事をさせたり,在留資格で認められていない仕事をさせたりした場合には,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。そして,不法就労助長罪については,外国人に在留資格がない,または在留資格で認められていない仕事だったことを「知らなかった」としても,過失,つまり不注意があると責任を逃れられないとされています。

そこで,指針では事業主が確認すべき事柄について規定しています。具体的には,在留カードの提示を求めることとされており,実際に在留カードを見て確認しているかどうかによって有罪/無罪が決せられることもあります。

そして,提示を求めたうえで「在留資格」と「資格外活動許可」の部分を確認します。

在留資格は,仕事の内容に適合したものであるかどうかを確認します。特に,「留学生」「家族滞在」の在留資格は日本で働くことが原則禁止されているため,次の「資格外活動許可」を確認します。

日本では働けない在留資格,もしくは,在留資格の範囲外の仕事に就こうとしている場合には,「資格外活動許可」を受けているかどうかを確認します。この資格外活動許可については,在留カードの表面もしくは裏面,または,パスポートにも記載されていることがありますので,見落としてしまわない様に確認しましょう。

 

3 パスポートや在留カードを預かることは「してはならない」

事業主は「旅券等を保管しないようにすること」とされています。この「旅券等」とはパスポートのみならず,在留カードや航空券も含むものと考えられます。

日本で,一般的に,雇入れの際に免許証や健康保険証を預かったまま退職時まで返さない,ということは「ありえない」と思いますが,外国人の雇入れの際には旅券や在留カードを預かる事業主が多く居ました。その大半は,外国人の逃亡防止のため,との理由のようでしたが,理由のある措置とは思えません。

外国人の逃亡を抑止するのは法務省や出入国管理庁の仕事ですし,「外国人が逃げ出すような労働環境,労働条件」を作り出しているのはまさに事業主であり,「外国人が逃げなくてもいいような環境,条件」を考えるのが事業主の義務だからです。

他人の物を預かって返さないのは刑法の横領行為に当たる可能性もありますし,旅券や在留カードを預かるような雇用契約の条項は無効とされる可能性もあります。

 

4 まとめ

外国人の雇入れについては,日本人と同様に扱う部分,特別に配慮が必要な部分等,気を付けるべき点が多くあります。

労働力不足解消のため,外国人を受け入れる企業,事業主も増加しつつありますが,最低限,厚生労働省が発表している指針を知ったうえで対応しなければ,最悪刑事責任を問われるような事態に発展しかねません。

外国人の雇入れの際のお困りごとなどは事前にご相談ください。

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