在留資格「家族滞在」についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「家族滞在」とは何か
- 創設の目的について
一定の在留資格をもって、本邦に在留する外国人の扶養家族を受け入れるためにもうけられました。
- 在留期間について
「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人は、その扶養者である配偶者又は親が本邦に在留する間に限って本邦に在留することができます。
- 扶養者の在留資格の種類について
申請人の配偶者又は親である扶養者の在留資格が、「教授」、「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文・国際」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」又は「留学」
の場合に限られます。
ここで注意すべき点として、扶養者が日本語学校の留学生の場合は、在留資格は「留学」ですが、「家族滞在」では対象外となります。(基準省令第1号イ又はロに該当しないため)
家族滞在が認められるために必要な要件として以下の3つが必要です。
- 扶養者の扶養意思:扶養者が「家族滞在」で在留するものに対して扶養の意思を有すること。
- 扶養者の扶養能力:扶養者が申請人(家族滞在で来る人)を扶養する能力があること。
- 配偶者又は子にあっては、現に扶養者の扶養を受け又は看護養育を受けていると認められること。
その他、配偶者又は子として在留する場合にあっても、主たる入国目的が扶養者に依存することなく独立して別個の活動に従事するときは、それぞれに対応した在留資格が必要です。「例えば仕事をして収入を得ようとする場合は、就労資格が必要」となります。
「家族滞在」から在留資格変更許可申請について
「家族滞在から定住者への変更」どのような場合に必要となるでしょうか。
(架空の事例です)
N国出身のAさんは、父親が日本でレストランで働くために「技能」の在留資格を取得して来日したことに伴い10年前に母親と3人で日本に来ました。
Aさんが初めて日本にきたときはまだ8歳でした。来日してから日本の小学校、中学校を経て今年の春高校を卒業しました。
高校卒業と同時に地元にあるB商社に働くことが決まりました。
Aさんの高校卒業と同時期に父親のレストランで働く契約期間が切れたことに伴い、Aさんの両親はN国に帰ることになりました。
Aさんの在留資格「家族滞在」は、Aさんの扶養者であるお父さんの在留資格である「技能」がなければ認められません。
Aさんはせっかく内定したB社を辞退して、両親と一緒にN国に帰国しなければならないのでしょうか?
次の1~5いずれの要件にも該当する場合は、「家族滞在」から「定住者」への在留変更が認められる場合があります。
1「家族滞在」の在留資格をもって在留していること
2 入国時に18歳未満であること
3 日本の義務教育を終了していること
4 日本の高等学校を卒業していること
5 就職先が決定(内定を含む)していること
立証資料として、
・履歴書(義務教育を終了した経歴について記載のあるもの)
・小学校・中学校を卒業したことを証明する資料(卒業証明書又は卒業証書の写し)
・高校を卒業したことを証明する資料
・就職先の内定通知書又は雇用を証明する資料等。
上記の事例のAさんは、上記1~5いずれの要件にも該当することから、両親と一緒に
N国に帰らなくとも日本で働いて自分のビザ(定住者)で在留することが出来そうですね。
在留資格「家族滞在」についてご心配やお困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
参考:出入国在留管理庁 入国・在留審査要領