Archive for the ‘入管手続き’ Category

「技能実習」の在留資格は何か,「技能実習」はどんな制度?

2023-03-20

在留資格「技能実習」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

①外国人技能実習制度の概要

外国人技能実習制度は、1960年代から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が元となっており、この研修制度が評価されたためこれを原型として1993年に制度として整備されたものです。

技能実習制度の目的・趣旨は、日本で培われた技能、技術又は知識(以下、「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際貢献の制度です。
技能実習制度の目的・趣旨は1993年に制度が創設されてからずっと一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(技能実習法第3条第2項)とされています。

技能実習制度の内容は、外国人技能実習生が、日本において企業等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。
実習期間は最長5年とされ、技能等の修得は、外国人技能実習機構に認可された技能実習計画に基づいて行われることになります。

②技能実習生受入れ方法

受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。

このうち企業単独型での受入れをしている会社はほぼ無く、約99%の企業が団体監理型での受入れとなっています。

企業単独型とは、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。

一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。

上記2つの方法の最大の差異は、受け入れた技能実習生を企業等が直接、業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をするか否かという点にあります。

企業単独型で受け入れた場合は、企業等が直接、技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになります。

一方、団体監理型で受け入れた場合は、前述の「監理団体」が技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになり、企業等としては監理団体にフォローをしてもらうことができます。

技能実習生は入国後に、入国後日本語講習や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等(実習実施者)との雇用関係の下で、実践的な技能等の修得をしていきます。

この中で、法的保護に必要な知識等についての講習(8時間)については、企業単独型であっても団体監理型であっても、必ず実習開始前に受講する必要があります。

なお、企業単独型の場合であれば入国後日本語講習の実施は入国直後でなくても構いません。

離婚後も日本に居続けられるのか?定住者ビザについて解説

2023-03-18

離婚・死別定住について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

「日本人の配偶者」でなくなっても在留を続けられるのか

日本人の配偶者、永住者・特別永住者の配偶者の在留資格で日本に在留している場合、配偶者としての活動をすることが在留資格の要件となっています、離婚、死別等で配偶者としての活動ができなくなった場合は、これまでの在留資格が認められないことになり、他の在留資格に変更しなければ本国に帰国することになります。

しかしながらこれまで配偶者としての活動を長年継続してきた方の中には、生活基盤が既に本国ではなく日本にあり、簡単には帰国を選択できない方が少なからずいるでしょう。

又、経営・管理、技術・人文・国際業務等の就労系の在留資格変更申請には、学歴、業務経験、資産等の面で複雑で高度な要件が求められ、変更要件を満たす人は限られてきます。

こうした場合に、これまでの生活基盤を大きく変更することなく、引き続き日本で生活することを希望する方の救済措置的な在留資格として、離婚定住・死別定住と呼ばれる在留資格があります。

「告示外定住」という定住者ビザの一種であり,要件が事前に定められていない在留資格です。離婚・死別定住の対象となる者は、日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚又は死別後引き続き日本に在留を希望する者で、同じ身分系の在留資格でも定住者の配偶者等と離婚又は死別後引き続き在留を希望する者は含まれません。

離婚・死別定住の許可要件はおよそ以下の4つです。

① おおむね3年以上の「正常な婚姻関係・家庭生活」を営んでいる

② 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③ 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと

④ 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること

審査のポイント

①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。

したがって、別居していた期間であっても夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればこれに該当します。

②「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、独立して生計を営むだけの収入のことです。

正社員、派遣社員、アルバイト等、就労形態による区別はありませんが、およそ月収18万以上が目安となります。

③「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、言語能力などの点で,日本での生活に支障がないことです。

例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問われません。

④「納税義務」は文字通り,きちんと払っているかどうかが問題となります。税金の滞納や交通違反等の法律違反があれば審査において不利になります。

定住者の在留資格に変更が出来れば、就労に制限はなく、これまでの生活基盤を大きく崩すことなく引き続き日本での生活が可能となります。

日本人、永住者・特別永住者の方と離婚・死別され、在留資格についてご心配事・困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。

高度専門職の在留資格が変わる?特別高度人材制度について解説

2023-03-14

在留資格「特別高度人材制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

日本政府は、高度な知識や技能を持つ外国人材を日本で働いてもらうために、新たに「特別高度人材制度」を創設します。

「特別高度人材制度」について具体的にご説明すると、「高度専門職」の在留資格について、年収2,000万円以上の研究者の方々に資格を付与する新ルートを設けるというものです。
2023年2月17日の関係閣僚会議で導入が了承され、2023年4月中の運用開始を予定しています。

現在の高度専門職の在留資格は、学歴や職歴、年収、年齢などを項目ごとにポイント化し、ポイントの合計が70点以上となった場合、「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組みになっています。
この高度外国人材1号は3年を経過すれば、在留期間が無期限の「2号」に移行できます。
出入国在留管理庁によれば、このポイント制が始まった2012年5月から22年6月までに研究者や技術者、経営者の中で約3万5,000人が高度外国人材として在留資格が付与されているとのことです。

今回の新制度は、国際間の人材獲得競争が激化していることから、ポイント制という制度は保持しつつ、新たなルートを加えるというものになっています。
この新たなルートでは、研究者や技術ら者は、「修士号以上を取得」、「職歴が10年以上」のいずれか一方の条件を満たし、年収が2,000万円以上であれば高度外国人材1号を与えるというものです。
また、経営者は職歴が5年以上で年収4,000万円以上が条件となります。
いずれもポイント制より短い1年で2号に移行できるようになります。

さらに、若い海外人材を呼び込むため、世界大学ランキングで100位以内に入っている大学の卒業生の方々を「未来創造人材」として「特定活動」の在留資格を与える予定です。
就職活動や起業に備え、日本に2年間滞在できるようにし、その間の就労も認められる予定です。

このように、日本では様々な外国人の方を日本で働いていただけるように日々検討し、新たな在留資格を追加しています。
例えば、ご存知の方も多いかと思いますが、2019年4月に導入された「特定技能」という在留資格についても、日本が新たに認めた在留資格の一つです。

最後に、新たな在留資格についてはまだルールが定まっていないことが多く、自身で在留資格を取得又は変更させる際に手間がかかることも多く、現在はオンラインでの申請が認められておりますので、在留資格に強い専門家に依頼することをお勧めします。

特定技能の在留資格,1号,2号の違いは何か?

2023-03-13

在留資格「特定技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「特定技能」の在留資格は、特定技能1号と特定技能2号の2種類に分類されます。

このうち「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。

また「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。

【特定技能1号のポイント】
・在留期間:通算で上限5年まで
・技能水準:試験等で確認
 (在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
 (在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・家族の帯同:原則として認められない
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象

【特定技能2号のポイント】
・在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
・技能水準:試験等で確認
・日本語能力水準: 試験等での確認は不要
・家族の帯同:要件を満たせば認められる(配偶者、子)
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外

ここで注意が必要なのは、特定技能2号に指定されているのは特定技能1号で認められている職種のうち2職種のみであり、現在は、①建設業、②造船・舶用工業のみとなっています。
つまり、特定技能1号を特定技能2号対象外の職種(①建設業,②造船・船用工業以外の職種)にて修了した外国人は特定技能1号満了後も特定技能2号に切り替えることはできません。

また、特定技能1号では在留期限が通算5年と定められているのに対し、特定技能2号は他の就労ビザと同様に要件さえ満たしていれば期間を更新することが可能となっており、また更新の回数に制限もありません。
ですから、特定技能2号にて就労する外国人は、今後長きに渡って日本の産業を支えていく存在となる可能性が高いということになります。

さらに、特定技能1号では認められていませんが、特定技能2号においては家族の帯同が認められているのも特徴です。
この点は、外国人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

最後に、受入れ機関または登録支援機関による支援の対象か否かの差異についてですが、特定技能1号については初めて日本で働くという外国人の方も多いことから対象になっていますが、特定技能2号については実質的には永住権に相当することから対象外となっていることも大きな差異と言えます。

定住者の在留資格が認められるための条件は?「素行の善良」とは何か

2023-03-10

在留資格「定住者」の「素行善良要件」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「定住者」の在留資格について

在留資格「定住者」の中には「定住者告示」と呼ばれるものがあります。

「定住者告示」とは、定住者に該当するものを一般に周知するため要件をあらかじめ公示することをいいます。定住者告示第3、4、5号ハ及び第6号ハ(日系3世、日系3世の配偶者、日系3世の実子)の在留資格認定申請、在留更新申請には、「素行善良要件」が審査要件として定められており、原則として「素行善良要件」を満たさなければ在留許可が認められないことになっています。

ここでいう「素行善良要件」とは、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることにない生活を営んでいること(出入国在留管理局永住許可のガイドライン)で、以下の(ア)から(エ)までのいずれにも該当しないことをいいます。

(ア)日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことのある者

ただし、懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑については、そのすべての執行を終わり若しくは刑の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡し若しくはこれに相当する措置を受けた場合で当該執行猶予の期間若しくはこれに相当する期間を経過したとき、また、罰金又はこれに相当する刑については、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年を経過したときは該当しないものとして扱う。

(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号及び第3号)が継続中の者

(ウ)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返して行う等素行善良要件と認められない特段の事情のある者

(エ)他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な行為を行った者又は不法就労のあっせんを行った者

(以上が審査要領)

では具体的にどのような場合に「素行善良要件」が問題になるか、ケースを元に確認してみましょう。

具体例

ケース1.

大手自動車会社で働く「定住者」のAさんは、スポーツカーが大好きです。

最近自社で開発されたスポーツカーが発売され、これまで貯めてきた貯金とボーナスを併せて一括払いで購入しました。早速購入したスポーツカーを試そうと思い、高速道路で試し乗りをしました。大変性能の良い車で、軽くアクセルを踏んだつもりがあっという間に時速180キロのスピードが出てしまいました。そこを運悪くオービスで撮影されました。

Aさんはその後逮捕、起訴され裁判を受け懲役3月、執行猶予2年の有罪判決をうけました。

ケース2.

Bさんは愛車のスポーツカーで高速道を走っていたところ、30キロオーバーでオービスに撮影されてしまいました。Bさんはその後管轄の警察署から行政処分による反則金の支払を命じられ、期日までに支払いました。Bさんはこれに懲りて以後、制限速度を順守して運転することを心掛けています。

 

ケース1の場合、Aさんは80キロオーバーのスピード違反で逮捕・起訴され懲役6月、執行猶予2年の有罪判決を受けています。これは「素行善良要件に該当しないこと」(ア)から(エ)のうち(ア)の日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者に該当し、Aさんは原則として次回の在留更新が認められないことになります。

ケース2の場合、Bさんは30キロオーバーのスピード違反で、管轄の警察署から反則金の支払を命じられ期日までに支払いました。元々,道路交通法違反による罰金は該当事由に含まれておらず、その後は反省して制限速度を遵守していることで(エ)の要件にも該当しないことから、Bさんの30キロスピードオーバーは「素行善良要件」に影響しませんでした。その結果Aさんは在留更新が許可されしかも5年の在留期間がもらえました。Bさんは近いうちに「永住資格」の申請を考えています。

 

このように素行が善良でないと判断されるか否かで、その後の人生が大きく異なる結果となる場合があります。                          

「定住者」の「素行善良条件」でご心配や困りごとがあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

外国の親を呼び寄せるにはどうしたらよいか

2023-03-08

日本で暮らす外国籍の方が,自分の親を日本に呼び寄せるための手段としては「老親扶養」のビザを取得する,というものがあります。

親を介護するために,日本に呼び寄せるというものです。この「老親扶養」は,「特定活動」という在留資格で認められる活動の一種です。

老親扶養のための「特定活動」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

近年,本国にいる年老いた親を日本に呼び寄せ面倒をみたいという問い合わせが多いです。

相談される方の男女の割合はほぼ同数で、国籍では中国籍の方が圧倒的に多いです。

なぜ中国籍の方から「老親扶養」のご相談が多いのかというと、中国で1979年から2015年まで実施された「人口抑制政策」いわゆる「一人っ子政策」が実施されていたことと深く関係していると思われます。

中国において「一人っ子政策」が実施された1979年頃に生まれた方々は,現在43歳~44歳です。その頃に生まれた方々の親の年齢が,現在,おそらく70代中盤から80代に差し掛かっていると推定されます。

この政策の実施中に生まれた子供達が、

・縁あって日本に移り住んだ

・日本人と結婚して日本に移住した

・日本の会社に就職した

と言った理由で,本国を離れて生活している方がいます。そのような方々も,日本での滞在も10年~20年ほど経って社会的にも経済的にもある程度余裕が出来てきているでしょうし,本国にいる親を呼び寄せる準備が整ってきた,長男長女として本国にいる親の面倒をみるのは自分しかいない,しかしながら日本での生活を投げ捨てて帰国するわけにはいかない,といった状況の中で,本国にいる老齢の親をなんとか日本に呼び寄せたいという思いがあるのではないかと思いわれます。

残念ながら日本の在留資格には,「親の面倒を見る」というための在留資格が存在しないため,単に親を呼び寄せたいというだけでは長期的な在留資格を得ることはできず,「短期滞在」で親を呼び寄せるしかありません。

では「年老いた親」の面倒をみることは、親のいる本国に自分が帰国する以外に選択肢はないのでしょうか。

この場合に人道的な措置として「特定活動」という在留資格で親の呼び寄せが出来る場合があります。これはあくまで個別的判断による人道的な措置であり予め上陸審査基準が類型化されていないため、在留資格認定証明書では呼び寄せが出来ません。

そこで短期滞在ビザで来日して、在留期間中に老親扶養の「特定活動」に在留資格変更申請をすることになります。

老親扶養の「特定活動」について事前に定められた審査基準はありませんが、大まかな目安となる基準はあります。

①親の年齢が概ね70歳以上

②親が本国で身寄りがいないこと

③親が単身であること

④扶養側に親を扶養する経済力があること

⑤親に持病がある。

上記①~⑤の全てあるいは複数該当する場合、老親扶養のための「特定活動」に資格変更が出来る場合があります。

 

老親扶養「特定活動」の在留資格についてご心配な事やお困り事があるという方は、

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。

上陸特別許可について

2023-02-14

「上陸特別許可」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がご説明します。

日本で暮らす外国人の中で、例えば

  1. オーバーステイで強制送還された
  2. 事件を起こして逮捕され1年以上の実刑に処せられた
  3. 執行猶予を含む1年以上の刑に処せられた
  4. 薬物犯罪で刑に処せられた

などの場合、一定の事情に該当する方は,一度日本を離れてしまうと,再び日本に入国することを拒否される場合があります。

これは「上陸の拒否」とよばれ、出入国管理及び難民認定法第5条1項で「上陸の拒否」に該当する事情と「上陸拒否期間」が定められています。

①の場合、初回のオーバーステイで5年、2回目以降は10年間上陸が拒否されます。

「上陸の拒否」とは日本への入国が認められないという意味です。

②や③,④のように,犯罪歴がついてしまった場合,一度日本から出国すると「無期限上陸拒否」となり、永久に日本に入国することはできず、該当者にとって大変厳しい規定となっています。

しかし入管法5条1項の「上陸の拒否」に該当すると判断された場合でも、人道上の理由等法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、法務大臣の裁量により上陸の許可を与える場合があります。

この法務大臣による上陸許可を「上陸特別許可」と言います。

「上陸拒否」に該当する日本国外にいる外国人が改めて日本に入国したい場合は、法務大臣に対して「上陸特別許可」を求める「在留資格認定証明書」の申請をします。

理由書・嘆願書・SNS・写真等の証拠書類を添付した「在留資格認定証明書」を通して、法務大臣に「上陸を認めるべき特別の事情」を説明して在留許可のお願いをします。

 

オーバーステイ等で強制送還され上陸拒否に該当する場合でも、上陸拒否期間内に日本に戻れる場合があります。上陸拒否にあたる家族や友人を日本に呼び戻したい方はお一人で悩まずに、まずは入管業務を扱う弁護士・行政書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

「留学」の在留資格について解説,ビザがもらえる学校はどこまで?

2023-02-08

在留資格「留学」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。

1.「留学」の在留資格に該当する活動

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。

2.基準  一部抜粋

(前略)四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。 (後略)

3.基準についてのポイント

基準省令四の二は、申請人が中学校若しくは特別支援学級の中学部又は小学校若しくは特別支援学級の小学部において教育を受けようとする場合の基準です。

イからホまでありますが、学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当しなくともかまいません。

イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であることが必要です。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であることが必要です。

二 申請人を受け入れる小学校、中学校、特別支援学校等に常勤の生活指導員が必要です。

ホ 申請人が日常生活を支障なく営むための「寄宿舎」「宿泊施設」が必要です。

 この「寄宿舎」「宿泊施設」は申請人の監護者の自宅で構いません。

4.「留学」と「資格外活動」について

「留学」としてイメージしやすいのは「大学」ですが、在留資格【留学】は小学校から大学院までを対象としています。

「留学」には日本語学校も含まれます。

在留資格「留学」で日本語学校等に入学された方は本来働くことは認められていませんが、「資格外活動許可」を受けた場合には、週28時間以内(長期休業(夏休み等については1日8時間以内)のアルバイトがみとめられます(風俗営業店舗等を除く。)。

資格外活動許可を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり、在留更新が認められない場合があり、近年、ブローカーの甘言を安易に信じ、入国当初から多額の借金を背負うことになった結果、借金返済のために制限を超えたアルバイトをすることで本来の日本語学校での勉強がおろそかになり、ほとんど日本語が習得できないまま、帰国を余儀なくされたり、より稼ぎをえるために失踪する者が増加していることが問題となっています(出入国在留管理局HPより)。

家族滞在の在留資格について,具体例を解説

2023-02-05

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.「家族滞在」の在留資格に該当する活動

法律上,「家族滞在」の在留資格が認められる場合としては,次のように規定されています。

入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動。

2.該当例

具体的に言うと,「外交」、「公用」、「特定技能1」、「技能実習」、「短期滞在」、「研修」及び「家族滞在」を除く別表第一の一から四までの表の上欄の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者及び子が,家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。

逆に,配偶者及び以外の家族は対象とはならりません。ここでいう「子」には養子も含まれます。

子は未成年者であることを要件とされておらず、成年に達していてもかまいません。

配偶者は、これらの在留資格をもって在留する外国人と現に婚姻している外国人です。

婚姻は法的に有効に成立した者でなければならず、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者に含まれません。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P203)

また、外国で有効に成立した同性婚による者も含まれません。

3.「特定技能」の外国人の場合や,「扶養を受ける配偶者,子」の範囲について

「特定技能」の場合

特定技能1」の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれません。「特定技能2号」の配偶者、又は子は「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれます。「特定技能2号」の外国人は、配偶者及び子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。

扶養を受ける配偶者及び子」の範囲

「扶養を受ける」とは、扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養をすることが可能な資金的裏付を有すると認められることをいいます。

「配偶者」については原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態、「子」にあっては扶養者の監護養育を受けている状態の事をいい、経済的に孤立している配偶者又は子としての活動は含まれません。(審査要領)

外国で有効に成立した同性婚の場合

海外では同性婚が認められる国は複数ありますが、日本では同性婚が認められておらず、海外での同性婚者は、「家族滞在」の在留資格に該当する「配偶者」として認められていません。なお、母国の法律で同性婚が認められたカップルの間でなされた婚姻での一方のパートナーに対して、告示外での「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。

 

「家族滞在」の在留資格についてご心配なことやお困りのことがあるという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

在留期間の延長が認められなくなる!? 特別措置の終了について

2023-01-25

「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による帰国困難者に対する 在留資格上の特例措置の終了」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

コロナ禍の拡大により、在留期限が経過した後も帰国できない等の事情に鑑みて、新型コロナウイルス感染症による帰国困難者に対する特例措置が取られてきました。

出国者が増加している状況等を踏まえ、特例的な在留を認めている外国人の方について、現に有する在留資格の在留期限に応じ、以下のとおり帰国に向けた措置がなされてきましたが、令和4年11月1日を持って、コロナウイルス感染症の影響によるすべての特例措置が全て終了しましたので、ここで在留期限ごとに特例措置終了について解説いたします。

在留期限が令和4年6月29日までの方

以下のとおり在留期間の更新を許可します。 a)「特定活動(6か月)」等で在留している方:「特定活動(4か月)」 b)「短期滞在(90日)」で在留している方 :「短期滞在(90日)」 注1)現在許可されている範囲において引き続き就労できます。 注2)次回更新時には「特定活動(4か月)」又は「短期滞在(90日)」を「今回限り」として許可します。

現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例による在留更新に該当する方はいません。

在留期限が令和6月30日以降の方

「今回限り」として、以下のとおり在留期間の更新を許可します。 a)「特定活動(6か月)」等で在留している方:「特定活動(4か月)」 b)「短期滞在(90日)」で在留している方 :「短期滞在(90日)」 注1)現在許可されている範囲において引き続き就労できます。 注2)帰国困難を理由とする在留許可は今回限りとなります。今回許可された期間内に帰国準備を進めてください。 注3)上記の許可に係る在留期間を満了した場合には、在留期間の更新は認められません。

現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例による在留更新に該当する方はいません。

新たに帰国困難を理由として在留を希望する方

令和4年11月1日までに現に有する在留資格の在留期限が満了する場合に限り、上記②の「今回限り」の措置 を認めます。 注)「特定活動(雇用維持支援)」については最大1年(※「今回限り」)を許可します。

現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例措置による在留更新に該当する方はいません。

④ 在留期限が令和4年11月2日以降の方

コロナ帰国困難を理由とした「特定活動」又は「短期滞在」への変更は認められません。

(令和4年11月2日以降に在留期限を迎える方はコロナ特例措置の対象外です)

 

①~④に該当するすべての在留期限において、新型コロナによる特例措置が終了したことで、

これらの期限以後の新型コロナウイルスの影響による在留期限の延長は認められません。

在留期間更新の際は、オーバーステイにならないよう注意しましょう。

参考;「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による帰国困難者に対する在留資格上の特例措置の終了について」 (出入国在留管理局HP)

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