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強制送還された後も再入国できる?上陸特別許可の解説
上陸特別許可・上陸拒否の特例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
日本で暮らしていた外国人が、オーバーステイや何かの犯罪をしてしまい有罪判決を受けて本国に帰国したときは、日本から出国したあと再び日本に入国できるでしょうか?
再入国できないのはどんな場合?
入管法5条1項では、外国人の日本への上陸拒否(入国を認めない)にあたる事項を列挙しています。
上陸拒否に当たるもので代表的なものとして
- 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがない場合の上陸拒否期間は,退去強制された日から5年
- 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したりしたことがある場合(「複数回退去強制」)の上陸拒否期間は,退去強制された日から10年
- 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は,出国した日から1年
- 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合
「懲役刑等(1年以上)」は無期限上陸拒否、「等」には執行猶予も含む。
- 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の法令に違反して刑に処せられた者は無期限上陸拒否
- となっています。
該当者が執行猶予を含む1年以上の有罪判決を受けて判決が確定した場合、一旦日本から出国すると、法律上は永久に日本に入国することが出来ないという極めて厳しい規定となっています。
また薬物事犯の場合は、1年以下の有罪でも無期限上陸拒否となります。
①はオーバーステイにより退去強制を受けた場合、それが初回であり、かつ過去に出国命令を受けたことのない場合の上陸特別拒否期間について規定しており、退去強制の日から5年間は再び日本に入国することが出来ませんというものです。
最近一部マスコミ等でオーバーステイにあたる者に対して「非正規滞在者」という表現を使用していることと関係しているのか、時々ご相談の方から「オーバーステイは犯罪じゃないですよ」というお話しをされることがあります。
しかし,出入国管理及び難民認定法ではオーバーステイは「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」と規定されていることから、あくまで法律上オーバーステイは罰則のある犯罪です。
オーバーステイは「非正規滞在」だから「非正規労働者」みたいなもので、特に法律上問題はないだろう,と思われることが,上記のようなお話をされる理由かもしれませんが,法律上は誤りです。オーバーステイで逮捕されるということは全く珍しくありませんし,仮に刑事事件で扱われなくても行政処分として出国後5年間は日本に上陸が出来ません。
それゆえオーバーステイを安易に考えることは出来ません。
なお出入国在留管理局を含む法務省、総務省等の官公庁は、オーバーステイに対する表現を「不法滞在」で統一しています。
再入国できる場合とは?
入管法7条1項各号では、外国人が日本に上陸するための条件が規定されています。
この条件に適合しない場合、本来なら日本に上陸することができませんが、法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると判断した場合に、法務大臣の裁量により上陸が認められる場合があります。この法務大臣による許可を「上陸特別許可」といいます。
H21年に入管法が改正され上陸拒否の特例(法5の2)が設けられました。
入管法5条1項で規定する上陸拒否事由に該当する場合であっても、法務大臣が法務省令に該当する場合であって相当と認める時には、入国審査官,特別審理官,法務大臣と三段階の手続を経る上陸特別許可(法12条1項)を行わずに、入国審査官が上陸許可の証印をできるようにする規定です。(『入管法と外国人労務管理・監査の業務』857P)
申請の方法として、あらかじめ在留資格認定証明書交付申請を行い、審査の結果、同証明書が交付されると申請人は在外公館で査証発給を得て、我が国の空港などで上陸申請を行い日本に入国します。
上陸特別許可、上陸拒否の特例に関してご心配や困りごとのあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
永住権が取りにくくなった?永住許可申請の基準変更を解説
永住許可申請について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
永住者とは「法務大臣が永住を認める者」をいい、永住許可後日本に本拠を置いて生活する者が想定されていますが、近年では高度人材等、政策的に我が国への入国・在留を促進すべき外国人へのインセンティブとして、永住許可をすることも行われています。(審査要領)
永住者の在留資格は在留活動・在留期間に制限がないことから日本に在留する外国人にとって最も価値のある在留資格となります。
近年、永住許可申請は急速に取得難易度が上昇してきました。その要因として2018年12月18日に入管法が改正され、「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されたことと関連性があることが指摘されています。政府は特定技能による労働者の受入を5年間で34万人と予測しました。
特定技能2号は永住申請に必要な就労期間としてカウントされ、特定技能1号5年と特定技能5年の計10年間で居住歴に係る永住資格取得申請の申請要件を満たすことから、「特定技能」から永住許可申請者が増加するのを懸念して永住申請の要件を厳しくしたという見方が指摘されています。
これを踏まえて,永住許可に関するガイドラインは2019年5月31日に改訂されました。
改訂部分についてですが、
改訂前①「納税義務等公的義務を履行していること」の部分が
⇒改訂後②「公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等)の義務を適正に履行していること」
に変更されました。
具体的な変更点として以下の点が変更されています。
・住民税の課税証明書・納税証明書の提出年数期間
変更前:3年 ⇒ 変更後:5年
・国民年金・国民健康保険の加入状況
審査対象として追加
・年金・健康保険の記録
変更前:不要 ⇒ 変更後:直近2年分が必要
・国税の納税証明書
変更前:不要 ⇒ 変更後:5つの税目について必要
上記の変更点から判断すると、公的義務の履行と独立生計要因が重要視されています。
収入についても独立生計要件として重要な審査要件となります。
それでは実際の許可率を改正前、改正後で比較検討してみます。
2014年度全体の既決総数は50788件、永住申請許可率は東京入管68,6%、名古屋入管68,5%、大阪入管74,3%、全体で72%となっています。
2018年度の既決総数は61,027件、永住許可率は東京入管が51,6%、
名古屋入管が39,8%、大阪入管が63,2%、全体で53,6%となっています。
2021年度の既決総数は62142件、永住許可率は東京入管が60,6%、名古屋入管が49,4%
大阪入管が70,2%、全体で59%となっています。
2014年度は東京、名古屋、大阪入管とも永住申請許可率は70%前後と高い許可率となっていましたが、2018年度は全体で53,6%と4年前と比較すると全体で18ポイントほど低下しました。2021年度の永住許可率は2018年度と比較して多少改善はされていますが、2014年度と比べると依然低い水準となっています。
特に名古屋入管管轄の永住許可率は50%を割っています。
このように現在の永住許可申請は申請書類の内容自体が高度になってきており、10年前と比べて入管の審査も厳しくなってきています。
永住許可申請についてお悩み事、困りごとのある方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
技能実習生の受け入れ方2パターン 弁護士事務所が解説
在留資格「技能実習生の受入れ方法」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
外国人技能実習生受入れ方法としては「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。
このうち企業単独型とは、原則として日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。
一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。
この団体監理型で技能実習生を受け入れる場合には、技能実習生が入国してから実習を終えて帰国するまでの間、毎月「監理団体」に技能実習生をフォローしてもらうための費用(以下、「監理費」といいます)を支払います。
この「監理費」は、監理団体によって金額が異なりますが、おおよその相場としては月額1人当たり3万円程度となっています。
この点、企業単独型は、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業がある場合にのみ受け入れられるため、企業単独型での技能実習生の受入れ人数としては圧倒的に少ないのが現状です。
しかし、日本の企業等(実習実施者)が自身で技能実習生のフォローができる体制が整備されている場合には、企業単独型で技能実習生を受け入れると監理団体に支払う「監理費」を支払うことが不要となり、コスト削減ができます。
そこで、日本の企業等(実習実施者)が子会社以外の他の会社等(民事再生法の規定による再生手続開始の決定を受けた会社等、会社更生法の規定による更生手続開始の決定を受けた株式会社、破産法の規定による破産手続開始の決定を受けた会社等その他これらに準ずる会社等であって、かつ、当該会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社等を除く。)の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合は、自身の海外の現地法人、合弁企業がない場合であっても、当該会社等から企業単独型で技能実習生を受け入れることができます。
ですので、日本の企業等(実習実施者)で自身の海外の現地法人、合弁企業がない場合であっても、子会社以外の他の会社等の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合には、当該会社等から企業単独型で技能実習生を受け入れることができます。
現在団体監理型で技能実習生を受け入れており、コスト面でお悩みの方は企業単独型での技能実習生の受入れを検討してみてはいかがでしょうか。
「技能実習」の在留資格は何か,「技能実習」はどんな制度?
在留資格「技能実習」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
①外国人技能実習制度の概要
外国人技能実習制度は、1960年代から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が元となっており、この研修制度が評価されたためこれを原型として1993年に制度として整備されたものです。
技能実習制度の目的・趣旨は、日本で培われた技能、技術又は知識(以下、「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際貢献の制度です。
技能実習制度の目的・趣旨は1993年に制度が創設されてからずっと一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(技能実習法第3条第2項)とされています。
技能実習制度の内容は、外国人技能実習生が、日本において企業等の実習実施者と雇用関係を締結して、母国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。
実習期間は最長5年とされ、技能等の修得は、外国人技能実習機構に認可された技能実習計画に基づいて行われることになります。
②技能実習生受入れ方法
受け入れるには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法があります。
このうち企業単独型での受入れをしている会社はほぼ無く、約99%の企業が団体監理型での受入れとなっています。
企業単独型とは、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方法のことをいいます。
一方、団体監理型とは、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(外国人技能実習機構の認可を受けた「監理団体」)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法のことをいいます。
上記2つの方法の最大の差異は、受け入れた技能実習生を企業等が直接、業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をするか否かという点にあります。
企業単独型で受け入れた場合は、企業等が直接、技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになります。
一方、団体監理型で受け入れた場合は、前述の「監理団体」が技能実習生の業務や生活のサポート、在留資格の手続き等をすることになり、企業等としては監理団体にフォローをしてもらうことができます。
技能実習生は入国後に、入国後日本語講習や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等(実習実施者)との雇用関係の下で、実践的な技能等の修得をしていきます。
この中で、法的保護に必要な知識等についての講習(8時間)については、企業単独型であっても団体監理型であっても、必ず実習開始前に受講する必要があります。
なお、企業単独型の場合であれば入国後日本語講習の実施は入国直後でなくても構いません。
離婚後も日本に居続けられるのか?定住者ビザについて解説
離婚・死別定住について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。
「日本人の配偶者」でなくなっても在留を続けられるのか
日本人の配偶者、永住者・特別永住者の配偶者の在留資格で日本に在留している場合、配偶者としての活動をすることが在留資格の要件となっています、離婚、死別等で配偶者としての活動ができなくなった場合は、これまでの在留資格が認められないことになり、他の在留資格に変更しなければ本国に帰国することになります。
しかしながらこれまで配偶者としての活動を長年継続してきた方の中には、生活基盤が既に本国ではなく日本にあり、簡単には帰国を選択できない方が少なからずいるでしょう。
又、経営・管理、技術・人文・国際業務等の就労系の在留資格変更申請には、学歴、業務経験、資産等の面で複雑で高度な要件が求められ、変更要件を満たす人は限られてきます。
こうした場合に、これまでの生活基盤を大きく変更することなく、引き続き日本で生活することを希望する方の救済措置的な在留資格として、離婚定住・死別定住と呼ばれる在留資格があります。
「告示外定住」という定住者ビザの一種であり,要件が事前に定められていない在留資格です。離婚・死別定住の対象となる者は、日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚又は死別後引き続き日本に在留を希望する者で、同じ身分系の在留資格でも定住者の配偶者等と離婚又は死別後引き続き在留を希望する者は含まれません。
離婚・死別定住の許可要件はおよそ以下の4つです。
① おおむね3年以上の「正常な婚姻関係・家庭生活」を営んでいる
② 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
③ 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
④ 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
審査のポイント
①「正常な婚姻関係・家庭生活」は、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。
したがって、別居していた期間であっても夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められればこれに該当します。
②「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、独立して生計を営むだけの収入のことです。
正社員、派遣社員、アルバイト等、就労形態による区別はありませんが、およそ月収18万以上が目安となります。
③「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、言語能力などの点で,日本での生活に支障がないことです。
例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問われません。
④「納税義務」は文字通り,きちんと払っているかどうかが問題となります。税金の滞納や交通違反等の法律違反があれば審査において不利になります。
定住者の在留資格に変更が出来れば、就労に制限はなく、これまでの生活基盤を大きく崩すことなく引き続き日本での生活が可能となります。
日本人、永住者・特別永住者の方と離婚・死別され、在留資格についてご心配事・困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。
高度専門職の在留資格が変わる?特別高度人材制度について解説
在留資格「特別高度人材制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
日本政府は、高度な知識や技能を持つ外国人材を日本で働いてもらうために、新たに「特別高度人材制度」を創設します。
「特別高度人材制度」について具体的にご説明すると、「高度専門職」の在留資格について、年収2,000万円以上の研究者の方々に資格を付与する新ルートを設けるというものです。
2023年2月17日の関係閣僚会議で導入が了承され、2023年4月中の運用開始を予定しています。
現在の高度専門職の在留資格は、学歴や職歴、年収、年齢などを項目ごとにポイント化し、ポイントの合計が70点以上となった場合、「高度外国人材」として在留期間が5年の「1号」を認める仕組みになっています。
この高度外国人材1号は3年を経過すれば、在留期間が無期限の「2号」に移行できます。
出入国在留管理庁によれば、このポイント制が始まった2012年5月から22年6月までに研究者や技術者、経営者の中で約3万5,000人が高度外国人材として在留資格が付与されているとのことです。
今回の新制度は、国際間の人材獲得競争が激化していることから、ポイント制という制度は保持しつつ、新たなルートを加えるというものになっています。
この新たなルートでは、研究者や技術ら者は、「修士号以上を取得」、「職歴が10年以上」のいずれか一方の条件を満たし、年収が2,000万円以上であれば高度外国人材1号を与えるというものです。
また、経営者は職歴が5年以上で年収4,000万円以上が条件となります。
いずれもポイント制より短い1年で2号に移行できるようになります。
さらに、若い海外人材を呼び込むため、世界大学ランキングで100位以内に入っている大学の卒業生の方々を「未来創造人材」として「特定活動」の在留資格を与える予定です。
就職活動や起業に備え、日本に2年間滞在できるようにし、その間の就労も認められる予定です。
このように、日本では様々な外国人の方を日本で働いていただけるように日々検討し、新たな在留資格を追加しています。
例えば、ご存知の方も多いかと思いますが、2019年4月に導入された「特定技能」という在留資格についても、日本が新たに認めた在留資格の一つです。
最後に、新たな在留資格についてはまだルールが定まっていないことが多く、自身で在留資格を取得又は変更させる際に手間がかかることも多く、現在はオンラインでの申請が認められておりますので、在留資格に強い専門家に依頼することをお勧めします。
特定技能の在留資格,1号,2号の違いは何か?
在留資格「特定技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「特定技能」の在留資格は、特定技能1号と特定技能2号の2種類に分類されます。
このうち「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。
また「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。
【特定技能1号のポイント】
・在留期間:通算で上限5年まで
・技能水準:試験等で確認
(在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・家族の帯同:原則として認められない
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象
【特定技能2号のポイント】
・在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
・技能水準:試験等で確認
・日本語能力水準: 試験等での確認は不要
・家族の帯同:要件を満たせば認められる(配偶者、子)
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外
ここで注意が必要なのは、特定技能2号に指定されているのは特定技能1号で認められている職種のうち2職種のみであり、現在は、①建設業、②造船・舶用工業のみとなっています。
つまり、特定技能1号を特定技能2号対象外の職種(①建設業,②造船・船用工業以外の職種)にて修了した外国人は特定技能1号満了後も特定技能2号に切り替えることはできません。
また、特定技能1号では在留期限が通算5年と定められているのに対し、特定技能2号は他の就労ビザと同様に要件さえ満たしていれば期間を更新することが可能となっており、また更新の回数に制限もありません。
ですから、特定技能2号にて就労する外国人は、今後長きに渡って日本の産業を支えていく存在となる可能性が高いということになります。
さらに、特定技能1号では認められていませんが、特定技能2号においては家族の帯同が認められているのも特徴です。
この点は、外国人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
最後に、受入れ機関または登録支援機関による支援の対象か否かの差異についてですが、特定技能1号については初めて日本で働くという外国人の方も多いことから対象になっていますが、特定技能2号については実質的には永住権に相当することから対象外となっていることも大きな差異と言えます。
定住者の在留資格が認められるための条件は?「素行の善良」とは何か
在留資格「定住者」の「素行善良要件」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「定住者」の在留資格について
在留資格「定住者」の中には「定住者告示」と呼ばれるものがあります。
「定住者告示」とは、定住者に該当するものを一般に周知するため要件をあらかじめ公示することをいいます。定住者告示第3、4、5号ハ及び第6号ハ(日系3世、日系3世の配偶者、日系3世の実子)の在留資格認定申請、在留更新申請には、「素行善良要件」が審査要件として定められており、原則として「素行善良要件」を満たさなければ在留許可が認められないことになっています。
ここでいう「素行善良要件」とは、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることにない生活を営んでいること(出入国在留管理局永住許可のガイドライン)で、以下の(ア)から(エ)までのいずれにも該当しないことをいいます。
(ア)日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことのある者
ただし、懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑については、そのすべての執行を終わり若しくは刑の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡し若しくはこれに相当する措置を受けた場合で当該執行猶予の期間若しくはこれに相当する期間を経過したとき、また、罰金又はこれに相当する刑については、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年を経過したときは該当しないものとして扱う。
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号及び第3号)が継続中の者
(ウ)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返して行う等素行善良要件と認められない特段の事情のある者
(エ)他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な行為を行った者又は不法就労のあっせんを行った者
(以上が審査要領)
では具体的にどのような場合に「素行善良要件」が問題になるか、ケースを元に確認してみましょう。
具体例
ケース1.
大手自動車会社で働く「定住者」のAさんは、スポーツカーが大好きです。
最近自社で開発されたスポーツカーが発売され、これまで貯めてきた貯金とボーナスを併せて一括払いで購入しました。早速購入したスポーツカーを試そうと思い、高速道路で試し乗りをしました。大変性能の良い車で、軽くアクセルを踏んだつもりがあっという間に時速180キロのスピードが出てしまいました。そこを運悪くオービスで撮影されました。
Aさんはその後逮捕、起訴され裁判を受け懲役3月、執行猶予2年の有罪判決をうけました。
ケース2.
Bさんは愛車のスポーツカーで高速道を走っていたところ、30キロオーバーでオービスに撮影されてしまいました。Bさんはその後管轄の警察署から行政処分による反則金の支払を命じられ、期日までに支払いました。Bさんはこれに懲りて以後、制限速度を順守して運転することを心掛けています。
ケース1の場合、Aさんは80キロオーバーのスピード違反で逮捕・起訴され懲役6月、執行猶予2年の有罪判決を受けています。これは「素行善良要件に該当しないこと」(ア)から(エ)のうち(ア)の日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者に該当し、Aさんは原則として次回の在留更新が認められないことになります。
ケース2の場合、Bさんは30キロオーバーのスピード違反で、管轄の警察署から反則金の支払を命じられ期日までに支払いました。元々,道路交通法違反による罰金は該当事由に含まれておらず、その後は反省して制限速度を遵守していることで(エ)の要件にも該当しないことから、Bさんの30キロスピードオーバーは「素行善良要件」に影響しませんでした。その結果Aさんは在留更新が許可されしかも5年の在留期間がもらえました。Bさんは近いうちに「永住資格」の申請を考えています。
このように素行が善良でないと判断されるか否かで、その後の人生が大きく異なる結果となる場合があります。
「定住者」の「素行善良条件」でご心配や困りごとがあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
外国の親を呼び寄せるにはどうしたらよいか
日本で暮らす外国籍の方が,自分の親を日本に呼び寄せるための手段としては「老親扶養」のビザを取得する,というものがあります。
親を介護するために,日本に呼び寄せるというものです。この「老親扶養」は,「特定活動」という在留資格で認められる活動の一種です。
老親扶養のための「特定活動」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
近年,本国にいる年老いた親を日本に呼び寄せ面倒をみたいという問い合わせが多いです。
相談される方の男女の割合はほぼ同数で、国籍では中国籍の方が圧倒的に多いです。
なぜ中国籍の方から「老親扶養」のご相談が多いのかというと、中国で1979年から2015年まで実施された「人口抑制政策」いわゆる「一人っ子政策」が実施されていたことと深く関係していると思われます。
中国において「一人っ子政策」が実施された1979年頃に生まれた方々は,現在43歳~44歳です。その頃に生まれた方々の親の年齢が,現在,おそらく70代中盤から80代に差し掛かっていると推定されます。
この政策の実施中に生まれた子供達が、
・縁あって日本に移り住んだ
・日本人と結婚して日本に移住した
・日本の会社に就職した
と言った理由で,本国を離れて生活している方がいます。そのような方々も,日本での滞在も10年~20年ほど経って社会的にも経済的にもある程度余裕が出来てきているでしょうし,本国にいる親を呼び寄せる準備が整ってきた,長男長女として本国にいる親の面倒をみるのは自分しかいない,しかしながら日本での生活を投げ捨てて帰国するわけにはいかない,といった状況の中で,本国にいる老齢の親をなんとか日本に呼び寄せたいという思いがあるのではないかと思いわれます。
残念ながら日本の在留資格には,「親の面倒を見る」というための在留資格が存在しないため,単に親を呼び寄せたいというだけでは長期的な在留資格を得ることはできず,「短期滞在」で親を呼び寄せるしかありません。
では「年老いた親」の面倒をみることは、親のいる本国に自分が帰国する以外に選択肢はないのでしょうか。
この場合に人道的な措置として「特定活動」という在留資格で親の呼び寄せが出来る場合があります。これはあくまで個別的判断による人道的な措置であり予め上陸審査基準が類型化されていないため、在留資格認定証明書では呼び寄せが出来ません。
そこで短期滞在ビザで来日して、在留期間中に老親扶養の「特定活動」に在留資格変更申請をすることになります。
老親扶養の「特定活動」について事前に定められた審査基準はありませんが、大まかな目安となる基準はあります。
①親の年齢が概ね70歳以上
②親が本国で身寄りがいないこと
③親が単身であること
④扶養側に親を扶養する経済力があること
⑤親に持病がある。
上記①~⑤の全てあるいは複数該当する場合、老親扶養のための「特定活動」に資格変更が出来る場合があります。
老親扶養「特定活動」の在留資格についてご心配な事やお困り事があるという方は、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。
口座が凍結されたら,強制送還されるのか?
(解説のための事例はフィクションです)
B国籍のCさんは,技術・人文知識・国際業務の在留資格で日本に在留する外国人でした。
ある日,Cさんは日本での生活費に困ってしまい,インターネットで見つけた怪しげなサイトの表記に従って,「銀行のキャッシュカードを預ける代わりに無利子でお金の融資を受けられる」という業者からお金を借りてしまいます。
結局,Cさんが預けた銀行口座は犯罪に利用されてしまい,口座は凍結され,Cさんも警察と検察からの取調べを受け,犯罪収益移転防止法違反として罰金を受けてしまいました。
Cさんは強制送還されてしまうのでしょうか。
強制送還される可能性について
事例のCさんのような行為は,犯罪収益移転防止法,いわゆる,マネーロンダリング防止法の違反となります。日本では,キャッシュカードや支払い用カードを他人に使わせる行為は,マネーロンダリングを助長する行為でもあり,処罰の対象となっているのです。
キャッシュカードの譲り渡し行為については,罰金刑や執行猶予付き懲役刑が言い渡されることが多くあります。Cさんについても,有罪判決として罰金刑が言い渡されると,前科がつくことになります。
Cさんのように就労ビザで日本に在留している場合,前科がつくと強制送還の対象となることがあります。犯罪収益移転防止法違反の場合,前科であっても1年を超える実刑判決でなければ,強制送還の対象とはなりません。そのため,今回の事例の場合には,すぐに強制送還となる可能性は低いでしょう。
更新の手続きでの不利益
すぐに強制送還される可能性は低いと言っても,罰金刑を受けた場合には,その後の日本での在留資格に大きな影響が残ります。
「永住者」以外の在留資格の場合には,必ず在留期間の更新の手続きが必要になりますが,この時に,犯罪収益移転防止法違反による罰金前科があるということは非常に不利な事情になります。犯罪収益移転防止法というのは,いわゆるマネーロンダリング防止法ですが,これはFATFからの勧奨等の影響を受けて制定された法律でもあり,国際的な犯罪(特にテロなど)のための資金が移転されることを防止するものであるため,国際的な目で見ると特に強く非難されることになります。
たとえ罰金刑であったとしても,次回の在留期間の更新手続きの時に,不利な事情になってしまいます。
日本で罰金刑などの有罪判決を受けた方の中には,「隠していればバレないのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし,入管の手続きの中では「自分に不利なことを隠している」というのが最も悪いものだとされています。隠すくらいなら,最初から入管に対しては正直に申告し,それでも資格の変更や更新のために真摯に申告するという姿勢の方が重要です。
罰金刑を受けたなど日本での有罪判決について心配な方や不安なことがある方は,行政書士や弁護士などの専門家にご相談ください。
下記のフォームからもお問い合わせいただけます。
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