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特定技能の在留資格,1号,2号の違いは何か?
在留資格「特定技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
「特定技能」の在留資格は、特定技能1号と特定技能2号の2種類に分類されます。
このうち「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。
また「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。
【特定技能1号のポイント】
・在留期間:通算で上限5年まで
・技能水準:試験等で確認
(在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・家族の帯同:原則として認められない
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象
【特定技能2号のポイント】
・在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
・技能水準:試験等で確認
・日本語能力水準: 試験等での確認は不要
・家族の帯同:要件を満たせば認められる(配偶者、子)
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外
ここで注意が必要なのは、特定技能2号に指定されているのは特定技能1号で認められている職種のうち2職種のみであり、現在は、①建設業、②造船・舶用工業のみとなっています。
つまり、特定技能1号を特定技能2号対象外の職種(①建設業,②造船・船用工業以外の職種)にて修了した外国人は特定技能1号満了後も特定技能2号に切り替えることはできません。
また、特定技能1号では在留期限が通算5年と定められているのに対し、特定技能2号は他の就労ビザと同様に要件さえ満たしていれば期間を更新することが可能となっており、また更新の回数に制限もありません。
ですから、特定技能2号にて就労する外国人は、今後長きに渡って日本の産業を支えていく存在となる可能性が高いということになります。
さらに、特定技能1号では認められていませんが、特定技能2号においては家族の帯同が認められているのも特徴です。
この点は、外国人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
最後に、受入れ機関または登録支援機関による支援の対象か否かの差異についてですが、特定技能1号については初めて日本で働くという外国人の方も多いことから対象になっていますが、特定技能2号については実質的には永住権に相当することから対象外となっていることも大きな差異と言えます。
定住者の在留資格が認められるための条件は?「素行の善良」とは何か
在留資格「定住者」の「素行善良要件」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「定住者」の在留資格について
在留資格「定住者」の中には「定住者告示」と呼ばれるものがあります。
「定住者告示」とは、定住者に該当するものを一般に周知するため要件をあらかじめ公示することをいいます。定住者告示第3、4、5号ハ及び第6号ハ(日系3世、日系3世の配偶者、日系3世の実子)の在留資格認定申請、在留更新申請には、「素行善良要件」が審査要件として定められており、原則として「素行善良要件」を満たさなければ在留許可が認められないことになっています。
ここでいう「素行善良要件」とは、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることにない生活を営んでいること(出入国在留管理局永住許可のガイドライン)で、以下の(ア)から(エ)までのいずれにも該当しないことをいいます。
(ア)日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことのある者
ただし、懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑については、そのすべての執行を終わり若しくは刑の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡し若しくはこれに相当する措置を受けた場合で当該執行猶予の期間若しくはこれに相当する期間を経過したとき、また、罰金又はこれに相当する刑については、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年を経過したときは該当しないものとして扱う。
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号及び第3号)が継続中の者
(ウ)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返して行う等素行善良要件と認められない特段の事情のある者
(エ)他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な行為を行った者又は不法就労のあっせんを行った者
(以上が審査要領)
では具体的にどのような場合に「素行善良要件」が問題になるか、ケースを元に確認してみましょう。
具体例
ケース1.
大手自動車会社で働く「定住者」のAさんは、スポーツカーが大好きです。
最近自社で開発されたスポーツカーが発売され、これまで貯めてきた貯金とボーナスを併せて一括払いで購入しました。早速購入したスポーツカーを試そうと思い、高速道路で試し乗りをしました。大変性能の良い車で、軽くアクセルを踏んだつもりがあっという間に時速180キロのスピードが出てしまいました。そこを運悪くオービスで撮影されました。
Aさんはその後逮捕、起訴され裁判を受け懲役3月、執行猶予2年の有罪判決をうけました。
ケース2.
Bさんは愛車のスポーツカーで高速道を走っていたところ、30キロオーバーでオービスに撮影されてしまいました。Bさんはその後管轄の警察署から行政処分による反則金の支払を命じられ、期日までに支払いました。Bさんはこれに懲りて以後、制限速度を順守して運転することを心掛けています。
ケース1の場合、Aさんは80キロオーバーのスピード違反で逮捕・起訴され懲役6月、執行猶予2年の有罪判決を受けています。これは「素行善良要件に該当しないこと」(ア)から(エ)のうち(ア)の日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者に該当し、Aさんは原則として次回の在留更新が認められないことになります。
ケース2の場合、Bさんは30キロオーバーのスピード違反で、管轄の警察署から反則金の支払を命じられ期日までに支払いました。元々,道路交通法違反による罰金は該当事由に含まれておらず、その後は反省して制限速度を遵守していることで(エ)の要件にも該当しないことから、Bさんの30キロスピードオーバーは「素行善良要件」に影響しませんでした。その結果Aさんは在留更新が許可されしかも5年の在留期間がもらえました。Bさんは近いうちに「永住資格」の申請を考えています。
このように素行が善良でないと判断されるか否かで、その後の人生が大きく異なる結果となる場合があります。
「定住者」の「素行善良条件」でご心配や困りごとがあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
外国の親を呼び寄せるにはどうしたらよいか
日本で暮らす外国籍の方が,自分の親を日本に呼び寄せるための手段としては「老親扶養」のビザを取得する,というものがあります。
親を介護するために,日本に呼び寄せるというものです。この「老親扶養」は,「特定活動」という在留資格で認められる活動の一種です。
老親扶養のための「特定活動」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
近年,本国にいる年老いた親を日本に呼び寄せ面倒をみたいという問い合わせが多いです。
相談される方の男女の割合はほぼ同数で、国籍では中国籍の方が圧倒的に多いです。
なぜ中国籍の方から「老親扶養」のご相談が多いのかというと、中国で1979年から2015年まで実施された「人口抑制政策」いわゆる「一人っ子政策」が実施されていたことと深く関係していると思われます。
中国において「一人っ子政策」が実施された1979年頃に生まれた方々は,現在43歳~44歳です。その頃に生まれた方々の親の年齢が,現在,おそらく70代中盤から80代に差し掛かっていると推定されます。
この政策の実施中に生まれた子供達が、
・縁あって日本に移り住んだ
・日本人と結婚して日本に移住した
・日本の会社に就職した
と言った理由で,本国を離れて生活している方がいます。そのような方々も,日本での滞在も10年~20年ほど経って社会的にも経済的にもある程度余裕が出来てきているでしょうし,本国にいる親を呼び寄せる準備が整ってきた,長男長女として本国にいる親の面倒をみるのは自分しかいない,しかしながら日本での生活を投げ捨てて帰国するわけにはいかない,といった状況の中で,本国にいる老齢の親をなんとか日本に呼び寄せたいという思いがあるのではないかと思いわれます。
残念ながら日本の在留資格には,「親の面倒を見る」というための在留資格が存在しないため,単に親を呼び寄せたいというだけでは長期的な在留資格を得ることはできず,「短期滞在」で親を呼び寄せるしかありません。
では「年老いた親」の面倒をみることは、親のいる本国に自分が帰国する以外に選択肢はないのでしょうか。
この場合に人道的な措置として「特定活動」という在留資格で親の呼び寄せが出来る場合があります。これはあくまで個別的判断による人道的な措置であり予め上陸審査基準が類型化されていないため、在留資格認定証明書では呼び寄せが出来ません。
そこで短期滞在ビザで来日して、在留期間中に老親扶養の「特定活動」に在留資格変更申請をすることになります。
老親扶養の「特定活動」について事前に定められた審査基準はありませんが、大まかな目安となる基準はあります。
①親の年齢が概ね70歳以上
②親が本国で身寄りがいないこと
③親が単身であること
④扶養側に親を扶養する経済力があること
⑤親に持病がある。
上記①~⑤の全てあるいは複数該当する場合、老親扶養のための「特定活動」に資格変更が出来る場合があります。
老親扶養「特定活動」の在留資格についてご心配な事やお困り事があるという方は、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。
口座が凍結されたら,強制送還されるのか?
(解説のための事例はフィクションです)
B国籍のCさんは,技術・人文知識・国際業務の在留資格で日本に在留する外国人でした。
ある日,Cさんは日本での生活費に困ってしまい,インターネットで見つけた怪しげなサイトの表記に従って,「銀行のキャッシュカードを預ける代わりに無利子でお金の融資を受けられる」という業者からお金を借りてしまいます。
結局,Cさんが預けた銀行口座は犯罪に利用されてしまい,口座は凍結され,Cさんも警察と検察からの取調べを受け,犯罪収益移転防止法違反として罰金を受けてしまいました。
Cさんは強制送還されてしまうのでしょうか。
強制送還される可能性について
事例のCさんのような行為は,犯罪収益移転防止法,いわゆる,マネーロンダリング防止法の違反となります。日本では,キャッシュカードや支払い用カードを他人に使わせる行為は,マネーロンダリングを助長する行為でもあり,処罰の対象となっているのです。
キャッシュカードの譲り渡し行為については,罰金刑や執行猶予付き懲役刑が言い渡されることが多くあります。Cさんについても,有罪判決として罰金刑が言い渡されると,前科がつくことになります。
Cさんのように就労ビザで日本に在留している場合,前科がつくと強制送還の対象となることがあります。犯罪収益移転防止法違反の場合,前科であっても1年を超える実刑判決でなければ,強制送還の対象とはなりません。そのため,今回の事例の場合には,すぐに強制送還となる可能性は低いでしょう。
更新の手続きでの不利益
すぐに強制送還される可能性は低いと言っても,罰金刑を受けた場合には,その後の日本での在留資格に大きな影響が残ります。
「永住者」以外の在留資格の場合には,必ず在留期間の更新の手続きが必要になりますが,この時に,犯罪収益移転防止法違反による罰金前科があるということは非常に不利な事情になります。犯罪収益移転防止法というのは,いわゆるマネーロンダリング防止法ですが,これはFATFからの勧奨等の影響を受けて制定された法律でもあり,国際的な犯罪(特にテロなど)のための資金が移転されることを防止するものであるため,国際的な目で見ると特に強く非難されることになります。
たとえ罰金刑であったとしても,次回の在留期間の更新手続きの時に,不利な事情になってしまいます。
日本で罰金刑などの有罪判決を受けた方の中には,「隠していればバレないのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし,入管の手続きの中では「自分に不利なことを隠している」というのが最も悪いものだとされています。隠すくらいなら,最初から入管に対しては正直に申告し,それでも資格の変更や更新のために真摯に申告するという姿勢の方が重要です。
罰金刑を受けたなど日本での有罪判決について心配な方や不安なことがある方は,行政書士や弁護士などの専門家にご相談ください。
下記のフォームからもお問い合わせいただけます。
大麻取締法違反で強制送還,再入国できるのか
(解説のための架空の事例です)
X国籍で東京都に住んでいたAさんは,自己使用目的で大麻数グラムを所持していたところ,路上で職務質問を受けて大麻の所持が発覚していしまい,現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは裁判によって,執行猶予付き判決を受けましたが,その後,東京出入国管理局から呼び出されてインタビューを受け,退去強制(強制送還)されてしまいました。
Aさんには婚約関係にあった,日本国籍のBさんという方がいました。Bさんは,Aさんと結婚して日本で生活をしていきたいと思っていますが,Aさんの再入国手続きについて弁護士に相談することにしました。
薬物事件で強制送還された場合
Aさんのように,薬物事件(具体的には,覚醒剤取締法違反,麻薬及び向精神薬取締法違反,大麻取締法違反,麻薬特例法違反)によって有罪の判決を受け,その判決が確定してしまうと退去強制の理由(入管法24条4号チ)が生じます。判決が確定した後に強制送還の手続きとなります。
薬物事件で有罪判決を受けたことによって強制送還となると,日本に再上陸できなくなってしまいます。
日本国内で大麻取締法違反による前科(犯罪歴)がある方の場合,刑の内容や刑期に関わらず無期限で再入国できなくなってしまいます。
再入国を求める場合
Aさんのように薬物事件で有罪の判決を受けて国籍国に送還された後,日本への再入国を求める場合には,上陸特別許可を求めることになります。
上陸特別許可とは,本来は再入国できない人(上陸拒否事由がある人)についても,特別に上陸を許可する事情がある場合に,その外国人の上陸を認めるというものです。
強制送還(退去強制)される手続の中における,在留特別許可のようなものです。上陸特別許可を求めて日本へ入国しようとする場合には,大きく分けて二通りの手続きがあります。
- 国籍国のパスポートを取得して,出国して,日本の空港や港の入管で上陸審査を受ける。
- 出国する前に,在留資格認定証明書の交付を請求する。
1の方法は,言ってみれば「ぶっつけ本番」という形で,ひとまず日本へやってきて,そこから上陸特別許可を得られるかどうかの審査をしてもらうという方法です。この場合,形式的には一度「入国拒否」の処分を受けることになり,そこから改めて上陸審査を受けることになりますから,手続には数日かかることがあります。その間,空港や港から出ることはできません。
ほとんどの方は,2の方法で再上陸できるかどうかについての審査を受けることになるでしょう。
本来,「在留資格認定証明書」というのは,日本での在留資格が認められるかどうかについての事前審査として行われるものです。Aさんの場合,おそらく「日本人の配偶者等」のビザを申請することになりますが,本来であれば「日本人の配偶者等」に該当するかどうかが審査の対象になります。
しかし,上陸拒否事由がある人が在留資格認定証明書の請求をした場合,上陸特別許可をするかどうかについても併せて審査をすることになります。
つまり,AさんやAさんの家族のように,既に強制送還された後の人を呼び寄せたいと思った場合には,先に,上陸特別許可がもらえるのかどうか(在留資格認定証明書がもらえるか)についての審査を受けておいた方が良いでしょう。
1のように,ぶっつけ本番で上陸特別許可を求めても,仮に不許可となった場合には,そのまま国籍国へ帰らなければなりません。費用的にも,時間的にも,身体的にも多大な負担となってしまうでしょう。
一方,2の方法の在留資格認定証明書の請求については,弁護士や行政書士に委任すれば,オンラインでの手続きも可能です。
一度強制送還されてしまった方の再入国については,弁護士等の専門家にご相談ください。
上陸特別許可について
「上陸特別許可」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がご説明します。
日本で暮らす外国人の中で、例えば
- オーバーステイで強制送還された
- 事件を起こして逮捕され1年以上の実刑に処せられた
- 執行猶予を含む1年以上の刑に処せられた
- 薬物犯罪で刑に処せられた
などの場合、一定の事情に該当する方は,一度日本を離れてしまうと,再び日本に入国することを拒否される場合があります。
これは「上陸の拒否」とよばれ、出入国管理及び難民認定法第5条1項で「上陸の拒否」に該当する事情と「上陸拒否期間」が定められています。
①の場合、初回のオーバーステイで5年、2回目以降は10年間上陸が拒否されます。
「上陸の拒否」とは日本への入国が認められないという意味です。
②や③,④のように,犯罪歴がついてしまった場合,一度日本から出国すると「無期限上陸拒否」となり、永久に日本に入国することはできず、該当者にとって大変厳しい規定となっています。
しかし入管法5条1項の「上陸の拒否」に該当すると判断された場合でも、人道上の理由等法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、法務大臣の裁量により上陸の許可を与える場合があります。
この法務大臣による上陸許可を「上陸特別許可」と言います。
「上陸拒否」に該当する日本国外にいる外国人が改めて日本に入国したい場合は、法務大臣に対して「上陸特別許可」を求める「在留資格認定証明書」の申請をします。
理由書・嘆願書・SNS・写真等の証拠書類を添付した「在留資格認定証明書」を通して、法務大臣に「上陸を認めるべき特別の事情」を説明して在留許可のお願いをします。
オーバーステイ等で強制送還され上陸拒否に該当する場合でも、上陸拒否期間内に日本に戻れる場合があります。上陸拒否にあたる家族や友人を日本に呼び戻したい方はお一人で悩まずに、まずは入管業務を扱う弁護士・行政書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
「留学」の在留資格について解説,ビザがもらえる学校はどこまで?
在留資格「留学」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律所が解説します。
1.「留学」の在留資格に該当する活動
本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。
2.基準 一部抜粋
(前略)四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。 (後略)
3.基準についてのポイント
基準省令四の二は、申請人が中学校若しくは特別支援学級の中学部又は小学校若しくは特別支援学級の小学部において教育を受けようとする場合の基準です。
イからホまでありますが、学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当しなくともかまいません。
イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であることが必要です。
ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であることが必要です。
二 申請人を受け入れる小学校、中学校、特別支援学校等に常勤の生活指導員が必要です。
ホ 申請人が日常生活を支障なく営むための「寄宿舎」「宿泊施設」が必要です。
この「寄宿舎」「宿泊施設」は申請人の監護者の自宅で構いません。
4.「留学」と「資格外活動」について
「留学」としてイメージしやすいのは「大学」ですが、在留資格【留学】は小学校から大学院までを対象としています。
「留学」には日本語学校も含まれます。
在留資格「留学」で日本語学校等に入学された方は本来働くことは認められていませんが、「資格外活動許可」を受けた場合には、週28時間以内(長期休業(夏休み等については1日8時間以内)のアルバイトがみとめられます(風俗営業店舗等を除く。)。
資格外活動許可を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり、在留更新が認められない場合があり、近年、ブローカーの甘言を安易に信じ、入国当初から多額の借金を背負うことになった結果、借金返済のために制限を超えたアルバイトをすることで本来の日本語学校での勉強がおろそかになり、ほとんど日本語が習得できないまま、帰国を余儀なくされたり、より稼ぎをえるために失踪する者が増加していることが問題となっています(出入国在留管理局HPより)。
家族滞在の在留資格について,具体例を解説
在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.「家族滞在」の在留資格に該当する活動
法律上,「家族滞在」の在留資格が認められる場合としては,次のように規定されています。
入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動。
2.該当例
具体的に言うと,「外交」、「公用」、「特定技能1号」、「技能実習」、「短期滞在」、「研修」及び「家族滞在」を除く別表第一の一から四までの表の上欄の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者及び子が,家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。
逆に,配偶者及び子以外の家族は対象とはならりません。ここでいう「子」には養子も含まれます。
子は未成年者であることを要件とされておらず、成年に達していてもかまいません。
配偶者は、これらの在留資格をもって在留する外国人と現に婚姻している外国人です。
婚姻は法的に有効に成立した者でなければならず、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者に含まれません。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P203)
また、外国で有効に成立した同性婚による者も含まれません。
3.「特定技能」の外国人の場合や,「扶養を受ける配偶者,子」の範囲について
「特定技能」の場合
「特定技能1号」の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれません。「特定技能2号」の配偶者、又は子は「家族滞在」の在留資格に該当する活動に含まれます。「特定技能2号」の外国人は、配偶者及び子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。
「扶養を受ける配偶者及び子」の範囲
「扶養を受ける」とは、扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養をすることが可能な資金的裏付を有すると認められることをいいます。
「配偶者」については原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態、「子」にあっては扶養者の監護養育を受けている状態の事をいい、経済的に孤立している配偶者又は子としての活動は含まれません。(審査要領)
外国で有効に成立した同性婚の場合
海外では同性婚が認められる国は複数ありますが、日本では同性婚が認められておらず、海外での同性婚者は、「家族滞在」の在留資格に該当する「配偶者」として認められていません。なお、母国の法律で同性婚が認められたカップルの間でなされた婚姻での一方のパートナーに対して、告示外での「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。
「家族滞在」の在留資格についてご心配なことやお困りのことがあるという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。
在留特別許可を争った裁判事例 東京地方裁判所その13
このページでは,在留特別許可を求めて争った裁判事例について,判決文を解説します。
今回の事例は,令和4年4月14日に東京地方裁判所で判決が言い渡された事例です。
この事例では,外国籍の男性Aさんが,日本国内で外国籍のBさんと婚姻し,その後,永住許可を受けて日本で生活していましたが,Aさんは風俗営業法違反や売春防止法の違反によって執行猶予付き懲役刑を受け,強制送還の手続きに付されました。その後,出入国管理局は,Aさんに対して退去強制令書を発付して,正式にAさんを強制送還するとの決定をしました。
Aさんは,日本での婚姻関係やその家族と日本に引き続き在留することを求めて,退去強制(強制送還)令書の取消を求めて裁判を起こしました。
事案の概要
Aさんは「留学」の在留資格で来日した後,Bさんと出会って結婚し,日本の大学を卒業しました。
Bさんには前婚からの連れ子がいましたが,Aさんとの間にも実子をもうけました。Aさんは「留学」の在留資格から「定住者」へと変更し,その後に永住者に変更しました。
Aさんは輸入関係の会社を経営していましたが,それとは別でマッサージ店を経営するようになり,このマッサージ店において無許可で性的なサービスが提供されたことから,風俗営業法の違反によって罰金刑を受け,更にその後もマッサージ店で売春行為が行われていたことから売春防止法違反によって執行猶予付き懲役刑の判決を受けることになりました。
売春防止法違反に当たった行為は,入管法における売春関連業務に従事していることにもなったため,Aさんは退去強制(強制送還)の対象となってしまいました。
①原告であるAさんは,
・Aさんが永住許可を受けていること
・Aさんが日本に定着していること
・Bさんとの婚姻関係や子供との親子関係があること
から,在留特別許可が認められるべき事案であると主張しました。
②これに対して被告の国は,
・Aさんの売春関連業務への従事の違法性が大きいこと,犯罪性が大きいこと
・永住許可は特に考慮する事情ではないこと
・本国への帰国期間が長いこと
・家族関係も含めて,Aさんを強制送還したとして支障は少ない
から,在留特別許可が認められるべき事案ではないと主張しました。
裁判で重要になったポイント,裁判所の判断
裁判所は,Aさんの訴えを認めず,請求を棄却しました。
まず,Aさんが強制送還されるに至った事情である風営法違反や売春防止法違反の事実は,日本で法律を守って生活しようとする意識の低さを表していると指摘しました。
また,永住許可を受けているという事情についても,永住者だから直ちに在留特別許可がなされるというわけではなく,あくまで一事情にとどまり,上記のような法令の違反があることも考慮すると,在留特別許可を認める大きな事情とまでは言うことができないとしました。
そして,Aさんの日本への定着性や家族関係についても,①日本との定着性については,2度の法令違反があったのだから善良な生活状況だったとは言えない,②家族関係については,Aさんの妻と実子はAさんと同じ国籍なのだから本国で一緒に暮らすこともできること,連れ子については成人していて仕事もしているし,Aさんの本国での生活も可能である事を理由に,在留特別許可をするほどの事情ではないとしました。
コメント
在留特別許可を求める事案において,外国人同士の結婚(永住者の外国人同士)の場合には,やはり日本人同士の結婚とは異なり,法律上保護される程度が低くなっています。
また,売春に関わっていたとされると,入管法上は非常に厳しい対応をされてしまいます。売春関連については,刑事裁判で有罪の判決を受けていない段階でも,強制送還が可能とされていますし,仮に不起訴処分になったとしても,入管は退去強制事由があるとして強制送還できます。それだけ,外国人による売春に対して厳しい対応をしているということになります。
この事案のように,日本国内で,比較的安定した家族生活を営んでいるというケースであっても,売春関連業務に関わっているというように,違法性が高いと認められると,在留特別許可の見込みも低くなってしまいます。
在留特別許可に関する対応は,入管が関わる前の段階から,刑事事件での対応の段階で,ある程度の決着がついてしまいます。ご不安なことがある方は,一度弁護士や行政書士などの専門家にご相談ください。
在留期間の延長が認められなくなる!? 特別措置の終了について
「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による帰国困難者に対する 在留資格上の特例措置の終了」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
コロナ禍の拡大により、在留期限が経過した後も帰国できない等の事情に鑑みて、新型コロナウイルス感染症による帰国困難者に対する特例措置が取られてきました。
出国者が増加している状況等を踏まえ、特例的な在留を認めている外国人の方について、現に有する在留資格の在留期限に応じ、以下のとおり帰国に向けた措置がなされてきましたが、令和4年11月1日を持って、コロナウイルス感染症の影響によるすべての特例措置が全て終了しましたので、ここで在留期限ごとに特例措置終了について解説いたします。
① 在留期限が令和4年6月29日までの方
以下のとおり在留期間の更新を許可します。 a)「特定活動(6か月)」等で在留している方:「特定活動(4か月)」 b)「短期滞在(90日)」で在留している方 :「短期滞在(90日)」 注1)現在許可されている範囲において引き続き就労できます。 注2)次回更新時には「特定活動(4か月)」又は「短期滞在(90日)」を「今回限り」として許可します。
現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例による在留更新に該当する方はいません。
② 在留期限が令和6月30日以降の方
「今回限り」として、以下のとおり在留期間の更新を許可します。 a)「特定活動(6か月)」等で在留している方:「特定活動(4か月)」 b)「短期滞在(90日)」で在留している方 :「短期滞在(90日)」 注1)現在許可されている範囲において引き続き就労できます。 注2)帰国困難を理由とする在留許可は今回限りとなります。今回許可された期間内に帰国準備を進めてください。 注3)上記の許可に係る在留期間を満了した場合には、在留期間の更新は認められません。
現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例による在留更新に該当する方はいません。
③ 新たに帰国困難を理由として在留を希望する方
令和4年11月1日までに現に有する在留資格の在留期限が満了する場合に限り、上記②の「今回限り」の措置 を認めます。 注)「特定活動(雇用維持支援)」については最大1年(※「今回限り」)を許可します。
現在、この在留期限における特例措置は全て終了し、特例措置による在留更新に該当する方はいません。
④ 在留期限が令和4年11月2日以降の方
コロナ帰国困難を理由とした「特定活動」又は「短期滞在」への変更は認められません。
(令和4年11月2日以降に在留期限を迎える方はコロナ特例措置の対象外です)
①~④に該当するすべての在留期限において、新型コロナによる特例措置が終了したことで、
これらの期限以後の新型コロナウイルスの影響による在留期限の延長は認められません。
在留期間更新の際は、オーバーステイにならないよう注意しましょう。
参考;「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による帰国困難者に対する在留資格上の特例措置の終了について」 (出入国在留管理局HP)
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