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永住者として認められる条件,申請手続きを解説

2023-08-08

日本で永住権を取得するためのビザ手続きのポイント解説!

外国人の皆さん、日本で永住権を取得したいと思っている方々への情報提供を目的とした本記事では、ビザの手続きについて弁護士が解説します。日本で永住権を取得することは、外国人にとって大きな目標の一つであり、その手続きや要件について正確な情報を得ることは重要です。

在留資格や永住者としての地位を得るためには、日本国益への合致素行の善良性といった要件を満たす必要があります。具体的には、日本社会においての経済的・社会的な貢献や法令の順守、犯罪の非存在などが求められます。

この記事では、弁護士の専門知識をもとに、ビザの手続きに関する情報を簡潔かつわかりやすく解説します。ビザの種類や申請手続き、必要な書類など、具体的な情報を提供することで、皆さんの永住権取得に向けた道筋を示すことができるでしょう。

用語の解説

 在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本に滞在するために必要な資格のことを指します。留学や就労、技術・人文知識・国際業務などの各分野ごとに異なる在留資格が存在します。在留資格を持つことで、外国人は合法的に日本で生活することができます。

永住者とは

永住者とは、外国人が日本に永住するための在留資格です。永住者になるためには、一定期間日本で滞在していることや安定した収入があることが求められます。永住者として認められることで、外国人は日本での生活をより安定させることができます。

日本国益への合致

外国人が永住権を取得するためには、日本国益への合致が求められます。具体的には、経済的・社会的な貢献が期待され、日本社会において有益な存在であることが求められます。日本国益への合致は、永住権の申請において重要な要素となります。

素行の善良性

永住権の申請においては、素行の善良性も重要な要素です。外国人が日本国内で法令を遵守し、社会的なルールを守ることが求められます。犯罪歴や不正行為の有無など、素行の善良性永住権の申請において評価されます。

以上が、外国人、在留資格、永住者、日本国益への合致、素行の善良性についての事前知識です。これらの要素を理解することで、より具体的な情報を知ることができます。

永住者とは

永住者とは、外国人が日本において永続的に居住することが許された在留資格を持つ者を指します。永住者となるためには、一定期間(通常は10年以上)日本に在留し、かつ日本国益への合致素行の善良性を満たす必要があります。

永住者となることにより、外国人は日本での生活においてさまざまな権利や利益を享受することができます。永住者は、就労の自由や社会保険の利用、国民と同等の社会的地位を得ることができるなど、日本での生活の安定を図ることができます。日本で住宅を購入する際の住宅ローンについても,外国人の場合には永住者でなければローンの審査を通過しないことが多いです。

永住許可が認められる要件

外国人が永住者となるためには、日本国益への合致素行の善良性を証明する必要があります。日本国益への合致とは、外国人が日本での生活や社会に貢献できる能力や意欲を持っていることを示すものです。具体的には、就労や起業などを通じて日本の経済や社会の発展に寄与することが求められます。

また、外国人の素行の善良性永住者としての資格を得るために重要な要素です。素行の善良性とは、法令を遵守し、日本の社会規範や倫理に基づいた行動を取ることを指します。具体的には、犯罪行為のないことや納税義務の遵守などが求められます。

これらの要件を満たすことが、外国人が永住者となるための重要な条件となります。永住者となることにより、日本での安定した生活や社会的な地位を築くことができるでしょう。

日本国益への合致

永住権を取得するためには、日本国益への合致が求められます。これは、外国人が日本社会や経済に貢献することによって日本国全体の利益になることを意味します。具体的には、外国人が技術や知識を持っていて、これを日本国内で活かすことができる場合や、外国人がビジネスを起こして雇用を生み出す場合などが該当します。

素行の善良性

また、永住権を取得するためには、素行の善良性も重要な要素です。外国人が日本の法律や規則を遵守し、社会的にも問題を起こさないことが求められます。具体的な要件としては、犯罪歴のないことや、日本の社会的なルールや習慣に適応し、他の人々との共存を図ることが挙げられます。これによって、外国人が永住権を取得することによって日本社会にプラスの影響を与えることが期待されます。

外国人が日本で永住権を取得するためには、在留資格を適切に持ち、日本国益への合致素行の善良性を示す必要があります。これらの要件を満たすことによって、外国人は安定した生活を送ることができ、日本社会において貢献することができるでしょう。

永住許可が認められることによるメリット

在留資格を持つ外国人は、就労に関しても制約を受けます。就労ビザを持っている外国人であっても、好きな業種で自由に働けるわけではありません。特定の在留資格を持っている場合には、その在留資格に応じた業務に従事する必要があります。また、労働時間や給与についても規定があり、厳密に守らなければなりません。

永住許可を得られた場合には,これらの制約がなくなることになります。

永住権を取得するためのプロセス

永住権を取得するためには、以下の手続きを行う必要があります。

1. 在留資格の取得

永住権を取得するためには、まずは適切な在留資格を取得する必要があります。適切な在留資格を取得した後、特定の期間を経過することで、永住権の申請が可能となります。

2. 永住申請

永住権を取得するためには、在留資格を持つ外国人が所轄の出入国管理局に永住の申請を行う必要があります。

日本では永住権を申請するのではなく,「永住者」という在留資格への変更の手続きになります。

申請には、申請書類や必要な書類の提出、場合によっては入国管理局の担当者との面接といった手続きがあります。

3. 審査と結果通知

永住者への在留資格変更申請は、出入国管理局による審査が行われます。審査には、日本国益への合致や素行の善良性などが考慮されます。審査結果は、通常数ヶ月後に通知されます。

4. 永住権の取得

審査が通過した場合、外国人は永住権を取得することができます。永住権を取得すると、日本において永続的に居住し、自由に就労することができるようになります。

まとめ

以上が、外国人が日本で永住権を取得するための手続きと要件についての解説です。永住権を取得するためには、日本国益への合致素行の善良性といった要件を満たす必要がありますが、一度取得すると自由な活動が可能となります。永住権を目指す外国人の皆さんにとって、この情報が役立つことを願っています。

外国人の方が日本で永住権を取得するためには、ビザの手続きについて正確な情報を知ることが重要です。この記事では、弁護士がビザの手続きについて解説しました。

永住者になるためには、日本国益への合致や素行の善良性などの条件があります。これらの条件を満たすためには、正確な情報を得るだけでなく、法律や規制に適切に従うことも大切です。

この記事を通じて、日本で永住権を取得したい外国人の皆さんが、ビザの手続きについてより理解を深めることができれば幸いです。是非、正確な情報を元に、自身の永住権取得のための道を歩んでください。

窃盗罪で強制送還されるのか?定住者ビザでの事例解説

2023-08-05

退去強制手続きは、外国人が日本での在留資格を失う恐れのある重要な手続きです。

この記事では、「定住者」の在留資格を持つAさんの事例を通して、退去強制手続きのプロセスと法律的な側面を詳しく解説します。

事例紹介: 「定住者」在留資格のAさんのケース

Aさんは、40歳の中国国籍で、定住者ビザで日本に在住していました。彼は、長年、東京都内の企業で働いていましたが、コロナ禍でのリストラにより職を失いました。

あるとき、経済的な困窮から窃盗罪に手を染めることになります。彼は、都内のデパートで高級ブランドのバッグを盗み、窃盗罪によって逮捕されました。

この事件は、彼の友人や家族に衝撃を与え、彼の在留資格に重大な影響を及ぼす可能性がありました。彼は、窃盗をした理由として、家族を養うための経済的な困窮を挙げました。

裁判では、Aさんの家庭状況や反省の態度が考慮されて、執行猶予付きの有罪判決が下されてしまいました。Aさんは今後,自分の在留資格がどうなってしまうのか不安に思い,弁護士に相談することにしました。

Aさんはこれからどうなるのか?(退去強制されるのか)

退去強制手続きは、以下のような場合に発生します。

  1. 一定の入管法によって処罰された場合
  2. 一定の旅券法に違反して懲役、禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合、罰金だけでもアウト!)
  3. 麻薬取締法、覚醒剤取締法、大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  4. 一定の刑法犯で懲役、禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  5. どの法律違反であっても、「1年を超える実刑判決」を受けた場合

Aさんの場合、窃盗罪に該当し、上記の「一定の刑法犯」に含まれています。

しかし、「定住者」の在留資格であれば入管法の別表2ですから、執行猶予付きの有罪判決を受けたとしても強制送還にはなりません。

ただし,定住者のビザは在留期間の定めのある在留資格です。定住者の方の多くは,1年,3年の在留資格をお持ちでしょう。そうなると,長く日本で滞在するためには延長の申請をしなければなりません。

Aさんのように,日本で有罪判決を受けてしまった場合には,その次の在留期間の延長申請が「不許可」となってしまうことがあります。

延長申請が認められるかどうかは,

  • 在留資格の活動目的に沿った滞在を続けているか
  • 在留期間中の素行は善良か

と言った点が判断材料になります。

日本で窃盗罪によって有罪判決を受けてしまったということは,「素行が悪い」と判断される材料でもあるのです。

弁護士へ相談

退去強制手続きは複雑で、個々のケースに応じた専門的な対応が必要です。弁護士への早期相談が、在留資格の保持や強制送還の回避につながることが多いです。

まとめ

退去強制手続きは、外国人の在留資格に直接関わる重要な問題です。Aさんの事例を通じて、法律的な側面と対応策を解説しました。このような状況に直面した場合、専門家への相談が重要であることを強調します。

暴力事件を起こしてしまった場合の強制送還手続きを弁護士に相談

2023-08-03

退去強制手続きは、外国人が日本で犯罪を犯した場合に発生する可能性がある手続きです。この記事では、具体的な事例を通じて、退去強制手続きの法律的側面を詳しく解説します。法律の細部にわたり、どのような状況で退去強制手続きが発生するのか、どう対処すべきかについて深く探ります。

事例紹介: 定住者ビザのAさんの刑法違反

Aさんは「定住者」ビザで日本に在住していました。ある日、ストレスから酒に酔い、公共の場で暴力を振るってしまいました。被害者が警察に通報し、Aさんは逮捕されました。この事件は、Aさんにとって人生を大きく変える出来事となりました。

裁判で有罪判決を受け、退去強制手続きが始まりました。

退去強制手続きの基礎知識

退去強制手続きは、以下のような場合に発生します。

  1. 一定の入管法によって処罰された場合: 旅券法違反など。
  2. 薬物事件で有罪判決を受けた場合: 麻薬取締法、覚醒剤取締法など。
  3. 一定の刑法犯で懲役、禁錮刑に処せられた場合: 執行猶予がついても対象。
  4. 1年を超える実刑判決を受けた場合: 任意の法律違反で刑事裁判を受けた場合。

特に、窃盗罪、強盗罪、詐欺罪など、一定の刑法犯でも強制送還の対象となります。しかし、在留資格によって強制送還されるかどうかが変わることがあります。例えば、「日本人の配偶者等」や「定住者」の在留資格では、執行猶予付きの有罪判決を受けても強制送還にはなりません。

退去強制手続きは、入管法に基づいて行われます。手続きは、入国管理局が行い、強制送還の決定が下されると、外国人は日本から退去しなければなりません。強制送還の決定は、裁判所の判決とは別に行われる行政手続きです。

弁護士へ相談

退去強制手続きは非常に複雑で、個人で対応するのは困難です。弁護士に相談することで、適切な法的サポートを受け、最良の解決を目指すことができます。弁護士は、強制送還の決定に対して異議申し立てを行うことも可能で、適切な権利保護を図ります。

また、強制送還が決定された場合でも、強制送還の執行を一時的に停止する申し立てなど、クライアントの権利と利益を最大限に守るための支援を提供します。

弁護士への相談の重要性

退去強制手続きは、外国人にとって非常に深刻な問題であり、その結果として日本からの強制送還が発生する可能性があります。

このような重大な事態に対処するためには、専門的な知識と経験が必要とされます。

弁護士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。

  1. 法的権利の確保: 弁護士は、クライアントの法的権利を理解し、保護するための適切な手続きをガイドします。
  2. 適切な対応策の提案: 事案に応じて、最適な対応策を提案し、実行します。
  3. 強制送還の回避: 可能であれば、強制送還の回避や猶予の申請など、クライアントの利益を最大限に守るための戦略を立てます。

退去強制手続きの予防

退去強制手続きに至らないためには、以下のような予防策が重要です。

  • 法律の遵守: 日本の法律を遵守し、特に入管法や刑法などの重要な法律に対する理解を深めることが基本です。
  • 適切なビザの取得と更新: 在留資格に関連する法律を遵守し、ビザの取得や更新を適切に行うことが重要です。
  • 弁護士との定期的な相談: 法律の変更や個人の状況の変化に対応するため、弁護士と定期的に相談することが推奨されます。

最終的なまとめ

退去強制手続きは、外国人にとって非常に重要な問題であり、その対応には専門的な知識と経験が求められます。この記事では、具体的な事例を通じて退去強制手続きのプロセスと法的側面を解説しました。

弁護士に相談することで、適切な法的サポートを受けることができます。また、法律の遵守と適切なビザの管理、弁護士との定期的な相談など、退去強制手続きの予防策も重要です。

この記事が、退去強制手続きに関連する法律の理解と適切な対応の一助となることを願っています。

まとめ

退去強制手続きは、外国人が日本で法律に違反した場合に発生する可能性がある重大な手続きです。この記事では、Aさんの事例を通じて、退去強制手続きの具体的なプロセスと法的側面を詳しく解説しました。

法律の細部は非常に複雑であり、個人での対応は困難です。強制送還が決定された場合、弁護士に相談することで、適切な法的サポートを受けることが可能です。弁護士は、異議申し立てや強制送還の執行停止の申し立てなど、様々な法的手段を用いてクライアントの権利を保護します。

退去強制手続きは、人生に大きな影響を及ぼす可能性があるため、法律に対する理解と適切な対応が求められます。この記事が、退去強制手続きについての理解を深める一助となれば幸いです。

入管に収容されたらどうなる?仮放免とは何か?

2023-07-31

「仮放免」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「仮放免」とは、収容されている外国人について、請求により又は職権で一時的に収容を停止して、一定の条件を付して身柄の拘束を仮に解く制度のことです。

収容令書による収容期間は「30日(やむを得ない事由がある場合は、30日を限り延長可能)」、退去強制令書による収容は「送還可能のときまで」と定められていますが、被収容者の健康上の理由や出国準備等のために身柄を解放する必要が生じることもあるため、そのような場合に対応するために設けられたものが「仮放免」です。

(1)仮放免の請求について
仮放免の請求人
被収容者本人又はその代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹と定められています。

仮放免の請求先
被収容者が入国者収容所に収容されている場合は当該入国者収容所長に、また地方出入国在留管理局の収容場に収容されている場合は当該収容場を所管する地方出入国在留管理局の主任審査官に対して請求することになります。

仮放免の請求に際しては、仮放免が許可された場合に仮放免中の身元引き受け及び法令の遵守等の指導を確実に行う身元保証人を決めていただく必要があります。

・提出書類
①仮放免許可申請書
②身元保証書
③誓約書(誓約書は、収容されている外国人と身元保証人になろうとする方の2通が必要となります。)

なお、仮放免の申請について、手数料はかかりません(ただし、仮放免の許可に際しては、保証金の納付が必要となります。)。

(2)放免の許可について
請求人から仮放免の請求があった場合、被収容者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠等を総合的に考慮して、300万円以下の保証金を納付させて、かつ住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免することができると定められています。

なお、この保証金については、入国者収容所長又は主任審査官が適当と認めたときに限り、被収容者以外の者が差し出した保証書をもって保証金に代えることができますが、保証書には保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければなりません。

(3)仮放免の取消しについて
仮放免許可を受けた外国人が、(1)逃亡した場合や、(2)逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合、(3)正当な理由がないのに呼出しに応しない場合、(4)その他仮放免に付された条件に違反した場合は、仮放免を取り消すことができると定められています。

(4)保証金の没取について
仮放免が取り消されたときは、保証金が没取されます。

この没取には全部没取と一部没取があり、取消しの理由が、前記取消事由の(1)及び(3)の場合は保証金の全額、その他の理由による取消しの場合は保証金の一部が没取され、一部没取の場合における金額は、事情に応じて決定されることになります。

なお、退去強制令書により収容されていた者が仮放免中に自費出国する場合又は仮放免の許可に期限が付されている場合であって、期間満了により再度収容されたときは、仮放免の取消しではないので保証金は全額還付されます。

収容されている外国人の配偶者や直系の親族、兄弟姉妹の方で、「仮放免」についてお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

定住者ビザはどんな場合にもらえる?誰でももらえる?

2023-07-28

在留資格「定住者」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「定住者」の在留資格に該当するのは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者です。

定住者」の該当例としては、第三国定住難民・日系3世・中国残留邦人等です。

「定住者」の在留期間は、5年・3年・1年・6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。

なお、この「定住者」については、成年年齢の引下げ等を内容とする「民法の一部を改正する法律」の成立を受け、定住者告示6号各号に規定する「未成年」については、現行の20歳未満から18歳未満に変更になり、令和4年4月1日から実施されています。

令和4年4月1日以降、18歳以上の方は「未成年・未婚の実子」として新規に在留資格「定住者」で入国することができませんのでご注意ください。

ただし、既に「定住者」の在留資格をお持ちで再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国している方への影響はありません。

以下の法務省告示に適合している場合は、法務大臣の個別の指定がなくても上陸許可を受けられます。

・日系2世及び3世
・日本人の子として出生し「日本人の配偶者等」の在留資格を有する者の配偶者
・1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者
・1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の扶養を受けて生活する未成年かつ未婚の実子
・日本人等の配偶者で「日本人の配偶者」等の在留資格を有する者の未成年かつ未婚の実子
・日本人等の扶養を受けて生活する6歳(場合により8歳)未満の養子
・中国残留邦人等とその親族
・インドシナ難民のうち一定範囲の者

また、上記の法務省告示に適合していなくても、人道上その他特別な事情があれば、上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に際して、この「定住者」の在留資格が与えられる場合があります。

法務省告示に適合していないパターンの「定住者」の在留資格を認めてもらうためには、申請人が日本で生活していくため人道上の必要性があることを説得することが必要になります。
 
この「定住者」の在留資格のメリットは、永住者と同様に仕事の種類に関係なく就労することができる点にあります。

しかし、永住者とは異なり、定期的に在留期限の更新手続きは行わなければなりません。

以上のように、法務省告示に適合しているパターンの「定住者」の在留資格の取得は難しくはありませんが、法務省告示に適合していないパターンの「定住者」の在留資格を認めてもらうためには、人道上の必要性があることを説得することが必要になりますので、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「日本人の配偶者」の在留資格はどんな場合に認められる?結婚すれば必ずもらえるのか?

2023-07-25

「日本人の配偶者等」の在留資格について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

いわゆる「配偶者ビザ」は,日本に住んでいる外国人の方にとって,最も手堅く安全な在留資格と言えます。

ビザによる就労の制限はなく,在留期間についても更新が容易であり,何よりも永住者の在留資格を取得しやすいという点が魅力的です。

在留資格「日本人の配偶者」としてどのような要件が必要かについて、まず第一に「日本人の配偶者としての身分を有する者」であることが必要です。     
「日本人の配偶者」における「配偶者」とは、現に婚姻中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した者又は離婚した者は含まれないとされています(審査要領)。
では、ここでの「婚姻」は、法律上の結婚で足りるのか?あるいは他に何らかの要件が必要なのでしょうか?
この「日本人の配偶者等」における「婚姻」の判断について、最高裁まで争われた事件がありました。
争いとなった事件の概要は、およそ以下のようなものでした。

出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)別表第一の三の表所定の「短期滞在」の在留資格で本邦(日本)に在留していたタイ王国の国籍を有する被上告人が、上告人(国・出入国在留管理局)に対し、法別表第二所定の「日本人の配偶者等」の在留資格への変更申請(以下「本件申請」という。)をしたところ、上告人がこれを不許可とする旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたため、被上告人が本件処分の取消しを求めたもので、日本人と婚姻関係にある外国人(タイ王国の国籍者)が、日本上陸後約1年3か月の同居生活の後、約4年8か月間別居生活を続け、その間、婚姻関係修復に向けた実質的、実効的な交渉等はなく、独立して生計を営んでいたなどの事情の下において、当該外国人の日本における活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当するといえるか、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性が争点となりました。

最高裁(平成14年10月17日)は、「日本人の配偶者等」の「配偶者」としての在留資格該当性について、およそ以下のような判断を下しました。

1.「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦に在留するためには、単にその日本人配偶者との間に法律上有効な婚姻関係があるだけでは足りない。
2.日本人配偶者との間に、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって共同生活を営むことを本質とする婚姻という
  特別な身分関係を有する者として日本活動しようとすることに基づくものと解される。
3.婚姻関係が法律上存続している場合であっても、夫婦の一方又は双方が既に婚姻継続の意思を確定的に喪失しているとともに、夫婦としての共同生活
  の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至ったときは、当該婚姻はもはや社会生活上の実質的基礎を失っている者というべきである。

本判決は、「配偶者としての活動を行う者」とする者の在留資格が付与されるべき者について、日本人との婚姻が法律上有効なものであれば足りるものとする(平成6年5月26日東京地方裁判所判決)の考えを否定して、在留資格「日本人の配偶者等」での「婚姻」といえるためには「単なる法律上の婚姻だけでは足りない。」とする国側(出入国在留管理局)の主張を採用しました。
今となっては当たり前のように見える判断ですが、下級審で判決のあった平成8年当時は、決して当たり前の判断基準ではなかったということです。
この最高裁判決が、在留資格「日本人の配偶者等」の在留資格該当性における現在の判断基準となっています。
参考:最高裁判所判例,出入国在留管理局審査要領

技能実習制度が廃止される可能性?新たな受け入れ制度ができるのか?

2023-07-21

「技能実習制度の廃止」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

昨年から政府にて議論がなされていた「技能実習制度と特定技能の一本化」について、2023年4月に政府の有識者会議にて、技能実習制度を廃止する方向性であることが発表されました。
政府は、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度を廃止すべきだとした上で、人材確保などを目的に中長期的な滞在を円滑にし、転職についても一定程度認めるように緩和するといった技能実習制度に代替する新たな制度への移行を求める中間報告のたたき台を示しました。

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、発展途上国の人材を育成する「人づくり」を通じた国際貢献を目的とする一方、実際は労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっており、失踪などのトラブルが相次ぐなど、目的と実態に乖離がありとの指摘が少なくありません。

技能実習制度は、2017年11月に出入国管理及び難民認定法から独立して制定された「技能実習法」により従来の技能実習制度をアップデートして、技能実習を推奨していましたが、技能実習生は人材難が深刻な地方や中小企業でニーズが高いですが、違法な低賃金で長時間労働を強制されたり、実習先で暴力を受けたりするケースがあとを絶ちません。

また、実習生の約50%以上が母国の送出し機関や仲介者に手数料などを払うため、来日前に何かしらの借金を負って来日します。

転職や「転籍」をして,働く企業を変えることも,原則としてはできないことなどから、実習先から逃げ出した実習生はおよそ7,000名にも及ぶといわれています。

こうした実態を見直すため、2022年11月に政府の有識者会議が設置され、2022年12月から計4回にわたって議論が行われてきました。

技能実習制度に代替する新たな制度では、人材育成だけではなく「働く人材の確保」を主な目的に掲げ、これまで原則できなかった働く企業の変更も、従来の技能実習制度に比べて緩和し、一定程度認める方針です。

また、技能実習生として3年以上の実習を修了した場合に、試験を免除される「特定技能」への移行が円滑にできるようにして、中長期的に活躍する外国人材の確保につなげるとしています。

さらに、技能実習生を団体監理型で受入れをする場合に、送出し機関と受入れ会社の仲介してきた「監理団体」について、受入れ会社への適切な監査を怠り、行政処分を受ける例が相次いでいるため、技能実習制度に代替する新たな制度では会社からの独立性の確保など、「監理団体」としての要件を厳格化するとしています。

いずれにしても、今秋をめどに有識者会議にて最終報告書を提出する予定になっています。

以上のように、技能実習制度が廃止され、技能実習制度に代替する新たな在留資格の創設が検討されておりますので、現在技能実習生を受け入れている企業などは、今後どのように議論がなされていくのかに注目しておいた方が良いかと思います。

飲酒運転で事故を起こしたら,ビザが取り消される?

2023-07-18

(以下の事例はフィクションです)

外国籍のAさんは,留学生として来日し,日本の企業に就職して「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して日本に在留しています。

Aさんは日本の会社に勤めており,日本での生活は5年程度です。ある日Aさんは,会社の飲み会へ車で行ってしまい,「少しくらい平気だろう」という気持ちから,飲酒運転をしてしまいました。その結果,Aさんは前を走っていた車に追突して,人身事故を起こしてしまいました。Aさんは警視庁大塚警察署に逮捕され,道路交通法違反,過失運転致傷罪で起訴されてしまいました。

Aさんは,今後も日本に残ることができるのでしょうか。

飲酒運転での逮捕,起訴

飲酒運転は,通常の運転と比べて重大な事故を起こしてしまう危険がある運転です。

統計上,通常の運転による事故で死亡事故となってしまうのは「0.78%」ですが,飲酒運転の場合はその7倍の「5.54%」が死亡事故になってしまうのです。

参考:警視庁HP

そのため,飲酒運転事故を起こしてしまった場合には,逮捕されるケースが多く,死亡事故にはならなかったとしても,起訴される可能性が高い事件になります。

Aさんのように,「少しくらい平気だろう」というという甘い認識が,重大な事故につながってしまうのです。

在留資格・ビザは取り消されるのか

Aさんのように,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格にて日本に在留している方が,飲酒による人身事故を起こして,起訴されてしまった場合,ビザが取り消されたり強制送還されたりすることはないのでしょうか。

まず,Aさんの「技術・人文知識・国際業務」のビザのように就労系のビザの場合,強制送還される可能性があるのは次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

Aさんの事件は,道路交通法違反,自動車運転過失致傷ですから,4つめの「一定の刑法犯」には該当しません。そのため,1年以上の実刑判決を受けることがなければ,強制送還にはならずに済むかもしれません。

しかし,「在留資格の取消し」に注意しなければなりません。

在留資格の取消しとは,一度ビザが認められた後の事情によって,ビザが取り消されてしまうことです。

ビザが取り消されてしまうのは,次のような場合です。

  1. ビザの手続きで嘘の記載をしたり,不正な手段を用いた場合
  2. ビザの手続きにおいて虚偽の書類を提示した場合
  3. 正当な理由なく在留資格に応じた活動を3か月以上行っていない場合(配偶者ビザの場合には6か月)
  4. 住所地に関する届け出をきちんとしなかった場合

細かく言うとさらに別れるのですが,概ね上記のような場合にビザが取り消されることがあります。

Aさんの場合,「3」が問題になってしまいます。Aさんは飲酒運転,人身事故によって,会社を解雇されてしまう可能性があるのです。解雇された後,転職先が見つからなければ「在留資格に応じた活動を行っていない」として,ビザの取消の対象となってしまうことがあります。

日本の企業において,「逮捕された」ことや「飲酒運転をしていた」というのは,とても責任が重いことで,懲戒解雇となる可能性も高い違反です。

日本で逮捕されてしまった,起訴されてしまった,という外国人の方は,ビザのことを含めて専門家に相談した方が良いでしょう。

在留期間を超えて日本に残れることがある?在留特例期間を解説

2023-07-15

国内に滞在する外国人が3か月以上継続して日本に滞在する場合は、在留の活動に伴う在留資格が与えられ、在留活動の内容を表示するものとして在留カードが発行されます。

在留カードには在留資格に伴う活動の有効期限として在留期間の満了日が記載されており、在留期間の満了日が経過すると当該在留カードは無効となり、カードの所持者は日本に在留する資格がなくなります。

在留期間の満了日後も日本に滞在したい場合は、在留期間の満了日前に在留資格の変更・更新の申請手続きを行います。在留変更・更新申請が出入国在留管理局(以後入管)で許可されれば新しい在留カードが発行され、引き続き日本で在留資格に基づく在留活動が可能となります。通常、在留期間の満了日の3か月前から在留申請手続きが可能です。

申請の結果がいつ自分のもとに通知されるのかについては、申請した側にとってみれば大変気がかりなことですが、今のところ明確なルールは定められていません。しかしながら一応の基準は設けられており、在留審査の標準処理期間が出入国在留管理庁から毎年四半期毎に公表されていて、自分が申請した在留許可の判断がおよそいつくらいまでに出されるのかを知ることができます。

逆に自分が行った在留申請の結果通知の最終期限がいつまでかについては、「在留期間の特例」という制度によって事前に知ることができます。

在留期間の特例とは、「在留カードを所持している方が、在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において、当該申請に係わる処分が在留期間の満了日までになされないときは、当該処分がされる時又は在留期間の満了の時から二月が経過する日が終了するときのいずれか早いときまでの間は、引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます」とする制度です。:出典 出入国在留管理庁HP

例えば、6月30日が在留期間の満了日の方の場合、どんなにおそくとも8月30日までには入管から結果通知が来ます。

入管側で在留許可の判断が出ている場合、在留期限から2か月を経過しても申請人が在留カードの交付申請手続きをしなければ申請人は在留資格を失い、オーバーステイとなります。

なお、在留申請時に渡される受付票には、「在留期間の満了日から2か月を経過する日の10日前までに「通知書」が届かない場合は、お手数ですが当局(所)までお問い合わせください。と記載されています。

在留期間の満了日から50日経過してもいまだに入管から通知が来ないときは明らかにイレギュラーな状況なので、すぐに申請をした入管に連絡しましょう。

入管側は個別具体的に「在留期限の特例」について申請者に教えてくれません。

「在留期限の特例」については、申請者本人が受け取る受付票にも通知書にもきちんと書かれているので、申請側が知ってて当たり前と判断されます。

「在留期間の特例」を知らないことで生じた不利益(オーバーステイ等)は、申請人側が受けることになります。

ご自分の在留期間の満了日には常に意識をして、在留手続きを忘れ在留資格が失効しないよう普段から注意しましょう。

この「在留期限の特例」は,在留期間のギリギリに申請をした方が,特に対象になる制度です。在留期間ギリギリに更新の申請をした/変更の申請をした,という方で,ご不安なことがある方は是非一度専門家にご相談ください。

「永住者の配偶者等」のビザを解説

2023-07-12

在留資格「永住者の配偶者等」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「永住者の配偶者等」の在留資格に該当する方としては、永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者です。

「永住者の配偶者等」の該当例としては、永住者・特別永住者の配偶者及び日本で出生し引き続き在留している子などです。

「永住者の配偶者等」の在留期間は、5年・3年・1年又は6月です。

「永住者の配偶者等」の在留資格は、就労制限がないため、自由に仕事をすることができ、仕事のジャンルを問わず転職もできます。

また、「永住者の配偶者等」の在留資格には在留活動に制限がないので、大学や専門学校に通うこともできます。

日本において「永住者」の在留資格の申請する場合に、「永住者」と婚姻することにより、「永住者」の在留要件が短縮されます。

「永住者の配偶者等」の要件についての留意点を以下にてご説明いたします。

まず、永住者等の配偶者(夫または妻)の場合、永住者等の配偶者の身分を有する者であるといえることが必要です。

ここでいう「配偶者」とは、現に婚姻関係中の者を意味し、永住者等の方が既に死亡している場合や永住者の方と離婚した場合は含まれません。

また、婚姻は法的に有効なものである必要があるので、内縁関係や同性婚の場合には法的に有効な婚姻であるとは認められません。

さらに、この場合は、日本において夫婦で共同生活をすることを前提にしていますので、配偶者である永住者等の方と原則として同居する必要があります。

次に、永住者等の子である場合、永住者等の子として日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者であるといえることが必要です。

①出生時に父または母が永住者のビザをもって日本で生活をしていたこと又は②出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡したときに永住者ビザをもっていたことのいずれか一方に該当することが必要です。

また、ここでいう子とは「実子」を意味するので、嫡出子・認知された非嫡出子は子として認められますが、養子は含まれません。

そして、子は「日本で出生した」ことが必要です。

したがって、例えば母が海外で子を出産したために、日本国外で出生したという場合には、この要件が認められないことになります。

最後に、「永住者の配偶者等」の審査のポイントについてご説明いたします。

申請者が永住者・特別永住者と婚姻していることを前提に当該婚姻関係が偽装ではないことを証明することが最大のポイントといえます。

日本においては、偽装結婚については厳格に判断することになっており、上記の「永住者の配偶者等」の在留資格のような配偶者の在留資格を取得されたいと考えられている方は、婚姻関係が偽装ではないことを証明することが必要になりますので、「永住者の配偶者等」の在留資格についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

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