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偽ブランドの販売で強制送還になる?!強制送還手続きについて解説

2023-09-05

日本への滞在にはさまざまな在留資格が存在し、外国人にとって法律遵守は非常に重要です。

今回は、商標法違反により逮捕され、罰金刑を受けた外国人Aさんの事例を通じて、ビザに関する法的な側面を探求しましょう。

Aさんのケースを通じて、外国人が日本で法的トラブルに巻き込まれた場合、在留資格にどのような影響が及ぶのか、そしてどのように対処すべきかを考察します。

事例紹介

 Aさんは、日本への技術・人文知識・国際業務のビザを持つ外国人です。Aさんは日本国内で偽ブランド品の売買という商標法に違反する行為を行い、その結果、逮捕されてしまいました。

商標法は、知的財産権に関する重要な法律であり、知識が不足していたためにAさんは法に触れる行為を行ってしまったのです。

逮捕後、Aさんは裁判にかけられ、罰金刑を受けることになりました。しかし、彼の心配事は罰金刑だけではありませんでした。Aさんは、この法的トラブルが彼の在留資格にどのような影響を及ぼすのか、そして今後のビザがどうなるのか,強制送還されてしまうのかについても不安でいっぱいでした。

退去強制とは

日本から外国人の方を強制送還する手続きのことを,正式には「退去強制」と言います。

退去強制手続きは主に

  1. 理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
  2. 入国警備員による調査
  3. 入国審査官による審査
  4. (場合によっては)法務大臣による裁決

という4つの段階を踏まえて進められていくことになります。

退去強制の理由となる理由が発生した場合,そのことを入国管理局が知ることで調査が実施されます。調査の結果は全て,入国審査官へ引き継がれて「強制送還をすることが適法かどうか」の審査がなされます。審査の結果を踏まえて,強制送還が最終的に決定されることになります。

強制送還をする,という審査がなされた後,決定に不服がある場合には異議を申し出て口頭審理,法務大臣の裁決へと手続きが進みます。

口頭審理,法務大臣の裁決を踏まえて,最終的に強制送還をするか,在留特別許可をするか,それとも強制送還をしないか,といった決定が下されることになるのです。

刑事事件を起こしてしまった外国人の方が強制送還されるかどうかという点や,審査手続きの流れについて細かく解説します。

退去強制の理由になる事実

入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

執行猶予が付いたとしても強制送還になってしまう刑法犯は,代表的には次のようなものです。

    • 住居侵入罪
    • 公文書/私文書偽造罪
    • 傷害罪,暴行罪
    • 窃盗罪,強盗罪
    • 詐欺罪,恐喝罪

これらの罪の場合,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても,裁判が確定すると強制送還の対象となります。一定の刑法犯で懲役刑,禁錮刑に処せられたとして強制送還されるのは,入管法の別表1に該当する在留資格をもって日本に滞在している外国人の方です。入管法の別表1に該当する在留資格とは,こちらのページで列挙されています

在留資格の一覧についてはこちらです。

在留資格の種類

何かしらの犯罪で逮捕されてしまった,というだけでは強制送還の対象とはなっていません。ですが,逮捕,勾留に引き続いて「公判請求」,つまり,「起訴」がなされてしまうと有罪の判決が言い渡される可能性が極めて高く,有罪の判決を受けると内容によっては強制送還されてしまう可能性があるということです。

特に,薬物事件入管法違反については,「悪質な事案」として入管法でも厳しく扱われており,強制送還されやすくなっています。逆に,一般刑法の違反の場合には,「その罪名や言い渡された刑の内容によっては強制送還される」という定め方になっています。

Aさんの事例では裁判で罰金刑を受けただけということですから,直ちに強制送還の対象とはなりません。

ただし,Aさんが逮捕されている間に在留期限を過ぎてしまった場合にはオーバーステイとなります。また,次回の在留期間の更新で「罰金刑を受けたこと」が不利な事情となって更新が認められなくなってしまう可能性があります。在留期間の更新が認められないままで日本に残り続けた場合にも,同じようにオーバーステイとなってしまいます。オーバーステイは強制送還の理由として最たるものとなります。

入国警備官による調査

刑事事件を起こしてしまったことが強制送還の理由となってしまった場合,刑事手続きが終了した後,近くの各地方出入国在留管理局に呼び出された上で,入国警備官による調査を受けることになります。

この時の調査の内容は,「退去強制をするべき事実が発生したかどうか」ということに限られます。そのため,調査での一番の調査事項は,

  • 一定の入管法によって処罰されたかどうか
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決が確定したかどうか
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けたかどうか

という点になります。そして,これらの事実のほとんどは,刑事裁判の結果を基に認定がなされます。

裁判で事実を争っていない場合にはそのまま「強制送還の理由あり」という認定になってしまうでしょう。

裁判で争っていた場合,または入管の手続きになってから初めて事実を争うという場合,改めて証拠を提出したり詳細な主張を行ったりする必要があります。

入国審査官による審査

入国警備官が調査した内容は,そのまま入国審査官へと引き継がれていきます。そして入国審査官が対象となる外国人の方と面談(interview)を行い,審査を実施します。

審査の対象となるのも上に書かれた調査事項と同様です。

なお,強制送還の理由となる事実に加えて,日本での生活や仕事のこと,家族のこと,財産のこと等も一緒に質問されることがあります。

これは,強制送還の理由になる事実があったとしても,在留特別許可をするかどうか,という判断で考慮される事情になります。

審査が終わると強制送還の理由になる事実があったか/なかったか,という点についての判断がなされ,「事実があった」と認定されると一時的に入管の施設に収容されてしまいます。

元々オーバーステイだった場合には,そのまま収容が続いてしまうことが多くあります。

一方で,審査が終わるまでは一応在留資格をもって日本に在留していたという方の場合,一時的に収容の手続きがなされたとしても,すぐに「仮放免」といって,保証金を払うことで釈放される場合もあります。仮放免の解説はこちらです。

入管に収容されたらどうすればいいか

入国審査官による審査が不服であった場合,強制送還の理由になる事実があったとしても,さらに日本での在留を希望する場合には,その後の口頭審理という手続きを行うことになります。

口頭審理とは何か?

口頭審理とは,入国審査官が「退去強制事由がある」と判断をしたことに対して,特別審査官が再度審査をするという手続きのことです。

退去強制になるまでには,

  1. 理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
  2. 入国警備員による調査
  3. 入国審査官による審査
  4. (場合によっては)法務大臣による裁決

という段階がありますが,「口頭審理」という手続きは,この3と4のちょうど間にある手続です。

口頭審理では,入国審査官の判断が間違っていたかどうか,が審理の対象になります。

そのためまずは,強制送還の理由となった事情について再度細かく質問を受け,その後,日本での在留に関する質問をされます。ですが,口頭審理でのインタビューは,法務大臣の裁決という手続きに進む前の,最後のインタビュー手続きです。

そのため,口頭審理の場では,違反審査に関する事だけでなく,在留特別許可を認めるかどうかの判断で重要となる部分の『聞き取り』も行われることになっています。

ただ,あくまで「聞き取り」を行うだけですので,事実に間違いがない限りは,口頭審理の結果については,「元の審査に誤りはなかった」と判断されることになります。

口頭審理の後も,引き続き日本での在留を希望するという場合には,異議の申立てをして,法務大臣の裁決を求めることになります。

口頭審理のポイントとなるのは,『法務大臣による裁決前の最後のインタビューである』という点です。

法務大臣の裁決

入国警備官による調査から始まって,強制送還に関する最後の手続きが法務大臣の裁決という手続きです。

この手続では面談などはなく,口頭審理の結果を踏まえて在留特別許可をするかどうかについて,書面による審査が実施されます。

法務大臣の裁決では,それまでの手続きにおける間違いがないかどうかという点の審査に加えて,在留特別許可をするかどうかという最も重要な点についての審査が行われます。

在留特別許可をするかどうかについては,入管における判断の透明性を確保するという観点から,ガイドラインが公開されています。

そのガイドラインの大枠は,次のようなものになります。

参考URL ガイドラインの全文

  • 積極要素

日本人の子か特別永住者の子である

日本人か特別永住者との間に生まれた未成年の子を育てていて親権を持っていること等

日本人化特別永住者との間に法律上有効な婚姻が成立している

⇒日本と外国人とが,家族関係を持つレベルで接着していること

  • 消極要素

重大犯罪によって刑に処せられた

出入国管理行政の根幹を犯す違反をした

反社会性の高い違反をした

⇒日本に在留させることが日本にとって不利益が特に大きい場合

最終的には様々な事情を総合して判断することにはなりますが,これらの積極要素/消極要素を中心にして,過去の事例なども参考にしながら,在留特別許可をするかどうかの判断がなされます。

まとめ

Aさんの事例では商標法違反で逮捕されたこと,罰金刑を受けたこと自体は強制送還の理由にはなりません。

しかし,その後の手続によっては,強制送還の手続きが始まってしまう可能性があります。

Aさんの事情を考慮すると,きちんと日本での生活が安定していれば在留特別許可をもらえる可能性はありますが,偽ブランドの販売を長期間行っていた場合や多額の利益を得ていたという場合には,「日本で違法は商売を営んでいた」として在留特別許可がなされないということもありえます。

オーバーステイが強制送還の理由となっていた場合には,そのまま入管に収容されてしまう可能性も高くなります。

日本に残って生活を続けたいと希望する場合には違反調査から口頭審理までの手続の中で日本と良く定着していること,これから先の日本での生活が法律に適して安定したものになること主張することが重要です。

強制送還に関する手続きについて,弁護士等に一度ご相談された方が良いでしょう。

「報道」の在留資格について詳説,日本で報道に従事するためには?

2023-09-02

在留資格「報道」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「報道」の在留資格に該当する活動としては、外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動などです。

「報道」の該当例としては、外国の報道機関の記者、カメラマンなどです。

「報道」のビザの場合の在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。

「報道」の具体例には、新聞記者、雑誌記者、ルポライター、編集長、編集者、報道カメラマン、報道カメラマン助手、ラジオのアナウンサー、テレビのアナウンサーなどが挙げられます。

また、次に掲げる者が外国の報道機関との契約に基づいて行う取材、その他の報道上の活動が該当します。

①外国の報道機関に雇用されている者で、当機関から報道上の活動を行うために日本に派遣された場合

②特定の報道機関に属さず、フリーランサーとして活動する記者等で、外国の報道機関と契約して当機関のために報道上の活動を行う場合

つまり、外国の報道機関の記者、カメラマンなど外国の報道機関との契約に基づいて行う取材、その他の報道上の活動を行うためには「報道」の在留資格が必要となります。

「報道」の在留資格でいう「外国の報道機関」とは、外国に本社を置く新聞社、通信社、放送局、ニュース映画会社等報道を目的とする機関のことを意味します。

なお、報道機関は民営・国営を問いません。

「報道」の在留資格でいう「取材その他の報道上の活動」とは、この「取材」という表現は例示であり、社会の出来事を広く一般に知らせるために行う取材はもちろん、報道を行う上で必要となる撮影や編集、放送等一切の活動が含まれると考えられています。

「報道」の在留資格の注意点

①スポーツ選手などに同行して、試合や大会などの短期間の取材を行う活動は「短期滞在」の在留資格に該当します。

②外国の報道機関から派遣されることが必要ですので、活動内容が報道であっても、外国人が日本に本社のある報道機関との契約に基づく場合は、「報道」の在留資格には該当しません。

この場合には別の在留資格,「技術・人文知識・国際業務」等を所得することを検討するのが良いでしょう。

③テレビの番組制作などに係る活動については、「報道」ではなく、「興行」等といった他の在留資格に該当する可能性があります。

④その外国人の行う活動が社会学、政治学といった人文科学の知識を必要とする業務に従事する活動であるときも、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する可能性があります。

上記のように、「報道」の在留資格は、具体的にどのような活動を行うかによって取得する在留資格が異なるため、「報道」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「法律・会計業務」在留資格の解説: 条件と申請の注意

2023-08-30

在留資格「法律・会計業務」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「法律・会計業務」の在留資格に該当する活動としては、外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動などです。

「法律・会計業務」の該当例としては、弁護士、公認会計士などです。

「法律・会計業務」の在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。

「法律・会計業務」の在留資格は、法律上資格を保有している方が行う法律又は会計に係る業務とされており、資格を保有していない場合には従事できない業務が対象となります。

具体的には、以下の資格が「法律・会計業務」の在留資格の対象となります。

①行政書士
②外国法事務弁護士
③外国公認会計士
④弁護士
⑤司法書士
⑥土地家屋調査士
⑦公認会計士
⑧税理士
⑨社会保険労務士
⑩弁理士
⑪海事代理士

上記の資格を有している場合でも、資格がなくても出来る業務に就く場合は「法律・会計業務」の在留資格に該当しません。

例えば、弁護士資格を有する方が企業に雇用されて法律知識を活かす業務に就く場合であっても、その業務が無資格でも行える業務である場合には、「法律・会計業務」の在留資格は取得することが出来ませんのでご留意ください。

上記の例の場合、行う業務の内容によっては、「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当することも想定されます。

いずれの在留資格に該当するかという判断は、それぞれのビザの在留資格該当性や基準省令適合性から判断をする必要があります。

また、「法律・会計業務」の在留資格は、あくまでも「日本」の法律に基づく資格を意味しています。

したがって、外国の法律に基づく資格では、「法律・会計業務」の在留資格は取得することが出来ませんのでご留意ください。

なお、中小企業診断士及び不動産鑑定士の資格は含まれていないので、この点についてもご留意ください。

弁護士や行政書士となる資格を有する者が、弁護士や行政書士となるためには、弁護士名簿や行政書士名簿に登録を受けなければならないとされています。

つまり、司法試験や行政書士試験に合格したのみでは弁護士業務や行政書士業務を行うことは出来ないため、弁護士や行政書士の登録が必要となります。

そのため、弁護士資格や行政書士資格を有する場合であっても、未登録の状態では「法律・会計業務」の在留資格は取得することが出来ません。

上記のように、「法律・会計業務」の在留資格は、資格を有する場合であっても未登録の状態である場合や資格を有している場合でも資格がなくても出来る業務に就く場合には、取得することができませんので、「法律・会計業務」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

短期滞在の在留資格について解説,ビジネス,観光,どこまでできるか?

2023-08-27

在留資格「短期滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「短期滞在」の在留資格に該当する活動としては、日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動などです。

「短期滞在」の該当例としては、観光客、会議参加者等です。

「短期滞在」の在留期間は、90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間です。

「短期滞在」の在留期間は、就労系在留資格と異なり、自分自身で希望する在留期間を選ぶことができます。

ただし、滞在期間が長ければ長いほど審査の基準が厳しくなるため、明確な理由がないにもかかわらず、最大の90日を選ぶことは避けた方が良いかと思います。

この「短期滞在」の在留資格の活動範囲のうち、商用に関連するものとして具体的な活動目的は次のようなものがあります。

・見学、視察等の目的で滞在する者(例えば工場などの見学、見本市等の視察を行う者)

・企業などの行う講習、説明会等に参加する者

・会議、その他の会合に参加する者

・日本に出張して業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査、その他の短期商用活動を行う者

なお、日本への投資、事業開始のための市場調査等の準備行為は、通常短期滞在の活動範囲と解されます。

この「短期滞在」の在留資格で注意が必要なことは、同じ就労不可のカテゴリーに分類されている「文化活動」や「留学」、「家族滞在」の在留資格では資格外活動による就労が認められていますが、「短期滞在」の在留資格では就労活動はできないということです。

ただし業として行うものではない以下の活動については、例外的に報酬を受けることができます。

・講演、講義、討論その他これらに類似する活動

・助言、鑑定その他これらに類似する活動

・小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作

・催物への参加、映画又は放送番組への出演、その他これらに類似する活動

他にも業として従事する場合を除き、親族や友人、知人の依頼を受けて、その者の日常の家事に従事する場合も謝礼金を受けることができます。

上記のように、「短期滞在」の在留資格は、あくまでも就労活動はできない在留資格であり、日本において就労するためには就労するための在留資格を取得する必要がありますので、「短期滞在」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

強制送還手続きと商標法違反の事例解説

2023-08-25

日本に滞在する外国人が一定の法律違反を犯した場合、強制送還手続きが発生することがあります。この記事では、商標法に違反したAさんの事例を基に、強制送還手続きの法律的側面とその対応策について詳しく解説します。

事例紹介:
Aさんは、40歳の中国国籍で、定住者ビザで日本に在住していました。彼は、長年、東京都内の企業で働いていましたが、コロナ禍でのリストラにより職を失いました。あるとき、経済的な困窮から商標法違反に手を染めることになります。Aさんは、フリマサイトで偽ブランド品を出品したことで、商標法違反によって逮捕されました。

Aさんは数日勾留された後,略式罰金命令を受けて釈放されることになりました。定住者のビザが取り消されるのではないかと心配になったAさんは,弁護士に相談するかどうかを迷っています。

解説:
退去強制手続きは、以下のような場合に発生します。

  • 一定の入管法によって処罰された場合: 旅券法違反など。
  • 薬物事件で有罪判決を受けた場合: 麻薬取締法、覚醒剤取締法など。
  • 一定の刑法犯で懲役、禁錮刑に処せられた場合: 執行猶予がついても対象。
  • 1年を超える実刑判決を受けた場合: 任意の法律違反で刑事裁判を受けた場合。
  • 窃盗罪、強盗罪、詐欺罪など、一定の刑法犯でも強制送還の対象となることがあります。

しかし、在留資格によって強制送還されるかどうかが変わることがあります。例えば、「日本人の配偶者等」や「定住者」の在留資格では、執行猶予付きの有罪判決を受けても強制送還にはなりません。

退去強制手続きは、入管法に基づいて行われます。手続きは、入国管理局が行い、強制送還の決定が下されると、外国人は日本から退去しなければなりません。強制送還の決定は、裁判所の判決とは別に行われる行政手続きです。

弁護士に相談することのメリット:
退去強制手続きは複雑であり、個々のケースに応じた専門的な対応が必要です。弁護士への早期相談が、在留資格の保持や強制送還の回避につながることが多いです。

弁護士への相談の仕方:
強制送還の対象となった場合、早急に専門の弁護士に相談することをおすすめします。具体的な事例や状況を詳しく伝え、最適な対応策を一緒に考えることが重要です。

まとめ:
強制送還手続きは、外国人の在留資格に直接関わる重要な問題です。Aさんの事例を通じて、法律的な側面と対応策を解説しました。このような状況に直面した場合、専門家への相談が重要であることを強調します。

日本で医療従事者として働くためのビザ,「医療」のビザを解説

2023-08-24

在留資格「医療」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「医療」の在留資格に該当する活動としては、医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動などです。

「医療」の該当例としては、医師、歯科医師、看護師などです。

「医療」の在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。

「医療」の在留資格の審査ポイントは次の点です。

・医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士のいずれかの日本の資格(免許書、証明書等の写し)を有していること

「医療」の在留資格は、日本の医療関係の資格を有していなければできない業務に従事するために必要な在留資格です。

・申請人が歯科医師としての業務に従事しようとする場合は、当該業務が次のいずれかに該当することが必要です。
① 本邦において歯科医師の免許を受けた後、6年以内の期間中に、大学もしくは大学の医学部、歯学部もしくは医学部附属の研究所の附属である病院、歯科医師法(昭和23年法律第202号)第16条の2第1項の規定により厚生労働大臣の指定する病院又はこれと同程度の機能を有する病院として法務大臣が告示をもって定める病院において研修として行う業務

② 歯科医師の確保が困難な地域にある病院又は診療所で法務大臣が告示をもって定めるものにおいて行う診療に係る業務

・申請人が保険師、助産師又は准看護師としての業務に従事しようとする場合は、本邦において保健師、助産師又は准看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に研修として業務を行うこと。

・申請人が看護師としての業務に従事しようとする場合は、本邦において看護師の免許を受けた後7年以内の期間中に研修として業務を行うこと。

・申請人が薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士又は義肢装具士としての業務に従事しようとする場合は、本邦の医療機関又は薬局に招聘されること。

「医療」の在留資格の申請をする際には、次の点に留意が必要です。

・医師の資格を有する外国人が行う活動であっても、研究所で研究を行う業務に専ら従事する場合は、「医療」の在留資格ではなく、「研究」の在留資格に該当します。

・臨床修練は、「医療」の在留資格の活動に該当しません。

・日本の医療資格を有しない外国人が申請をする場合は、その活動内容により「技術」の在留資格や「研究」の在留資格を申請してください。

上記のように、「医療」の在留資格を取得されたいと考えられている方は、場合によっては、「研究」や「技術」の在留資格に該当する場合もありますので、「医療」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

教育者として日本で働くための「教育」ビザを解説

2023-08-21

在留資格「教育」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「教育」の在留資格に該当する活動としては、本邦の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動などです。

「教育」の該当例としては、中学校・高等学校等の語学教師等です。

「教育」の在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。

「教育」の中でも、各種学校、これに準ずる教育機関において教育をする活動に従事する場合又はこれら以外の教育機関において教員以外の職について教育をする活動に従事する場合には、以下の要件を充足する必要があります。

1.学歴要件
①大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け又は行おうとする教育に係る免許を有していること。
②外国語の教育をしようとする場合は当該外国語により12年以上の教育を受けていること、それ以外の科目の教育をしようとする場合は教育機関において当該科目の教育について5年以上従事した実務経験を有していること。

2.報酬要件
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

次に、「教育」の中でも、外交、公用、家族滞在の在留資格をもって在留する子女に対して、初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関(インターナショナルスクールなど)において教育をする活動に従事する場合には、以下の要件を充足する必要があります。

1.学歴要件
大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け又は行おうとする教育に係る免許を有していること。

2.報酬要件
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

なお、この「教育」の在留資格を申請する場には、次のポイントに留意してください。

・学歴要件にある「大学」とは、日本の大学以外にも海外の大学も含まれます。

・学歴要件にある「教育に係る免許」とは、海外にて取得した免許も含まれます。

・インターナショナルスクール等で幼児教育を担当する教員についても「教育」の在留資格が必要になります。

・大学もしくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において教育等を行う場合には「教育」の在留資格ではなく、「教授」の在留資格を申請してください。

・一般企業などの教育機関以外の機関との契約に基づいて教育を行う場合には、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請してください。

上記のように、「教育」の在留資格を取得されたいと考えられている方は、場合によっては、「教授」や「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する場合もありますので、「教育」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「興行」の在留資格,タレントビザについて解説

2023-08-18

この「興行」の在留資格に該当する活動としては、演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(入管法別表第一の二の表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。)などです。

この「興行」の該当例としては、俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等です。

「興行」の在留期間は、3年、1年、6月、3月又は15日です。

1.興行ビザの申請人
申請人は、次のいずれかの経歴要件を満たす必要があります。
①外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと。
②2年以上の外国における経験を有すること。

一定の教育を受けているか,実務経験が必要ということです。

2.興行契約者
当該外国人を受け入れる契約者が、次の全てに該当することが必要です。
①外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者、管理者がいること。
②5名以上の職員を常勤で雇用していること。
③当該機関の経営者又は常勤の職員がいずれにも該当しないこと。
・人身取引を行い、唆し、又はこれを助けた者
・過去5年間に法第24条第3号(外国人に不法就労活動)の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
・過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に法第3章(上陸手続き)第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章(在留及び出国)第1節若しくは法第5章(退去強制手続き)第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくは助けた者
・法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法(昭和31 年法律第118 号)第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3 年法律第77 号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・過去3年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。

これまで,タレントビザは不法入国のために悪用されてきたという経緯があります。そのため,タレントビザとして外国人を受け入れる側に基準を設けており,興行の実施者が「不法入国のブローカー」となってしまわないように規制をしています。

3.興行施設
施設が次の全ての要件に該当することが必要です。
①不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。
②風営法第2条第1項第1号又は第2号に規定する営業を営む施設である場合は、次に掲げるいずれの要件にも適合していること。
・専ら、客の接待(風営法第2条第3項に規定する接待を言う。以下同じ。)に従事する従業員が5名以上いること。
・興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること。
③13平方メートル以上の舞台があること。
④9平方メートル(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1.6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。
当該施設の従業員の数が5 名以上であること。
⑤当該施設を運営する機関(以下「運営機関」という。)の経営者又は当該施設に係る業務に従事する常勤の職員が欠格事由に該当しないこと。

上記のように、「興行」の在留資格が認められるためには、①申請人、②受入れ企業、③受入れ施設につき詳細な要件が決められています。
全ての要件について充足しなければ「興行」の在留資格が認められませんので、「興行」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「文化活動」の在留資格について解説,何が「文化活動」にあたる?

2023-08-15

在留資格「文化活動」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「文化活動」の在留資格に該当する活動としては、収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(入管法別表第一の四の表の留学、研修の項に掲げる活動を除く。)です。

「文化活動」の該当例としては、日本文化の研究者等です。

「文化活動」の在留期間は、3年・1年・6月又は3月です。

在留資格「文化活動」の具体例は以下のとおりです。
・収入を伴わない日本文化の研究者、もしくはその指導を受けて行う研究活動。
・無報酬で行うインターンシップの活動。

さらに、これらの活動は次の4つに分類できます。
①収入を伴わない学術上の活動
②収入を伴わない芸術上の活動
③日本特有の文化や技芸について専門的な研究を行う活動
④日本特有の文化や技芸について専門家の指導を受けて研究を行う活動

「文化活動」の在留資格の最大のポイントは、「収入や報酬があってはならない」ということです。そのため,「文化活動」のビザは,いわゆる就労ビザではありません。

1.「収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動」とは
①外国の大学の教授、准教授、助教、講師などのほか、外国の研究機関から派遣された者が無報酬で行う調査や研究といった活動
②大学の教授などの指導の下、無報酬で研究を行う研究生の学術上の活動
③専修学校等として認可を受けていない外国大学の日本分校に入学して行う学術上の活動
④無報酬のインターンシップ活動

2.「日本特有の文化若しくは技芸」とは
日本固有の文化や技芸(生花、茶道、柔道、日本建築、日本画、日本舞踊、日本料理、邦楽などのほか、日本固有のものとはいえなくとも、日本がその形成・発展の上で大きな役割を果たしているもの)
たとえば、禅や空手等もこれに含まれます。

3.「専門家の指導を受けてこれを修得する活動」とは
日本特有の文化や技芸に精通した専門家から個人指導を受けてこれを修得する活動

4.「専門家」とは
各分野において免許や肩書を保有しているだけでなく、その分野で指導を反復継続して行う又は行ったことのある者

上記のように、「文化活動」の在留資格が認められるための最大のポイントは、「収入や報酬がない活動を行う」ことが必要になります。
その他の要件についても、文化性、技芸性を証明する必要がありますので、「文化活動」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

「家族滞在」の在留資格が認められる条件,一家で日本に移住できるか?

2023-08-13

在留資格「家族滞在」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「家族滞在」の在留資格に該当する活動としては、入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動です。

この「日常的な活動」とは、文字通り日本国内で生活することの他,買い物に行く,趣味のために出かける,教育機関で教育を受ける活動など,広範囲な活動が含まれますが、収入や報酬を受ける活動は含まれていません。そのため,どんな形態であれ,働いてはいけません。

つまり、「家族滞在」の在留資格を持つ方がアルバイト・パートを行う場合には資格外活動許可を取らなければなりませんので注意が必要です。

資格外活動許可についてはこちらの記事もご覧ください。

それ,資格外活動申請が必要?

「家族滞在」の該当例としては、在留外国人が扶養する配偶者・子です。

「家族滞在」の在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。

「家族滞在」の在留資格を取得するためには、以下の要件を充足する必要があります。

「家族滞在」の在留資格を取得することができる対象は、配偶者又は子です。
この点、配偶者は法律上有効な婚姻関係であることが必要ですので、内縁の妻、内縁の夫、婚約者などの場合は対象となりません。

また、子は実子に限らず養子をも含み、年齢は問いませんが、養子縁組をしていない妻の連れ子に関しては、たとえ夫が扶養していても家族滞在の在留資格の対象となりません。

なお、原則として両親は「家族滞在」の対象とはなりません。

外国の親を呼び寄せるにはどうしたらよいか

②配偶者も子も扶養を受けることが必要です。
扶養を受けるとは、原則として夫婦が同居し経済的に相手に依存しており、子は監護・養育を受ける状態にあることを意味しますので、20歳以上の子でも親の扶養を受けていれば家族滞在の対象になります。
逆に、配偶者や子が一定の収入を得るようになった場合には他の在留資格への変更申請が必要になります。

③家族の滞在生活費が十分に確保できることが必要になります。
扶養者の給料がどのくらいあれば良いかについては、地域や家族構成、年齢などに応じて異なるため、その額について明確な金額基準は設けられていません。

ただ、扶養者の居住地における世帯の生活保護給付額が一応の目安とされています。

また、扶養者の在留状況に問題がなければ入国当初1年間の生活費などを賄える程度を有していることでも良いとされています。

④入国拒否事由に該当しないことが前提となります。

なお、「就学」および「研修」の在留資格を持っている方の配偶者や子は、上陸にあたり「家族滞在」の在留資格は付与されませんので注意が必要です。

「家族滞在」については家族を招聘したいと考えている外国人の方が多いと思いますが、上記のように、様々な要件を充足する必要がありますので、「家族滞在」の在留資格のことでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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