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事例
不法就労助長罪に関わる実際の事例を紹介します(フィクションです)。
この事例は、ある中小企業の経営者が外国人労働者を雇用する過程で、不法就労を助長してしまったケースです。経営者は、外国人労働者の在留資格を確認せずに雇用し、その結果、労働者が資格外活動を行っていたことが発覚しました。この行為により、経営者は不法就労助長罪で起訴され、法人としても罰金を科されました。さらに、経営者自身が持つ経営・管理ビザにも影響が及び、在留資格の更新が危ぶまれる状況になりました。このケースは、不法就労のリスクとその深刻な結果を浮き彫りにし、法令遵守の重要性を示しています。
この事例を基に、不法就労助長罪に関する具体的な解説を進めていきます。
法人と個人の責任
不法就労助長罪において、法人(会社)と個人の責任は異なる形で定められています。
法人に対しては、主に罰金刑が科されることが一般的です。これは、法人自体に懲役刑を科すことができないためです。
一方で、個人に対する責任はより複雑で、不法就労を助長した事実が認められた場合、在留資格の取消しや退去強制(強制送還)の対象となる可能性があります。
特に、経営・管理ビザなど特定の在留資格を持つ外国人が自らの会社で不法就労を助長した場合、その行為は直接自身の在留資格に影響を及ぼす可能性があります。不法就労を知っていたか、あるいは知らなかったかにかかわらず、過失があると判断されれば、その外国人は強制送還の対象となることもあります。
このように、不法就労助長罪は単に法人に対する罰金刑にとどまらず、個人の在留資格や将来に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、企業経営者や人事担当者はこの点に特に注意が必要です。
次に、不法就労助長罪による強制送還の可能性について詳しく見ていきましょう。
強制送還の可能性
不法就労助長罪に関与した外国人が強制送還される可能性は、その行為の性質や在留資格、さらには過去の在留履歴に大きく依存します。不法就労を助長したと認定された場合、外国人は「入管法24条第3号の4」に該当し、退去強制(強制送還)の対象となることがあります。この法律は、不法就労を知っていたか、あるいは知らなかったかに関わらず、不法就労を助長した個人に適用されます。
強制送還のプロセスは、まず入管当局による調査から始まります。この調査で不法就労の事実が確認された場合、外国人に対しては退去強制令書が発付され、日本国外への出国を命じられます。強制送還の手続きでは「在留特別許可」を求めるために,異議の申出をすることもできます。
在留特別許可に関してはこちらの記事も参考にされてください。
また,在留特別許可については法務省によるガイドラインも策定されています。
重要なのは、強制送還されると、その後の日本への再入国が困難になることです。再入国禁止期間が設けられることが一般的で、この期間は5年から永久に及ぶこともあります。
したがって、不法就労助長罪に関与するリスクは非常に高く、外国人労働者を雇用する際には、適切な在留資格の確認が必須となります。
このように、不法就労助長罪は個人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性があり、特に外国人にとっては在留資格の喪失や強制送還という重大な結果を招くことがあります。企業や個人は、法律を遵守し、不法就労のリスクを避けるための適切な措置を講じることが重要です。
以上で、不法就労助長罪とその結果についての解説を終えます。この情報が、不法就労のリスクを理解し、適切な対策を講じるための参考になれば幸いです。
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