日本に入国するかたは,在留資格を有していなければなりません。現在日本の入管法には,在留資格が30種類以上あります。
大きく分けると,2種類の分類があり,
- 日本での活動の内容に着目して認められる在留資格(別表1という分類をされます)と,
- 日本での活動内容に関係せず,外国人の方と日本との関連性によって認められる在留資格(別表2という分類をされます)
があります。
そして,別表1と分類される在留資格の中にも,いくつかの種類があります。
それぞれの概要をまとめましたので,各在留資格の詳細については,個別の解説ページをご参照ください。
このページの目次
1 「別表1」のグループの在留資格
「外交」 「公用」
文字通り,外国政府や国際機関の活動として日本に滞在する外国人の在留資格です。
「公用」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「教授」
日本の大学かそれに相当する高度の研究機関で研究や指導を行う外国人の在留資格です。研究の内容や報酬をもらっているかどうかは関係がなく,真にその研究や指導を行っているかどうかが重要です。在留資格を認めてもらうための資料として,研究や指導内容に関する資料や報酬を受け取っていることが分かり資料を提出します。
「教授」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「芸術」
音楽や美術,文学などの芸術活動によって生計を立てている場合に認められる在留資格です。何をもって芸術であると判断するかどうかには曖昧さが生じますので,芸術性ではなく,その活動によって生計を立てているかどうかが判断ポイントになります。「芸術」の在留資格を取得するためには,その業績に関する資料が求められます。
「芸術」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「宗教」
日本国内で布教などの宗教上の活動を行うための在留資格です。宗教団体の地位にいるかどうかのみが入国時の審査の対象となり,教義の内容や信仰内容そのものは在留資格を認定する場面で問題とはなりません。
「宗教」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「報道」
外国の報道機関との契約に基づいて,日本国内で取材をしたりその結果を報道したりするための在留資格です。報道の内容や取材の内容は在留資格の取得とは関係がなく,外国の報道機関との契約関係があるかどうかが問題になります。
「報道」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「就労」のための在留資格
入管法は,
投資・経営 法律・会計業務 医療 研究 教育 技術 人文知識・国際業務 企業内転勤 介護 興行 技能 特定技能 技能実習
という職業活動を行うための在留資格を認めています。これらをまとめて「就労の在留資格」や「就労ビザ」ということがあります。
逆に,これら分類されない,いわゆる単純労働とみられるような活動には在留資格を与えていません。
就労の在留資格は,日本で特定の職業を行うことを前提として認められる在留資格です。ですので,これらの11種類に該当しない労働の目的では在留資格が認められませんし,日本に在留している間に許可なく別の仕事をすることは認められていません。
例えば,「医療」の在留資格で日本に入国した方が,退職して,在留資格を変更することなく自分で会社を設立して社長になる(投資・経営のビザが必要)ということはできないのです。
就労ビザについては改めて詳しく説明します。また,日本に入国してから別の仕事に就く方は在留資格の変更が必要になりますので,そちらの項も参照してください。
「文化活動」
文化活動には大きく分けて3種類があり
- 収入を伴わない学術・芸術の活動
- 日本特有の文化や技芸について専門的な研究をする活動
- 日本特有の文化や技芸について専門家から指導を受けてそれらを修得する活動
というものがあります。
どれも,国際的な文化交流を目的とした在留資格です。外国の大学生がインターンシップで日本に入国する場合,収入を伴わなければ1の「文化活動」として,報酬が出る場合には,後説明する「特定活動」という在留資格になります。
2,3にあるような「特定の文化や技芸」とは,例えば華道,茶道,日本画のような,日本固有の文化などを指します。特に,3はこれらの文化や技術について,特定の専門家から指導を受ける,いわゆる弟子入りをするときの在留資格です。月に1度や週に1度のように,片手間で華道や茶道を習いたい,という程度では認められません。
「文化活動」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「短期滞在」
日本に観光や家族の訪問など,一時的な日本での用事のために認められる在留資格です。あくまで一時的に日本に滞在するための在留資格なので,一度に認められる在留期間は最大で90日です。また,一時的な滞在ですので,短期滞在の在留資格の延長は認められにくく,また,他の在留資格へ変更する時には特別な事情がないと認められません。
短期滞在ビザを利用して日本で就職活動を行い,就労ビザへ切り替えるということは認められにくくなっています。
「短期滞在」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「留学」
日本の大学,高校,高等専門学校で教育を受ける留学生のための在留資格です。
留学先によっては,日本語教育を受けることが必要とされるほか,年齢に制限があります。
「留学」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「研修」
留学や技能実習には含まれない,日本国内で公私の団体が行っている研修のために入国する場合の在留資格です。
代表的なものとして,JICA(国際協力機構)が日本国内で行っている研修があります。
「研修」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「家族滞在」
上記の各在留資格(「外交」,「公用」,「短期滞在」と,就労ビザの「技能実習」を除く)をもって日本に在留している外国人の配偶者,子供のための在留資格です。
配偶者や子供以外の家族が,「家族滞在」の在留資格で日本に留まることはできません(例えば,叔父や祖母など)。配偶者や子供以外の家族は,「短期滞在」の在留資格を利用することになります。
「家族滞在」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「特定活動」
特定活動とは,文字通り法務大臣が特に指定する活動について認められる在留資格です。
大きく分けると3種類の指定があり,
- 入管法に書かれている特定活動
- 法務大臣が告示によって在留資格を認めている49の活動(令和2年3月31日時点)
- 入管法にも法務大臣の告示にも書かれていないが,個別の事情で認められる場合
があります。
どれも細かく分かれていますので,改めて詳しく解説します。また,特定活動は法務大臣の告示によって内容が変更されることがありますので,申請時の最新の情報を確認する必要があります。特定活動による在留資格の取得は困難な場合もありますので,弁護士に相談するといいでしょう。
「特定活動」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「高度専門職」
学歴や職歴,年齢,日本語の能力,特定の分野で秀でた事業に携わっている等の条件についてポイントをつけ,一定の点数以上の人に在留資格を認める制度によって与えられる在留資格です。このポイント制度は,高度な学術研究や技術研究等をしている外国人を,積極的に日本に受け入れるための制度です。
就労の在留資格ともいえますが,他の就労の在留資格と比べて,長期の在留期間や家族の帯同が認められたり,永住権を取得しやすくなったりするというメリットがあります。
「高度専門職」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
2 「別表2」のグループの在留資格
「永住者」,「永住者の配偶者等」
期間の制限なく,日本に永住することを認める在留資格です。永住権などとよばれることもありますが,正しくは,「永住者」の在留資格です。永住者の配偶者や永住者の子供として日本で生まれた子供は,「永住者の配偶者等」として在留資格が認められます。
永住者としての在留資格が認められるかは,入管法に定めがあり,
- 素行が善良であること
- 独立で生計を営むに足りる資産や技能があること
- 永住を認めるのが日本にとって利益があること
という条件を満たさなければなりません。
この条件については,法務省が「永住許可に関するガイドライン」(2019年5月31日改定)を公表しています。また,永住権を認めたものと認めなかったものを50件公表しています。(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan16.html)
自分が永住者として在留資格が認められるか分からない,永住申請をしたいがどんな事情があれば認められるのかわからないという方は,弁護士にも相談してみると良いでしょう。
「永住者」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「永住者の配偶者等」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「日本人の配偶者等」
日本人と結婚した外国人や,日本人の子供として生まれた人,日本人と特別養子縁組を した子供の在留資格です。永住者の家族の場合と異なり,日本で生まれたことは必須とはされていません。
日本人と結婚していたが離婚した外国人の方や,日本人と普通養子縁組をした子供や,いわゆる連れ子の場合には,次の「定住者」としての在留資格を取得することになります。
「日本人の配偶者等」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。
「定住者」
定住者とは法務大臣が特別な事情を考慮して一定の在留期間を定めて認める在留資格です。
入管法には個別の条件はありませんが,定住者として日本での在留資格が認められる人について類型化した告示がなされています。
(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_hourei_h07-01-01.html)。
また,日本人との間に子供をもうけた外国人が離婚しても,その子供を日本で育てる場合には定住者としての在留資格が認められているなど,その時々の情勢に応じて定住者として認められる人は変化することもあります(1996年7月30日通達等)。最新の情報を常に追っていかなければなりません。
個別の通知に該当する方でなくても,日本での在留が認められるべき事情があれば,定住者の在留資格が認められることもあります(告示外)。
定住者として認められるかどうかは,法務大臣が特別な事情を考慮するかどうか,すなわち,入国管理局が特別な事情を認めるかどうかがポイントになります。
「定住者」の在留資格に関する必要書類についてはこちらにまとまっています。