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1 特定活動の在留資格
在留資格の中には,「留学」や「技術・人文知識・国際業務」等のように,活動の内容が明らかなものの他に,「特定活動」というものがあります。
これは,法務大臣が個々の外国人に対して,日本で行う活動を指定して日本での在留を認めるという在留資格です。「特定活動」という在留資格が認められる場合は,大きく分けると次の三パターンがあります。
A 入管法上の規定のある特定活動
B 告示特定活動
C 告示外特定活動
それぞれ解説します。
2 入管法上の規定のある特定活動について
入管法に規定のある特定活動は,
- 特定研究活動,
- 特定情報処理活動,
- ①か②で在留する外国人の配偶者又は子の家族滞在です。
①,②はそれぞれ特定の分野に関する研究や情報処理に関する業務を行うことを認めた在留資格です。業務として行うものですので,大学などの専門課程を修了していること,日本人と同等以上の報酬を受けていることが必要です。
3 告示特定活動について
「特定活動」とは,入管法では在留資格が認められないものの,一定の状況下の外国人に日本に在留することを認める必要があるために付与される在留資格です。そして,入管法にはないものの,特別活動として在留資格を認める場合について,法務大臣は46種類の活動を告示しており,これに該当する場合には特定活動の在留資格を認めるとしています。
この告示は半年や一年といった短期間で変更されることがあるため,常に最新の告示を確認しておかなければなりません。
代表的な告示のある特定活動としては,外国人が日本でインターンシップをする場合,ワーキングホリデーのために在留する場合,日本で医療を受ける場合などがあります。
また,近年追加された特定活動として,日本の四年制大学を卒業していて,高度な日本語能力があると認められる方が接客などのサービス業に従事することも,特定活動として認められるようになりました。これにより,これまでは外国人の方が就職することが難しかった飲食店や小売店での接客業を行えるようになりました。
特定活動の告示は,法務省のホームページなどでも列挙されて公開されています。
日本での在留を希望するものの,入管法上の在留資格のどれにも当てはまらない様であれば,特定活動としての申請を検討するとよいでしょう。特定活動の条件は不明確な部分もあります。特定活動の在留資格も申請する場合には,弁護士など専門家にも相談した方がよいでしょう。
4 告示外特定活動について
入管法の規定や告示に該当しない場合であっても,人道上の要請から「特定活動」としての在留資格が認められる場合があります。
代表的な例としては,日本に在留する外国人の方の高齢の家族が日本にいる家族に生活の面倒を見てもらう場合,日本に留学していた学生が卒業後就職活動のために日本に在留する場合や内定してから入社するまでの間日本に在留する場合,やむを得ず日本から出国する方が出国準備をする場合,難民申請をしてから結果が出るまで日本に在留する場合等があります。
5 特定活動の在留資格で,日本で働いていいか?
特定活動の在留資格の場合,日本での活動内容はそれぞれ個別に指定されます。日本に入国する際や在留資格を変更した際に,パスポートに「指定書」という書類がつけられますので,それで確認しなければなりません。指定された活動を3か月以上行わなかったり,もっぱら指定された活動以外のことを行ったりした場合,在留資格が取り消されることもあります。
また,特定活動の在留資格の場合,働くことができるかどうかやアルバイトができるかどうかは,それぞれの活動によって異なります。例えば,特定研究活動は働くこと自体が活動内容ですが,就職活動を特定活動とした場合には許可なくアルバイトなどをすることはできません。この場合には,資格外活動許可という者を取得しなければなりません。
それぞれの特定活動の内容によって,できることの範囲が異なります。無許可でアルバイトをすると,不法就労として逮捕されてしまう危険もあります。もしも不安がある場合には,専門家に相談した方がよいでしょう。