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家出少女を泊めたら逮捕?未成年者誘拐罪で逮捕されたら強制送還になる?

2024-04-10

(事例はフィクションです)

Aさんは定住者の在留資格で,両親と一緒に東京都に在留している会社員(30代・男性)です。

ある日,AさんはSNSで「親と喧嘩をして家出したので泊めてください」という投稿を見つけて,そのアカウントと連絡を取り始めました。

SNSのDMをやり取りする中で,その相手は15歳の女子中学生であることが分かり,Aさんはその子と名古屋市内にあるビジネスホテルで会うことにしました。

Aさんはその時,性交等はしていないのですが,相手の両親が捜索願を出したため警察に見つかり,Aさんは愛知県警察中警察署にて,未成年者誘拐罪で逮捕されてしまいました。

Aさんの家族はAさんのことを心配して弁護士に相談することにしました。

未成年者誘拐罪での逮捕・刑罰

未成年者誘拐罪とは,未成年(18歳未満の人)を,監護者(親,保護者,親族等,面倒を見ている人)の下から外部に連れ出すことで成立します。

未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護成条例違反とは

これは未成年者本人の同意があっても成立する犯罪で,有罪になった場合には3月以上7年以下の懲役刑が科せられる可能性があります。

未成年者誘拐罪は,未成年者を対象とした犯罪であることや懲役刑の定めがあることから,逮捕・勾留がなされやすい犯罪の類型です。また,前科がない人であっても有罪となれば実刑判決を受ける可能性も十分にあり得る犯罪です。

未成年者誘拐罪で逮捕されてしまった時にすぐに対応すべきなのは取調べに対する対応と,示談交渉です。

未成年者誘拐罪が成立するためには誘拐」にあたる行為が必要となります。「誘拐」とは,未成年者を監護者の支配下から連れ出すような言動で,無理やり連れて行くような行為ではなくとも「泊めてあげるよ/お金を貸してあげるよ/ご飯を奢ってあげるよ」と言ったような文言であっても「誘拐」に当たるとされています。このような言動があったか無かったかで,未成年者誘拐罪が成立するかどうかが変わってきます。

犯罪が成立しないと思われるような事案に対しては,取調べでその点を重点的に否定する対応が必要になります。

また,犯罪が成立することを争わない事案では起訴されないための弁護活動が重要です。
そのためには,被害者との示談交渉が必要になります。未成年者誘拐罪の場合,示談の相手は親権者・監護権者になります。親としては「子供を危ない目に遭わせた」と考え,峻烈な被害感情を持っている場合が多いですから,示談交渉については弁護士等の代理人が行うべきです。

未成年者誘拐罪で逮捕,取調べを受けているという方は刑事事件に強い弁護士に依頼して,適切なアドバイス,対応を求めましょう。

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特に,外国人の方の場合,未成年者誘拐罪で懲役刑を受けてしまうと,強制送還のリスクが飛躍的に高まります。

退去強制とは

日本から外国人の方を強制送還する手続きのことを,正式には「退去強制」と言います。

退去強制手続きは主に

理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
入国警備員による調査
入国審査官による審査
(場合によっては)法務大臣による裁決

という4つの段階を踏まえて進められていくことになります。

退去強制の理由となる理由が発生した場合,そのことを入国管理局が知ることで調査が実施されます。
調査の結果は全て,入国審査官へ引き継がれて「強制送還をすることが適法かどうか」の審査がなされます。審査の結果を踏まえて,強制送還が最終的に決定されることになります。
強制送還をする,という審査がなされた後,決定に不服がある場合には異議を申し出て口頭審理,法務大臣の裁決へと手続きが進みます。
口頭審理,法務大臣の裁決を踏まえて,最終的に強制送還をするか,在留特別許可をするか,それとも強制送還をしないか,といった決定が下されることになるのです。

刑事事件を起こしてしまった外国人の方が強制送還されるかどうかという点や,審査手続きの流れについて細かく解説します。

退去強制の理由になる事実

入管法上,刑事事件と関連して強制送還される場合というのは,次のような場合です。

  • 一定の入管法によって処罰された場合
  • 一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられた場合(資格外活動の場合,罰金だけでもアウト!)
  • 麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決を受けた場合
  • 一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられた場合(執行猶予がついてもアウト!)
  • どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けた場合

執行猶予が付いたとしても強制送還になってしまう刑法犯は,代表的には次のようなものです。

住居侵入罪
公文書/私文書偽造罪
傷害罪,暴行罪
窃盗罪,強盗罪
詐欺罪,恐喝罪

これらの罪の場合,たとえ執行猶予付きの判決であったとしても,裁判が確定すると強制送還の対象となります。一定の刑法犯で懲役刑,禁錮刑に処せられたとして強制送還されるのは,入管法の別表1に該当する在留資格をもって日本に滞在している外国人の方です。入管法の別表1に該当する在留資格とは,こちらのページで列挙されています。

何かしらの犯罪で逮捕されてしまった,というだけでは強制送還の対象とはなっていません。ですが,逮捕,勾留に引き続いて「公判請求」,つまり,「起訴」がなされてしまうと有罪の判決が言い渡される可能性が極めて高く,有罪の判決を受けると内容によっては強制送還されてしまう可能性があるということです。

特に,薬物事件や入管法違反については,「悪質な事案」として入管法でも厳しく扱われており,強制送還されやすくなっています。逆に,一般刑法の違反の場合には,「その罪名や言い渡された刑の内容によっては強制送還される」という定め方になっています。

Aさんの事例では未成年者誘拐罪という罪名で逮捕されています。
この罪名の場合,「別表1」の在留資格の方の場合は執行猶予がついても強制送還の対象となってしまいます。
一方,「別表2」の在留資格の場合には,1年を超える実刑判決の場合には強制送還の対象になります。

いずれにしても,起訴されないための弁護活動が非常に重要になります。

入国警備官による調査

刑事事件を起こしてしまったことが強制送還の理由となってしまった場合,刑事手続きが終了した後,近くの各地方出入国在留管理局に呼び出された上で,入国警備官による調査を受けることになります。

この時の調査の内容は,「退去強制をするべき事実が発生したかどうか」ということに限られます。そのため,刑事裁判等を理由とした強制送還の場合,調査での一番の調査事項は,

一定の入管法によって処罰されたかどうか
一定の旅券法に違反して懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
麻薬取締法,覚醒剤取締法,大麻取締法などの薬物事件で有罪判決が確定したかどうか
一定の刑法犯で懲役,禁錮刑に処せられたかどうか
どの法律違反であっても,「1年を超える実刑判決」を受けたかどうか

という点になります。そして,これらの事実のほとんどは,刑事裁判の結果を基に認定がなされます。

裁判で事実を争っていない場合にはそのまま「強制送還の理由あり」という認定になってしまうでしょう。

裁判で争っていた場合,または入管の手続きになってから初めて事実を争うという場合,改めて証拠を提出したり詳細な主張を行ったりする必要があります。

入国審査官による審査

入国警備官が調査した内容は,そのまま入国審査官へと引き継がれていきます。そして入国審査官が対象となる外国人の方と面談(interview)を行い,審査を実施します。

審査の対象となるのも上に書かれた調査事項と同様です。
なお,強制送還の理由となる事実に加えて,日本での生活や仕事のこと,家族のこと,財産のこと等も一緒に質問されることがあります。
これは,強制送還の理由になる事実があったとしても,在留特別許可をするかどうか,という判断で考慮される事情になります。
審査が終わると強制送還の理由になる事実があったか/なかったか,という点についての判断がなされ,「事実があった」と認定されると一時的に入管の施設に収容されてしまいます。
元々オーバーステイだった場合には,そのまま収容が続いてしまうことが多くあります。
一方で,審査が終わるまでは一応在留資格をもって日本に在留していたという方の場合,一時的に収容の手続きがなされたとしても,すぐに「仮放免」といって,保証金を払うことで釈放される場合もあります。仮放免の解説はこちらです。

入国審査官による審査が不服であった場合,強制送還の理由になる事実があったとしても,さらに日本での在留を希望する場合には,その後の口頭審理という手続きを行うことになります。

口頭審理とは何か?

口頭審理とは,入国審査官が「退去強制事由がある」と判断をしたことに対して,特別審査官が再度審査をするという手続きのことです。

退去強制になるまでには,

理由となる事実の発生(例:オーバーステイ,不法就労,虚偽の申請,犯罪歴などなど)
入国警備員による調査
入国審査官による審査
(場合によっては)法務大臣による裁決

という段階がありますが,「口頭審理」という手続きは,この3と4のちょうど間にある手続です。

口頭審理では,入国審査官の判断が間違っていたかどうか,が審理の対象になります。

そのためまずは,強制送還の理由となった事情について再度細かく質問を受け,その後,日本での在留に関する質問をされます。ですが,口頭審理でのインタビューは,法務大臣の裁決という手続きに進む前の,最後のインタビュー手続きです。

そのため,口頭審理の場では,違反審査に関する事だけでなく,在留特別許可を認めるかどうかの判断で重要となる部分の『聞き取り』も行われることになっています。

ただ,あくまで「聞き取り」を行うだけですので,事実に間違いがない限りは,口頭審理の結果については,「元の審査に誤りはなかった」と判断されることになります。

口頭審理の後も,引き続き日本での在留を希望するという場合には,異議の申立てをして,法務大臣の裁決を求めることになります。

口頭審理のポイントとなるのは,『法務大臣による裁決前の最後のインタビューである』という点です。

法務大臣の裁決

入国警備官による調査から始まって,強制送還に関する最後の手続きが法務大臣の裁決という手続きです。

この手続では面談などはなく,口頭審理の結果を踏まえて在留特別許可をするかどうかについて,書面による審査が実施されます。

法務大臣の裁決では,それまでの手続きにおける間違いがないかどうかという点の審査に加えて,在留特別許可をするかどうかという最も重要な点についての審査が行われます。

在留特別許可をするかどうかについては,入管における判断の透明性を確保するという観点から,ガイドラインが公開されています。

積極要素

日本人の子か特別永住者の子である

日本人か特別永住者との間に生まれた未成年の子を育てていて親権を持っていること等

日本人化特別永住者との間に法律上有効な婚姻が成立している

⇒日本と外国人とが,家族関係を持つレベルで接着していること

消極要素

重大犯罪によって刑に処せられた

出入国管理行政の根幹を犯す違反をした

反社会性の高い違反をした

⇒日本に在留させることが日本にとって不利益が特に大きい場合

最終的には様々な事情を総合して判断することにはなりますが,これらの積極要素/消極要素を中心にして,過去の事例なども参考にしながら,在留特別許可をするかどうかの判断がなされます。

Aさんの事例では1年を超える実刑判決を受けた場合に,強制送還の対象に該当します。
Aさんは「定住者」の在留資格で,日本に家族もいるという在留状況ですから,この点を適切に主張していくことで,在留特別許可が得られる可能性がある事案です。
退去強制,在留特別許可に関する手続きについても,知識,経験が十分にある弁護士に依頼するのが良いでしょう。

まとめ

日本に残って生活を続けたいと希望する場合には

・刑事事件の手続きで起訴されない事,なるべく軽い処分を獲得すること

・入管での手続きの中で,強制送還の対象とならないこと,在留特別許可を得る可能性を少しでも高めること

が重要です。

いずれかについて少しでも不安なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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強制送還手続きと商標法違反の事例解説

2023-08-25

日本に滞在する外国人が一定の法律違反を犯した場合、強制送還手続きが発生することがあります。この記事では、商標法に違反したAさんの事例を基に、強制送還手続きの法律的側面とその対応策について詳しく解説します。

事例紹介:
Aさんは、40歳の中国国籍で、定住者ビザで日本に在住していました。彼は、長年、東京都内の企業で働いていましたが、コロナ禍でのリストラにより職を失いました。あるとき、経済的な困窮から商標法違反に手を染めることになります。Aさんは、フリマサイトで偽ブランド品を出品したことで、商標法違反によって逮捕されました。

Aさんは数日勾留された後,略式罰金命令を受けて釈放されることになりました。定住者のビザが取り消されるのではないかと心配になったAさんは,弁護士に相談するかどうかを迷っています。

解説:
退去強制手続きは、以下のような場合に発生します。

  • 一定の入管法によって処罰された場合: 旅券法違反など。
  • 薬物事件で有罪判決を受けた場合: 麻薬取締法、覚醒剤取締法など。
  • 一定の刑法犯で懲役、禁錮刑に処せられた場合: 執行猶予がついても対象。
  • 1年を超える実刑判決を受けた場合: 任意の法律違反で刑事裁判を受けた場合。
  • 窃盗罪、強盗罪、詐欺罪など、一定の刑法犯でも強制送還の対象となることがあります。

しかし、在留資格によって強制送還されるかどうかが変わることがあります。例えば、「日本人の配偶者等」や「定住者」の在留資格では、執行猶予付きの有罪判決を受けても強制送還にはなりません。

退去強制手続きは、入管法に基づいて行われます。手続きは、入国管理局が行い、強制送還の決定が下されると、外国人は日本から退去しなければなりません。強制送還の決定は、裁判所の判決とは別に行われる行政手続きです。

弁護士に相談することのメリット:
退去強制手続きは複雑であり、個々のケースに応じた専門的な対応が必要です。弁護士への早期相談が、在留資格の保持や強制送還の回避につながることが多いです。

弁護士への相談の仕方:
強制送還の対象となった場合、早急に専門の弁護士に相談することをおすすめします。具体的な事例や状況を詳しく伝え、最適な対応策を一緒に考えることが重要です。

まとめ:
強制送還手続きは、外国人の在留資格に直接関わる重要な問題です。Aさんの事例を通じて、法律的な側面と対応策を解説しました。このような状況に直面した場合、専門家への相談が重要であることを強調します。

定住者ビザはどんな場合にもらえる?誰でももらえる?

2023-07-28

在留資格「定住者」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「定住者」の在留資格に該当するのは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者です。

定住者」の該当例としては、第三国定住難民・日系3世・中国残留邦人等です。

「定住者」の在留期間は、5年・3年・1年・6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。

なお、この「定住者」については、成年年齢の引下げ等を内容とする「民法の一部を改正する法律」の成立を受け、定住者告示6号各号に規定する「未成年」については、現行の20歳未満から18歳未満に変更になり、令和4年4月1日から実施されています。

令和4年4月1日以降、18歳以上の方は「未成年・未婚の実子」として新規に在留資格「定住者」で入国することができませんのでご注意ください。

ただし、既に「定住者」の在留資格をお持ちで再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国している方への影響はありません。

以下の法務省告示に適合している場合は、法務大臣の個別の指定がなくても上陸許可を受けられます。

・日系2世及び3世
・日本人の子として出生し「日本人の配偶者等」の在留資格を有する者の配偶者
・1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者
・1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の扶養を受けて生活する未成年かつ未婚の実子
・日本人等の配偶者で「日本人の配偶者」等の在留資格を有する者の未成年かつ未婚の実子
・日本人等の扶養を受けて生活する6歳(場合により8歳)未満の養子
・中国残留邦人等とその親族
・インドシナ難民のうち一定範囲の者

また、上記の法務省告示に適合していなくても、人道上その他特別な事情があれば、上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に際して、この「定住者」の在留資格が与えられる場合があります。

法務省告示に適合していないパターンの「定住者」の在留資格を認めてもらうためには、申請人が日本で生活していくため人道上の必要性があることを説得することが必要になります。
 
この「定住者」の在留資格のメリットは、永住者と同様に仕事の種類に関係なく就労することができる点にあります。

しかし、永住者とは異なり、定期的に在留期限の更新手続きは行わなければなりません。

以上のように、法務省告示に適合しているパターンの「定住者」の在留資格の取得は難しくはありませんが、法務省告示に適合していないパターンの「定住者」の在留資格を認めてもらうためには、人道上の必要性があることを説得することが必要になりますので、ご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「家族滞在」ビザをもらうためには?別のビザに変更する時は?

2023-07-06

在留資格「家族滞在」についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「家族滞在」とは何か

  • 創設の目的について

一定の在留資格をもって、本邦に在留する外国人の扶養家族を受け入れるためにもうけられました。

  • 在留期間について

「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人は、その扶養者である配偶者又は親が本邦に在留する間に限って本邦に在留することができます。

  • 扶養者の在留資格の種類について

申請人の配偶者又は親である扶養者の在留資格が、「教授」、「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文・国際」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」又は「留学」

の場合に限られます。

ここで注意すべき点として、扶養者が日本語学校の留学生の場合は、在留資格は「留学」ですが、「家族滞在」では対象外となります。(基準省令第1号イ又はロに該当しないため)

家族滞在が認められるために必要な要件として以下の3つが必要です。

  1. 扶養者の扶養意思:扶養者が「家族滞在」で在留するものに対して扶養の意思を有すること。
  2. 扶養者の扶養能力:扶養者が申請人(家族滞在で来る人)を扶養する能力があること。
  3. 配偶者又は子にあっては、現に扶養者の扶養を受け又は看護養育を受けていると認められること。

その他、配偶者又は子として在留する場合にあっても、主たる入国目的が扶養者に依存することなく独立して別個の活動に従事するときは、それぞれに対応した在留資格が必要です。「例えば仕事をして収入を得ようとする場合は、就労資格が必要」となります。

「家族滞在」から在留資格変更許可申請について

「家族滞在から定住者への変更」どのような場合に必要となるでしょうか。

(架空の事例です)

N国出身のAさんは、父親が日本でレストランで働くために「技能」の在留資格を取得して来日したことに伴い10年前に母親と3人で日本に来ました。

Aさんが初めて日本にきたときはまだ8歳でした。来日してから日本の小学校、中学校を経て今年の春高校を卒業しました。

高校卒業と同時に地元にあるB商社に働くことが決まりました。

Aさんの高校卒業と同時期に父親のレストランで働く契約期間が切れたことに伴い、Aさんの両親はN国に帰ることになりました。

Aさんの在留資格「家族滞在」は、Aさんの扶養者であるお父さんの在留資格である「技能」がなければ認められません。

Aさんはせっかく内定したB社を辞退して、両親と一緒にN国に帰国しなければならないのでしょうか?

 

次の1~5いずれの要件にも該当する場合は、「家族滞在」から「定住者」への在留変更が認められる場合があります。

1「家族滞在」の在留資格をもって在留していること

2 入国時に18歳未満であること

3 日本の義務教育を終了していること

4 日本の高等学校を卒業していること

5 就職先が決定(内定を含む)していること

立証資料として、

・履歴書(義務教育を終了した経歴について記載のあるもの)

・小学校・中学校を卒業したことを証明する資料(卒業証明書又は卒業証書の写し)

・高校を卒業したことを証明する資料

・就職先の内定通知書又は雇用を証明する資料等。

 

上記の事例のAさんは、上記1~5いずれの要件にも該当することから、両親と一緒に

N国に帰らなくとも日本で働いて自分のビザ(定住者)で在留することが出来そうですね。

 

在留資格「家族滞在」についてご心配やお困りごとのある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専用窓口(03-5989-0843)までご相談ください。

 

                   参考:出入国在留管理庁 入国・在留審査要領

離婚後に定住者への在留資格の変更が認められた裁判例

2021-04-14

日本人と離婚した外国人の方が,「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格の変更を求めて裁判を起こした結果,裁判所が,在留資格の変更を認める方向の判決を出した事案について紹介します。

「在留資格の変更を認める方向」という,少し遠回しな言い方になっているのは,裁判所が直接「在留資格の変更と認めた」というわけではないからです。

この事案では,外国人の方が一度,在留資格の変更の申請(「日本人の配偶者等」→「定住者」)をしたところ,当時の入管が不許可の処分をしました。外国人の方は,この不許可処分の取り消しを求めて裁判を起こしたのです。

裁判例は,平成14年4月26日東京地方裁判所で判決が言い渡された事件です。それでは詳しく解説します。

(さらに…)

離婚後に「定住者」へ在留資格を変更できるか

2021-04-07

「日本人の配偶者等」の在留資格の間に,日本人と離婚した外国人の方が日本での在留を希望する場合には,在留資格の変更が必要です。

参考 日本人と離婚した場合

離婚後に取得できる在留資格としては,就労系の在留資格の他に,「定住者」の在留資格があります。離婚後の「定住者」としては,大きく分けると「離婚定住」と「日本人実子扶養定住」があります。また,実際に離婚までは至っていなくても,日本人との間の結婚がDVによって破壊されてしまった場合に,「婚姻破綻定住」というものもあります。

いずれの「定住者」の在留資格についても,法律上定めがあるものではなく,「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める」場合とされています。

この3つの「定住者」について解説します。

①「離婚定住」

日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格で日本で生活していた方が,離婚後も日本での在留を希望する場合,一定の条件の下で引き続き在留資格が認められることがあります。

これを「離婚定住」と言ったりします。

離婚定住が認められるのは,次のような場合です。

・日本で3年以上正常な婚姻,家族生活が継続していたこと

・生計を営むために必要な資産や職があること

・社会生活に困難がない程度の日本語能力があること

・日本の公的義務を果たしていること

これらの事情に加えて,離婚するに至った原因や,今後外国人の方が引き続き日本に定着して生活できる可能性を考慮して,在留資格を認めるかどうかについて判断されます。

もしも,日本人と死別した場合には,「1年以上」の婚姻が継続していれば離婚定住の在留資格が認められる可能性があります。死別の場合には不慮の事態であることも多いため,残された外国人家族への配慮がなされていると考えられます。

 

②「日本人実子扶養定住」

日本人の実子を扶養する親に対して認められている「定住者」の類型です。これは,日本人の子供が両親と安定した生活を送れるようにするために,外国人親の在留を認めるとしたものです。

日本人実子扶養定住が認められるのは,次のような場合です。

・生計を営むために必要な資産や職があること

・日本人との間に生まれた子供を扶養していて,親権者であり,かつ,その子供を相当な期間を監護・養育していること

離婚後に日本人実子扶養定住に在留資格を変更しようとする場合には,子供の親権を持っていて,かつ,今後も子供を養育していくという状況でなければなりません。

仮に子供が18歳以上となって働きだしたり,親元を離れて進学したりしても,子供を扶養しているという状況が認められる場合があります。養育しているかどうかについては,同居しているかどうかだけで判断されるものではありません。

 

③「婚姻破綻定住」

婚姻破綻定住は,離婚届を出していないけれども結婚生活が失われて今後も修復される見込みがないという場合に認められる「定住者」としての在留資格です。

「婚姻破綻定住」として認められるのは,次のような場合です。

・日本で3年以上正常な婚姻,家族生活が継続していたこと

もしくは,

・正常な婚姻を開始したが一方のDVの被害に遭ったこと

・生計を営むために必要な資産や職があること

・日本の公的義務を果たしていること

これらの場合を満たしても,現に婚姻が破綻していると認められない場合には,日本人の配偶者等としての在留資格が更新されないかどうかについて判断されます。

婚姻が破綻しているのかどうかについては,申請人である外国人の方だけではなく,配偶者である日本人への聞き取りなどによって調査がなされます。

 

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