日本で暮らす外国籍の方が,自分の親を日本に呼び寄せるための手段としては「老親扶養」のビザを取得する,というものがあります。
親を介護するために,日本に呼び寄せるというものです。この「老親扶養」は,「特定活動」という在留資格で認められる活動の一種です。
老親扶養のための「特定活動」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
近年,本国にいる年老いた親を日本に呼び寄せ面倒をみたいという問い合わせが多いです。
相談される方の男女の割合はほぼ同数で、国籍では中国籍の方が圧倒的に多いです。
なぜ中国籍の方から「老親扶養」のご相談が多いのかというと、中国で1979年から2015年まで実施された「人口抑制政策」いわゆる「一人っ子政策」が実施されていたことと深く関係していると思われます。
中国において「一人っ子政策」が実施された1979年頃に生まれた方々は,現在43歳~44歳です。その頃に生まれた方々の親の年齢が,現在,おそらく70代中盤から80代に差し掛かっていると推定されます。
この政策の実施中に生まれた子供達が、
・縁あって日本に移り住んだ
・日本人と結婚して日本に移住した
・日本の会社に就職した
と言った理由で,本国を離れて生活している方がいます。そのような方々も,日本での滞在も10年~20年ほど経って社会的にも経済的にもある程度余裕が出来てきているでしょうし,本国にいる親を呼び寄せる準備が整ってきた,長男長女として本国にいる親の面倒をみるのは自分しかいない,しかしながら日本での生活を投げ捨てて帰国するわけにはいかない,といった状況の中で,本国にいる老齢の親をなんとか日本に呼び寄せたいという思いがあるのではないかと思いわれます。
残念ながら日本の在留資格には,「親の面倒を見る」というための在留資格が存在しないため,単に親を呼び寄せたいというだけでは長期的な在留資格を得ることはできず,「短期滞在」で親を呼び寄せるしかありません。
では「年老いた親」の面倒をみることは、親のいる本国に自分が帰国する以外に選択肢はないのでしょうか。
この場合に人道的な措置として「特定活動」という在留資格で親の呼び寄せが出来る場合があります。これはあくまで個別的判断による人道的な措置であり予め上陸審査基準が類型化されていないため、在留資格認定証明書では呼び寄せが出来ません。
そこで短期滞在ビザで来日して、在留期間中に老親扶養の「特定活動」に在留資格変更申請をすることになります。
老親扶養の「特定活動」について事前に定められた審査基準はありませんが、大まかな目安となる基準はあります。
①親の年齢が概ね70歳以上
②親が本国で身寄りがいないこと
③親が単身であること
④扶養側に親を扶養する経済力があること
⑤親に持病がある。
上記①~⑤の全てあるいは複数該当する場合、老親扶養のための「特定活動」に資格変更が出来る場合があります。
老親扶養「特定活動」の在留資格についてご心配な事やお困り事があるという方は、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所内の専用窓口(03-5989-0843)までご相談下さい。