日本から出国する流れ

1 日本からの出国について

日本から出国するときの手続きは,日本で適法な在留資格を持っていたのか,再度日本に戻ってくる予定があるのか等によって異なります。

 

2 在留資格がある場合等,任意に日本から出国する場合

多くの外国人の方は何らかの在留資格を持って日本に上陸し,その目的が終われば母国へ帰国します。また,在留資格の変更や延長が認められず,「特定活動(出国準備)」の在留資格の間に自分の意思で出国する場合も同様です。

日本での在留資格があってその期間内に日本から出国する際には特別な手続きは必要がありません。日本から出国した時点で,在留期間内であったとしても在留資格は消滅します。そのため,通常は再入国の時に新しく在留資格を取得して上陸許可を受けなければなりません。

しかし,一度日本を出国するものの,現在の在留期間内に再入国する予定がある場合には,日本を出る前に「再入国許可」を受けておくと,新しく在留資格を取得する必要がなくなり,元の在留資格のままで再入国することができます。

日本を出国してから1年以内に再入国する方は,「みなし再入国許可」という簡略な手続きを利用することが可能です。「みなし再入国許可」を利用できるのは,有効な旅券(パスポート)と在留カード(もしくは,これに代わる外国人登録証)を持っている方になります。「みなし再入国許可」を利用する場合には,出国の際の再入国用EDカードの「みなし再入国許可を希望します」というチェック欄にチェックを入れるだけです。

日本を出国してから1年を超えて再入国する方は通常の「再入国許可」を受けます。「再入国許可」の際にも有効な旅券と在留カードを持っている必要があります。「再入国許可」は出国の前にお住いの地方入国管理局の窓口に行って手続きをしておく必要があります。

「みなし再入国許可」は出国前にカードにチェックを入れるだけで済みますし,通常の再入国許可は弁護士に取次ぎを依頼することができます。

なお,短期滞在の在留資格の方は再入国許可を受けることはできません。

 

3 在留資格がない等で退去強制(強制送還)となった場合

不法入国や不法滞在などの入管法違反に該当する場合や,在留資格を取り消され退去強制に該当する場合,一定の犯罪にあたる場合には,退去強制(強制送還)といい,本人の意思に拠らず日本から強制的に出国させられます。

この場合には国籍のある国か,市民権が属している国に送還されることになります。

退去強制の手続きは,入国警備官による違反調査によってはじまります。入国警備官が退去強制にあたる容疑がある考えた場合,外国人を入管の施設に収容するための収容令書が出されます。この調査のための収容は基本30日,延長されるとさらに30日と,合計60日にわたってなされることがあります。

調査の結果,最終的に退去強制に該当する事実があるとされた場合,退去強制令書が出されます。その後,退去強制令書に基づいて国の費用で送還されることもありますが,外国人の方が自費で航空券などをオープンチケットで購入して出国することもあります。なお,退去強制令書が出されてもすぐに送還されるのではなく国費での送還の場合には数か月先になることもあり,出国までの期間も入管の施設に収容されます。

 

4 弁護士に相談すべき場面

外国人の方が日本から出国する際,任意で出国される時には,基本的に特別な手続きは必要ありません。再入国許可の関係で不安がある方は弁護士と相談するとよいでしょう。

一方,強制的に日本から出国させられる方,もしくはその恐れがある方の場合には,手続きを弁護士に依頼した方がよい場合があります。

入管の施設への収容令書が発せられた場合には,仮放免という一時的な釈放を申請する必要があります。また,日本での在留や早期の再入国を希望する場合には,退去強制に関する調査の時点から事実を争う活動や在留特別許可に向けた活動,更に早い段階から出国命令制度を利用することを検討していかなければなりません。

退去強制に関する手続きや弁護活動については,「退去強制(強制送還)について」の項で改めて解説します。

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