難民認定について

1 難民認定とは何か

日本における「難民」とは,難民の地位に関する条約,または,難民の地位に関する議定書において定義されており,

人種(①)、宗教(②)、国籍(③)もしくは特定の社会的集団の構成員であること(④)または政治的意見(⑤)を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者

とされています。

①から⑤のいずれかによって,迫害を受けるおそれがあるという,理由のある恐怖があること,が難民に該当することが主要な要件です。簡単にまとめてしまうと,元の国に帰国すると迫害を受ける恐れがある場合に,難民として認定されます。

平成31年3月に法務省が発表したところによると,平成30年(2018年)に難民認定申請を行った外国人は,10493人,難民認定手続きで日本での在留を認められたのは82人でした。そのうち,難民認定されたのが42人,難民ではない者の人道的な配慮を理由に在留を認めたのが40人とされています。

申請を行ってから最終的な判断がなされるまでには半年程度かかるため,この数字を単純に比較することはできませんが,難民認定を受けることが非常に高いハードルであることは分かります。

 

2 難民認定申請の手続き

難民認定申請は,各地方の出入国管理局にある,難民調査部門の窓口で行います。申請を行うと書類の不備がないかどうかを確認されて,受理票が交付されます。

難民申請後,難民調査官によってインタビューがなされ,難民に当たるかどうかについて質問がなされます。このインタビューは複数回行われることもあり,上記の①から⑤を理由とした迫害の危険がどの程度具体的なのかを詳細に聞き取られます。

このインタビューの結果を踏まえて,難民認定されるかどうかの審理が行われます。難民認定された場合には,「定住者」として「5年間」の在留資格が認められます。難民認定がなされなかった場合には,6週間以内に審査請求という不服申し立ての手続きがあります。

仮に難民認定がなされなかったとしても,人道的な理由から在留特別許可がなされる場合もあります。「在留特別許可について」の項もご参照ください。

難民認定申請中に在留資格の期限を迎えてしまう場合には,在留資格の更新をしなければなりません。なお,申請期間中は元の在留資格での在留資格しか認められません。申請と同時に定住者としての在留が認められるわけではないので気を付けなければなりません。

日本での在留資格がない方で難民認定申請を行った場合,例えば,不法入国後に難民認定申請をした場合や,オーバーステイとなった後に難民認定申請をした場合には,退去強制(強制送還)のための収容手続きも進んでしまいます。

その場合には難民認定申請の間日本に在留するために,仮滞在許可をうけなければなりません。仮滞在許可は,難民認定申請を行った時点で有効な在留資格を持っていない方については自動で審査されます。なお,上記の法務省の発表によると,平成30年に仮滞在許可が認められた外国人の数は38人,仮滞在を認められなかったのは939人でした。

多くの方は,短期滞在の在留資格で入国してから難民認定申請を行い,申請に対する結果待ちの間は在留資格を「特定活動」に変更することが出来ます。特定活動の在留資格は6か月ごとの更新で,日本での就労は認められません。難民認定申請中に日本で生活するためには,資格外活動許可を得て働いたり,難民を支援するNPO団体の援助を受けたりする必要があります。

 

3 難民認定された場合の在留資格等

難民認定された場合には「定住者」の在留資格が認められます。在留期間は通常「5年」とされます。

難民認定された時点で,日本での在留資格がある方は,難民認定後に在留資格の変更の手続きを行います。在留資格がない方は,新たに在留資格を取得します。

その後の在留資格に関する手続きは,基本的に他の「定住者」として在留する外国人の方と同様です。定住者として日本に5年以上滞在し続け,その間で素行不良とみられなければ(入管での届け出をきちんと行っていること等),永住申請も可能です。

「定住者」の在留資格があれば,就労に制限がありませんので日本国籍の人と同様に働けますし,日本での住民票も作成されます。難民認定を受けた後は,日本で結婚することもできます。仮に子供が生まれた場合には,親の国籍国で出生の届け出をするか,日本へ帰化の手続をすることになります。

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