今回は,「医療」の在留資格の概要と,取得にあたって入管などに対して提出する必要がある書類について解説します。
外国人看護師や医療スタッフを受け入れる病院関係者の方は一度ご確認ください。
このページの目次
どんな在留資格なのか
医療の在留資格は,「医療関係の業務に従事する専門家」に認められる在留資格です。
医療の在留資格(ビザ)は,いわゆる「就労ビザ」の一種です。就労ビザ全般については,こちらのページで紹介しています
この専門家とは,「資格がなければできない医療の業務をする」人のことを言うとされています。
具体的には,医師,歯科医師,薬剤師,保健師助産師,看護師,准看護師,歯科衛生士,診療放射線技師,理学療法士,作業療法士,視能訓練士,臨床工学技士,技師装具士がこれに当たります。単なる病院の受付や事務員というだけでは,「医療」の在留資格は認められません。
また,日本で「医療」に関わる活動をする場合でなければ「医療」の在留資格は認められません。日本でも「医師」としての資格が認められる場合であっても,医療法人の経営者として働く場合や,製薬会社などでの研究活動を行う場合には,「医療」以外の在留資格でなければ入国できません。この場合には「経営・管理」や「研究」の在留資格を取得することを検討します。
判断でポイントになるのは,
日本で行う活動が,「特定の資格を持たないとできない医療の業務」といえるかどうか
という点です。
「医療」ビザTips
・歯科技工士,あん摩マッサージ指圧師,はり・きゅう師,柔道整復師,介護士なども,日本で資格がある専門職ですが,「医療」の在留資格は認められていません。
・整体師やエステティシャンというのも,「医療」の在留資格は認められていません。
・准看護師として「医療」の在留資格を取得しようとする場合,日本で准看護師の免許を受けてから「4年以内」に「研修として業務をする」時でなければ在留資格が認められません。
在留資格認定証明書のために必要な書類
「医療」の在留資格認定証明書のために必要な書類は次のとおりです。
・在留資格認定証明書交付申請書 1通(こちらのリンクからもダウンロードできます)
・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚
・返信用封筒(404円分の切手を貼っておく) 1通
<医師,歯科医師の場合>
・日本の資格を有することを証明する文書(免状や証明書などの写し※日本で発行されたものの場合,申請前3か月以内に発行されたもの) 1通
<医師,歯科医師以外の場合>
・日本の資格を有することを証明する文書(免状や証明書などの写し※日本で発行されたものの場合,申請前3か月以内に発行されたもの) 1通
・勤務する機関の概要を示す資料(医療法人であれば履歴事項全部証明書等) 1通
なお,いずれの資格職であっても,出入国管理局に対する印紙代はかかりません。
審査にかかる時間・在留期間
在留資格認定書は,申請してから実際にもらえるまで,通常,約1~2か月程度かかります。
医療について,統計データによると,平均して,申請から約31日で在留資格認定書が交付されています。他の在留資格と比べて,審査がスピーディーにおこわれているようです。
在留期間については3ヶ月,1年,3年,5年とあり,通常であれば最初は「1年」,次の更新で「3年」,「5年」と徐々に長めの在留期間が認められます。
まとめ
医療の在留資格の取得にあたっては,どの資格に基づく医療専門職なのかによって,判断基準や提出書類が異なります。
近年,日本国内で人材不足が叫ばれて久しい中,医療現場は特に深刻です。
医療従事者の場合には,「医療」の在留資格だけでなく,「介護」や「特定活動(EPA)」といった,別の在留資格によって人材を確保することも考えられます。
医療スタッフとして外国人を呼び寄せることをお考えの方,日本にいる外国人有資格者を雇うことを考えている事業主の方は,一度ご相談下さい。